お嬢様と往く、『スーパーロボット大戦31』   作:和鷹聖

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どうもです!

最近は執筆中にトラブルがあるのが当たり前になってきました。
今回は新型コロナの職場内再流行。
職場が大混乱でした。

医療、介護系は未だにこういうので泣きを見ます。

さて、そんな鬱加減もヤバゲなネタで吹き飛ばしましょう。
(誰一人としてまともとは言わない。)


08 お嬢様、『H』の嘆きに感化される。(1)

 

『 オービットベース オーダールーム 』

 

オーダールームにて、阿嘉松長官と楊博士が面と向かってとある一件について話し合っていた。

ゾンダーやバイオネット関連ではないが、非常に無視出来ない案件の様で……

 

「──すみません、遅くなりました。」

「おお、護に幾巳。いいところに来てくれた。」

「忙しいのに済まないな、隊長に副隊長。2人にどうしても見て貰いたいものが出てきたんだ。」

「見て貰いたいもの、ですか?」

「コレだ。先日ニューデリーで起こった、機械獣の大群襲来時の映像だ。」

「これは……!」

 

2人に呼ばれてやって来たGGG機動隊長の天海護と副隊長の戒道幾巳は、問題の市街地の戦い、そのデータの内容に驚く。

大群となって押し寄せる機械獣に、まるで溶かすように撃墜し続ける混成部隊の活躍は生唾を飲むほど。

 

「凄い……でも周囲に気を付けていて、街には本当に最小限しにか被害を出してない凄い洗練された戦い方だ。この勢力の中身は見た目はMSとか、ガンダムみたいだけど現存する勢力よりも遥かに強いみたいですね。」

「だが見た事のない機体ばかりだ。これは新型を集めた連邦の特殊部隊ですか?」

「お、楊博士と同じ予想だな、幾巳。しかし残念だが外れだ。こいつらは連邦も知らん、未知の集まりだ。機械獣が襲ってきた当初は一機……それが段々と示し合わせたかのように集まって、共闘してやがる。」

「確かに。初見の集まりだったとしたら、この連携は凄い。でも一番気になるのが……これは……」

「何だコイツ……ぼやけて、はっきりと見えないな。」

「この集まりの一番の主力だろう。予想全長約30メートル……スーパーロボットにと言っても過言じゃあねぇ。その見栄えからコードネームが『見えざる者(インビシブル)』だ。」

「現場にいた民間人からの聞き取りでも、この『見えざる者(インビシブル)』の全容は肉眼でもこの様にぼやけて見えていたらしい。ちなみにこの映像は、辛うじて生きていた防犯カメラの残りの映像の一つなのだが、他にあった映像はこれよりも不鮮明だった。」

「じゃあ、これが現在『見えざる者(インビシブル)』の全容がわかる映像って事か……」

「先陣を切って戦う事から近接特化だろうが、この戦闘スタイルは良く言えば苛烈、悪く言えばえげつない。中国人としての私の見立てだが、四肢を鞭のように振り廻すこの動きは、アレンジしているが中国拳法の型『劈掛拳』もしくは『八極拳』に似ている。」

「それってこの、パンチを当てた拳が機械獣の頭をすぐさま握り潰したりするのとか、突き倒した手刀が機械獣を抉るように裂くのとか、捕まえた機械獣をヌンチャク代わりにしているとか、えげつない動きが中国拳法なんですか?」

「……すまん、それは若干違う。」

「……博士、この『見えざる者(インビシブル)』は暗殺拳の使い手ですか?素人目に見ても殺しに特化しているというか……」

「……私もそう思うよ。いち中国人としてもこれ程恐ろしい動きをする者もそうはいない。」

 

楊博士の目からして異常と言わせる時点で色々アウトな特徴を持つ『見えざる者(インビシブル)』。

 

「だが一番注目して欲しいのが、このシーンだ。」

「みんな強力な武装で攻撃して──え?これは……!」

「これは『見える者(インビシブル)』が……ヘルアンドヘヴン!?」

「しかもビームを撃ち出すだなんて……これは核摘出じゃなく、護やソール11遊星主『ペイラ・カイン』が使ったヘルアンドヘヴンだ。それに……!」

「何より姿はぼやけてやがるが、()()に光ってやがる。ヘルアンドヘヴンで銀色といや……GストーンとJジュエルの共鳴現象だ。」

 

阿嘉松の言葉に、驚愕する護と幾巳。

まるで自分達GGGの技術が知らない内に流用されているように映った。

いったい誰が……

そう思った時、そこで映像は乱れ、消えた。

おそらくカメラが衝撃で壊れたのだろう。

仕方なく巻き戻し映像を見直すと、護が何かを怪しむ。

 

「どうした、護?ゆっくり後ろに下がって……」

「あ、いや……何か遠目から見たら、見覚えが……ああ!?これ……全体のシルエットが、ジェネシック・ガオガイガーに似ている。」

「何だって!?いや……確かに似ている。」

「……やはりか。以前、君達2人がソール11遊星主との戦いから帰って来た時に、2人の証言で描き出して再現したジェネシック・ガオガイガー……おぼろげながらシルエットが似ていたからな。まさかと思って2人を呼んだんだが……」

「……けど、雰囲気はともかく戦い方が凱兄ちゃんのそれとは間違いなく違う。」

「ああ、凱さんはもっと実直な戦い方をしていた。こんな暗殺拳紛いの動きじゃない。」

 

酷い言われようである。

だが事実だ。

 

「共鳴現象、ヘルアンドヘヴン、そしてジェネシック……これは偶然なのか?明らかに三重連太陽系の戦いの事を知っているようだ。」

「長官、博士。ソール11遊星主の事……そして旧GGGの情報が洩れたという可能性は?」

「今のところない。もしあったとしても、今まで何のアクションもなかった事から、相手は公表するつもりはないらしい。そもそも、ソール11遊星主、そしてジェネシックのことを知るのは、我々GGGの一部と、最高評議会の元トップだけだ。だが、こんな形で類似する存在が現れたのは、偶然ではないだろうが、仮に情報が洩れて開発されたとしても、ここまで精度の高い偽物……いや、現GGGの最新技術を簡単に、しかも()()()()()扱う等出来はしない。」

「ああ。まるで別に理由があるとでも言いたいかのようにな……ったく、目的は何だぁ?テロ行動をしている訳じゃねぇし……」

「今のところは恣意行動ぐらいしか思い浮かばん……ただし我々GGGに対する、な。」

「……GGGの技術を扱うアンノウン『見えざる者(インビシブル)』。」

「共鳴現象、ヘルアンドヘヴン、そしてジェネシックの姿まで……いったい何が目的なんだろう?」

 

いくら姿を誤魔化してしたとはいえ、カルディナのその行動までは隠す事が出来ない。

それを取捨選択し、有力な仮説を立てたのは流石GGGと言える。

その情報収集能力は諜報部の働きもあり世界の五指に入る事が頭から抜けていたカルディナであった。

これにより密かに『見えざる者(インビシブル)』の調査に乗り出す事となり、結果大袈裟な鬼ごっこが始まる事をカルディナとGGGはまだ知らない。

 

全てが露見した訳ではないものの、余計な警戒材料を与えてしまった当人はと言うと……

 

 

 

『 C商会本社 貴賓室 』

 

「──申し訳、ございませんっ!!」

「……いや、それはもう事故の様なものだろう。イングラム、これは不可抗力みたいなものじゃないか?」

「かもしれん。だが巻き込まれた側としては堪ったものではない。」

「……その通りですわ。」

 

イングラムとクォヴレーがこの世界に跳ばされた原因がまさか、連邦本部へカチコミした時に行ったカルディナの『天使・悪魔召喚』の巻き添えを喰らって、次元の門に殺到した天使、悪魔達に押されて跳ばされた事が判明した。

2人がここに跳ばされた理由としては笑い話であろうが、その原因を作ってしまった以上、カルディナが2人に平謝りするのは自然の事だった。

 

「……とはいえ、因果律の異常の原因がこの世界にある以上、俺達も無関係ではない。不可抗力と言えど、来る手間が省けたのは事実か……」

「なら、ここを活動拠点として使わせてもらえると有難い。」

「それは勿論。喜んで協力させて頂きますわ。」

「それに……ここにアカシックレコードの番人がいる以上、何が原因か、何らかの事情は知っているだろう。」

「ん?いやいや、番人ではないぞ。俺は叢雲劾、『管理者』ではない。」

「ぬぁ~にが叢雲劾だ、『管理者』ではない、ですか。」

 

酒瓶を何本空にしたのか、周辺に大量に転がしている叢雲劾……もといアカシックレコードの『管理者』。

そして蟒蛇(ウワバミ)なのか、いくら吞んでも酔っている気配もない。

ついでに猫耳まで生えている。直生えだ。

なんだそれは!?

 

「その井〇ボイスで丸分かりですわよ!?というか何本吞む気ですか!?貴方その姿、その耳はにゃ〇こ先生の化けた姿ですの!?」

「ん?ああ、酒が入ったせいで出てしまっていたか。まあ、それもあるな。」

「あるんかい!しかもその言いよう……他にも引き出しがあるのですか?」

「如何にも。早急だったから今回用意出来たのはこの姿を含め7点ほどしかないが、どれも頼り甲斐はあるぞ。」

「頼り甲斐って、いったいどれ程やら―――」

「――剣狼よ、我に力を。」

 

その言葉と共に次元の彼方から『管理者』の前に現れた一振りの剣……それは『剣狼』。

 

「……どうだ?少しは信用出来たか?」

「〇×△□※※※……!?!?!」

「何だ、もう少し驚くと思っていたんだが……パイルフォーメーションでもすれば納得してもらえるかな?なら……天よ地よ、我に―――」

「止めい!!充分驚いてますわっ!!」

「おお、そうか。()んだ甲斐があったな。」

「……ちなみにこの世界にギャンドラーは??ハイリビードは?」

「……来ないと良いなぁ~、ないと良いなぁ~」(そっぽ向き)

「マテコラ。」

 

何だか来そうでありそうなコメントをちょろっと濁して吐き出した『管理者』。

声のせいで叢雲劾だが、その性格は色々足したようにも感じる。

そうなった場合、ギャンドラーのアジトに全力で蹴り飛ばして放っておくつもりだ。

きっと「まてぇい!」で解決してくれるだろう。

残りの6点も気になるところだが……

 

「だがカルディナ、俺を雇い入れるのは良いことだと思うぞ?具体的には()()が弾んでいれば尚善しだ。」

「報酬、ですか……?その理由は?」

「……アカシックレコードの有料コンテンツを解放してやる。報酬(おひねり)次第ではお前もまだ知らぬこの世界の侵略者(ヴィラン)達や、それに立ち向かう正義の味方(ヒーロー)達の情報を知る事が出来るぞ。」

「何で知ってますの?」

「この世界に来る際に、世界の情報は仕入れている。誰が来るか、どの『世界』の住人達がいるかは調査済みだ。」

「……ちなみに、そのお金の行き先は───」

「私のところだ。お前がこの世界のお金を落としてくれねば、私の小遣いがなくなるんでな……」

「まさか、こちらの世界での通貨しか受け付けなかったのは……」

「現地活動での換金が面倒でな。お前の世界のお金は使う予定はないし、ここの世界のお金はここでしか使えんしな、ハハハハハ。」

「───絶対、お断りですわ。」

「何故だ!?」

 

雇い入れるのはともかく、『アカシックレコード、有料コンテンツ』の裏にある酷い事実に、カルディナは財布の紐を固く絞めた。

情報は仕入れたいが、この『管理者』相手に課金等したくないのが実情である。

V.C.とレヴォリュダーの能力で情報収集無双したらぁ!

 

だが、それとこれとは話は別。

誘惑に負けて課金する未来が近い将来訪れるのは、言わずもがな、である。

 

……しかし、こんな雑談紛いの話をハマーンを余所にして、駄弁っているのは良いのかと疑問に思うだろうが……

 

「……う、ううう。」

「大丈夫ですか、ハマーンさん?」

「すまんな、アズ……だがまだ頭が……ううう……」

「ハマーンは大丈夫なのか?」

「人によりけり、と言ったところだな。許容出来ない『虚憶』ほど、頭が混乱するからな。」

 

イングラムの言葉の通り、キャパシティオーバーな『虚憶』の洗礼を受けている最中だった。

アズが介抱しているが、回復には時間の経過を待つしかない。

イングラムとは違い、かなりの時間差で来たようで、当然ながらその内容も当人には安易に許容出来るものではない。

 

「許容出来ないうちは、相当頭をかき回される感覚が襲ってくるからな。」

「ああ、イングラムも体験していたのだな。これは、かなり酷い吐き気のない二日酔いみたいな症状が出るからな。」

「え、『管理者』。した事ありますの?」

「複数の『人格』を有している場合は特にな。今回、こっちに来た時も許容出来るまでは辛かったな。お前のようにレヴォリュダーの有する高性能ネットワークを用いて分散させねば適応には時間が掛かる。」

「何だ、カルディナ。お前、そんな事が出来るのか?」

《私のネットワークを介すれば可能かと。ただ、そんな『虚憶』はお嬢様にはないでしょうが。》

「フ……かもしれんな。」

「……なんか馬鹿にされているような。」

 

カルディナ自身誰かの生まれ変わりな訳ないだろうと笑われるが、そんな事はないだろうとカルディナ自身も思う。

仮にそうだとして、誰の『虚憶』を?と思う。

そんな中……

 

(……俺は、そんな事はなかったな。)

 

イングラムと違い、『虚憶』発現の症状を体感していなかったクォヴレーは、独りだけ仲間外れ感を感じ、少しだけ寂しく思う。

一応、『α』ベースなクォヴレーだが、『OG』の『虚憶』など些細な誤差であった。症状は一切ない。

同じ『因果律の番人』なのに……

 

そうこうしているうちに、ハマーンが身体を起こせるまでに回復した。

 

「ああ、治まりましたか?」

「……ああ。だがいったい何だというのだ?まるで自分が何度も人生を体験しているかの様で、どれもこれも似たり寄ったり、だがそれぞれ違うような……」

 

(……ああ、参戦したスパロボ作品の数だけ『虚憶』を見せられましたのね。)

(『機動戦士ガンダムZZ』や劇場版『Z』の参戦時には大体いるからな。流石に『GG』関係や他のゲーム作品のものは無かっただろうな。)

 

「だが途中、見覚えはないが私の声と同じ人物の世界も追体験したような……」

 

(うそぉ!?CV:榊〇様出演の世界まで!?それは地雷、そして沼ですわ!)

(……前言撤回だな。おそらく『GG』辺りも見せられた可能性もあるな。)

 

「だが流石に後半のその辺りのものは覚えていないが……」

 

((ヨシ!セーフっ!!))

 

おおよそまとめると、アニメ『ZZ』やスパロボ作品の出演辺りの『虚憶』しか覚えていない様子。

そしえその辺りに大いに安堵するカルディナと『管理者』。

 

(……意外と、多くの世界の『虚憶』を持っていたんだな。)

(お姉ちゃんと『管理者』さんの顔芸、面白いな。)

(『虚憶』がたくさん……何か羨ましい。)

 

一部の感想はさておき。

 

「……ところで、何故私がここにいるのか、誰か事情を知る者はいないか?」

「「「「 さあ?? 」」」」

「……全員否定するのか。」

「当たり前だろう、こちらは神ならざる存在。超常の現象等、予測出来るか。」

「確かにな。」

 

イングラムとクォヴレー(因果律の番人)が何か言っている。

 

「私も知りません。」

「流石に知る訳ございませんわ。『管理者』、知ってます?」

「……いや、全く心当たりがないな。」

 

アズ(一般人(暫定))はともかく、カルディナ(レヴォリュダー)叢雲劾(人外)に問うが、唯一知ってそうな感じだが、こちらも本当に心当たりがない様子。

 

「本当に心当たりがないのですか?」

「(今回『ZZ』が出演する予定は)ないな。だが私も知らない外的因子が働いていたなら、来た理由がわかるやもしれん。」

「外的因子?」

「この場合は、とてつもない『想い』が発せられた……とか予想すべきか。ハマーンのように高いニュータイプ能力を持つ存在であれば、ある意味次元の壁を超えて『想い』が届き、世界を超えるだろう。それがこの世界の『何か』に感応し、顕現させた……と予想出来る。」

「あの場にあって、感応……あ。」

「何か心当たりがあるのか?」

「……ええ。ニュータイプならではの、とっておきの『呪物』的なものが、あの場にありましたわ。もしかしたらそれかもしれませんわね。」

「呪物……?」

「『サイコフレーム』ですわ。」

「サイコ、フレーム……」

 

───サイコフレーム

宇宙世紀0093年からアナハイム・エレクトロニクス社で製造されている、サイコミュの基礎機能を持つ金属粒子サイズのコンピュータ・チップを金属フレームに無数に鋳込んだ、モビルスーツ用構造材である。

劇場版『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』では、ライバルであるアムロ・レイと互角の条件で戦って勝つ事に拘ったシャア自身の手によって、アムロ専用新型MS開発を手掛ける同社フォン・ブラウン工場へ意図的にリークされることで、同社の多部門に精製法が広まる事となった。

鋳込まれたチップ単体では実効的な効果を持たないが、コアとなる高出力のメイン・プロセッサを配置することで非常に高効率かつ高密度なサイコミュ・システムとして機能する。よってサイコフレームをMSに採用した場合、マシンの構造材自体にサイコミュ機器(電子機器)の機能を持たせる事になるため、専用の積載スペースを配する必要が無く、単純なプロセッサ搭載量も増加する事から従来のサイコミュより受信許容量や速度が大きく向上し、更には機器の安定性も高まる。従来の材質と比較して軽く強度もあるらしい。

更にコクピット周辺(インターフェース)のみならず、フレームの関節部に分散配置することにより機体の追従性を飛躍的に向上させるという副次的な機能も確認されている……

 

……が、サイコフレームには人の意思を物理的な力に変えて膨大なエネルギーを生み出すサイコ・フィールドの発生という設計者も想定していなかった特性をも有しており、これによってアクシズ落としは防がれたが、連邦軍では未知の特性を理由に表向きな研究開発が中止された。

しかし、その後も秘密裏に研究開発は行われており、『UC計画』においてシナンジュ・スタインとユニコーンガンダムが、『袖付き』によってクシャトリヤやシャンブロなどが建造される事になった。

これらの機体がエシャロット事件やラプラス事変にて度々人知を超えた力を発現、もしくは暴走する危険性を示した事でサイコフレームは最終的に封印される事となった。

 

また、宇宙世紀0097年時点で、封印されたフル・サイコフレーム機であるユニコーンガンダムとバンシィ・ノルンの二機が『技術的特異点(シンギュラリティ・ワン)』と呼称されている。

 

(※ピクシブ百科事典より引用)

 

そしてあの量産型νガンダムには、サイコフレームがばっちり搭載された。

 

「……シャアがそんなものを?」

「ええ。ただ、その結果がまた酷いもので……」

 

自身のMS(サザビー)の他にライバルのMS(νガンダム)に搭載させるよう用意したのが、サイコフレーム。その結果、シャア・アズナブルが起こした『アクシズ・ショック』はアムロ・レイによって防がれたものの、この世界での当人達の生死は不明とされていた。

その後も『ラプラス事変』で『ラプラスの箱』……という名の『真の第七章碑文』が開示された『ラプラス宣言』で、世界は大して変わらかなったが、フル・サイコフレームを採用した一号機『ユニコーンガンダム』、二号機『バンシィ・ノルン』が人知を超えた力を発現をしてしまったため、『技術的特異点(シンギュラリティ・ワン)』として一号機は凍結封印*1、二号機は解体封印*2という処置をされてしまった。

 

「む……むむむ。」

「ちなみに、『本来の世界』では『ラプラス宣言』によるダメージは殆どありませんでしたが、『こちらの世界』では地球連邦政府の信用を失墜させるぐらいには影響があったようで。それを行った現ジオン共和国代表であるミネバ・ラオ・ザビ殿下はけっこう気を揉んでいましたわ。」

「な!?ミネバ様が……」

「はい。今後ジオンの独立、再興はせず、連邦政府と敵対する事も無く、一つの国として生きていく事を明確にして。」

「そうか……ミネバ様が、そうか……」

 

うん、うんと、どこか感慨深くミネバの偉業を噛み締めるハマーン。

だがふと違和感を感じる。

 

「ん?……何故お前がそんな事を言い切れる?」

「それはジオン共和国との食料取引の際に、直接お会いしてお話ししたからですが。」

「は?」

「これでも一企業の社長ですわ。あちらが食糧難でしたので、我が社の食料品や日常生活品等、雇用も含めてお話を持ち掛け、謁見し、取引させて頂いています。どこの企業も忌み嫌ってあまり取引先したがらないご様子でしたので、非常にスムーズな商売をさせて頂いておりますわ。」

 

現在、食料自給率が低下したジオン共和国にとっては、非常に有難い取引であり、兵器以外の雇用も進めており、宇宙にも生産プラントを持ちたかったカルディナにとって、宇宙進出の足掛かりになる理由の一つになっている。

今では国民を誰も飢えさせない程度には食料自給率は上がっているジオン共和国。

ちなみに足元を見ての取引ではなく、ミネバ本人や側近のナナイからも二度見どころか五度見されるぐらいのドン引きをされた程の真っ白で格安な取引をしている反面、何の見返りもない訳でもなく、ジオン共和国内で廃棄予定のMS数体を無償で引き取り、または譲ってもらう事で取引は成立されており、さらなる混乱を招いている。

尚、廃棄MSの使い道は、ただの技術収集の一環でしかないが、秘密裏に共和国内にコスモスシリーズの分体を国の中枢に紛れ込ませているため、全くのメリットがない訳ではない。

 

 

……だが、真相を語るなら、絶対に『祝式』の存在がトリガーとなっているだろう、とカルディナは予想する。

 

 

───祝式

それは漫画『機動戦士ガンダム ヴァルプルギス』と連動したガンダムエースの読者投稿企画「僕が考えた!ハマーンが乗ったMS大募集」に応募された作品の一つ。

 

共に並び立つという彼女の決意が形になったような

 

型式番号MSN-1122。

クワトロ・バジーナ(シャア・アズナブル)と和解し、共に歩む決意を固めアーガマ隊に合流したハマーン・カーンの専用機、というコンセプトでデザインされたMS。

 

クワトロの百式との連携を想定したため同型機をベースとしてはいるが、女性的・曲線的なデザインラインや頭部形状、カラーリングなどはキュベレイを彷彿とさせると同時に、そのディテールは敵対する者のみならず、味方にさえもある種のプレッシャーを放つ。

また、左腕部マニピュレーターの薬指には、金色のリング状の装飾が施されている。

 

武装は、花束を象った形状の「ブーケ・メイス・ガン」。

手持ち式のファンネルラックとして機能するほか、ファンネルを接続した状態で多連装ビームガンやビームメイスとして使用することもできる。

 

ブーケ・メイス・ガンの仕様から、原型である百式とは異なり、サイコミュシステムを搭載したニュータイプ専用機となっている模様。

 

あくまで応募作品のひとつであり、『ヴァルプルギス』本編にも登場しない非公式機体……なのだが、ほとんどの投稿作品がキュベレイのバリエーション機だった中で唯一ベース機体を想い人の乗機に設定し、そのうえでキュベレイのデザインをスカートアーマー等に活かしながらあまりにも一方面にぶっ飛んだデザインへと昇華させてしまったその手腕に「ガンダムエース」編集部も敬意を抱いたのか、この「祝式」だけが設定解説付きで誌面に取り上げられるという破格の扱いを受けていた。

さらに同ページの編集部のコメントでは「なかでも祝式は異彩を放つビジュアルとユーモアが逸脱していました」とまで書かれていた。

 

デザインの完成度と清々しいまでに1本化されたテーマ性(とネタ性)から、ガンダムファンの間でもたびたび話題に挙がる。

 

ネット掲示板などで取り上げられれば、シャアの「冗談ではない!」という悲鳴が湧き上がったり、「もういい加減腹をくくれよ……」「諦めてくっついてやれ」などというコメントが飛び交うこともしばしば。

 

なお、メカデザイナーはあの『ナイツ&マジック』の漫画を担当した加藤○弐氏。

 

……これぞ正にプロの犯行。

 

(※ピクシブ百科事典より引用)

 

 

(……というのが因果律レベルで関わっているんでしょうねぇ。)

 

あえて公言はしないカルディナ。

馬鹿馬鹿しくも、ある意味恐ろしい因果律の働きようである。

 

「……という訳で、偶然こうして巡り合った以上は、貴女がこの世界でネオ・ジオン再興とか言わない限り、私はある程度お世話をする心積もりは御座いますが……どういたします?」

「どう、と言われてもな……ジオンはミネバ様が立派に先導されていらっしゃるようだ。最早私にはするべきこと等、何も……」

「まあ、その辺りはお酒でも飲んで愚痴でも吐き出して下さいませ。何なら別室も用意しておりますから、そちらでお飲みになって下さい。」

「……まあ、やる事も見出せない以上、自棄(ヤケ)酒をご馳走してくれるとあらば頂こう。だが、私は酒には五月蠅いぞ?」

「臨むところですわ。」

 

そうしてハマーンとカルディナ、アズ、それとヴィータは別室に移動。

そして残された男三人は呆気に取られながらも寛ぐ事に。

 

……だが30分も経たない頃に、異変は起きた。

 

「──ふえ~~~~~ん!」

「な、何だ!?」

「隣の、カルディナ達が移動した部屋からだと思うが……

「泣いている……だが誰が?」

「何で死んでしまったんだ、シャアァァ~~~!」

「この声……ハマーンか?」

「どうする、行ってみるか?」

「……まあ、気にならない訳でもない。こんな乙女チックに泣くハマーン等異常でしかない。扉の前で状況を説明して貰おうか。」

 

そして隣の部屋の前に赴く三人は、軽くノックをし、出て来たヴィータに状況を伺う。

 

「それが、ですね……」

 

最初は不愛想ながらカルディナの勧めるお酒を口に運んでいたが、急にピッチが上がり……と思ったら、シャア・アズナブルの事をカルディナに尋ね始めた。

要求された事を多少はぐらかしつつ答えていたが、アクシズ・ショック以降生死不明……一般的にはMIA扱いで死亡している事を話すと……泣き崩れた。

ふと視線をずらすと、そこには気丈な鉄面皮の女傑ではなく、新人社会人のように泣きぐずるハマーンの姿が。

流石にこれ以上直視するのは不味いと判断した男三人は、すぐにドアを閉めた。

それでも鳴き声は嫌でもドア越しに耳に届く。

 

「せめて、せめて……私と結婚して、子供を産んで、名前を付けて……円満な家庭を築いてから死んで……いや、死なないでぇぇ~~~!!」

((( クッソめんどいッ!! )))

 

男三人はそう思った。

酒で酔った影響か、シャアとの結婚願望を垂れ流すハマーンという図式がそこにあったからだ。

 

だがカルディナ、アズ、ヴィータはそうは思わない。

カルディナとヴィータは『それ』を事前に知って、宇宙に赴いた際に()()聞いたから、表情が死んでいる。

アズはカルディナに同行し、『それ』を直に聞いたから、苦虫を嚙み締めたような顔をしている。

そして隣にいたカルディナが泣きぐずるハマーンに優しく語る。

 

「……わかりますわ、大切な(推し)が死んだ時の悲しみ。胸が張り裂けそうで、夜も眠れない程の苦しみが襲ってくるのです……ですがハマーン・カーン────ナタリー・ビアンキって方、覚えています?

「……ナタリー……ビアンキ??」

 

その言葉に一瞬、はて??といったハマーンであったが、酔いの廻る頭に徐々に浸透していったようで……

 

「……あああ、あああ、あああ、あああアアアァァァーーーー!!!!

 

壊れたように声を張り上げて嗚咽していく。

その様を見ていたカルディナは「やはり」といった様子で、そっぽ向いて一言。

 

「はい、アウト~。」

 

他人事のように宣言する。

事情を知る者にとって、カルディナには「お前に人の心はないんか!?」と言える。

そんなカルディナに、『管理者』もドン引きであった。

 

「カルディナ……お前、このタイミングでハマーンにあのナタリー・ビアンキの事をぶつけるとは……鬼か。」

「さあ?特大ブーメランがご自身に刺さったので、ちょっと一言言っただけですわ。」

「前言撤回だ、確信犯か。」

「……すまん、状況が良く読み込めんのだが。」

「ナタリー・ビアンキとは、どんな人物なんだ?」

「ああ、それはですね……」

 

───ナタリー・ビアンキ

漫画『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』に登場する女性将校。一年戦争終結後、敗残兵が集まるアクシズで活躍した。階級は中尉。19歳。

両親が幼い頃に亡くなり、義理の兄に育てられた。その兄が軍人であり、その部屋にあった写真に写る若手士官、シャア・アズナブルに憧れて軍に入る。そしてアクシズに配属されてからは、同年代のハマーン・カーンに姉の様に接し、ハマーンは彼女の存在により安定した精神状態を保っていた。

ハマーンとは年齢がやや近いこともあり(ナタリーのほうが4歳上)公私にわたって姉の様に接し、ハマーンもナタリーを慕っている。またシャアとも仕事上親しく、ハマーンの事をしばしば相談される。

優秀なコンピューター技術者であり、連邦の捕虜によるハッキング事件が発生した際には、不在だった技術大尉の代わりに連邦のハッカーと熾烈な攻防を繰り広げており、のちに評価を受けた。

一方で自らの昇進を後押ししてくれたエンツォ大佐の命により、シャアをジオン残党による徹底抗戦派に変節させなければならない。だが、シャアにはその苦しみを見抜かれ、思わず秘めたる想いを告げると、シャアは受け入れた。

 

そして、二人は結ばれた……

 

兄も亡くなり天涯孤独のナタリーの心に、温かい光が点る。

熱いほどの温もりが包み込む。

 

そうだ、これが生きる事────

 

やがてナタリーはシャアの子を身籠った。そして夢を見た。シャアと式をあげるという、どこにでもある幸せな夢。小さな夢。生きる意味を見つけた。

そう、あの人の傍にいる、ただそれだけの、しかし大きな大きな意味を───

 

 

 

 

 

……しかし、夢は突然覚めた。

 

お腹の子をハマーンに言うべきか迷った。

しかし意を決し、ハマーンにシャアと結ばれた事を告げるが、ハマーンは憧れのシャアを取られたことで激怒。

ナタリーが可愛がったハマーンは、ナタリーのせいで一気に二人の心の支えを失ったのだ。

立ち去るハマーンに哀しむナタリー。

さらにその直後、無情にも旧エンツォ派が有能な裏切り者の彼女の命を狙い、嫉妬に狂ったハマーンはそれに気が付くも見殺しにした。

 

そして、そのままナタリーは子供を産み落とすことなく銃殺されてしまったのだった……

 

その後、ナタリーの殺害の知らせを聞いたシャアは彼女を黙殺したハマーンと完全に決別、アクシズから離れる事となった……

 

シャアの周りにはララァ・スンやナナイ・ミゲルなど多彩な女性が関わってくるが、ナタリーは唯一シャアの子供を妊娠した人物であり、シャアとハマーンの決別のきっかけともなった悲劇の人物でもある。

 

 

「……要は、シャア・アズナブルの内縁の妻を腹の子供と一緒に見殺しにしたのか、ハマーンは。」

「イエッス。とはいえ、私もその存在はこの世界にはいないと思っていたのですが……まさかマ~ジで存在するとは思いもしませんでしたわ。」

「まさか……その事実ありきで、シャアに結婚を迫ろうとしていたのか?」

「でしょうねぇ……」

 

だが現実はジオンからシャアは離脱し、アクシズに残る勢力を殺されたマハラジャ・カーンに代わり取り纏め、遺児ミネバの教育、若くしての宰相の立場等でその想いは忙殺され、復縁の手を何も打てずに来てしまった。

そして『Z』でのアクシズでの再会……

 

……はい、アウト~。

 

「詳細はどうあれ、『世界』がどう変わろうが、この事実がある以上は……」

「復縁はあっても、シャア自身を変えぬ以上は結婚は無理だろう。」

「恋心を相手に抱くのは誰しもが持つ本能……だが自分勝手な意向を振り廻すのは愚かの一言。意中同士の者を蹴落とすならば、相応の罰が下る……人、それを愚者と言う。」

「ぐぬぅぅぅーー!!(涙目)」

 

男三人にメタメタに言われる始末に、ハマーンのメンタルとキャラはボロボロだ。

 

「でもシャア・アズナブルが生きていない以上、結婚も出来ないんじゃ……」

「そうですねぇ……まあ、お酒の席の発言ですから、最早実現不可能な事ですね……」

「分かっている、分かっているさ……だが、酔っている時ぐらい、夢を見たっていいだろぉぉぉーー!!」

「………」

 

アズやヴィータですら諦め、嘆くハマーン。

だが、カルディナは何も言葉を発さずに、深く、深く思慮している。

ハマーンの嘆く声をBGMになっている中、その様子に何かを察したイングラムと『管理者』。

 

「どうした、カルディナ。」

「何を黙っている、お前らしくもない。」

「……ああ、いえ。何と言いますか…………『わかるなぁ~……』って。」

「…………は???」

「ええ。ですが、私も悩んでいるのですよ?このまま何もせずにいれば、確実にハマーン・カーンが『呪い死ぬ未来』しかありませんから。」

「…………カルディナ、お前何を知っているんだ?」

「ええと、う~ん、でもこれは私一人では審判出来る事ではないので……よし!」

 

その独り百面相から決意した流れに嫌な予感を感じながらも、何を言うつもりだと気になる一同。

そして嘆くハマーンにカルディナは再び話しかける。

 

「ハマーン・カーン、そんな貴女に朗報が御座います。」

「うわぁぁぁぁぁぁぁ……朗報??」

「シャア・アズナブルは生きています。」

 

カルディナの言葉に一気に場が固まるが、気にせず話を進める。

 

「私がミネバ・ラオ・ザビ様に謁見したと先程お伝えしましたが、その時ミネバ様達のいらっしゃるアクシズ基地に秘密裏にハッキングした時の情報なのですが、現在シャア・アズナブルは『クワトロ・バジーナ大尉』として裏で動いているようです。」

「ほ、本当なのか!?」

「はい。私も噓かと思いましたが、搭乗機が『フルアーマー百式改』で、アクシズに十数回休憩、補給に訪れた形跡があったので、間違いないかと。」

 

アクシズの基地でプロテクトされていたが、補給経歴が残っていた『フルアーマー百式改』のデータ。

そしてそのパイロットがクワトロ大尉である事も確認済みだ。

つまりはシャア・アズナブルが『アクシズ・ショック』から奇跡的に生還していた事を意味する。

だが、その情報が公開されていなのは、致し方ない事。

事が漏れれば今度こそジオンは終わるだろう。

流石にそんな事はしたくないと、カルディナはV.C.に頼み、時が来るまで秘密裏に情報のプロテクトを固く処置をしたのだった。

 

その事を聞いたハマーンに希望の感情が湧くが、現実は甘くない。

 

「……ですが、先程もお伝えした通りハマーン・カーン、貴女にはネオ・ジオン云々以前に、シャアとの間には、ナタリー・ビアンキの確執がある事をお忘れず。それがある以上、結婚など夢どころか露にもなりませんわ。それどころか、ハマーン・カーンという存在が、クワトロ・バジーナ……いえ、シャア・アズナブルの今の行いに決定的な決裂を生むことは必須です。」

「そ、そんな……!」

 

悲観するハマーンだが、クワトロが動いているのはネオ・ジオンの残党が再び不穏な動きをしている、その『火消し』なのだ。

『火消し』に勤しむ理由は、おそらく償い。

そんな中、ハマーン・カーンというかつてのネオ・ジオンのシンボルが現れたら……?

連中はハマーン・カーンの意志に関係なく祀り上げて、再び戦火を広げるだろう。

それはクワトロ・バジーナとして動くシャア・アズナブルの意志に反すると、カルディナは予測している。

 

「まあ……それ以前にシャア・アズナブルに対し『この世界』で結婚を公言した場合、貴女『呪い殺され』ますわよ?」

「の、呪い…………??」

「え……それってお姉ちゃん、宇宙のあそこにいた……?」

「ええ。この世界で宇宙最強の亡霊ですわ……シャア・アズナブル専門、ですが。」

「???何を言っているのだ?」

「まあ何をするにしても許可は必要ですわね…………という事で、ハマーン。貴女には明日、私と一緒に宇宙に来ていただきますわ。」

「は!?」

「あ、拒否権はありませんわよ?拒否すれば連邦のお偉い様に問答無用で売り渡すだけですから。」

「なぁ!?」

「まあ、どうせ量産型νガンダムをアナハイム・エレクトロニクスに引き渡さなければならないので、そのついでといいますか……」

《ええ!?量産型νガンダムを返しちゃうんですか!?》

「当然よ。サイコフレームという禁忌を秘密裏に搭載した機体よ?連邦にバレたら即座に捕まるわ。」

《酷いですー!横暴ですー!私の活躍の場は───!》

「──08、AZ-M精製時で、ドリルの先端とバーニアのフィン、どっちに精製されたい?」

《……すいません、元に戻します。》

 

サクヤ08が抗議するがこれは決定事項である。

量産型νガンダムは全ての機構を元に戻すよう厳命した。

事実、サイコフレームの取り締まりは、何故か元の世界よりも厳しくなっている『30』の世界。

現在手元にある量産型νガンダムのサイコフレームは連邦も非公認なのだ。

だったら元凶をお返しするのは当然である。(迷惑料はたっぷり請求予定。)

 

ちなみにドリルの先端とバーニアのフィンは、どちらもマギウスで一番壊れやすいところで、AZ-Mによる修復がしょっちゅうされている場所である。

……08の後ろ姿が枯れ花のように哀愁が漂っていた。

 

(それに群がるように出てきたあの機械獣の群は、十中八九サイコフレーム狙いなのは容易に想像出来ますわ。)

 

これはあしゅら男爵やブロッケン伯爵等が生きている査証ではなく、もっと上───公には死んだと言われるDr.ヘルの指示だろう。

そして量産型は取り引き材料……まあ、どうとでも想像は出来る。

 

閑話休題。

 

「どうせ私に拒否権などないだろうが……いったい何処へ連れて行くつもりだ?」

「それはですね……」

「あ、まさか。」

「「「???」」」

 

アズだけがわかったらしい。

 

 

『 宇宙 アステロイドベルト 』

 

「───という訳でやって来ました、宇宙はアステロイドベルトですわ~。」

「「「「………」」」」

 

翌日。

一人だけ盛り上がり、他は全員ドン引きするほど早く、速い展開に絶句し、困惑する一同。

宇宙はアステロイドベルトに、全員がパイロットスーツや宇宙服を来ていた。

ちなみにカルディナはレヴォリュダー故に、生身でも宇宙空間を行動できるが、それをやると独りだけ浮くので、宇宙服を着ている。

 

「朝早くにシャトルで宇宙に上がったと思ったら、ワープでここまで来るとはな……」

「流石に展開が早いぞ。」

「お褒めに預かり光栄ですわ。」

「……褒めとらんわ。」

「で、何をする気だ?アズは解っていたようだが……」

「ここには以前お参りに来たんです。」

「お参り?」

「と言ってもお姉ちゃんの身内とかじゃなく、宇宙で亡くなった人々の魂を慰めるためにって、ここを訪れた事があります。」

 

地球もそうであるが、宇宙にも死者の魂は漂っている。

特定の墓がある者ならそこに。それ以外ならまつろう魂、そしてまつろわぬ魂となりて輪廻の内外に漂う。

ただし、定期的に参拝する者、その者を想う者がいれば輪廻へ正しく還る『まつろう魂』となり、それ以外の怨念やしがらみにとらわれ続けている魂は『まつろわぬ魂』となって、現世に悪さをする。

極端な話、『第三次α』での『霊帝』と『無限力』の関係を思い浮かべて頂けるとわかりやすいかと。

そして多々ある戦場で散った魂や、陰謀でこと切れた魂は『まつろわぬ魂』になりやすい傾向がある。

 

「お姉ちゃんはその『まつろわぬ魂』を少しでも慰めに宇宙に上がった時はここに来ています。」

「なるほど……その魂が集まり易い場所が、このアステロイドベルトか。」

「クヴォレー、やはり判るか?」

「ああ……その手の存在とは常に対峙して来たからな……ここに漂う魂達は、非常に穏やかだな。カルディナは死者達と心通わす術を持っていたとはな。」

「ああ。私の友人の1人に、死霊術に長けた子がいまして……マギウス・ガオガイガーにもその技術は使用されていますわ。」

「そうなのか。」

 

具体的にはマギウスマシンのコックピット、天使や悪魔達を格納する『霊櫃』という機関である。

その天使、悪魔達はカルディナの指示の下、生身で何か『場』を作っている。

天使、悪魔に宇宙などの局地行動は何ら影響もない。

 

「だが、お前達が活動を始めて一か月程だと聞く、そこまで頻繁に宇宙に来れたのか……あ、いや、何でもない。」

 

『ESウインドウ』とは非常に便利なものである(皮肉)。

 

「お嬢様、準備が整いました。」

「宜しい。では始めましょうか───」

 

お出でませ お出でませ お出でませ

望むもの 待つもの 往くもの 逝くもの

彼のもの 待ち人 彼のもの 送り人

のぞまれ のぞみ のぞまれ 参りました

そのお姿 御見せくださいませ

 

呪文のように言霊を紡ぎ、力ある言葉として表す。

それは呪術の得意な友人と作り上げた、カルディナお得意の魔法の一つ『降霊術』である。

用意された『場』に、霊が集まる。

それは不快感も感じさせない、神秘的な光を発しながら集まり、束ねられる。

 

同時に『場』を中心に、アステロイドベルトの無機質な風景が変化───神秘的な空間の中に、お茶会が似合う中庭の庭園が現れた。

と、同時に全員の姿がパイロットスーツや宇宙服から私服に変わった。

 

「これは……?」

「ああ、視覚に干渉しているだけで、そう見えるだけですわ。」

「なるほど。実際はパイロットスーツや宇宙服のままか。」

「これから起こる事にかんしては、風情があった方が良いので。」

 

令嬢らしく、お茶会の場は誰であろうとも大切にする。

そして庭園の中心に、一人の人物が人の形として顕現する。

その人物はダークカラーの青い髪を団子に束ね、インド系の浅黒い肌、額にヒンドゥー教の女性がしているビンディが見られるその人物は───

 

《……久しぶりね、カルディナ。》

「お久し振りですわ、ララァ。」

 

ララァ・スンである。

 

「こちら、以前ご希望されていましたファッション雑誌です。」

《ありがとう。以前見せてもらったものから、気になってたのよ。》

「そういう事はおまかせあれ。」

《さすが。持つべき友に社長は心強いわ。》

「お久し振りです、ララァさん。」

《あら、アズ。いらっしゃい。》

「「「「 ……… 」」」」

 

友達に文字通り挨拶するノリのカルディナとアズに、絶句する一同。

ララァさん、意外とミーハー。

だがハマーンの挙動は「エ、ナンデ……」とガクブルだ。

そんな一同にララァは気付いてカルディナに尋ねる。

 

《あちらの皆さんは……?》

「諸事情あって、この世界に跳ばされました方々ですわ。それと……あちらがハマーン・カーンです。」

「───!?」

《……そう、貴女が。》

 

平静を装いながらも品定めをするような視線を送るララァ。

その視線は氷のように冷たい。

 

《………》

「は……はじめまして……ハマーン・カーンです……」

《……ララァ・スンよ。大佐から、話ぐらいは聞いてるわよね?》

「は、はひ……」

《……まあ、立ち話もなんだから皆さん、いらっしゃい。それともう一人、呼んでいいかしら?》

「はい。」

 

そうしてララァ顕現と同じように霊が集まり、現れたのは───赤子を抱えた若い女性であった。

 

《……お久し振りです。カルディナ、アズ。》

「お久し振りです。母子ともに御健全で何よりですわ。」

「お久し振りです。うわぁ~、可愛い……」

《あ~あ~、う~。》

《ありがとう、この子も喜んでいるわ。》

《きゃっきゃ》

 

金髪の赤子はアズにあやされて喜んでいた。

ここがアステロイドベルトだと思わなければ、ここは良いところだと勘違いしてしまう程にのんびりした場所である。

そんな和気あいあいとした光景であるが、ハマーンは一人違った。

ララァ・スンもそうだが、赤子を抱く女性から目が離せられない……いや、離せる訳がない。

その人物をハマーンは知っている。

ハマーンだけはこの場にいる誰よりも知っている。

ハマーンは今までに感じた事のない不安を胸に、恐る恐るその人物の名を口にする。

 

「……ま、まさか、ナタリー、なのか??」

「お久し振りですね……ハマーン。」

 

アクシズで暗殺されたジオンの技官であり、唯一シャア・アズナブルとの子を成した人物───ナタリー・ビアンキが赤子を抱いて微笑むのだった。

 

 

《 NEXT 》

 

 

 

 

 

*1
半ば簀巻き状態。だって、コイツバラバラにしても気付いたらまた元に戻ってるんだもの、どうしたらいいんだ!?

*2
……いや、自分は兄貴ほど荒ぶってませんよ(過去の自分の行いに目を逸らしながら)






GGGには怪しまれ、ハマーンには泣かれ、カルディナさんが同情したのも束の間、気付いたらアステロイドベルトにい
る赤グラサンの第一夫人と第二夫人がハマーン様の前にお出ましする、謎のイベント発生だ!


……色々詰んでません?
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