お嬢様と往く、『スーパーロボット大戦31』   作:和鷹聖

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時間かかってしまいましたけど、更新ー!

お嬢様がとことん暴れまくる、ただしロボット活躍シーンは出てこない。

色々ツッコミどころのご都合主義満載ですが、どうぞ閲覧あれ!


03 お嬢様、主人公とは出会わない

 

 

「──このままお互い一緒にいたら、辛くなってダメになっちまう。だからここからは別れよう。」

 

その言葉に賛成し、兄と別れて半年。

私は世界中の様々な場所を旅をした。

そこでは楽しい事、悲しい事、嬉しい事はが様々にあった。

そしてあの日、私は『極東(日本)エリア・大湊』に来ていた。

 

……けれど、そこで見たのは凄惨な光景だった。

 

 

 

 

『─ 極東エリア・大湊 ─』

 

「………ひどい。」

 

連邦軍の基地、そしてそこに隣接する学校が、見るも無惨に破壊されていた。

その跡地では何とか生活出来るようではあるが、避難生活をする人々はどこか心が荒んでいるようにも見えてならない。

 

「酷いものさ。餓死者こそいないけど配給、支援物資給がギリギリ、それ以上に度重なる襲撃にみんな疲れている。」

「こうなったのも、あの忌々しい機械獣のせいさ。」

「ここにも連邦軍の基地が併設されていたんだけど、度重なる機械獣の襲撃で放棄せざる得ない状況になったんだ。とはいえシェルターは無事だから、避難場所として使っているんだけどね。」

「それでも結構な頻度で、いきなり出てくるから油断出来ないのさ。」

「それだけじゃあない、この10年で起きた戦争や事件はみんなを疲弊させている。」

「せっかくルルーシュ皇帝が死んで平和になったと言うのに……」

 

(……みんな生きるのに疲れている。)

 

「ん?すまないね、お嬢ちゃん。せっかくここに来てくれたというのに。去年までいた学校の自治会の生徒達がいた頃までは、これでもみんな明るく振る舞えてたんだけどな。」

「いいえ。いきなり来た私に補給物資を分けて下さっただけでもありがたいです。あ、でも私これでも、もうすぐ16歳です。」

「おっと、これはすまない。」

 

それでも現地の人々は逞しく生きている。

その事に希望を見出だせるツインテールの少女。

 

「ちなみに君の名前は?」

「あ、私の名前はア───」

 

その時であった。

周囲に避難勧告のサイレンが鳴り響く。

地鳴りが鳴り響き、その先には機械獣の群れが。

 

《避難されている方々へ!機械獣が接近しています、シェルターへ避難を!繰り返します、避難──》

「大変だ!すぐにシェルターへ行かないと!」

「君も早く!」

「は、はい!」

 

他の避難民達に連れられ、シェルターへ向かう事に。

だがその途中、機械獣を見て腰を抜かして動けない子供達がいた。

 

「あいつら……!早く逃げろ!!」

「いけない────あ。」

 

───コン。

 

「……うそ。」

「#$%&?!」

 

突如、機械獣へと石が当たり、投げたとおぼしきツインテールの少女狙いを定め直す機械獣。

 

──だがそれは濡れ衣である。

 

「誰だよ今、石を投げた奴ァ!!」

「知らねぇよ!!」

「ああーもう!!こっちよ!いらっしゃい!」

「ダメだ!嬢ちゃん危ねぇ!!」

「私の事は大丈夫!!それよりも子供達を──!!」

「………す、すまない!」

 

子供達からツインテールの少女に狙いが変わった機械獣は、アックスからのビームは必要ないと言わんばかりに、アックスを振り下ろす。

寸前のところで見極め、飛び込んで回避。

そしてまた見極めて回避。

全力疾走で機械獣のヘイトを集めながらシェルターから離れて行く。

そうして機械獣の群れをシェルターより離し、子供達も無事助ける事が出来た。

 

だが、その自己犠牲の行動はいつまでも保つ訳がなく、その行動に救われ、見送るしか出来ない大人達は後悔の念に駆られ、ただその場で謝るしか出来なかった。

 

(──どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう!?)

 

そしてその後の事をツインテールの少女──アズ・セインクラウスは何も考えていなかった。

とりあえずシェルターから離れるまでは良かった。だが、これから何処に行く、逃げる?

反撃の手は?

ちなみに超人的な身体能力など、アズにはない。

 

「?!───ここは!?」

 

見つけたのは地下に通じる階段。

降りるとそこには無人の連邦軍の基地、地下ドックが。

丁度モビルスーツが入るぐらいの広さを持つ場所だが……

 

「……何もない。せいぜいMS用の応急処置パッチテープの切れ端があるくらい。これだけの広さなら、MSの一機ぐらいあると思ったんだけど……!」

 

ジェガンあたりがあれば御の字と思っていたがだが、それすらない。

しかし無人の連邦軍の基地である、廃棄された訳ではないので必要な物資は全て回収されていた。

現在は無人の中間休憩程度に使われている位だ。

 

「でもここから早く遠ざけなきゃ……ここのみんなが!」

 

息を切らせながらも地下ドックより出ていくアズ。

何も考えていない訳ではないが、行き当たりばったりの行動により、命の危険に晒されているのは間違いない。

とりあえず石を投げた奴は許さん。

 

とはいえ、流石にシェルター方面へ逃げる訳にもいかず、橋を跨いで隣の町へと逃げる事に。

だがそれからどうするか、逃げた先でも同じ事が繰り返される、救助は来てくれるのか?

生きる術を模索しながら、アズはいつの間にか大湊の隣町まで走っていた。

しかしその頃には体力が限界に達し、足ばおぼつかなくなってきた。

幸いと思えたのが、大湊に入る前に町の入り口にいたであろう人々はいなくなっている事ぐらいか。

そして限界を超え、膝を付いてしまう。

 

「も、もうダメ……」

 

その時であった。

 

《──フュージョンッ!!マギウス・ガイッ、ガァァーーッ!!》

 

ありったけの気合を込めた叫びが辺りを震わせる。

その声にアズの心が震え、尽きかけていた気力が僅かに復活、近くにあるコンテナの陰に隠れる事が出来た。

そして息を整えながら、声の主をコンテナの陰にから見た。

 

「白いロボット?胸に、ライオン……あれは、何??」

 

アズはガイガーを知らなかった。

そして始まる機械獣ガラセクトV2とガイガーの戦い。

多勢に無勢の戦いであるはずが、その戦い方には勇敢なる気質を感じた。

だが、ガイガーの踏み込みが非常に強いためか地面が揺れて、疲労困憊のアズはバランスを崩され───コンテナに頭をぶつける。

 

そして、気を失うのであった……

 

…………

 

……

 

 

 

「………ん。」

 

微睡から目覚める。

そのぼやけた視界に最初に映ったのは、『動く花』であった。

 

(……この花ってコスモス?え、でもすごく動いている??)

《負傷者の意識回復を確認。ヴィータさん、お嬢様。》

 

ダ〇シング〇ラワーなど凌駕する、二つの葉っぱで手招きする妙に生々しい動きはアズの覚醒を促すには丁度よい衝撃であった。

そして近付く人と、アズを交互に筒状花(コスモスの黄色の所)を見せてくる。

……え、もしかして見てる?

何だかメルヘンチックな気分になるが、現れた2人はファンタジーであった。

 

……お嬢様と、メイド??

あと後ろに薄汚れたツナギ姿のおじさんらしき人がいた。

 

「気が付きましたか。」

「ここは──イタタッ!?」

「あまり無理をされては駄目ですわ。軽度とはいえ、頭を打ったのですから、そのままで結構です。」

「は、はい……それで、みなさんは?」

「ああ、失礼致しました。(わたくし)はカルディナ・ヴァン=獅子王・アースガルズ。アースガルズ公爵の娘です。」

「公爵……??」

「いわゆる『公爵令嬢』という者です。」

「私はヴィータ・アドモス。カルディナお嬢様の専属メイドです。」

「メイド……さん」

《私は医療用ナビゲーション型AI、V.C.と言います。》

「え、えーあい……というか、お花飾りが喋った!?」

《はい。この躯体は花飾り型の端末です。普段はお嬢様の髪飾りに擬態しています。》

 

中々に濃い人物達に圧倒されるアズ。

 

「あ、私はアズ・セインクラウスです。」

「アズ……凄い名前ですわね。」

「は、はぁ……」

 

 

自分の名前を『凄い』と言われたのは初めてであったアズ。

ちょっと戸惑う。

 

(だって、『A-Z』ですわよ?つまり『我はαであり、Ωでもある』とか、某キ〇ストの言葉そのままでしょう。あ、某『それも私だ』おぢさんも言ってましたわね。あ、こんな事を思ったらフラグがががが……)

 

笑顔のまま、しれっと恐ろしい事を想像するカルディナお嬢様。

マジでヤメテ。

 

「ところでアズさんはどうしてあんなところに??」

「えっと、それは……」

 

アズは少し考え、話し始める。

 

当初は義兄と旅をしていた事。

けれどもとある事情であえて別れ、それぞれ旅をする事。

ここに来るまではヨーロッパからアジアを回って日本に、そして関西国際空港を経由して関東を横切り、東北は大湊を訪れた事。

 

「ちなみに、兄は宇宙……コロニー間を旅しているかもしれませんね。」

 

そうして、大湊の人々と話をしている時に、機械獣が現れ、暴れている機械獣に何故か石があたり、アズが狙われ、逃げる羽目に……

他の人を巻き込む訳にもいかず、仕方なしに大湊を出て……

 

「あ、そういえばあの機械獣は!?」

「機械獣……ああ、あのガラセクトという奴ですか。今、復興の資材になるかどうか、皆さんで解体してますわ。」

「か、解体??」

「はい。カルディナお嬢様が首を刎ねて倒し、この町の人々が総出で解体しているところです。」

「V.C.と一緒にしているのですが……ここ下野の皆さんは優秀なエンジニアばかりですわ。基地に部品を納入していた工場がある手前、腕が立つ職人ばかり……私、そういうのは嫌いではありませんわ(むしろ大好物です)。」

「へ、へえ……」

 

何だか予想の斜め上の事が起きているようだ。

ふと、窓の外を見ていると、白い仮面をしている白衣の女性(?)や黒服の男女6名が率先して、職人と思われる人物達がアズを追って来たと思われる機械獣を見事に分解していたのであった。

現在2体目を解体中。3体目は秒読みである。

そういえばこの花もV.C.と自己紹介されたばかり……え、V.C.が2人?

ツッコミどころは非常に多い。

 

「……って、お姉さんが機械獣倒したんですか!?どうやって!?」

「あれです。」

「あれって……白いライオン??」

「『マギウス・ギャレオン』と申します。私がマギウス・ギャレオンとフュージョンする事により、マギウス・ガイガーとなり、戦いました。」

「………」

 

機械獣を解体する傍ら、全高9mもある白いライオンのロボット(と思われる物体)が『伏せ』の状態で子供達の遊び場になっている。

上に登ろうとする子供の1人が、バランスを崩して落ちようものなら前脚の(肉球)で優しくキャッチ。

 

《危ないから上に登るのは駄目ですよ?》

「う、うん!ありがとう、ライオンさん!」

 

………ライオンが喋った?いやでもロボットだからOK?

あんなのがロボットになるんだ……

頭の中で宇宙猫が「にゃーん」するアズ。

 

「まあ、私もここに来たのは偶然みたいなものだから、たまたま介入しただけですわ。」

「でもそれで私は助かりました。ありがとうございます。」

「そう?私は現れた敵を倒しただけよ。それに……」

《貴女が機械獣に追われた原因である石は、私達がこの地に不時着した際のものである可能性があります。」

「え??」

 

 

実はマギウス・ガオガイガーがこの世界に顕現した時、足元の瓦礫が跳ねてしまい、直線距離にいた機械獣に当たった経緯がある。

ほんの小さな石ころで、人に当たる確率があまりにも低かったので、V.C.も認識していたものの、まさか機械獣に当たるとは予想も出来なかった。

ただ、アズにはとばっちりだが、当たった事で人命は守られた。

 

《偶然であり、不本意とはいえ、謝罪致します。》

「……でも、あの時私もどうにかしなきゃって思ったんです。私が勇気を出して走った事で誰かが助かったのですよね?」

「───ええ、その通りです。貴女は私達の命の恩人なんです。」

「……そういえば、貴方は?」

 

カルディナ達のインパクトが強過ぎたせいで陰となり、あまり見えなかったが、後ろから現れたのは、少々老けた腰の低い青年とおぼしき人物(おじさん)

 

「ああ、突然後ろから失礼します。私は高鷲(たかわ)と言います。今の大湊と下野のまとめ役と思って下さい。」

「まとめ役、ですか?」

「ええ。今のこの一帯は貴女もご存知の通り、酷い有り様です。なので、自暴自棄になる住民や避難民も多い。ましてや機械獣やモビルスーツでの襲撃もあったに日には逃げるだけで精一杯……ですが、初めて足を運んでくれた貴女が身を挺して助けてくれました。他の住民達も口々に言っていましたが───本当に、ありとうございます。」

「い、いえ、そんな……私はただ逃げただけですよ?」

「それでも、貴女がどう思われようとも、私達の目には勇気ある行動だと……()()映りました。そこには私達の申し訳なさと、感謝しかありません。」

「そ、そう言われても……」

「気持ちだけでも受け取っては如何かしら、アズさん。アズさんがどう思おうとも、結果として人命は救われた事実は変わりませんし、あちらはお詫びと感謝の気持ちを表しているのです。受ける資格は充分に御座いますわ。ちゃんとお礼も形(現金)にするとご提案がありますし……」

「わかりました。ありがたく受けとります。」

 

アズが首を縦に振り、この件は丸く治まった。

あまり誉められなれていない事もあるのか、自分の偉業と評価を素直に認めて切れない節がある。ただ、お礼(現金)が受け取れる事には大いに喜んでいる。

 

「さて、アズさんへのお詫びとお礼はこの後するとして、先にカルディナさん。ご提案の件ですが……みんな、了承してくれました。希望者も結構いますよ。」

「まあ、それは重畳。」

《高鷲さん、よろしくお願い致します。》

「??何がですか、カルディナさん。」

「ああ。簡単に言いますと……食料を含めた補給物資や生産環境を提供する代わりに、皆さんを雇いたい、という話です。」

「え。」

 

この地域は連邦の基地が近くにあった事から、下請けも含め、大型の部品も受注出来る工業地帯であり、その品質はアナハイム・エレクトロニクス程の工業力を持ち、生産量こそ負けるが、ワンオフに対してはかなり優れている。

高鷲はその工業地帯の中間管理職であり、現場にも出ている腕利きの職人である。

ちなみに経営陣もいたが、前の襲撃でお亡くなりになったとか。

それでも発注は時折入る事もあり、限られた資材、環境で細々と出来る限り仕事をしていた。

 

「ここは襲撃された影響で荒れ果てていますが、元は工業地帯。睨んでいた通り、優秀なエンジニアや職人、更には輸入業者の方々もいる……なら真っ先にすべきは『商売』ですわ。」

「商売」

「売って売って売りまくって、得た収益であらゆるものを買います。物資、サービス、事業、権利……そして新たに作ったものを売って、買って宣伝もして、事業を大きくする。ここはまさにその理想への第一歩を飾るに相応しい場所です!」

「つまりカルディナさんは我々のスポンサー兼社長になってくれたのですよ。」

「え……ええぇぇーー!?」

 

カルディナの持つ豊富な資源や(インゴット)、更にはナノマシンマテリアルによる製造環境の復活はこの上なく人々喜ばせた。

故に

 

「ちなみに修復、稼働を始めた生産ラインの試運転は如何ですか?」

「順調です。もうみんな大喜びですよ。生産環境が復活したのでようやく仕事が出来る―って。ただバイヤーの販路を再び開拓しないといけなくて……」

「以前の伝手をありったけ集めて下さいませ。世界各地に出荷出来る用意も御座いますわ。」

「なんとぉー!」

 

あれやこれやと出てく来る様々な上手い話、そして実行されている現実……

どうにも話が()()()()()

そう思ってしまったアズは思わず口にする。

 

「あの……カルディナさんっていったい何者なんですか?」

「ん、私?」

「あ、すみません。でも、偶然ここに来たとはいえ、そんな都合よく資材も資金も出せる、そして機械獣も倒せる戦力も持ってるだなんて……」

「……それは私も気になりますね。」

「高鷲さんも?」

「あ、でも悪い意味で捉えていませんよ。食事を分けて下さったのは非常に有難く、こうしてスポンサー、そして社長として好条件を与えて頂けるのは有難い。貴女はもたらして下さったものを見れば優れた方……いえ、あまりにも優れ過ぎた方、だと思います。だからこそ私の立場として、まとめ役としては、こうして支援をして下さる社長の真意も知りたいところです。」

「……まあ、非常時とはいえ私のような者が斯様な振る舞いをすれば警戒されるのは常。それには自覚が御座います。」

《こちらとしてはもちろん説明する用意はあります。お聞きになりますか?》

「いいんですか?」

「カルディナさんが良ければ……」

「ではお話ししましょう。ただ……荒唐無稽、素っ頓狂な話になるとは御座いますが、私自身はただの『公爵令嬢』という事をご理解を。」

「「??」」

 

そう前振りをしたカルディナは自身に起きた事の経緯を話し始める。

 

……こことは違う次元、魔法がある中世ヨーロッパ風の世界。

でも、そんな世界にもゾンダーがいた。

幼少から死に物狂いで対抗手段を集め、遂に完成させた勇者王ガオガイガー!(要約)

ついでに転生者達のロボットも作ったれ!(飛躍)

 

「……え、魔法の世界でガオガイガー!?しかも転生者達のロボットも!?」(タカワ)

「それ、本当ですか?」(アズ)

 

重要事項は隠しながらも話せる範囲で経緯を聞いたアズと高鷲は、その情報でも唖然としていた。

特に高鷲さん、やたらテンションが高い。

 

「いえ~す。それがアズさんが見た私の相棒、マギウス・ガイガー、そしてあのギャレオンですわ。ちなみにファイナル・フュージョンも可能で、ガオガイガーになります……というか、ガオガイガーを知っているという事は、この世界にGGGが存在しているのですね。」

「ええ。GGGは各国に復興支援活動は元より、一番有名なところでは国際的犯罪結社バイオネットと戦う国際機関ですから!いやー私が学生の頃、ゾンダーと戦う姿が凛々しく、憧れましたねぇ!」

「でも……ガオガイガー、ですか?ガオガイゴーじゃなくて?あんなライオンの顔、ありました?」

「え、ガオガイゴー??」

 

カルディナお嬢様が知らないワードに反応する。

 

「ああ、アズさんは知らない年代でしたか。ゾンダーが現れた一年程は胸部がライオンのスーパーメカノイド『ガオガイガー』なのですよ。あれからもう15年も経過したんですね……」

「そうなんですね、私ガオガイゴーしか知らなくて……」

「高鷲様、随分お詳しいのですね。」

「実は私、ガオガイガーのパイロット、獅子王凱さんの後輩でして。」

「何と!?」

 

とは言っても、高校が凱と同じカモメ高校出身で、中学校はGGGオペレーター・牛山の弟、『次男』と同級生、友人であった事で、当時の事情を密かに教えて貰っていたらしい。

 

「そんなご事情が……」

「はい。そんな訳で友人のウッシーから現在のGGG(ガッツィー・グローバル・ガード)に変わる前のGGG(ガッツィー・・ギャラクシー・ガード)の内情は触り程度ですが把握しています。」

「内部事情が変わったのですか?」

「はい。その契機になったのが、10年程前に旧GGGが突然離反し、そのまま行方知れずになった事です。それからは凱先輩を始めとした旧GGGは未だ帰って来ず……」

「………」

「以前、東京で起きたゾンダーの災害で命からがら助けられた事の恩返しも兼ねてこの業界に入りました。部品納入で当時長官を勤めておられた大河長官を始めとした旧GGGの方々にお会いした事があります。ですが、あの人達が陰謀等企むでも、逃げる人達でもない事は、それまでの軌跡でわかります。いったい何故……あ、すみません。話が脱線してしまって──」

 

「──彼等は、今も宇宙の彼方で戦っています。」

 

「……へ??」

「え??」

 

 

高鷲の独白の言葉に、カルディナは問いを返す。

そして瞳を閉じ、一考した後、高鷲を見る。

 

「ここには偶然、たまたま縁が出来て皆様の復興支援をする傍ら、私の目的には巻き込まないようにするつもりでしたが……高鷲さん。」

「は、はい!」

「もし、貴方が有りったけの勇気を持って、私がこれからする事をここの地域の皆様で支援して頂けるよう説得して下さるのであれば……今以上の発展をお約束します。そして、旧GGGに何が起き、彼等が何を成したか……それをお話し致しますが───覚悟は、御座いますか?」

「……それは、生半可な覚悟ではダメ、という事ですか?」

「はい。私は近々地球圏で起きる、最大の戦火のド真ん中に往く予定です。その為の私の愛機(マギウス・ガオガイガー)の整備環境を整える下地があれば、と思っていました。そうすれば、旧GGGスタッフを救出出来る場面に向かう事が出来ます……ただ、その戦いは人知を超えたものになるでしょう。」

「そ、そんなにすごい戦いが起きるんですか?」

「ええ。かつて旧GGGが離反した後に起きた超災害なんて、目ではありません。故に旧GGGの顛末を私から聞く事は、その戦いには一人ひとりが勇気ある者──『勇者』として赴く、その覚悟が必要になります。どうですか?お聞きになる覚悟、御座いますか?」

 

カルディナの言葉に衝撃を受け、唖然とする。

 

「……ははっ、ただのサラリーマンにとんでもない事を要求しますね、カルディナさん。」

「もちろんです。例えGGG隊員ではなくとも、ガオーマシンやその機材、環境を整え、かの戦いを支える事が出来た職人、スタッフ達もまた、私は『勇者』であると思っています。現に、私の愛機(マギウス・ガオガイガー)を建造して頂いた職人達は皆、私の『ゾンダーに抗える力』という要望に、死力を尽くしてくれました。それは貴方も同じとは思うのですが、もしそんな貴方が旧GGGを、そして今も宇宙の彼方で足掻き続ける獅子王凱を想って頂けるなら尚の事、これから起きる事象に対し()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と思った次第です。」

「………」

 

そして高鷲は俯いてしまう。

余程ショックだったのか、黙り込んでしまうがカルディナは厳しい事を言った事に申し訳ないとは思っても、後悔は一切ない。

カルディナの部下、職人達、そしてGGGのスタッフ達は言葉の通り『勇者』だ。

ゾンダーに限らず、あらゆる困難に対し、己の技能の持てる力を最大限振るい、立ち向かってくれている。

だが高鷲は一般人(サラリーマン)だ。守るものも当然あるが、あくまで守られる市民の範疇にあり、その覚悟と技能はカルディナの求めるものまではないだろう。

あくまでカルディナが高鷲やこの地域の住人達に求めるのは、多少ながら優れた商人(あきない)の技量、技能でしかない。その程度であれば、カルディナの持つ能力でサポートは出来る。後は、カルディナとV.C.である程度は出来るだろう。

 

皆様には先立つものを用意してくれればいい。

だが、これから起きるであろう私のイザコザに自ら巻き込まれるなら、商い人から職人、企業戦士としての覚悟が必要だ。

 

流石にそこまでは言えないが、これがカルディナの出来る最大限の譲歩であった。

半ば脅しとも言える言葉であるが、屈して折れるならまたそれも良し、と思っていたが、俯く高鷲は自らの頬をぴしゃりと叩き、カルディナに強い意志の瞳を向ける。

 

「……この日本には誇れるスーパーロボットが多く輩出されています。ですが、私はスーパーロボットに乗れるような人間じゃない、操縦技量もセンスもない。私は、しがないサラリーマンです。ですが末端の部品とはいえ、GGGの他、スーパーロボットのパイロット達に負けないぐらいの熱意、自負と自信、そして誇りを込めて皆様に卸せる製品を造って来ました。そこはパイロット達にも負けないつもりです。そんな私でも……命の恩人に報い、役に立ちたい。そして今、世界は戦乱の真っ只中。GGGが関わっている以上、それは世界の危機のはず。少しでも早く世界を平和に出来るお手伝いが出来るのであれば、私は私の戦い方で助力したい………出来るでしょうか?」

「………」

 

一寸の虫にも、五分の魂───

 

そんな言葉が浮かんだが、彼の言葉には力強いものがあった。

それはカルディナの部下、職人達と同じ『魂』の熱。

流石は日本の技術者。

また、末端ながらも『スーパーロボットの部品を製作していた』という言葉も出てきた。

この世界の、日本のスーパーロボットに携わる者達がここにいる───

 

 

「……フフ、ウフフフフ。」

「ダメ……ですか??」

「いえ、そうではありません………私、そういうの嫌いではありません。むしろ、大好物ですわ。」

「そ、それでは──!」

「スーパーロボットに携わる職人……むしろ願ったり叶ったりです。」

「ありがとうございます!実は私、子供の頃からロボット、特にスーパーロボットには多大な憧れを持っていまして……!」

「ええ、スーパーロボットは人類の希望、あまねく災いを祓う奇蹟の存在……そのお気持ち、非常に良くわかります!」

「マジンガーZ、グレートマジンガー、ゲッター、コンバトラーV、多種多様にありますが、その中でも特に!ガオガイガーは最強だと、私は思います!」

「同志ッ!!」

 

今、高鷲と心が一つになった。

………アズを放っておいて。

そんな事も忘れ、2人は感激に胸を震わせる。

 

「ええ、ええ……それでは、お話し致します。」

 

何というお嬢様好みの展開か。

そして同志も見つけた。

 

だが、カルディナがか語った話はそんな雰囲気を軽く吹き飛ばす内容であった。

 

旧GGG追放の真実。

 

宇宙の彼方、ギャレオリア彗星の正体と、宇宙消滅の原因───ソール11遊星主、その者達との死闘。

 

三重連太陽系、『緑の星』カインの遺産でありガオガイガーの祖である、ジェネシックガオガイガーとフュージョンした獅子王凱の戦い。

 

勝利したものの、レプリ宇宙である三重連太陽系の消滅からたった二人の少年を逃がし、GGGはその場に残った事………

 

そして宇宙誕生の卵『オレンジサイト』で、流れ往く激流の時間の最中、今も尚、GGGが帰還の術を諦めていない事。

 

『オレンジサイト』の浄化作用であり、根源の事象現象『OOO(トリプルゼロ)』により、GGGスタッフ達や勇者ロボ軍団が洗脳されて眷属とされてしまった事。

 

何よりも唯一、無事であった獅子王凱が今、帰還の途中である事を語った。

 

しかも映像付きで。

 

「………そう、だったのですね。」

「………」

 

高鷲はただただ驚愕し、アズは「え、私が聞いても良かったんですか??」と目を点にしている。

しかしアズの心境など構わず、話は進む。

明らかにオーバーキルな情報である。

 

「今、木星に現れている、ガオガイガーに似た虚像らしきもの───『覇界王』。それがお話にあった『ジェネシック・ガオガイガー』だと……」

「あれは故意に出たものではなく、利用されてしまった結果、()()()()()()()()()()です。実体はまだ此方には来ていないですが………その影響力は、電波障害という形で起きているようですね。」

「はい。それも含め、この世界は混迷しています。しかし、今更ながらこんな情報をお話して頂いても良かったのですか?」

「これが私の信用の形です。信用が置けると思いましたのでお話した次第ですのよ。あ、ちなみに『オレンジサイト』からの(くだり)からは、GGGも把握していない情報なので、ちらっとでも話した場合、かの諜報部から肩を叩かれ、何処かへと連れて行かれる次第ですので……」

「わ、判りました、絶対に喋りません!」

「み、右に同じく!」

「では高鷲さん、『オレンジサイト』や『OOO(トリプルゼロ)』関連は()()伏せつつ注意しつつ、他の皆様に()()()()()()()協力を仰いで頂けます?」

「は、はい………」

 

高鷲は事の重大性に、今更気付いた。

 

 

 

 

例えGGGであろうが、諜報機関というところは、まず何処もロクでもない。

その組織性もあり、どんな手段を使ってでも自分の組織の不利益、または知らない情報をリークされては活動に支障が出る。

最終的にはスパロボのお決まりのように垣根超えた大部隊で戦いたいところだが、下地のない今は『ガオガイゴー』という新たなワードもある以上、無用な誤解は極力避けるべきと考える。

 

(皆様の力、そしてこの世界にいるスーパーロボット勢の力をお借りしつつ、私の納まるべき着地点は『存在が謎で正義のスーパーロボット乗り』ですわね。)

 

自分でも解っているがマギウス・ガオガイガーは誤解されやすい悪役顔(ヴィランフェイス)だ。

特に戦場での信頼関係が「実はあいつ、いい奴かも……」と思われるぐらいに構築されるまでは、下手な事はすべきではないと考えている。

また、共にこちらの世界に引っ張られたであろうクラスメイトの一部はとんでもない爆弾持ちだ。その存在と扱いには要注意。

彼等を含めた『シミュレーター組』の捜索も組織的な力がなければ困難を極めるだろう。

 

これはそのための体制作りの一環であったりする。

 

「───とはいえ、高鷲さんには悪いコトをしてしまいましたわぁ……」

 

カルディナの出した説得条件を引っ下げ、高鷲が信頼出来る他の職人達を集め、助力を求めに行った頃、そのカルディナ自身はヴィータの淹れたお茶で一息入れていた。

そして目の前には気まずそうなアズが。

 

「あの……カルディナ、さん?」

「あ~……もしかしなくても、貴女の処遇?」

「私は、どうしたらいいのでしょう?」

「何?特に貴女に求めるものはないわよ。」

「え……??」

「だって、『オレンジサイト』にまつわる話は、高鷲さん達が奮起するのに必要、そして私が円滑に活動するために必要だったからしただけよ。そこに強制はないわ。」

 

まさかの言葉に、唖然とするアズ。

 

「強いて言うなら、貴女が選ぶ道は二つ。己の保身を第一に、今後私が話した『オレンジサイト』の事は他言せず、この件に関して貝のように口を閉じる事。もう一つは───生活のためにここで働く事。」

「働く……」

「ここは今以上に忙しくなるから、人手は多い方がいいし。もし貴女さえ良ければ、しばらくここで働きません?引く手は数多、手に職も付けられますわよ。お給金もほら───」

「こ、こんなに!?」

「寝食出来る場所も提供致しますわ。それでいてアルバイト価格ならここまで出せますわよ。さすがに正社員は無理でしょうが……それに、ここならポロッと洩らしても多少なりカバーが出来ますわ。」

「そこまで……」

 

アフターケアまで万全とは、至れり尽くせりである。

 

「多少なりともここならそういう『保険』が効きますわ。それとも先を急ぐ用事でも……」

「──いえ、しばらくお世話になります。」

「……誘ってなんですが、即答ですわね。」

「お金は生きていく上で大事です。真っ当に働ける場所があるなら、是非とも乗ります。それに……あんな話をされると、その続きが何かいろいろ気になって。」

「フフ、私もアズの立場なら期待に胸を膨らませますわ。私はこれからいろんな厄介事にあえて突っ込む次第です。ですが……庇護する方々をあまねく災い、困難から守れる実力ぐらいはあります。」

「すごいですね……カルディナさんって本当に何者なんですか?」

「先程もお話した通り、ただの公爵令嬢ですわよ。」

「起業もして、スーパーロボットにも乗れる公爵令嬢が、『ただの』なんですね……話の規模が大きい。それに比べて私は……」

「──アズ、一つ宜しい?」

「は、はい。」

 

卑屈になったアズに、カルディナが物申した。

 

「私の下で働く以上、「私なんて」という悲観は止めて下さる?私だって今に至るまでは死に物狂い以上に頑張ったわ。でも()()頑張れる人、そのチャンスを掴める人間は、そう多くない事も知ってます。それでも大業を為す一番最初の条件は『出来ることをする』、それを勇気を持って行う事よ。」

「出来る事を……勇気を持って。」

「実に陳腐で単純な事でしょう?でも一番難しい事よ。そしてそれをまた更に踏み出し続ける事も……私はひたすらそれを為し続けた。アズに見せているのはその途中の足取りでしかないわ。それでも『大きく視える』でしょう?私の『ただの』を過大と見るか、自虐と捉えるかは貴女の感性ですが……貴女が何者であれ、どんな人生を送って来たかは存じませんが、私の下で働く以上は、貴女()そう名乗れる日が来ますわよ?」

「私、も……」

 

その言葉に、アズの心がじんと熱くなる。

そんな事を言われたのは何時ぶりか。

その存在はまるで──

 

「お嬢様のご支援であれば大丈夫ですよ、アズさん。」

《性格はともかく、その腕は確かです。》

「ちょ、V.C.!?」

「V.C.、自慢すべきは腕だけではありませんよ、夜の床──」

「ヴィータ、止めいですわ。」

「失礼致しました。」

「ぷ、くくく……!」

「ほら、アズにも笑われましたわ。」

「あ、すみません。でも私、アルバイトですよ。さすがにそのくらい成長出来るまでいるかは……」

「そ、そうでしたわ………ついその事を忘れて、偉そうに……」

「い、いえ!とっても嬉しかったです。私にも兄妹……いえ、『お姉ちゃん』がいたら、こんな感じかなぁって思ったら、つい。」

 

───キュピーン

 

アズさんの発言に、これでもかと反応するカルディナ達。

すぐさま3人でアズの両脇を固める。

そして真顔で───

 

「アズ、私の事は『カルナお姉ちゃん』て呼びなさい。」

「へ。」

「ズルいです、お嬢様。私もアズさんに『ヴィータお姉ちゃん』って呼ばれたいです。」

《仕方ありません。アズ、最初に私の事を『V.C.お姉ちゃん』と呼ばせてあげましょう。》

「ええ!?」

 

そしてわちゃわちゃ始まる『お姉ちゃんと呼ばせたい』合戦。

仕方ないので3人ともお姉ちゃんと呼ぶと、抱き締められた。

 

「ふぇぇええええッ!?」

 

こうしてアズは四人姉妹(の末っ子)となり、アルバイトとしてカルディナの下で働く事となった───

 

 

 

……一週間後

 

「ほ、本当にやるんですか?!」

「いえ~す。しないと宣伝にならないでしょう?私も一緒にやりますから、ほ~ら。」

「し……しなばもろともぉーー!」

「やる気があって宜しい。」

「社長、広報部長。準備出来ました。」

「ではカメラ、ミュージック、スタート!」

 

何故かカルディナと共に、CM撮影のダンサー(メイン)をやらされていた。

 

 

──ば、ばるさみこすぅーー!

 

 

何を撮影しているかは出来てからのお楽しみに……

 

 

 

───1ヶ月後

 

 

『─地球連邦軍本部─』

 

 

「ふぅ……」

 

ロビーのフリースペースで一息入れる連邦軍の若手のとある士官は、自身に与えられた極秘任務に頭を悩ませていた。

 

連邦の極秘プロジェクトで管理していた男女2名の脱走した被験体の捜索……

 

そのプロジェクトは、とある『能力』と『新型機』の為のものであったが、あまりに過酷な環境だったためか、プロジェクトの被験体はその2人を除き、全滅している。

残る希望はその2人だが、1ヶ月前に別行動を取ったようで、その後は消息不明だという報告を受けた事に先程ショックを受け、もはや行き付け、専用席となったフリースペースの一席で、今後の方針を模索しているところであった。

 

(しかしもう万策尽きた。今現在シラミ潰しに捜索させているが、手掛かりはなし。どうしたらいいのか……)

 

頭を悩ませているが、不意に腹の虫も鳴る。

朝から何も食べていないからだろう、空腹を満たすために、もはや顔馴染みとなったロビーの売店に足を運ぶ事に。

 

「あ、少尉。こんにちは。いつもので?」

「ああ、頼む。」

「しかし元気がなさそうですね……あ、そうだ。最近リニューアルした新商品、ご馳走しますよ。是非食べて下さい。元気が出ますよ。」

「いや、私は……」

「そんな鋭い眼光させて疲労感満載、って顔されちゃあ、心配するなと言われても心配しますよ。ちなみに賄賂でもなく、私の好意ですのでご安心を。あ、気に入って頂けたら口コミで広めてもらえれば──」

「……わかった、わかった。いただくとする。」

「毎度!ではこちらです。」

「見た目はホットドッグか?どれどれ……ふむ、旨い──む!?何だこの溢れんばかりの活力は!旨いぞ!挟まれたシャキシャキパリパリのレタス!肉汁たっぷり溢れ出すソーセージ!そして甘辛く、程良い酸味のあるソース!全てが!全てがうまいぞぉぉーー!!──は!?」

「(ニヤニヤニヤ……)」

 

本能の赴くまま味〇様の如く叫んでしまった少尉。

本来『S〇Y&F〇MI〇Y』のフ〇オナ・フ〇ストのような容姿と性格をしている彼女であるが、そんなキャラ付けとは正反対のリアクションを観られたことに、店員はア〇ニャたんの様な某・笑顔でニヤニヤが止まらない。

 

「……な、何だ今のは。というか笑うな!」

「すみません。でも疲れは吹っ飛んだでしょう?」

「……不自然なくらいに身体の芯までスッキリだ。だがこれはドラッグとかの(たぐい)じゃないだろうな!?」

「いや、審査通ってるんで、ちゃんとした製品ですよ。効能も驚くぐらいにばっちりな癖に、品質がいいぐらいで、他は何も変わらないんです。まあ、10人の内3人程は少尉と同じようなリアクションをしてますが。」

「いやいや、おかしいだろ!」

「でも美味しいでしょう?」

「……よく審査に合格したな。これはいったい何だ?」

「秘密はこのソースにあります。一か月前に発売された──ああ、あのCMの会社が売り出しているのがそうです。」

「CM?」

 

 

♪~

Do, do doo.

Yeah yeah yeah yeah~

 

Sa kom och

Dansa med oss Klappa era hander(バルサミコ酢、やっぱいらへんでぇ)

 

Gor som vi gor Ta nagra steg at vanster

Lyssna och lar Missa inte chansen

Nu ar vi har med Caramelldansen

 

O-o-o-oa-oa(ウッウーウマウマー)

O-o-o-oa-oa-a(ウッウーウマウマーアアー)……

O-o-o-oa-oa(ウッウーウマウマー)

O-o-o-oa-oa-a(ウッウーウマウマーアアー)……

 

──いいえ、やっぱり要ります。

 

──ポリフェノールの強い抗酸化作用によって細胞の老化を防ぎ、お肌のシワやシミ・たるみなどを予防。

──バルサミコ酢に含まれる酢酸は、脂肪の合成を防ぐ働きがあり食事にバルサミコ酢を取り入れて健康的に、何より日頃の味気ない食事に彩りと活力を。

 

──『C商会』のバルサミコ酢、本日で売り上げ11,111,111万本を突破!

──今なら特別ダンスキャンペーン実施中! 詳しくはHPで!

 

──ば、ばるさみこすぅーー!

 

 

───人の心に楽しみと安らぎを───

──『C商会』──

 

 

「な……な、なな……!?」

「面白いでしょう?最近売り出している『C商会』ってところで売り出しているバルサミコ酢で今、世界各地で流行っているんです。安価なのに美味しくて、元気が出るので。宣伝でも歌で『やっぱいらへんでぇ』って否定しているのに、『要ります』って言ってるのが面白くて……ああ、最後のバルサミコ酢を必死に叫んでいるのも面白くて──少尉??」

「な……な、なな……なな……!」

 

ヘラウテーラは驚きのあまり言葉を失っていた。

滅茶苦茶にツッコミどころの満載なCMとか、3割の確率で味〇様リアクションするとか、あのウマウマダンスは合成ではなく『一部始終ノンカットでお送りします』という限界チャレンジの注意書きにツッコミを入れたいとか、ではなく。

 

単純に出演者──しかも手前の元気いっぱい、あふれる笑顔の白髪少女ではなく、後ろで必死に笑顔を取り繕い頑張って激しいテンションのリズムに食い下がる()()()()()()()()()()()の方である。

 

夢でも見ているのか?でも間違いないが、どうしてCMに出ているんだ?だが何度も反芻するように資料を見たから間違いないが、どうして見つける時はこうも簡単に──

 

「いやいや。いまはそんな事はどうでもいい。あ、ホットドッグ旨かったぞ、またな。」

「あ、はい!毎度~、ってお金ー!」

「ツケといてくれ、緊急事態だ!」

 

そう言って速足で己の職場へと戻る少尉。

そして通信端末に担当するセクションに指示を飛ばす。

 

「……私だ。『C商会』という会社を調べろ……ああ、被験体に繋がる情報がある、急げ。」

 

見つけたからには、報連相と連携は迅速に。

今までになかった進展に緊張を高めながら、次いで己が上司の元に足を運び、その扉を叩く。

 

「……失礼します、ファイクス・ブラッドウッド准将。ヘラウテーラ・フォルディング少尉であります。例の件で進展がありましたので、ご報告に上がりました。」

「入れ。」

 

自らの上司──ファイクス・ブラッドウッド准将。

そしてプロジェクト『A機関』設立の責任者である。

 

ファイクス・ブラッドウッドに水色のツインテールの少女──アズ・セインクラウスの情報が渡った事により、物語は加速する事となった。

 

だが、新宇宙正暦100年の今から5か月後に出港準備が進められているドライストレーガー級万能戦闘母艦1番艦『ドライストレーガ』は、現在この地上には存在せず、宇宙に浮かぶコロニー群の一つ『サイド3』に極秘に存在する。

そして、かの機体もそこに有る。

 

この世界でカルディナが出会ったのは、力無きサブ主人公(ア ズ)であった。

 

……が、それは誰もが知る事のない事案であり、終始カルディナにはどうでも良い事であったりする。

 

 

《……NEXT》

 

 


 

 

《 次回予告 》

 

己が目的のための一環として、拠点となる会社設立を果たすカルディナ一行。

それに巻き込まれる形で働く事になったアズ。

だが、連邦政府の魔の手が会社を、そしてアズを狙う。

 

だが我らがお嬢様がそれを見過ごす筈はない。

 

 

過去と向かい合い、かつて居た『A機関』の目的を知るアズ。

そして異変を察知した、遥か古の存在がカルディナ達の目の前に姿を現す……が、その時知る。

カルディナという厄災の存在を。

 

次回『スーパーロボット大戦31』

 

04『お嬢様、制圧する』

 

……君達は知る。絶望も希望も、表裏一体である事を。

 

 


 

 

《─ Key Word ─》

 

 

○アズ・セインクラウス

カルディナに運命を狂わされたサブ主人公。

アルバイトであるが、そのルックスと根性を評価され、現在は広報部長(代理)に就任。

いや、マジでどうなる?

 

高鷲 清史(たかわ きよし)

大湊を中心とする重工業関連の中間管理職。

臆病ながらも周りを気遣えるオタクで、カモメ高校のOB。ウッシー(次男)と学友であり、彼からGGGの現状を聞いているため、カルディナの理解者の一人になる。

生粋のガオガイガーのファンで、彼の会社も部品納入という形で支援していた。

上層部が全滅した現在はなし崩し的に会社のトップ(代理)にされている。

故にカルディナが社長になる事は渡りに船だったという英断者。

とりあえずウッシー(次男)はシバいてもいい。

 

ちなみに彼のモデルは───秘密(ヒントは最初からあり)

 

Dansa med oss Klappa era hander(バルサミコ酢、やっぱいらへんでぇ)

ニ〇ニ〇動画で有名な空耳MADの一つ『キャラメルダンセン』。

スウェーデンのユーロダンス音楽グループのキャラメルが、2001年に発表したアルバム『Supergott』の1曲目である。

MADムービーに使用された動画は、2002年に発売されたPCゲーム『ぽぽたん』のオープニングテーマ「いっちゃえ!ぽぽたん(R18ゲー)」の映像(いわゆる「ぽぽたんダンス」)のごく一部を一瞬だけ切り取ったものであり、詳しくは検索して頂ければ早い。

ただ、MADムービーに使用されている音源はダンスの動きに合わせているため、原曲より1.2倍速ほど速い。

ちなみにこの動画の下にある広告は全て『バルサミコ酢』なのはある意味有名。

色々ツッコミたいが、ただ一つ言えるのはこのダンスをフルで踊れる人物は化け物であるという事。

 

〇『C商会』謹製『バルサミコ酢』

ワインを酢酸発酵させ、『酢』とした調味料。ちなみに日本酒を酢酸発酵させると『米酢』となる。

元は海外から輸入されて来た、何の変哲もないバルサミコ酢であったが、かさ増し目的でカルディナの保有するバルサミコ酢と混ぜ合わせ、販売した物が本品となる。

摂取すると3割の確率で味〇様リアクションを引き起こす。

原因はカルディナのバルサミコ酢に施された魔術的付与で、魔法耐性の無い人物に限り、一時的に高濃度の魔力を受けた事による現象である。

 

〇ヘラウテーラ・フォルディング

ファイクス・ブラッドウッド准将の側近の1人。オリキャラ。

階級は大尉。見た目はクール&ビューティーな『S〇Y&F〇MI〇Y』のフ〇オナ・フ〇ストのような容姿と性格の女性。

 

 




題名の意味は本当にそのまんま。
ちょっと考えると、逆に深くなってドツボにハマるパターンだった。
特に描写の無い、想像が難しいところでした。
また、細かい設定を『覇界王』よりにしています。

スパロボ30って、スタートが男女選択&地上、宇宙選択というパータン四択。
そういう時の片方はどのように動いているんでしょうね。

ちなみに私は圧倒的に地上ルートを選ぶ人。


……え、もっと言うべきところがある?(そして全力で顔を背ける)
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