起きたら尻尾が生えていた   作:カピバラバラ

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起きたらアイツが居た

 

『ユウは綺麗な髪してるよねぇ〜…さらさらで、ふんわりとした…』

 

 

『羨ましい?』

 

 

『お母さんね、一番羨ましいと思ってるのはアンタみたいな遊び方と寝方してこんな綺麗だって事よ???』

 

 

『手入れが必要な人は大変だねー!!あはは!おしりフリフリ〜!」

 

 

『はいゲンコツ』

 

 

 

 

 

「うぅ…」

 

 

お嫁に行けなくなっちゃったVer.2…。

 

 

「凄い!幾ら切っても元に戻るんだね…!!伝説の鬼の瓢箪の様だ、切っても切っても目を離せば元に戻っている、瞬きであってもだ…ユウさんの力かな?」

 

 

「いや別にそういう訳じゃ……それと尻尾が元に戻ったとしても、私の精神ゲージは元に戻らないんですけど?」

 

 

「あはは、ごめんごめん…それじゃ、約束の品を渡しておくよ」

 

 

「わーい」

 

 

御札を早速使ってみたいんだけど、どうやって使うんだろう…?なんか呪文を唱えてたけど…。

 

 

「おっとそうだ、渡す前にユウさんがパスワードを決めておいてね、自分が唱えた言葉で発動する様に刻んでおくからさ……阿求さん、彼女は妖力の心得がお有りで?」

 

 

「いえ、彼女は…ーー色々と複雑な事情がありまして、この後に寺子屋へ慧音さんのお力を借りようとしていた所です」

 

 

「了解、それじゃ私の霊力でやっておこうか…パスワ、あ…しまった、えっと合言葉を変更する時は私の所へまた来てね」

 

 

「大丈夫大丈夫、私外来人ですから横文字は理解してーー」

 

 

ポコッ!

 

 

「いたぁい!」

 

 

「ユ・ウ・さ・ん??迂闊な発言は控えて下さいね???…霖之助さんだからいいものを…」

 

 

「へぇ…外来人だったのかユウさん…それでいてその尻尾……ははは!面白いお客さんだね、本当に」

 

 

「ごめんなさい…」

 

 

「はぁ、全く…分かりましたから、合言葉を決めたら寺子屋へ行きますよユウさん」

 

 

「はーい…それじゃ合言葉は…」

 

 

うーん、ちょっと厨二臭いけどお母さん関係……というか分かりやすくて幻想郷っぽいのにしてた方がいいかな?

 

 

「『金色の名のもとに』でお願いします、ちょっと恥ずかしいけど」

 

 

「いやいや、良いんじゃないかな?名前を使ってコンジキ、とユウさんのカネイロで掛けれてるし、幻想郷では言葉は時に力となる…………よし、それじゃこれからこの御札はユウさんの物だ、不具合があればまた香霖堂へ」

 

 

「やったぜ、ありがとうございました!」

 

 

この世界で始めての魔法らしいアイテムGETだぜ!これもあれも依頼人様とやらがお金置いといてくれたお陰だけど。

 

 

「ありがとうございました霖之助さん、それでは失礼します」

 

 

「またねー霖之助さーん、ありがとー!」

 

 

「はいはい、茶器は片付けておくから置いといて……それじゃまたご贔屓に宜しくお願いするよ、ユウさん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

 

「…なんですか?しみじみとした顔をして」

 

 

いや〜……良いお兄さんだった。ここに来て『普通のコミュニケーション』が出来ることに感謝する事となるとは…。

 

 

何から何まで気のいいお兄ちゃん的な感じだったから、案外肩の力を抜いて話せたわ〜…怒られた後に連れてこられたからどんな所かとビクビクしてたけど、本当に普通の人だった。

 

 

しかも現代文明とマジックアイテムとかいうファンタジーの2足のわらじ履いて、あんなふつーーに暮らしてるんだから驚きだよ、もっと科学とか『妖術だー!』ギャーっとか言ってるもんかと。しかも霊力使えるときた。

 

 

「霖之助さんは純粋な人間なんですか?」

 

 

「いえ、彼は妖怪と人間のハーフですよ、あの見た目より数百倍は年齢を重ねているかと」

 

 

「ほ〜…あんなに人っぽくてハーフなんだ」

 

 

凄いな、完璧に人だと思ってたけど…まぁそれなら人里で店を開いてるか。

 

 

「尻尾は方が付きましたし、後は妖術ですね…」

 

 

「その、行こうとしている寺子屋って場所にもそんな人と妖怪のハーフのお方が?」

 

 

「そうですね、人里で寺子屋を経営している彼女…慧音さんは、白沢と呼ばれる妖怪とのハーフです」

 

 

「弁が立ち、教鞭を取れば悪童も真っ直ぐに……そんな彼女の寺子屋の学習書には私が手掛けた書籍が多くあります、まぁ慧音さんの為に流したものですが」

 

 

「なるほど〜…」

 

 

あ、そうだそうだ…稗田阿求ちゃんも妖怪なのかな?見た目が小学生っぽいにしては領主だったり博識だったり、今だって手掛けた書籍、なんて言ってたし………………。

 

 

……ん??

 

 

「……阿求さん」

 

 

「なんですか?」

 

 

「フルネームって、稗田阿求ですよね?」

 

 

「そうですけど」

 

 

……んーーーー?

 

 

「はッ!!!」

 

 

なーーーんか、なんか聞き覚えのある響きだと思ったら!!!

 

 

『稗田阿礼』じゃん!!国語、古典の授業とか小説で出てくる人!!

現実じゃ男だし、阿求で名前も違うけど……もしかしたら、稗田阿礼と妖怪の…!

 

 

「失礼ですけど…ご年齢は……」

 

 

「…あ〜そういう事ですか、詳しくは説明していなかったですね、ですが別に私は妖怪とのハーフという訳ではありません」

 

 

「掻い摘んでお話しましょう、私、稗田阿求元い稗田家とは…ーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…ーー寺子屋前。

 

 

 

 

「なーーーるほどーー!?!?」

 

 

「面白いものでしょう?人里とは」

 

 

すんごい歴史だった、というよりは凄まじい、かな。

 

 

記憶とは如何なるものであるか、人を定義し、人が人足り得る『何か』についても考えさせてもらったよ。

 

 

「そもそも幻想郷って魂が実際にあるんですね!?まさか転生って単語をここで聞く事になるなんて…閻魔様もそうだし…」

 

 

『幻想郷には神も、魔もありとあらゆる存在がいる』

 

 

アリスお母様の発言が今になってズンと心に来る。

 

 

「そんなドタバタで忙しいのに、私のせいで時間を使わせてしまってるんですね……本当に申し訳ない」

 

 

「いいえ、それに関しては気にしないで…私は繋がりを大切にしたい人間だから、ユウの様な愉快なひ…と、は…んんッ、人は幾ら居ても嬉しいわ」

 

 

後、話しながらここまで来て大分仲を縮めれました。阿求ちゃんにとって目新しい反応をしてくれる事自体が嬉しい様で、わちゃわちゃしながら、思っきし寺子屋っぽい場所の目の前まで来たという訳なのです。

 

 

阿求ちゃんの生き様は凄まじい、死体に熱血を灯す、冷血を火傷しながら飲み干していく、死や生に人一倍博識なのに、自身の命は幻想郷縁起の為に通貨の様な使い方をしている。

 

 

けれど、そんな何度も別れと出会いを繰り返す彼女は、思ったよりも…そう、ただの少女だった。

 

 

「着きましたよ、寺子屋です……慧音さん、慧音先生!いらっしゃいますか!」

 

 

寺子屋の門を叩いて寺子屋の主を呼び出す阿求、そんな姿を見て、その声を聞いていると…。

 

 

(……?)

 

 

何か、心にとっかかりが……。

 

 

ドタドタドタッ!

 

 

「はーい、慧音先生は今授業中でーす!あきゅーお姉ちゃん!」

 

 

門を開いて出てきたのは小さな子供、どうやら代理みたいだ。

 

 

「ん、ありがとうね…上がらせてもらっても良いかしら?」

 

 

「うん!いいよー!それじゃあねー!宿題してくる!」

 

 

「…子供は元気で可愛らしいね、阿求さん」

 

 

「貴方も幼子と見間違う様な容姿ではありますけどね」

 

 

「へーーーんだ!阿求ちゃんよりは身長高いから!」

 

 

「…はいはい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁ、てな訳で寺子屋に上がらせて頂いてゆったりしとりましたと。

 

 

「生徒の数はそこまで少なさそう?」

 

 

「そうですねぇ…そもそも人里には学問を幼い時から治める文化はありませんから」

 

 

「ふむふむ」

 

 

キーンコーンカーンコーン……。

 

 

 

そうチャイムが鳴って、子供達の挨拶が聞こえてくる。

 

 

 

『『慧音先生!ありがとうございました!』』

 

 

 

…チャイムあるんだ、そこまで古い文化では無いのね。

 

 

 

「行きましょう、慧音先生の元へ」

 

 

昔ながらの木で出来た床を歩く、ギシリギシリと音が鳴るというのも現代っ子である私からすれば初めての経験だ。

 

 

窓枠も木、壁も天井も階段も木。コンクリートに慣れた身からすれば、落ち着きのある雰囲気の筈の木造建築の寺子屋が妙に物新しい感覚を与えてきて面白い。

 

 

『建物』から『香り』がすることなんて無かったからね。

 

 

「おっけ〜……んー…慧音、慧音……」

 

 

なんか、なーーんか聞き覚えのある様な……。

 

 

そう思いつつ生徒が殆ど教室の外に出て、そこに足を踏み入れた時の事だった。

 

 

 

 

「ありがとーけいねー」

 

 

「あぁ、昼休みが終わったらまたちゃんと来るんだぞ」

 

 

「わはー授業はよく分かんないけどわかったー」

 

 

「ぬぐぐ…これでも工夫は続けてるんだがな、全くお前ら三人は……」

 

 

「あたいは全部解っちゃったもんね!ルーミアと違って、あたい天才だから!」

 

 

「チルノちゃん……本当に分かったの…?」

 

 

 

 

()()

 

 

 

 

「お前」

 

 

 

『慧音が言ってたもん…ーー』

 

 

 

「んー?」

 

 

 

「お前、お前か?あぁお前だ、金髪」

 

 

 

そうだ、慧音という名前、あの時に聞いたんだ。

 

 

 

「おお!阿求じゃないか珍しい、その隣の口が悪い奴は新しい生徒か?」

 

 

 

「ちょっと、ユウさん?ごめんなさい慧音先生、お力を借りに来たのに……ユウさんも急にどうしたんですか?…ユウさん?」

 

 

阿求が呼び掛けるも、ユウの視線はルーミアから離れず、またルーミアの目線もユウから離れない。

 

 

深紅の瞳と深く淡い青の瞳が見つめ合っていた。

 

 

人生はいつだって唐突で思い通りにはいかないけれど、因縁というものもある……だからこうやって思わぬ形で、仇敵と再開する。

 

 

 

「……あは♡もしかして…姿は変わってるけれど、あの時の餌なのかー?生きてたのね、すごいわ!」

 

 

 

「餌はお前だ、金髪…散々食い散らかしやがって」

 

 

 

「そーなの?…お口も随分と治って話せる様になったのね……その口、また塞いであげるわよ?あの時みたいに♡」

 

 

 

「クソガキが…!!」

 

 

 

食べ応えの無い(チビガキ)身体だけど、味だけは人生で最も美味しかったわ〜……そうねぇ、もう一口、欲しいくらいに」

 

 

 

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