①ソムニウムたちに挨拶しに行ったら、ド突き合いに巻き込まれた
②ローマを歩いてたら誘拐に巻き込まれた
う~ん、実に優雅なフラグ回収でした。
ちなみに前回の話で、グリッドマン同盟がいない事に誰も突っ込まれなかったのであえて書きませんでしたが、忘れていたのではなく、今回の話の都合上、参加させたくなかったのが原因です。ちゃんと後で合流します。
それではどうぞ~
「──なに??カルディナたちが……誘拐された?!」
「それは本当か!?
「ああ、V.C.からたった今連絡が入った……商会の取引先でバイオネットの工作員にヴィータ共々誘拐されたようだ。」
「そんな……お義姉ちゃんが!どうしよう、アンネスお義姉ちゃん!!」
「落ち着け、アズ。」
カルディナ、ヴィータ誘拐の一報は、すぐにアズたちに入った。
その様子は、想像以上に彼らに動揺を与えていた。
「う、うん。でもこのままだと……」
「ああ、マズイだろうな。」
「……バイオネットの奴等、獲物を意気揚々と呑み込んだつもりだろうが、自ら腹の中に劇薬を呑み込んだようなものだ。無事では済まんだろう。」
「下手人たちを一網打尽にするんだろうに、劇薬自らが持ち去られてどうする?バイオハザードでも起こす気か、アイツは。」
「それに伴って、ドライストレーガー側の作戦に影響がなければいいが。」
「作戦前にバイオネット本拠地が壊滅……お義姉ちゃん、本当にやっちゃうのかな??」
「……それが一番気がかりだ。」
クォヴレーの一言に、
唯一、話について来れないのはレモンとアルフィミィだけである。
「……なんか、普通の誘拐の反応とは違わね。普通は誘拐された事に慌てるわよね?計画的なら別だけど。」
「お嬢様が誘拐されたというのに、誰も心配していないですの、どうしてですの?」
「どうしてと言われてもな……心配する理由がどこにもない。」
「見た目と金に釣られて誘拐でもしようものなら、誘拐犯が勝手に死ぬだけだ。それはいい、だがな……」
「今回俺たちはドライストレーガー側の手が届かない場所の秘密裏のフォローだ。それを発案者が率先して作戦を破る行為だぞ、これは。」
イングラムが溜息、
つまり、そういう事である。
その話を唖然として聞いて納得するレモンとアルフィミィ。
幼子が聞いて納得する話ではないが……
「それより俺たちはどうする?カルディナは何か言っていたか、V.C.。」
《作戦に変更はありません。ただ、内部情報によると敵戦力が予想より30%程増す可能性がある、との事です。カルディナ様は担当箇所を一部変更してほしいと。》
「30%……予想より多いな。ゲリラ、テロリスト共が予想よりも集まったんだろうか?」
「こうなると、カルディナの行動も実はやむ無しか?」
「誘拐は偶然だろうが、結果的に完全に悪ノリだろう……仕方ない、位置的に3分の1は俺がやろう。」
「じゃあ俺も3分の1を。」
「イングラムと
「……アンネスの言うとおりだ。だがやるしかあるまい。」
「私はどうすればいい?」
「俺も変更すべきか?」
「いや。アズ、それにクォヴレーはそのままでいい。お前たちの位置は両端だ。予定以上に派手になる以上、漏らしは必ず出るだろうから、作戦区域で隙間を空ける訳にはいかん。そのままのポジションでいい。」
「わかりました。」
「了解した。」
「私とキョウスケは?」
「お前たちはむしろ遊撃だ。特にどことは言わん、とことん暴れまくってくれ。」
「おっけー。」
「わかった。」
「あらら、やっぱりお嬢様を誰も心配してませんの。」
「やっぱりトラブルメーカーは何処にいても健在なのねぇ。」
そしてどこかにいるお嬢様がくしゃみをしたのは間違いない。
そしてC商会のメンバーに連絡が入った少し後、ローマ郊外の上空にて、ドライストレーガーは3機のロボットを収容していた。
そして格納庫でミツバは新たに3人のパイロットを出迎えていた。
「国連所属、グレートマジンガーのパイロット、剣鉄也少佐だ。」
「同じく国連所属、イチナナ式のパイロット、兜シロー少尉です。よろしくお願いします。」
「ドライストレーガー艦長、ミツバ・クレイヴァー特務中佐です。こちらこそよろしくお願いします。バイオネット本部襲撃の作戦に参加して頂き、ありがとうございます。」
「なに、俺たちもバイオネットには手を焼かされていたんだ、作戦には喜んで参加させてもらう。」
「ああ、頼りにしてくれ。」
「はい。それと……」
「……ゲッターチームの、流竜馬だ。」
「は、はい……よろしくお願いします。」
「ふん。」
「ずいぶん、不機嫌だな竜馬。そんなに隼人と弁慶がいないのが不満か?」
「んな訳あるか。」
「竜馬さん、ただでさえ悪人面何ですから、少しは愛想良くしてくださいよ。」
「ほっとけ。それよか……あの赤いロボットは、いねぇみたいだな。」
「赤いロボット……もしかして竜馬さんがこの真ゲッタードラゴンを得た時に居たという?」
「ああ。あんだけ手練れなんだ、こんだけデカい戦艦ならいると思ったんだがな……」
「申し訳ありませんが、私たちも赤いロボットについては現在捜査中なんです。何かわかりましたらお伝えします。」
「そうかよ。わかったら教えてくれ。」
「わかりました。」
(今は空振りか……しかし、未だに真ゲッターが、真ゲッタードラゴンに進化した時に聞こえたあの声……『エンペラー』って名前を聞いただけで武者震いが止まらねぇ。それに俺があの時、ほんの一瞬だけ垣間見た、あの赤いロボットからのイメージ……まったく違うロボットだが、あの『エンペラー』って奴と戦って、倒した……何だったんだ、ありゃ?あんな宇宙規模でありながら馬鹿でかい奴を倒せるなんざ、相当な実力なんだろうよ。だが、そんなものを何故俺に見せたか……それが気になる。会って、確かめるしかねぇか。)
作戦前に戦力を集めるドライストレーガー。
鉄也やシローはともかく、竜馬は『赤いロボット』が非常に気になる様子。
とはいえ、貴重な戦力なのは間違いない。
そしてローマに向かう前に、東南アジアでDBD反応があった先で、『グルンガスト』という特機と『イルムガルト・カザハラ』、魔装機神『サイバスター』に『マサキ・アンドー』と使い魔の猫『シロ』『クロ』とも出会い、本来の世界への帰還の協力を約束し、戦力の協力も得ている。
「つか……随分若返ったな、イルムのおっさんよ。」
「ああ、何か知らんけどな。でもこれでナンパしやすくなったぜ。」
(あ~、なんか調子に乗ってるニャよ。)
(リン社長に怒られても知らない二ャ……)
更に『ブルーホール』近辺では異世界たる『セフィーロ』から来た魔物や、『ジャロウデク王国』の『
「おお!!実に壮観!!巨大なるはやはりスーパーロボット!!やはり王道の巨大ロボットはこうでなくては!!」
「エル君はしゃぎ過ぎ〜。」
「……とは言ってもよ、こいつは壮観だぜ。流石は異世界だな。」
『ナイツ&マジック』よりエルネスティ、アーキッド、アディの3人。
更に……
「うわ~、スーパーロボットだぁ!!こんなにたくさん!!」
「もう、光もはしゃぎ過ぎよ。エルに影響されすぎ。」
「光さん、元気ですねぇ。」
「ぷぷぷぅ~!」
『魔法騎士レイアース』組より、光、海、風の3人と、
バイオネット本部を前にして、協力者が多数現れ、戦力の拡充に成功していたのだった。
これで大丈夫、と思っていたミツバだったが、その矢先……
「大変です、艦長!勇太君に付けていた発信機の反応が……途中で、消えました!!」
「な……なんですってぇぇえッ!?」」
まさかの悲報が届いた。
「───勇太、大丈夫かな?」
「分からない、今は勇太を信じるしかないが……それより護、おかしくないか?」
「……うん。」
GGG機動部隊隊長の天海護と、副隊長の戒道幾巳である。2人は勇太の実を案じながら人質が捕らえられた場所へと向かう。
しかしその間、ずっと妙な事が起きていた。
「……妙だ、ここはバイオネットの本部、だよね?」
「ああ。だがこの抵抗の無さは何だ?」
敵対するバイオネットの兵士や、新たに合流したであろうテロリストに接敵する人数があまりにも少な過ぎた。
時々の反撃はある。ただしそれは偶発的にエンカウントした時だけで、後はやつらは奥に奥にと集まっている気配すらある。
突入してからというもの、まともな反撃がない。
「上の階や奥から聞こえる戦闘音が非常に激しい……僕たちの他にも誰か戦っているのかな?」
「……それにしても異常だ。人質を巻き込んだ凄まじい戦闘でも起きてるというのか?それとももう手遅れに……?」
そして時間の経過と共に比例して、奥からは戦闘音と思える轟音は単独で行っているとは思えない程に頻繁に鳴り響いており、自分たちが進む1回には構成員たちの断末魔の悲鳴に混じって、遠くからでも判る威圧感の強い怒声、そして少年らしき悲痛な悲鳴が。
「急ごう、幾巳。ドライストレーガーが受信した座標はこの先だ!」
「ああ!」
ドライストレーガーに送られてきた、いつもの匿名のメッセージ……それに記されていたのは勇太が捕らえられていると記載された座標であった。
罠かは不明だが、いつもの匿名の主であれば信用できると判断し、突入した次第だが……やはり不安はぬぐえない。
というのも、勇太に持たせていた発信機の反応が途中で途切れてしまった後、タイミング良く送られてきた、この
そうしてやって来た倉庫の前だが……周辺にはバイオネットの組織員たちが所狭しに無残に転がっていた。遠目から、人質を閉じ込める分厚い扉はXの字に切り裂かれたと思われ、その残骸だけが無断にぶら下がっていた。
そして先程から頻繁に聞こえる、容赦ない怒声と、痛ましい少年の悲鳴……間違いなく勇太の声だ。
そして護と幾巳を無視してその倉庫に慌てて入る完全武装の組織員たちが破壊された扉に入った瞬間、全身を切り刻まれて吹き飛ばされて壁に叩き付けられて床に肉の山が作られていく光景に、護と幾巳は事の異常を察知した。
しかも、自分たちの予想を超える異常、だと。
だがそれでも止まない勇太の「ちょ、ひぃ!!」「ちょっとまっ……!」に対して、容赦ない怒声の主である女性?の「はいそこ!」「しゃがんで、右!」「ジャンプ、ジャンプ!!」とは何か?
「ジャンプ───ひああっ!?」
「よく躱せたわね、今のは花丸───はい伏せ!!」
「うひゃああっ!!?」
「ぶげらっ!?」
「ほらほら、油断するとまた敵が来ますわよ。とはいえ、ちょっと休憩が必要ね───あらよっと。」
「も、もうやめ───へぶしっ!?」
「ひぃ、ひぃ……え?今のなに?」
「気にしない、気にしない。ただ起き上がった構成員を吹っ飛ばしただけだから。はい、お水。」
「あ、ありがとう、お姉さん。」
「さ~て、全周囲警戒っと……ん?」
疑いの視線を向けられ、つい扉の陰に隠れてしまった護と幾巳に気づいたのか、扉の向こう……護と幾巳がいる場所に視線をやる謎の人物。
その人物は金銀の鎧を着込み、顔はバイザー付きの白い仮面で全貌は不明。ただ、全様からして女性と判断出来る。
しかし腰には身の丈もある1.5m程もある長く、幅のあるモノを携帯していた。形状からして……刀??にしては鞘が大き過ぎる。鞘に
しかし、そんな事している場合ではない。そんな人物が勇太を追い回していたと思いきや、気遣って飲み物を差し入れつつ、こちらに気付いたのだ。
二人は意を決して姿を現した瞬間、金銀鎧の人物は瞬く間も与えず、振りかぶって殺気全開で鞘を二人に全力投擲────護と幾巳の後ろに忍び寄っていた構成員の頭を矢の如く飛んで行き砕く、そして勢いを殺さずに鞘が壁を撃ち抜いた。
何とも殺人的……いや、躊躇ない攻撃だろうか。
二人は恐怖を感じた上に……
「───こらぁぁあああああああっ!!!!」
……何故か怒られた。
「何やってんのよ!!狭い建造物内では全周囲警戒が基本じゃない!!後ろを警戒していないのが何よりの証拠よ!!わかっているのかしら、二人ともぉ!!」
「は、はい!!」
「すみませんでした!!」
「いい?!
「??」
「なんだ?」
だが突如、その人物は激しく動揺し、そしてゆっくりと両手を床に付いて……
「……も、申し訳ございませんでしたぁぁぁあああっ!!!」
更に勇太も一緒に───!
「……ご、ごめんなさぁぁぁぁああいッ!!!」
((ええ~~???))
教科書に載せても良いぐらいに見事な土下座を2人にしたのだった。
突然の事に動揺する護と幾巳。
……何で2人が揃って土下座??
それはおそよ数十分前に遡る。
───数十分前……友永勇太は後悔していた。
自分を囮に、バイオネットの本拠地を発見させるために、周囲の反対を押し切り、ローマ市内を散策していたのは良かった。
そして運良くバイオネットの工作員に自身を誘拐させて、仲間たちに居場所を知らせる作戦は途中まで上手くいった。
しかし発信機を見つけられ、輸送途中で壊されてしまったのは誤算だった。
そしてそのまま連れて来られ、他の誘拐された人々のいる倉庫に放り込まれたのが、ついさっきであった。
このままでは誘拐されただけで何もできない。どうにか外部への連絡手段はないか、そう思案していた時、背中越しに女性の声がした。
「……君、大丈夫?」
「だ、大丈夫ですよお姉さん。い、今、僕たちの仲間がここに来てくれます、それまでの辛抱です。」
「そう?すごく不安がってそうな様子だったから声をかけたけど……その手段が潰されたのかと思ったわよ?」
「!?そ、そんなこと……あう……」
「……ああ、そうだったのね。ヘマを打っちゃったのね。道理で落ち込んでる訳でだわ。」
「うう……こんなつもりじゃなかったのに……」
勇太の不安は増すばかりだ。だが、背中越しの女性は思いもよらない事を言う。
「まあ、大丈夫よ。その反省は次に生かしなさいな。」
「え??」
その声は、どこかで聞き覚えのある優しい声だった。
その時である。
「おい、また実験体の補充が必要だとよ。」
「わかった、今日攫って来た中から選ぶしかないな。」
「!?」
これで何人目だろう、先程から短い間に次々に誘拐された人々が連れて行かれている。
実験体と言っていた以上、何かの実験を受けさせられていると考えるが、それを妨害する手段を今の勇太は持っていない。
工作員が人質を見繕う。
その様子に誘拐された人々は一気に恐怖する。自分は嫌だ、他の誰かに……
そう誰もが思う。無論、勇太も恐怖のあまりだんだんと怖くなった。
勇太との距離が近づいて来た。そして勇太の事を見るや……
「よし、このガキにしよう。」
「!!?」
勇太が選ばれた。
本当であれば策が上手くいけばまだ心に余裕があったかもしれないが、この時の勇太は不安でいっぱいだった。いくらブレイブポリスに所属したとはいえ、まだ小学4年生。余裕のない時は強気でもいられない。
「は、放せぇえ!!」
「暴れるなよ、ガキ。お前もウチの
「!?」
「一ついい事を教えてやる。お前の後ろにいた女のツレもお前が来る前に連れていかれたんだ。今頃は良い実験体になっているだろうよ。」
「!?」
なんて事だろう、背中越しに自分を慰めてくれたお姉さんの連れだった人も、実験のためにもう連れて行かれた……それなのに自分を慰めてくれたのかと勇太は思った。
同時に絶望もした。
自分は悪人をそんな人たちから守りたいと思い、ブレイブポリスの一員となったはずなのに……
無力な自分を勇太は呪った……そして自分もその二の前に────
そう思おうとした瞬間、工作員の短い悲鳴と共に、自分を掴む手が緩み、そして傍らに工作員が倒れた事に気づく。
「……ここが抑えられる限界かしらね。」
「え───」
そして後ろから希望となる声が聞こえた。
その声に振り向いた勇太が見たのは……あの仮面を被った人物であった。
「大丈夫かしら───勇太君。」
「ゆ……勇者お姉さん!?」
まさかの、あの『勇者お姉さん』であった。
あの金銀のIDアーマーらしき鎧こそ身に纏っていないが、上品なお嬢様風のいで立ちに思わずドキリとする。
「??勇太君?」
「は!あ、はい!!大丈夫です!あの……お姉さんは、何故ここに??もしかして、僕と一緒で潜入捜査を……?」
「あ、私はたまたま誘拐されたの。」
「……え??たまたま、誘拐??」
「まあ、何というか……たまたま出先で運良く誘拐されてしまったのよ。それを利用して潜入、機を見ていたんだけどね。」
「そうだったんだ……え、運良く??」
まるで「私を誘拐してくれないかしら」と思っていたような言い方だ……いや、そんな馬鹿な……だが実際そうなのだろうが、実際にこの人を誘拐するにはどんな手段、どんな労力が必要なのだろうか?と勇太の頭をフル回転させても想像が出来ない。
「ちなみに私のツレは……」
────ドドーーーンっ!!!
「ば、爆発!?」
「連れ出されたのを利用して、先に破壊工作をしてもらってるの。今頃実験体にされていた人質も解放しているでしょうし。これで外で待機しているドライストレーガーも、人質を気にせずここに突撃出来るでしょう?」
「す、すごい……!あ、でもこの倉庫の場所が……」
「それなら少し前に私が匿名で、ドライストレーガーにここの座標を送っておいたわ。今頃、疾風迅雷の早さで……」
────ドドーーーンっ!!!
「こ、今度は衝撃!?外からだ!!」
「まあお早い。流石はGGG機動部隊ね、突撃が迅速、そして正確。もうすぐここに来るでしょうね。では私も……
勇者お姉さんの掛け声と共に、床から黒い6本の柱が生えたのとほぼ同時に、柱の間に黒い壁が展開、僅か1,5秒で壁がガラスのように砕けたその中から、金と銀のIDアーマーのような鎧を纏った、勇太があの日見た勇者お姉さんが現れる。
「い、一瞬で!?でもどうして隠れたの?」
「勇太君……女の子の着替えを見たいのかしら?あなたのお姉さんが聞いたら泣くわよ。」
「あ……!ごめんなさい。」
アニメの変身バンクではないのだ、おいそれと見せられるものではないのを勇者お姉さんの言葉で、変身シーンの意味を理解した勇太を褒めつつ、勇者お姉さんは翡翠に輝く長刀を歩みながら抜刀し、堅牢な鉄扉をX字に斬り裂いて蹴り破った。
「分かれば宜しい。では勇太君、テロリストに捕まった後の敵の無力化の仕方を教えてあげましょう。」
「え、今ここで??」
「いえ~す。」
「な、何事───ぐはッ!?」
「……まずは何事と様子見に来た斥候の出鼻をくじくために一刃。」
「おい、倉庫のドアg──「「ギャアっ!?」」
「続いて後続を断つために二閃。」
「やばい、ぞ、増援要せ───「「「ぶぶぶッ!!」」」
「増援を呼ばれる前に鞘で三撃。」
「こ、こいつはもしや最近───「「「「ぎゃひっ!!」」」」
「誤解を生ませないため、廊下にいる奴らへ全力の四突。」
「ぜ、全員で、掛かれぇ───「「「「「ギャハァッ!?」」」」」
「敵が集まってきたところで全周囲に五天……コツは相手が自分の間合いに入った瞬間に骨を断つか砕くつもりで、かつ絶命させないようギリギリの線で叩き伏せるか斬り伏せるかよ、わかった?」
「わ、わかったけど、出来ないよ!!」
「それは当然でしょ。」
「え?」
「これは私のやり方。私は腕っぷしや力量があるから出来る、でも勇太君はまだそんな力はない……だったら勇太君には勇太君のやり方をするしかないのよ。でも、それには
「あ……はい!わかりました!」
「宜しい、これで反省会は終わり。それじゃあ救助が来るまで敵を出来る限り減らしましょう。」
「……でも僕、お姉さんみたいに出来る自信ないよ。」
「いやいや!私は参考にしちゃ駄目!GGG機動部隊の隊長、副隊長の二人だって、君と同じぐらいの年の時に戦ってたけど……あの2人は特別な力ありきだし、勇太君は勇太君なりにしないと……」
「……」
「……あ~、じゃあ。試しにやってみる?」
「何を───ひぇっ!!?」
勇者お姉さんは、おもむろに鞘から翡翠に輝く刃を───『ブレイブソード』を抜き放ち、勇太に向け、後ろからやって来た構成員を射貫く様に突き倒す。
「これから来る構成員たちから逃げ回るの。まず勇太君が鍛えるべきなのは『逃げ足』よ───あ、誤解しないでね、まずは自分の命を守る事が第一だから。それが出来て初めて『他人』を守る事が出来る、それは
「あ、あいしー……(っていうか、いくさびと??)」
「まあ、無理強いはしないけど、もしやってみるって気があるなら、そういう稽古、やってみる?救助が来るまでは稽古してもいいけど……」
「───お願いします!僕を鍛えて下さい!」
「え、ええ。では、レッツら……ドン!!」
………数分後、必死に逃げる勇太を叱責、指導しながら激しいトレーニングをつける光景が倉庫内にはあったという。
その光景に人質にされた誰もが唖然とした感情が支配し、やって来るバイオネット構成員たちを一瞬で返り討ちにするうちに、誘拐された不安感が払拭されたとか……
……そして今。
「……それで、僕たちが来るまで勇太はその人に阿鼻叫喚の稽古をしてもらってた、と?」
「ごめん!護さん、幾巳さん!なんか自分が不甲斐なくって……」
「あー、そこは帰ってから反省会をするとして無事で何より……で、勇者……お姉さん??だったか?貴女は……」
「本当ーに、すみませんでした!!事前警告なく御二人の間を縫うように攻撃してしまって……!」
「「……」」
勇者お姉さんと勇太は、護と幾巳に弁解すべく事の経緯を話しつつ、必死に頭を下げる。
そして勇者お姉さんは、2人に攻撃してしまった事を謝罪した。
「いや、そこは後ろからの不意打ちを潰してくれて助かったからいいけど……」
「本当にすみません。御二人を前にすると、どうしても
(……部下だって?そんなに似てるのか?)
「というか、いつも送られてくる匿名のメールの主は君、なの!?」
「あ、ハイ。そうです。」
「……やけにあっさり認めるんだな。」
「まあ、存外秘密する事ではないので……あ、匿名なのは雰囲気です。謎めいてかっこいいかな、と。それと日本には、匿名投稿する文化があるとか……」
「そんなのないよ!!(あ、いや……普通にあるかな??)」
「……そんな動機だったのか。まあ、提供された情報は非常に有難いから助かったが……どれだけ諜報部が振り回されたか、分からない訳じゃないだろう?」
「ああ……それはうちの情報担当がご迷惑を……」
「………」
どの口が、と言いたかった幾巳だが、あえて言葉を呑み込んだ。
目の前の飄々とした人物には、自身の過ちを省みて謝罪する意思はあるが、それ以外に関しては「分かってやってた」ような意識しか感じられない。
実際匿名以外で振り回された以外で被害がないので被害という被害はない。
だが、得体の知れない『何か』がある……そう思って止まない。
「それじゃ勇太君、僅かな時間だったけど、ここでお別れね。教えた事忘れないでね。」
「はい、ありがとうございます!あ、でもここでお別れって事は……」
「……僕たちとは共に戦わない、という事か?」
勇太が惜しみながら、そして幾巳が訝しんで勇者お姉さんに尋ねると、ゆっくりと頷いた勇者お姉さん。
「どうしてだい?君の力は十二分に凄い。それに僕たちと共に戦う、その気があると思ったど……」
「それは、未だにその仮面を取らない事と関係があるのか?」
「……はい。新生GGGの御二人と共に戦うのは非常に光栄です。ですが今は面と向かって共闘する訳にはいかないんです。」
「君の姿は僕たちの装着しているIDアーマーに似ている……そのようなものを用意してまで、そこまで拒む理由は?」
「一つ目は、今私の正体を明かすと、誤解を生むから。二つ目は今、ドライストレーガーと共に行動すると、私の目的を果たせないから、の二点です。」
「誤解……」
「目的……」
「はい。特に私の正体を今のタイミングで明かすと、色々面倒な事が起きます。それはドライストレーガーの行動にも影響が出ますので、オススメはしませんよ。あ、このIDメイルの姿形が似ているのは、GGG機動部隊隊長のモノを参考にしたから、ですよ。それは言えます。」
(GGG機動部隊、隊長……僕の?……いや、むしろあれは凱兄ちゃんのか?)
「ですが私の目的は、本質的なもの皆さんとは変わりありません……この世界の混迷の鎮圧、誰もが求める平和。ただ違うのは、私を含めたの仲間たちの
「本来の世界への……帰還??」
「私はDBDでこの世界に連れて来られた存在です。」
「DBD……!」
まさかの存在に、護と幾巳は驚く。
DBDは世界中にその発生が確認されている。
ここバイオネット本拠地に来る前に、イルムガルト・カザハラ、マサキ・アンドーというDBDでこの世界に訪れた人物、また異世界から来た戦士たちも確認出来ている。
だがDBDでこの世界に来た存在が、少なくない影響力を持って目の前に現れたのは、非常に驚く事だ。
「君はDBDでこの世界に来たんだ……」
「はい、そして帰れる方法を知っています。しかし帰るには時期を見計らい、要求される条件をクリアする必要があるのです。」
「その条件とは……?」
「この世界を包む闘争を生み出す存在たちを全て倒す事……だと思います。」
「お、思います??」
「知っている割には、随分アバウトな回答だな。」
「残念ながら私も正確な条件は知りません。ただそうする事で道が拓ける、というぐらいにしか。ですが、これが一番確実な方法であり、今も見極めている最中なので。私がドライストレーガーと共に行動出来ないのは、世界中を見て廻るため事象の観察を行うあたり、視点が一つだけでは駄目でしょう?私はその見極めをして廻っている最中なんです。」
「それを信じろと?」
「無理にと言いません、ですがこれからも道中で出会う事もあるでしょうから、その際に見て判断してもらうしかありませんでしょうけど……」
「こっちを説得する気が、あるのかないのか……」
「今しても納得は出来ないでしょう。時期が時期、これはそちらの受け止め方次第なので……ああ、それと忠告を一つ。」
「……何だ?」
「『プロジェクトZ』……木星を監視する超AI『宙龍』についです。」
「「───!?」」
「??」
「『宙龍』から送られてきた観測ログ……
「どういう意味だ?!」
まさかの言葉に、護と幾巳は驚く。
『プロジェクトZ』はGGGの重要というべき計画である。しかも木星を監視する監視衛星に用いられている超AI『宙龍』は、超AI技術が忌避される現在において、その存在自体表に出るはずのない。だがそれがDBDで来た人物の口から出たのには驚愕しかない。
そしてそれ以上に『宙龍』の指摘である。
「そのままです。木星の異常を絶えず観測している『宙龍』……いくらGGGが信頼している超AIとはいえ、接触する際にはお気を付けて……最悪、呑み込まれますよ。」
「吞み込まれる??な……何を知っているんだ、君は!?」
「『インビシブル・バースト』以降、木星には観測対象の木星の形状変化以外に異常はなかった……確かに木星それでも尚『何か』があるとでもいうのか?」
「あります。ただそれはご自身でお確かめになってください。その影響もあって木星側近の『アルマゲスト基地』はもう手遅れ寸前でしたけど。」
「「「──!!」」」
「いやぁそりゃあ気付いてすぐに赴いてかの地の近くにあった『木星帝国』は何とか出来ましたわよ?状況が状況だけに辛うじて死傷者がいなかったようで。ただその後のエトセトラが危うくて、支援で大きく財政的と外交上の信頼に穴を開ける寸前でしたから。代表のクラックス・ドゥガチ総督の奥方もどうなってたことか、ブアブナイアブナイ……というか本当に存在した事に冷や汗ものでしたわ。まあ、この影響で木星区域のコロニー群の大移動のお引越しは致しましたが、今後のヘリウム3の輸送は絶望的、現在の地球圏の貯蔵分でMS製造するにしても、大きく影響……ああ、頭が痛くなります……っと、少し喋り過ぎたわ。御二人のお顔を見ていると、こういう話にはつい口が軽くなって、駄目ねぇ。」
木星、そして手遅れ────その言葉に冷たいものを覚える3人。
────『インビシブル・バースト』。
それは10年前に木星より起こった大規模電磁波災害である。電子機器がEMP障害により破損したことにより、地球圏は元より、スペースコロニーにも多大な人的被害を影響を及ぼした。この時幸いにもEMPの影響を緩和したのがヘリウム3採取の最前線基地『アルマゲスト基地』である。
基地自体が巨大な壁となり、木星からのEMPを減衰させ、地球圏に届くはずだったEMPが本来のものよりも抑えられたものになったのは奇跡であった。そのお陰もあり、地球圏はもとより、電子機器の塊であるスペースコロニーも一時的な機能マヒで済んだのだが、それでも人的被害は少なからず出た…………そしてその奇跡は、アルマゲスト基地の全機能と、人命を引き換えに、というのがこの世界の正史である。
加えて防衛の要でもあるMS製造に大きく関わる『ヘリウム3』の産出に未だ大きく関わるアルマゲスト基地を管理する『木星帝国』である。
この世界の『木星帝国』は連邦政府からザンスカール帝国独立以前からある独立国家だが、距離が距離だけに何の交流もない。代表であるクラックス・ドゥガチの名前は聞き及んでいるが、現在どんな状況かは、護と幾巳は知る由もない。
10年前もそうだったが、地球圏に大きな影響が出る事を防いだなどと、目の前の人物は、本当にいったい何を知っているのか??
「まあ、知りたければ後でお調べに……」と呟いたその時、天井に罅が────割れて、また別の人物が降りて来た。
その人物は、紫と黒、蛍光ピンクのカラーリングを施した、IDアーマーと思える鎧を纏った……同じく女性と思えるフォルムを持つ人物。顔は示し合わせたかのように、勇者お姉さん同様にバイザーを付けた白い仮面を付けており、素顔は不明。赤い髪をなびかせ、鎧に砂煙を身体に纏うその姿は、並々ならぬ実力を漂わすのと同時に、2人は同じ組織の存在と思えさせる。
だが、紫と蛍光ピンクのカラーリングという不気味な色彩から感じられるものは、護と幾巳にとって、かつて相対した自分たちのGGGの宿敵である『ゾンダー』の用いた『ゾンダーメタル』、さらに、放たれるプレッシャーからは、かの『
勇太もそこまでは感じずとも、全体像から「この人絶対悪の幹部!」と思ってしまうほど。
だが、降り立った人物は、勇者お姉さんに姿勢よく、主を敬うようにお辞儀する。
「上の階は全エリア鎮圧完了……実験体となった人質も全員解放しています。それと、疑似ゾンダーメタルの生産装置は全て鎮圧・無力化させています。」
「それは重畳、ありがとう。」
「ですが、首魁のドクタータナトス、および次席のドクターヒュプノスが鎮圧中に逃走、現在追跡班を召喚し、行方を追っていますが……」
「行方知れず、か……」
「ですが包囲網内には出ていません。」
「それだけが救いね、了解したわ。」
「え、あなたは誰!?」
「私ですか?私は……そうですね、『
「に……2号??」
「え、じゃあ私は1号かしら?」
「そうなりますね、1号。」
「……どうでもいい気がする。」
「まあ、それはそれとして……皆さんには人質の救出、搬送をお願いしますね。私たちはこれにて失礼致します。」
「ま、まってお姉さん!!」
「そうだ!ここまで話をしておいて、自分たちはここから逃れようなどと……!」
「それにいったい、どうやってここから出るつもりだ?!僕たちは逃すつもりはないぞ。」
「それは聞けない話です。本当はここまで深入りするつもりはなかったので……ねぇ、1号?」
「……わかってるわよ、私が悪ぅございました。」
と、何だか緊張感がない会話を交わしながら、フィンガースナップを利かせる勇者お姉さん1号。
その瞬間、2人の足元に異変が起き、幾巳が酷く驚く。
「これは……ESウインドウ?!いったいどうやって!?しかも生身で突入する気なのか!?」
「うそ!?そんな事出来るの!?」
「普通はそんな事出来ない……だが!」
「それでは、ご機嫌よう。」
「お姉さん!!」
さも当然の如くESウインドウの中に沈む勇者お姉さん1号、2号。
その光景に驚く間に、3人は2人を逃してしまうのだった。
そして嵐の中心を呑み込んだESウインドウは、初めから何もなかったように消え去った。
……嵐のような痕跡のみを残して。
「───勇太ァァァーーー!!!」
「デッカード!?」
その後、パトカー形態のデッカードが絶叫しながらフロアの壁を突き破って突撃して来たのは御愛嬌である。
《 NEXT 》
以上がお嬢様とGGG機動部隊の2人との会合です。
本当はもう少しあっさりする予定でしたが、ボケたら止まりませんでした。
今作は『覇界王』よりもインビジブル・バーストによる電磁波障害が少なく被害こそありますが、既に沈静化している設定にしています。
原作通りであれば、世界中がYF-21の突撃でガルドサンが○ぬフラグが立つようなものなので……
ちなみに木星帝国の件はスパロボの地理を確認した際に気づきました。
地理的に一番『覇界王』の被害に遭っている場所ナンバー1なのがアルマゲスト基地、二番目が木星コロニー群宙域です。なので、裏で直接木星まで様子見には行きましたが、時系列も含めていると思わなかった木星帝国で浄解騒ぎで大慌てとなり、その代わりに総督とその奥さんを救ったり、木星帝国の覇界将フラグを折ったりして、お嬢様はリストに出てこないクロスボーンガンダム要素に待ったを掛けたりと発狂寸前な事があったりします。
出てこないからいいよね?