お嬢様と往く、『スーパーロボット大戦31』   作:和鷹聖

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訂正してたら遅くなってしまいました、すみません。

いよいよヒュッケバイン30が登場します!

初期型と同型でありながら、ところどころ違うヒュッケバイン30ですが、リープスラッシャーのマウントポジションが明らかになって色々すっきりして好きです。

色々オリジナル要素を添付してお送り致します。



06 お嬢様、ヒュッケバイン30を援護する

 

 

《……こちらの世界で『XXX(XENOGENEIC X-FACTOR X-TYPE)プロジェクト』で製造された、名前を『ヒュッケバイン30』と言いましたね。》

「准将とオルキダケアからさっき聞いた通りだわ。未完成品と聞いていたけど何とか間に合ったみたいね。でもパイロットは誰が───」

「───お姉ちゃん!」

「アズ!?まさか貴女が……!」

 

基地の地下から現れたヒュッケバイン30。

そしてヒュッケバイン30にはアズが搭乗していたのだった。

 

「ごめんなさい、せっかくお姉ちゃんが私が戦わないようにしてくれたのに……」

「いえ……まさかこんな事になるとは予想出来なかった私にも非はあるわ。それよりも、その機体に乗っているという事は……」

「お姉ちゃんが敵の攻撃で飛ばされたのを見てたら、いても立ってもいられなくて……でも、ちゃんと自分で決めた事だから。」

「……そう。それが貴女の勇気を振り絞った覚悟であるなら、私は何も言わない。でも、こうして戦場に出た以上は、私は貴女を一人の戦士として扱うわ。」

「うん、覚悟の上だよ。」

「宜しい。」

 

先程までの鬱蒼としていた雰囲気はなくなっていた。

少なくとも葛藤はあっただろうが前向きに捉える事が出来たのだろう。

そして『ヒュッケバインに乗る者』は、歴代のパイロットを見ても皆確かな意思を持っている。

アズの為に用意したのなら、きっと乗る日が来るかも知れない、とファイクス准将に話し、整備を急がせたのが幸を奏し、今に間に合わせる事が出来たのだが、そんな日は来なくてもいいとも思っていた。

だが、アズ自身出来る事をしようと思案、そして行動した事をカルディナは、その決心を尊重する事にした。

 

「なら、ここから反撃だよ!」

「……って言いたいところだけど、今迂闊に動くと連邦本部まで巻き沿いにしちゃうから。」

「あらら……」

 

───と、気を抜いた瞬間、急加速で突撃し、すれ違い様に砲撃を撃ち込んでくる高機動型。

マギウス・ガイガーとヒュッケバインの足元に多数の弾痕と爆発を生み出し、当たらないように回避に専念する2機。

まだ余力を残しているようだ。

 

「か、苛烈……!」

「初戦にしてはハードな相手ね。」

《アズ、今戦況はだいぶ押されています。具体的には敵の大規模の軍勢の火力を抑えている他、あの高機動型がこちらの邪魔をして上手く動けない状態です。》

「せめてどちらかの動きを押さえられれば……」

「どちらが厄介?」

「……高機動型ね。あっちの団体さんは火力以外は烏合の衆。むしろ私がしようとするフォーメーションを判ってか解らずか邪魔してくるあれの方が厄介よ。せめて30秒あれば全部終わらせられるけど……」

「??30秒あれば勝てるの?」

「ええ、確実に勝てるわ。アズはその間、引き付けるだけでいいわ。相手、出来る?」

「やってみる。」

 

カルディナの言葉に決意を定めたアズは、フォトンライフルを構え、鉄色の高機動型に向けて放ち、挑発する。

 

「さあ、アナタの相手は私よ!付いて来れるかしら、ノ・ロ・マ・さ・ん?」

《──!!》

 

直ぐ様食い付いた高機動型は全力で追い掛けて来て、ヒュッケバイン30も追い付きまいと必死に逃げる。

30秒間の鬼ごっこの始まりである。

 

《……最後の煽り文句、絶対にお嬢様の影響ですね。》

「え、私!?」

 

この一か月で良くも悪くも似てきて来た事をカルディナは自覚していない。

 

そして始まったヒュッケバイン30と高機動型の30秒鬼ごっこ。

後ろから頭2つも3つも上の位置で追走してくる高機動型は、地表を低空飛行するヒュッケバイン30に対し前部砲門を連射して来る。そして推力も向こうがヒュッケバイン30の2割は上だ、いずれ追い付かれる。

ならば砲撃を回避しつつ、逃げ回る他ないが……

 

《右肩損傷、軽微。あ、次は左腕装甲!》

「くぅ!確実にどこか当ててくる!」

 

かなり狙いは正確で、連射速度も速いため、回避してもどこかしらに掠めて損傷を受けているのが現状。

絶え間なく軽微損傷を受けるため、V.C.のダメージ報告が間に合わない。

 

(……どうしよう、啖呵を切ったのに、これじゃ駄目だ。考えろ、考えろ……!)

 

この一か月、カルディナやヴィータ、V.C.に色々な事を叩き込まれた。特に多かったのは『駄目な時の動き方』。

 

(その時に駄目な時は、まず自分の持っている技量や経験を思い出せって教わった。それが逆転の一つになるって。私の技量、経験……)

《アズ、攻撃が来ます!》

「しま───!」

 

───その直後、巨大な銀色の竜巻が発生。

 

爆発じみた巨大な竜巻が突然発生した事により、場は騒然。

挙げ句にバランスまで崩されるが、間一髪で砲撃が逸れ、ヒュッケバイン30は難を逃れた。

 

《ちなみにアレ、お嬢様ですね。》

「あれが!?」

 

敵の集団も必死になって砲撃を繰り出すが、竜巻にも攻撃は通じず、連邦本部にも半透明の翡翠色の壁で遮られて一切攻撃が通らない。

いきなり現れた竜巻の原因がカルディナである。

 

《アレが終わるのが30秒です。何はともあれ、時間は稼げました。》

「あ、そうだ!考えろ!」

 

持っているモノ……ヒュッケバイン30を動かすための操縦技術、『A機関』での辛い記憶、お兄ちゃんと旅した記憶、お姉ちゃん達と出会った記憶、お姉ちゃん達と遊んだ……いや、遊ばれた記憶?殴り込みに行った記憶?ああこのあたりは上手く思い出せない……それから世界中を旅して売り込みに走り回った記憶、後はダンスの特訓、ダンス、撮影、ダンス、撮影、ダンス、ダンス……

 

──バルサミコ酢、やっぱいらへんねぇ~♪

 

(ああ!ウマウマダンスの撮影風景のイメージが強烈過ぎて、他の記憶がぁ~……あ、ダンス!)

 

その時、ヒュッケバイン30の動きが変わった。

直線的な動きから曲線的、急旋回──からの反撃のフォトンライフルの銃火が高機動型を捉える!

そしてそれは一度、二度ではなく、何度も、何度も!

 

「やっぱりそうだ!相手は速いから急な動きに弱い。思いがけない動きに対処しづらいんだ!」

《その様ですね、更に一つ加えるなら、今のアズの動きに先程より若干のタイムラグが見受けられました。つまり、相手は有人です。》

「有人?」

《はい。あのラグは動揺です。タイムラグの長さから推測すると、ドローンのように遠隔監視するように、モニターでみているのではと言えます。故に、敵パイロットはあの機体には乗っておらず、どこか遠い地で遠隔操作していると予測できます。》

「そっか、カメラ映像とのタイムラグと一緒ね。」

《はい。その僅かな時間差がこちらが突ける一手になります。》

「けど、それでも向こうの方が早い。こればかりはどうにも……」

《──では、現状より推力を10.4%強める事が出来ますが、宜しいですか?》

「出来るの!?お願い!!」

《では……オリジナルV.C.よりリンクカット、各システムに現個体『C端子』をヒュッケバイン30に直接接続、演算開始!

 

アズの付けていたコスモスの髪飾り『C端子』の一片が枯れるように落ち、そして『C端子』が白い繊維状に変化しコックピット内のアズの頭上を覆う。

そして次々と書き換えられ、コンバートされるヒュッケバイン30のプログラム。

 

スラスター出力サブ動力から推移、コンバーター電圧変更、各モーター負荷再計算、パイロットの操縦パータンとモーションパターン再設定、各部出力上昇確認──アズ!!

「い、っけぇぇぇーーー!!!」

 

覚醒するようにゴーグル越しでも眼光が強まる。

その瞬間、ヒュッケバイン30は高機動型の前から()()()()()

そして側面から容赦なく浴びせられる光弾(フォトンライフル)の雨、60㎜の鉄の礫(バルカン)が容赦なく襲い掛かり、振り向き様に叩きつけられる光の刃(ビームソード)、そして意識外から襲い来る消滅の光輪(リープスラッシャー)

アズは、V.C.と共にヒュッケバイン30の全てを使って、身長が倍もある高機動型を翻弄する。

 

「行ける、これなら──!」

《アズ、気を付けて。あまりスラスターを多用し過ぎると推進剤が──》

 

──バスンっ

 

「──!?」

《……切れちゃう──》

 

ここでまさかの推進剤切れ(ガス欠)。多用に使い過ぎたのだった。

失速した瞬間を高機動型は逃さず、すかさず砲撃に転じる。

これにはアズも死を覚悟した────が、そうはならなかった。

 

「……ん、機体は無事??」

《これは……マギウス・フェザーのプロテクト・フィールド!?という事は……!》

 

目の前にあったのは半透明の翡翠の光る壁(プロテクト・フィールド)。そしてその四方にビームソードと同じぐらいの大きさの白い羽──マギウス・フェザーがあり、アズを、ヒュッケバイン30を護ったのだった。

そして銀の竜巻を破って現れたのは───

 

「マギウスッ!ガオッ!ガイッ!ガァァーー!!!」

 

それは、漆黒の黙示録の獣であり、最強の幻獣の集合体

それは、GストーンとJジュエルを併せ持つ魔法と科学の結晶

そして、絶対勝利への執念と、勇気ある誓いの化身

最強の勇気の守護神、我らがお嬢様の鋼の巨神(スーパーマギウスメカノイド)

 

その名は、マギウス・ガオガイガー!!

 

《ESウインドウ、マギウス・フェザー展開、オール・ロックオン───!》

「では!ワームスマッシャー、ゴッドフリート、撃てぇえええッ!!」

 

マギウス・ガオガイガーの右肩(ガルム・ガオー)より重力収束エネルギーがESウインドウを中継し、発射されたワームスマッシャーが敵を次々に貫く。

フェザーが描いた魔方陣から撃ち出されたゴッドフリートが敵を次々に焼く。

更には高機動型をも攻撃。素早い動きで逃げ回るがそれすらも翻弄し、後退させる。

直撃を避けているのはパイロットのなせる技か。

そうして敵の半数以上を消滅させ、ヒュッケバイン30の元に降り立つマギウス・ガオガイガー。

 

「……まったく。30秒間引き付けてって言ったのに、大いに立ち回って……大丈夫?」

「お姉ちゃん!?その機体って……!」

「これが私の愛機、マギウス・ガオガイガーですわ。」

「マギウス・ガオガイガー……」

「さて、これで負ける要素は無くなりました、後は休んでてもいいですが、アズはどうします?」

「まだ、頑張れる。推進剤がなくなっちゃたけど、もう一押しで勝てそうなの。」

《推進剤切れは流石に……誰に似たんでしょうね、この性格。》

「仕方ない、じゃあコレ貸してあげますわ。」

 

やれやれといった様子ではあるが、姉のお節介をやけるのが嬉しいのか、カルディナはマギウス・フェザーを操作し、ヒュッケバイン30のスラスターにそれぞれマギウス・フェザーを付ける。

 

「これは、さっきの?」

「そのヒュッケバインの操縦系に接続しておきましたわ。マギウス・ガオガイガーを支える推力の一端を担うものですから、ヒュッケバインのものより推進力が高いですわ……出来ます?」

「やってみる。」

《私もサポートしますので問題ありませんよ。》

「宜しい。なら思いっきりやって御覧なさい。」

「うん!!」

 

新たな翼───もとい羽根(フェザー)を手に入れたらヒュッケバイン30。その推進力は伊達ではなく、スロットを半分入れただけ、出力で機体を浮かせる程。

4枚の羽根は翡翠の光を纏い、凶鳥の新たな翼となり、空へと舞い上がる。

その後ろ姿を見送ったカルディナは「世話がやける妹ですわ~」と嬉しそうだった。

ちなみにマギウス・ガオガイガーは、基地のカメラに映っているが、その映像は全てピンボケ仕様で『閲覧禁止です!』のマークが上書きされており、肉眼以外での視認は出来ない。

そして残る敵を破壊すべく、拳を突き上げ、高速回転させる。

 

「さあ、いらっしゃい。このマギウス・ガオガイガーが相手をして差し上げますわ───あ。そうですわ、V.C.。」

《何でしょうか?》

「さっき、アズに付けた『C端末』が勝手にリンク切って、ヒュッケバインの専用AIみたいになってたけど……いいのかしら?」

《え、専用AIって、そんな……って、エエエェェェーーーー!?!?!?リンク切ってるウソ、ナンデ?!ドンドコドーン!?!?》

「……あ、故意(わざと)じゃないのね。」

 

なお、このやりとりで放たれたブロウクン・マグナムはV.C.の制御ミスで3割増しの威力で撃ち出され、敵のさらに半数を打ち砕いた。

 

それはともかく、文字通り翼を得たヒュッケバイン30は、突然現れたマギウス・ガオガイガーを警戒するため、上空まで昇っていた高機動型に再びアタックする。

そして自分の主戦場(グラウンド)でもある空に昇り立たれた光景を目の当たりにした高機動型は、マギウス・ガオガイガーからヒュッケバイン30に狙いを変える───否、完全に『倒すべき敵』と見なした様子で、突撃してきたのだった。

しかし、マギウス・フェザーを得たヒュッケバイン30は、それすらも超える推進力を得た。しかもトリッキーなダンスの機動もそのままに砲撃を最小限の動きで避けた。

独立型V.C.の軌道演算がその動きに磨きを掛け、それに応えるようにアズの操縦が相手の攻撃を見切る。

そしてフォトンライフルを一当てし、上空へと更に昇るヒュッケバイン30。そしてその後を追う高機動型。だが───

 

《───!?》

 

急に高機動型の動きが鈍くなる。

高機動型の視界に入ったもの───それは光々と光輝く、眩しい太陽。

今は正午。一番太陽の光が一番頂点に昇る時間。

ヒュッケバインが急に軌道を横にずらしたために、遮っていた太陽の光が、視界を眩ませるのだった。

その瞬間、ヒュッケバイン30が身を翻して急速反転、リープスラッシャーと共に降下。

回避出来るはずの攻撃がこの瞬間動きを止めてしまった事により、リープスラッシャーは何度も高機動型を切り裂く。

そして高機動型のスラスターが切り裂かれ、推力が落ちた瞬間、アズは勝負に出た。

 

♪Be yourself 生きていこう

 はためかせるメロディー

 輝かせる場所がある

 

《──最大推力、今です!》

「行くよ!お姉ちゃん直伝の一撃……いっけぇええええぇぇぇぇーーーー!!!」

 

ヒュッケバイン30は高機動型目掛けて最速降下で高機動型に突撃し、推力全振りの両脚蹴りを慣行。

それは先程、カルディナがオルキダケアに放った、仮○ラ○ダーダ○ルの『ジ○ーカーエ○スト○ーム』!

地面に激突するまで蹴り落とす勢いだ。

だが更にそこからフォトンライフルを構え、リープスラッシャーで剥き出しになった内部に照準───!

 

♪明日へと繋ぐ小さな勇気を持って

 自分以外の何者にもならなくていい

 

「──残弾、全部持ってけェェーーー!!」

 

残弾全斉射のフォトンライフルの激しい零距離撃ち。

さすがの高機動型も内部への攻撃には耐えられる訳もないが、弾切れのフォトンライフルを投げ捨てたヒュッケバイン30が、最後にダメ出しでビームソードで一突き。

 

♪何度でも生まれ変わる魂

 Divine Beast

 

落下による衝突エネルギーも膨大に、敵の動力炉を貫いたため、高機動型はヒュッケバイン30を巻き込んで大爆発を起こす。

さしものヒュッケバイン30も無事では──

 

《大丈夫ですか?無茶し過ぎです。》

「ごめん、助かったよV.C.。」

 

寸前で離れていたヒュッケバイン30はマギウス・フェザーのプロテクト・フィールドで機体を守られていたため、無事であった。

それでも機体は所々ガタが来ていたが、移動するのには問題ない。

倒せた敵が燃える光景を見下ろしていたアズは、ようやく安堵した。

 

「やっと倒せた……あ、他の敵はどうなったの!?」

《ああ、問題ありませんよ。ほら──》

 

「──行きなさい、フェザー・リッパー!!」

 

マギウス・フェザーを4基接続し、十字手裏剣状にした、残像が走る程に疾走する12基の『フェザー・リッパー』を飛ばすマギウス・ガオガイガー。

受けた敵は為すがままに切り裂かれ、回避してもマギウス・フェザーとワームスマッシャーで次々と撃ち落とされ、最後は手刀やブレイブソードで解体される。

 

《残り一機です。》

「それじゃ、景気よく行きますわよ──!」

 

ヘル・アンド・ヘヴン

 

「ゲム・ギル・ガン・ゴー・グフォ……フンッ!」

「……」

 

「はぁああッ、でぃいやッ!!」

 

ズドーーーーン!!

 

「やりました!敵の動力炉、ゲットですわ!」

《これで解体した分も合わせて、3体……苦労しました。》

「未知の相手を精密部品を壊さぬように解体するのは大変でしたわ~」

「……さ、さすがお姉ちゃん。」

 

苦労するベクトルが違う事を思い知らされたアズであった。

 

「ああ、アズ。そちらも終わったようですね。」

「うん……お姉ちゃんは凄いね。」

「戦果の事?単純な機械制御(AIモドキ)の雑魚ばかりだから、さほど苦労はしませんでしたわ。」

「あはは……」

「それもこれも、アズがエース機を抑えているくれたお陰ですから。」

「え?」

《アズが相対していたのは、遠隔操作と言えど有人機、おそらく『ネームド』相当のパイロットだったと予測出来ます。そんな相手に、お嬢様と言えど、周りに損害を出さずに戦闘を終えるのは至難の技です。》

 

戦闘開始直後からカルディナはマギウス・フェザーで常時プロテクト・フィールドを展開し、連邦本部や周辺地域を守って戦っていたのだった。

特に縛りなく、被害を気にせず戦っていたら楽には勝てていただろうが、あの規模の軍勢相手だと、終わる頃には後味悪い勝利となっていただろう。

 

「アズがそのヒュッケバインの性能を引き出して、エース機を抑えてくれたお陰で、連邦本部も人的被害もほぼゼロ……私達の完全勝利ですわ。さっすが私の妹!」

「うん!」

 

戦う事を嫌っていたアズだが、今回の事で自分に力がある事、そしてその戦いに自分の意義を見出だす事が出来たのだった。

 

 

 

『 連邦本部 地下ドック 』

 

戦闘による混乱も治まり、今は復旧作業と、解体・鹵獲された敵の機体の解析作業で忙しい。

そんな中、地下ドックではヒュッケバイン30が修理される中、カルディナ達とファイクス准将の姿があった。

 

「感謝致しますわ。こちらが壊してしまったヒュッケバイン30の修理をして頂けるなんて。」

「構わん。こちらの被害もMSが中破と周辺の損害ぐらいで、後はほとんど無傷……むしろ解体されているとはいえ、敵の機体を鹵獲し、こちらにも提供してくれたのだ、お釣りが出るくらいだ。」

「まあ、その鹵獲機は迷惑料も込みですが……それでもヒュッケバイン30、こちらに譲渡して下さるとは。」

「……元々、この機体はアズ・セインクラウス、もしくは『エッジ・セインクラウス』に譲渡する予定だった。方針と方法が変わっただけで『託す』事には変わりない。」

「託す……ですか。」

 

この『託す』には単純に機体を託すだけではないだろうと、カルディナは思った。

今回連邦本部を襲って来た40mもある機動兵器……オルキダケアは『オルクスーラ』と言っていた。そして『オルクスーラ』を何十体も平然と量産出来る力を持つその集団───

 

その名を『クエスターズ』。

 

それだけではない、ファイクス准将は『エーオス』にも当てるつもりだったのだろう。

そしてその戦いの中の『希望』こそが、このヒュッケバイン30ではないかと思えてならない。

そしてその『希望』を託そうとしたのが、脱走したセインクラウス義兄妹。

現に今回の戦いではアズがその片鱗を見せていた。

 

そしてファイクス准将自身は……

 

(……ま、『先』の事は今考えても仕方ありませんわね。)

 

それよりも大切な事がある。

 

「ファイクス准将。」

「……アズ・セインクラウス。」

「この度はヒュッケバイン30の譲渡、ありがとうございます。」

 

ヒュッケバイン30の譲渡にあたり、当のアズ自身が積極的な姿勢を示したのだった。

故にヒュッケバイン30は連邦から、C商会へ譲渡が決定し、そのパイロットはアズに正式に決定した。

 

「ですが、出撃前も言いましたが、私は貴方を許してはいません。それに『A機関』の事はまだ私の中でトラウマになっています。今でも……怖いです。」

 

ただ、その確執───『A機関』のわだかまりがなくなった訳でない。

それはカルディナも、ファイクス准将も承知の上だった。

だがアズはヒュッケバイン30のパイロットになる事を承諾している、何故か?

 

「でも今日ここに来て、何故そんな事になったか判明した事で、自由になった事で、気持ちに一つ区切りが付けられました……来て、良かったと思います。それに、今の私には私を助けてくれた『兄』と、私を心から支えて、学ぶ機会をくれる『姉』がいる事を再確認させてくれました。だから私は、これからも辛い過去やこれからの事に立ち向かえる事が出来ます。」

「……そうか。だが、それがヒュッケバイン30に乗って戦う理由にはならん。これは『A機関』の成果物だ。何故戦う気になった?」

「それは……放っておけないからです。私は自分(わたし)が思う以上に、困っている人を放っておけない、助けたいと思っていたからです。」

「ありがちな正義感が理由か。」

「はい。でも今のままじゃ、自分も他人も中途半端にしかなりません。困っている人全てを助けようと思う程、私は万全な力も持っていません……でも、それが出来る人は知っています。」

「……それが、お前の義姉か。」

「はい。義姉は私が知る限り、世界で最大級のお人好しで、世界で一番我が儘です。そして困っている人を()()()()()助けてあげられる()の深い人。それをこの1ヶ月で知りました。そんな人が私の義姉である以上、学べる事は全て学び、そして理不尽ですら自分の意志を通せるような義姉のようになりたい……そして、戦う事も。」

「ふむ……」

「強大な力を得たい訳じゃない、でも力のない人では戦いを収める事は出来ないんです。私はそんな人達の代わりに『戦いを終わらせる力』が欲しい。そしてこの戦いで、ヒュッケバイン30であれば十全にその力を発揮出来ると感じました。だからヒュッケバイン30の譲渡、そして私が乗る事を承諾したのです。」

「そうか……だがそれは茨の道だぞ、それも最大級の。更にお前がヒュッケバインに乗る事によって、お前が『クエスターズ』に優先的に狙われる……あれはその様な運命(さだめ)を持っている。それでもいいのか?」

「覚悟の上です。」

「……そうか。やはり揺るがないか。ならもう何も言う必要もないな。これも義姉の賜物か。」

「はい、最高のお姉ちゃんです。」

 

アズの迷いない答えに、ファイクス准将は静かに納得した。目の前の少女が、今は未熟なれど自分達が求めていた『力』であると。それが自分達ではどうにもならなかったのを他人(カルディナ)がいとも簡単に行った事には若干羨む気持ちもあったが、達成されてしまった事自体は満足であったため、その事は誰にも悟られる事無く、腹の中に収めた。

 

……そしてカルディナはその後ろで恥ずかしさのあまりに顔を背けていた。

アズ()カルディナ()を面と向かって誉める構図に恥ずかしくなったからだ。

お嬢様を殺すなら褒め殺しにしましょう。

 

「ですが、先程も言いましたが……私は貴方を許してはいません。」

「無論だ。許されない事をしたと思っている。」

「そう思うなら───死んでいったみんなのお墓に、貴方が花を添えてあげて、事の真実を語って下さい。そして私達の戦いに可能な限りの支援を約束して下さい。」

「構わんが……いいのか?」

「少なくとも、何故あんな辛い目に遭わなきゃならなかった事は亡くなった皆にも知る権利はあります。そしてこんな戦いに終止符が打たれるまでは、支援ぐらいは延々と付き合って貰う義務があります。」

「わかった……そうさせて貰う。だがお前の義兄には……」

「……義兄には、まだいいです。どちらかが先に会ったなら話せばいい事。ただ、私と同じくヒュッケバイン30に乗るような事があれば、むしろ話さないで下さい。復讐心が生む力もまた、義兄には必要だと思うから。」

「心の支え、か。わかった。」

 

例え同じく乗ったとしても、アズに生きる事の大切さを教えてくれた義兄だ、そう早まった事はしないだろうが、自分と同じくどこかにある、もう一機のヒュッケバイン30に乗る事は流石にないだろう。

もしあれば、それは奇跡の部類、起きない事を祈るばかりだ。

 

「……私からは以上です。」

 

 

 

……そう思うアズであったがその奇跡が後日、いとも簡単に行われるえげつない行為並みに行われたのは、ある意味では仕方のない運命(ストーリー上の仕様)なのだろうが、そのせいで後に義兄に出会い頭にバルサミコ酢をバケツ一杯ぶっかけてしまうのは仕方のない事である。

 

閑話休題。

 

「准将、失礼致します。ヒュッケバイン30……えと『改型』、修理完了致しました。」

「そうか。」

 

ヘウテーラの報告に頷くファイクス准将だが、その報告には「ああ……いや、ちょっと待て」と険しい顔をしていた。

先程の戦闘で、ヒュッケバイン30は独立したV.C.によって内部システムが大きく書き換えられ、更なる高性能機と化していた。流石にV.C.なしでは運用出来ない仕様となったため、しばらくは義姉との訓練(後ろに地獄煉獄天獄と付く)が行われるだろう。

また、損傷した個所は修復したものの偽装パッチアーマーを増設、ADテープもマシマシに、またスラスターに新たに付ける事になった『マギウス・フェザー』により偽装化が進み、その在り様を大きく変える事となり、完成と相成った。

頭部のXXXのバイザーはそのままであるが、便宜上今のヒュッケバイン30には『改型』の名前が加えられた。

主カラーのネイビー色に、随分赤と黄色が増えている。

現在はV.C.と共に最終調整が終わり、先程時間がなく装着出来なかった『ツイン・グラビトンライフル』をマウントし終えたところだ。

そしてV.C.の端末(花と人型一つずつ)も一つ連邦に置いておく事となった。システムのアップデートから支援、様々なアシストはお任せあれ♪

 

……スタッフの喜びと悲しみの悲鳴がどこかしらかで聞こえているが、まあ気にしない。

 

これ以上は大きく変わる事はないだろうからと予想。

そして特に機体運用に関して、連邦と反するような動きでなければ何も言わない、との事。

しばらくは遊撃、もしくは行き当たりばったりとなるだろう。

……いや、商会の業務優先ですよ?

 

「では、頼むぞ。」

《はい。准将もお元気で。》

《それでは失礼します。》

 

空高く飛び上がるマギウス・ガオガイガーとヒュッケバイン30改型を見送るファイクス准将とヘウテーラ。

その雄姿が見えなくなる頃、ファイクス准将の端末に通信が入る。

 

《……あの娘達は行ったようだな。》

「オルキダケア……!」

《そう警戒せずとも、お前達にはもう手は出さん……いや、出せん、だな。あのV.C.とかいうシステムに、『楔』を打ち込まれてしまった。》

「V.C.……カルディナの持つシステムか。」

《少なくともお前達に害ある事は出来なくなった。それよりも、これからはお前達に協力しようと思う。》

「随分な方向転換だな。」

《エーオスの復興より、予想よりも早くクエスターズが現れた……ならば内輪揉めのような事は自殺行為。お前達からすれば咎人(とがびと)である以上、協力する事が贖罪であろう。それに……》

「??」

《それにカルディナに直接蹴られた後、以前のような気持ちが起こらなくなった。支配や憤怒……そうせねば、という気持ちがな。同時に我の『支配の波動』のシステムに異常が起きた。》

「異常?」

《『支配の波動』自体は今も使える。V.C.が『後にお嬢様が使う』と言っておって、リミッターこそ増設されたが修復されたからな。だがそれとは別に、何かが変わった……》

 

そこで言葉が詰まるオルキダケア。

きっと原因は判明しているのだろうが、どうして()()()()()()()が受け入れられないのだろう。

今まで見た事のない、葛藤が感じられた。

 

「……そこまで言うなら、協力を認める。」

《随分優しいのだな。これまでの行いを非難すると思っていたが。》

「その気持ちもある。だが私はお前とは違う。お前やエーオスの事が有ろうとも、人類の平和のため、使えるものは何でも使う。協力はしてもらうぞ。」

《……わかった、程々にな。》

 

そうして通信は切れた。

これでオルキダケアとは争う事はなくなった。

長年の確執と目的が一度に解決してしまった事に、改めて拍子抜けするファイクス准将。

だがそれ故に思う。

 

「……オルキダケア、ヒュッケバイン30、アズ・セインクラウスの事もそうだが、今回の事は全てカルディナ・ヴァン・獅子王・アースガルズの手の中、か。なんという恐ろしさを秘めている娘か。」

 

今でも反芻しても鳥肌が立つ。

初めてカルディナが自分の部屋に来た時に受けた戦慄……

幾多の修羅場を乗り越えてきた自負はあるが、それらが軽く吹き飛ぶ程の狂気を目の当たりにした。

ヒトではなく獣……野獣ではなく、魔獣、幻獣であろうか?

アズ・セインクラウスを守る為とはいえ、一個人があそこまでの狂気を狂う事なくぶつけて来たのは初めて見た。

あの時は冷静さを装うのに精一杯だった。

 

「……だが人として、商人としては実直正道、清濁併せ吞む剛胆性……矛盾して尚正気でいられる異常性……あれは世界そのものを破壊する。それ故に、あの娘こそこの世界の安否を左右するやもしれんな。」

「はい、私もそう思います。そしてもう一つ気になるのがカルディナの持つ戦力です。」

「ああ。基地内の映像は小細工がされていたみたいだな。」

「おそらくV.Cというシステムが手を回したのだと。ですが……」

「ああ。直接視認出来て正解だった。あれだけの軍勢を苦とも思わず相手に出来る、あの戦力。かつて仲間のために追放され、今は行方知らずとなった旧GGGが保有していたギャレオンの同型を駆り、誕生したマギウス・ガオガイガーという、ガオガイガータイプの機体……偶然にしては出来過ぎいている。現GGGですら現行機の開発に何年も掛けたというのに、だ。」

「……『プロジェクトZ』の事もあります、もしや旧GGGが今どうしているか知っているかもしれません。」

「ふむ、同じ結論に達したな、ヘウテーラ。流石に恩人とはいえ、無視は出来ん……これはお前の古巣、G()G()G()()()()に伝えるべき案件ではないか?」

「はっ、その通りです。」

「……だが、今は止めておけ。」

「よろしいので?」

「今伝えると、嫌な混乱が起きそうだ。それにあんなモノを持つ以上、正体を明かすなら自分からするだろう。少なくともドライストレーガーが出航するまで待て。」

「わかりました。」

 

今回の件で箝口令が敷かれ、GGGにマギウス・ガオガイガーの件が知らされる事はなかった。

だが、情報というものはそうそう隠ぺい出来るものでもなく、事態は裏と表で絶え間なく推移していくのであった。

 

 

 

『 ??? ???? 』

 

「──馬鹿な!私がチューニングしたオルクスーラだぞ!?せっかく発見したエーオスの痕跡を発見したというのに、それを素人紛いの動きをするエーオスの兵器にやられるとは───は!?」

 

───パァン!

 

そこはとある場所の、とある拠点の一室。

そこで乾いた音がした。

平手打ちをされたその人物は、その後激しい口論を交わし、やがて諭された。

そして再び部屋に独り残り、怒りに震える……

 

「おのれ……!私が見つけたのだ、あれは───私の獲物だ!次こそは、次こそは───ヒュッケバイン!!」

 

ただ怨嵯の嗚咽が、そこに木霊していたのだった。

 

 

 

『 アジア ニューデリー近郊 』

 

 

「……お姉ちゃん、ありがとう。」

「何?突然どうしたの、アズ。」

 

ニューデリーからは視認出来ない程の上空をマギウス・ガオガイガーとその背中にヒュッケバイン30改型が掴まって飛行していた。音速を超えての飛行だか、展開するマギウス・フィールドが音速の衝撃を緩和しているため、非常に高いステルスを発揮しており、レーダーすら認識出来ない。

しかし日が傾き始めるこの時間帯は非常に魅力的な風景を魅せる。そんな中でアズはカルディナにお礼を述べる。

 

「お姉ちゃんがファイクス准将にヒュッケバインの事を働きかけてくれたんでしょ?」

「ああ、その事ね。いいですわよ別に。結果的に丸く収まった訳ですし。」

「うん。それでも私、前より一歩踏み出せた気がする。だからありがとう。」

「アズが喜んでくれるなら、私はそれ以上嬉しい事はありませんわ。それに、私は信じていましたから。」

「信じてた?」

「まあ、こういうのもの何ですが……ヒュッケバインのパイロット、その選ばれた人物は大概強い芯を持っています。」

 

ヒュッケバインの元の出自はヴィルヘルム・ブッシュ(1832-1908)が書いた「ハンス・フッケバイン (Hans Huckebein)」に登場するカラスの名に由来する。

そこではフッケバイン《凶鳥》と書かれている。つまりは『災いの鳥』。

その名の通り、この機体は災いから始まっている。

元祖をパーソナルトルーパー『ビルトシュバイン』の躯体を元に、EOTを取り入れた初の動力炉『ブラックホールエンジン』が起動実験時の暴走。それにより『バニシング・トルーパー』の渾名を受けてしまったが、技術者達はその逆境にも負けず、ヒュッケバインをより強く、かつ安全に扱えるようにチューンしていく歴史を持つ。

それが『ヒュッケバインmark-Ⅱ』『ヒュッケバインmark-Ⅲ』を生み出し、ようやく量産型開発まで漕ぎつけた。

だが『バニシング・トルーパー』の汚名は消えず、量産型は敵異星人に利用され、挙げ句『ガリルナガン』により全て破壊され、一時は駄目だと思われたが、『アッシュ』を主軸に復活。新たに『エグゼクスバイン』や『エクスバイン』を生み出すまでに至った経緯がある。

つまりは、ヒュッケバインは『逆境から立ち上がる意志を持つ者』が乗る機体と考えていい。

運命付けられた……という訳ではないが、『凶鳥は、自らの身に受ける災い(凶事)を跳ね退け、再び甦る』、そんなヒロイックな運命を背負っているのがヒュッケバインと言える。

 

転じて『不死鳥』。

 

「私が知るヒュッケバインその関係者達は、皆そうでした。だからアズも逆境に負けず、立ち向かって欲しいのです。もちろんその時は私達がしっかりサポートするわ。」

「う、うん。でもお姉ちゃんはそんな経緯を知ってて、ヒュッケバインを譲渡されて良かったの?」

「もちろん。むしろ私もヒュッケバインを見れて光栄だわ。この機体、私は好きですから……羨ましいとも思ってるんですわよ。」

 

カルディナの『羨ましい』を聞いたアズはちょっと優越感を感じる。

そんな事は滅多にないからだ。

 

とはいえ、道は前途多難である。

頑張れヒュッケバイン、そしてアズ。

 

「……そう言えば、私がいなかった時、ファイクス准将とオルキダケアさんとで何を話していたの?」

「(──ギクッ)な、何の事かしら?」

 

アズが部屋から出ていった後で、オルキダケアと3人で話した事である。

カルディナははぐらかすが、アズにはお見通しである。

何故なら……

 

「何?私には言えない事?どうなのH.A.L.?」

《……非常に耳の痛い話をオルキダケアから聞きましてね、アズだけではなく、他の人にも言いづらい内容です。》

「え?ハル??V.Cじゃなくて?」

「うん、H.A.L.(ハ ル)。」

《『ヒュッケバイン(HUCKEBEIN)30とアズ(Az)繋ぐもの(Linker)』って事で、私の事はH.A.L.と呼んで下さい。ね~?」》

「ね~?」

《ど、独立型が……いつの間にかアズと……!》

 

いつの間にかヒュッケバイン30及びアズ専用超AI『H.A.L.』が爆誕していた。

V.Cはかつての自分とはいえ、非常に悔しがっていた。

こら、お嬢様の頭をぽすぽす叩くのを止めなさい。

 

「……で、どんな内容?」

「まあそこまで言うのでしたら、話しますけど……後悔しても知りませんわよ?」

「う、うん。」

「私がオルキダケアに尋ねた事で、その内容は『ヒュッケバイン30のモデルは?』ですわ。」

「さっきの話もそうだけど、お姉ちゃんはこの30以外にも、別の次元にもヒュッケバインが実在するって知ってるんだよね?」

「『おそらく』が付きますが、高確率で存在していると仮定していいですわ。故にエーオスがモデルとしたヒュッケバインは何か、と尋ねたのです。」

「それで?(ワクワク)」

「……それが、オルキダケア曰く───」

 

 

───その時、アラートが響く。

すぐにV.C.がその状況を知らせた。

 

《場所はこの真下──ニューデリー近郊で戦闘と思われる爆発を複数確認。敵性物体は───機械獣と断定。》

「真下!?流石に無視は出来ませんわね……でも出来ればマギウス・ガオガイガーの存在は隠したいのですが。」

「連邦本部の時はすごく目立ってたけど。」

「あれは緊急時です。それにカモフラージュは出来てますわ……多分。それよりもV.C.、フェザーやワームスマッシャーで狙撃は出来ません?」

《出来ますが、避難住民が混在している市街地ですので、確実に犠牲は出るかと。》

「ガッテム!」

《一番の策は、やはり未完成ですが『フォログラフィック・カモフラージュ』を使うのが良いかと。》

「……中途半端にしか隠せないからあまり好きではありませんが、ないよりはマシですわね。」

「ちなみに私とヒュッケバインは?」

「それは既に擬装処理してる(バイザーがある)でしょうにノープロブレム。マギウスはガチで怖がられるんです。」《悪魔の化身、待ったなしですからね。》

《イエス、イエ~ス。》

「……ぷ。」

「……アズ、先に参りますわよ!」

「あ、待って!」

 

そしてニューデリーの街へと急降下するマギウス・ガオガイガーとヒュッケバイン30改型。

眼下には機械獣の軍団が郊外から進軍している光景であった。

 

「ちなみに機械獣の進行方向には何があるの?」

《調べますね、ええと特に目ぼしい軍事施設や設備はなく、ただのビジネス街なのですが──あ、撃墜されていますが『アナハイム・エレクトロニクス』の輸送機が進行方向に──ヒィッ!?》

「え、V.Cさん?」

《どうしましたV.C、何をそんなに驚いて。緻密な超AIが呆れて──ノウッ!?》

「え、H.A.L.?どうしたの??」

《あの~、私のセンサーが故障したのでしょうか?ナンデあんな機体がココにイルンデスカ?》

《バグ?バグ?ええ、いっそバグと言ってください。そうすればいっそ楽に……》

「ちょっと何を感知したの!?早く教えなさい。」

《……ではどうぞ。》

 

そしてV.Cがモニターに拡大映像を映した。

その映っている機体に、アズは「?」だったが、カルディナは────驚愕した。

 

「ちょ……ちょっと待って、何であの機体がここにいるの!?」

「え、お姉ちゃん?あのモビルスーツ何なの?」

《……違うんです、アズ。あれはモビルスーツなんかじゃないんです。》

《あれは『パーソナルトルーパー』……ヒュッケバイン30と同じカテゴライズ機です。》

「ヒュッケバイン30と同じ、パーソナルトルーパー……!」

「それだけじゃないわ。あれは『SRX計画』という特別なPTを生み出す計画の機体で、その中で()()()()()()()()()()()()()()なの。」

「いろんな意味で因果を持つ機体……??」

「……いいえ、まだ大丈夫、大丈夫。まだ中のパイロットが違うというワンチャンスがヒィッ!!」

 

だがその微かな希望は打ち砕かれた。

何故ならアズの初戦闘の時と同じく、そして絶望の表示とBGMが示された───

 

 

BGM select 『 Time Diver 』

 

 

そして、ツイン・マグナライフルを構え、機械獣を次々と撃ち抜くパーソナル・トルーパー『R-GUNパワード』。

 

……スーパーロボット大戦史上、最大級に有名で、最大級の因果を背負った男『時の番人』が現れた。

 

 

「な、何であのR-GUNがここにいるのよぉぉぉーーー!!(涙目)」

 

更に……

 

 

「こ、ここは……!?まだ顕現するのには因果が足りないはずだったのに、俺はどうして……」

 

 

また更に……

 

 

「……ここは地球、なのか??私は宇宙で……死んだはず、だが……」

 

 

またまた更に……

 

 

「……ほう、またとんでもない奴等を()んでしまったようだな、カルディナ。実に重畳、重畳。」

 

 

因果は因果に因果と因果が重なり、本編開始(ドライストレーガー発進)前にヤベー奴らが揃ったのだった。

 

 

《NEXT》

 

 


 

『 次回予告 』

 

ヒュッケバイン30と会合を果たしたカルディナだが、、ニューデリーで響く『 Time Diver 』の音色に困惑極まる。

戦場に響く銃口は戦陣を切り開き、多勢に無勢の防衛戦が再び始まる。

その時『王道ではない者』が戦場に介入し、因果を乱す。

そして、墜落した輸送機から出来て来た、あの量産機もまた、因果を乱す。

ついでに戦いが終わった後も『あの人物』が因果を乱すっ!

 

……そして最後に響くのは、絹を裂くように響くお嬢様の声。

 

4つの因果に苦しめられるお嬢様はどうする?

 

 

次回、『お嬢様と往くスーパーロボット大戦31』

 

07 お嬢様、4つの因果達に出遭う

 

これが勝利の鍵だ『胃薬』

 

 


 

 

『 現在公開出来る情報 』

 

 

○ヒュッケバイン30 改型

 

初戦闘にて損傷したヒュッケバイン30を改修した機体。

本来は『修復』程度で済む筈だったが、戦闘中に行われたOSの書き換え、マギウス・フェザー装備により、想定していた性能を遥かに超えてしまい『改造』する事となった。

擬装と装甲増設のためにパッチアーマーは更に増し、ADテープも編み目状に巻いているため、外見も別物と化している。

特に推進機関が地上での活動を前提しているところから、長時間の飛行を前提とするものとして変更され、推進力が非常に高い。

これは元々高い機動力を設定していたのだが、それでも専属のパイロットから『もっと速く』と要望され、その結果、連邦のエースパイロットでも想定しない設定を余儀なくされている。

特にサーボモーター系、サブスラスターは念入りに。

そして戦闘中のガス欠が嫌らしい……

残念ながら、連邦側の技術ではパイロットの要望を全てクリアしたものには出来ず、C商会からもたらされた技術で残りをカバーしている。

 

……その技術が理解の範疇を超えたため、担当者は泣いたとか。

 

 




前話で入れたネタはだいたい入れてます。
バルサミコ酢、ウマウマダンス、ライダーキック。
ちゃんと布石になるようしてました。

そして開始早々何だこのヒュッケバイン。
義姉の影響が半端ない。
そして最後に悪魔合体して、ぶっ壊すとは思うめぇ……
だいたいこのあたりはお嬢様の影響。

そして次回参戦キャラについて。

R-GUN参戦はプレイ同時期に、SYOKUGANにて発売予定が告知されてたからSRXとセットでと、ノリで楽観視参戦。
いざパイロットの事を考えたら、筆者のメンタルが死ぬ展開に。

もう一人は同時参戦させたかったから、他意はない。

もう一人は台詞から憶測すればだいたい正体がわかります。何に乗ってるかは次回で。

そんで最後の一人は……



某サイトにて「祝○だと!?(汚い笑顔で)。ヨシ、盛大に祝福しようぜ!(ただし世界が荒れるのは予想済み)」
だがグ○サン大尉の曇る顔がみたいので決行。
そしてお嬢様は悲鳴を上げる。

これがやりたかった。


作品内での曲の演出はどうでしょうか?

  • これでOK!
  • なんかいまいち。
  • タイミングをもう少し変えればいいかも。
  • 読みにくいので必要なし。
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