起きたら尻尾が生えていた   作:カピバラバラ

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起きたら森の中にいた

「ねぇ」

 

 

ん…

 

 

「ねぇねぇ」

 

 

んん?んーー眠い…。

 

 

「貴女、食べてもいい人類?」

 

 

…はい?

 

 

「はい!!起きます!たべないでくだふぁい!だべちゃダメ美味しくない惰性のりのりで食べたらおなか壊しちゃうよ!!!」

 

 

「そーなのかー、それじゃ食べない、お腹すいてないし、ばいばい~」

 

 

「ば、ばいばい!」

 

 

なんか…え?黒い球体になって飛んでった…。

 

 

「……うーん」

 

 

「…さて」

 

 

目覚めたら尻尾が生えていた、なんて言ってた朝が懐かしい。

 

 

「どこ、ここ」

 

 

密林ムシムシどこここズンドコ、眼が覚めたら体が小さくなっていたどころの騒ぎじゃない、なに?誘拐でもされて山奥に捨てられた?

 

 

「病院で見せつけちゃったし、熱心な環境保護の方が偶然私を見て、野生動物は保護して自然に返すか~!…なわけあるかい!!お母さん居る!?いなぁぁぁぁいいい!!!?」

 

 

この場所…なにか、変、ですよn…ゲホッゲホッ、てか起きて目が合ったものごっつい可愛い金髪の子に捕食宣言されたんだけど?

頂かれ系女子なんてなりとうないんだが??

 

 

「まて、整理、整理しろ私、このままじゃ常夏イン森の中くまさんに出会って虫の肥やし!」

 

 

「荷物!携帯がぽっけに…消えてる!?おい!!」

 

 

私のバイト15万円分!!

 

 

「ここに来る前の事!……そもそも車内走行中だったんだけど!?ん~寝ちゃったんだっけ?いやぁ…思い出せない…」

 

 

なんか、なんかいろいろあった気がするんだけどなぁ。

 

 

「……尻尾、あ!見た目…!」

 

 

自分の身体をペタペタと触って、手のしわもよく見てみる。

 

 

「お、お母さんの身体だ…」

 

 

「…どうやって元に戻すの?ていうか絶対に尻尾が関係あるよね?どう考えてもコレが原因でここにやってきた感じだし…狐の尻尾で変化はもろ妖怪過ぎない?」

 

 

頭によぎる遭難の二文字、いや、あんな女の子が遊びに来れる場所なんだから近場に家屋がある筈!

 

 

うなれ現代人の知能!昔とはちげぇんだ昔とは!ウチの近場の山とか森ならランニングコースにしてるから全部知ってる!更に方角の調べ方だって知ってる!!

 

 

勝った!早くここから出てお母さん探して帰るぞ!

 

 

「うおぉぉぉぉぉ!!!」

 

 

 

 

…数時間後。

 

 

 

 

 

 

「うぉぉぉ…」

 

 

…悪い予感がしてきた。どこに行っても見たことのない木、見たことのない植物、見たことのないキノコ。

 

 

ワタクシ腹が減りましたでごわす。

 

 

「………は?」

 

 

極めつけは…。

 

 

「ナニアレ??」

 

 

なんか…光る虫、っていうか、人?

 

 

…あ、葉っぱについてる雫飲んでる、くぁわいい、持ち帰って育てたい。

 

 

「じゃなくて、マジでなんだあれ」

 

 

見た目が既に理屈に合ってない、あのサイズと飛行能力を持っていて完全な人型だ。

 

 

一回山で虫取り合戦してたから分かる、あんなもの現実に存在しないドファンタジーな生き物…。

 

 

「人型なだけだ、人じゃない、完全に分類としては虫だよね」

 

 

パタパタと可愛く羽ばたいている羽を見てみると、昆虫のそれに近かった。つまるところ人に見えるだけだから話しかけるなんてあほみたいなことしても通じないだろうし…。

 

 

「うーん、一回捕まえてみないとわかんないなぁ…ここがどこだか分かんないし、携帯もないし、お母さんは居ないし、こういう時は…」

 

 

昔っからよく迷子になって、数日帰らなかった事が何度もある私に、母はこう命じた。

 

 

『遭難しても、ぜっったいに見つけ出すから、ユウは生き残ることだけを考えなさい』

 

 

「よく考えたら私がウロチョロしちゃダメじゃん、お母さんが誘拐犯に負けるなんて考えずらいし、すぐに警察呼ぶだろうからこの森で少しの間野宿でもしないとね…」

 

 

私のいいところ発表します!切り替えが早いです!!新学期に間に合わないこと確定してますけどね!!!

 

 

まぁ迷子遭難の鉄則として、その場所から動かない、知らないものは口に入れない、知らないキノコを口にする=死。

 

 

「もう、さっきの女の子にビビらず帰り道教えてもらえばよかった」

 

 

小5のような子で洋服の少女が森を歩き渡れるからって油断はするな、私は知っている、親戚の子供を山に案内しようとすると、私にとっての順路を辿れば一瞬で帰れるけれど、未知の人からすれば出口のない迷宮と同じだ。

 

それで親戚の子を迷子にさせちゃってばちクソ怒られた。

 

 

「そうなるとやることは一つ、ご飯の確保かぁ」

 

 

…知っているだろうか、皆の衆。

 

 

虫は意外と栄養価が高い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふんふふんふふ~ん」

 

 

「なんて天気の良い日!妖力の満ちた良い風~!」

 

 

「朝梅雨の雫もあちらこちらにあるし、陰気も少ない、こんなお昼が毎日訪れたらいいのに…」

 

 

そうやって気分良く散歩をしていると、座り心地のよさそうな切り株にたくさんのキノコと木の実が置いてあるのを見つけた。

 

 

「あら、ご丁寧に葉っぱまで敷いちゃって…」

 

 

「誰かのお昼ご飯なのかな」

 

 

美味しそうな木の実を見ていると、ぐぅ、とお腹が鳴る。ほかの妖精から教えてもらったお腹が減る時間、というのを迎えたみたい。

 

 

「………」

 

 

「まぁ誰も見てないしたべてもいっか!いただきまーす!」

 

 

切り株に座って、葉っぱを持ち上げて木の実を口の中に入れる。

 

 

最高のシチュエーションに最高の置き木の実、働かずして富を得た小さな妖精。

 

 

青い青い空を眺めながら呟いた。

 

 

 

「あぁ、今日は最高の日…ーー」

 

 

 

 

そしてそれはその妖精が見た、今夏最後の景色である。

 

 

 

 

 

「いただきます」

 

 

 

 

 

次に起きるときは夏の終わりだろうか?夏の空を見上げたまま、小さな妖精は華やかに散っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……しゃべってたよねぇ」

 

 

「やらかし?やらかした?」

 

 

「いや、あれは鳴き声、そうだあれは鳴き声…そう思っとこ」

 

 

というわけでカブトムシ方式で餌を撒いて捕まえちゃいました、力加減が分からなくて手を開けたらぐったりしていたけど。

 

 

「うーん、殆ど人の見た目だなぁ…食べれるの?コレ」

 

 

「羽は可食部じゃなさそうだし、いったんもいで…あれ?」

 

 

もがせてもらった羽が、その体から離れるとともに光のように消えていく。

 

 

それに伴って捕まえた虫の身体も消え始めていた。

 

 

「うわぁぁぁぁ!?勿体ない!!ちくしょーどうとでもなれ!コオロギ食万歳!!!」

 

 

日本の進んだ虫方面の食文化万歳と祈りながら、その小さな身体を思いっきり口の中に放り込んだ。

 

 

「……」

 

 

「…」

 

 

「無味!!!」

 

 

しいて言うなら木の根っこの味!爽やかフルーティーな自然100%のお味ですよ!!

 

 

「まぁモグモグできるからいっか、咀嚼を楽しむ時間がはじまっちまったよこれ…」

 

 

「ふーん?食感は良いね、ゴボウを食べてる感じ…んまぁそれって良いと呼べるのか??」

 

 

もごもごもぐもぐと、青空を眺めて数分。私の中の何かが満ち足りた頃。

 

 

「…ごちそうさまでした、ごめんね、次見つけたらお持ち帰りにしておくから…自然に影響が出ない範疇で」

 

 

ようやく一息ついて、色々と考え事をする。

 

 

「んー…」

 

 

「はぁ」

 

 

大きくため息を一度吐き、さっき食べた虫の食べようとしていた木の実を口にする。

 

 

「幻想郷、か」

 

 

気絶する前にかすかに聞こえたあの言葉、この場所の名を指していたらいいんだけど…携帯があれば調べれたのになぁ。

 

 

「どっかの名所の名前だったりしないかな、そしたらまた人と出会えるかもだし」

 

 

「……」

 

 

「はぁ」

 

 

「ソファーが恋しいよ、お母さん」

 

 

「待ってるから、ね」

 

 

 

その後は、もっふもふの尻尾を枕にして休むことにした。

 

 

無意識かどうかはわからないけれど、より身体に近く抱き着いていたのは、目覚めた後よだれでべちょべちょになった尻尾を見て知った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふっ!はっ!へぁぁぁぁl!!」

 

 

 

はい、というわけで日にち飛ばして十日目の私です。どうも。

 

 

 

「うぁぁぁ!!うぉぉぉぉぉ!!!」

 

 

 

今現在何をしているかといいますと、森の中心で奇声を腹の底から出しています。

 

 

 

「あああああぁぁぁぁぁl!!!」

 

 

 

そうですね、変態そのものです。

 

 

違うんだ、こんなことをしているには理由がある。あれっきり見つけられなくなったあの金髪の子をこうやって大声を出していたら見つかるかなって。

 

 

嘘です。

 

 

本当は余りにも寝心地の悪い場所で日を過ごして、わけのわからない虫食べて、新学期遅刻確定演出のストレスを腹から出し切ってるだけです。

 

 

トイレはどうしたかって?察せ、風呂はどうしたかって?察せ。

 

 

「せめて雨降れよ!!完全に雨宿りできる空間自分で作って、服とか体とか雨で流そうとしたのに!」

 

 

「このままじゃお母さんの見た目で変態行為繰り返す犯罪野郎になっちゃううう!!」

 

 

「愛しのマイベストマザー!まだ時間かかりそうですかぁ!?」

 

 

『後数年かかりそうだからがんば』

 

 

空の彼方にイマジナリーマザーがグッジョブしていた。

 

 

「耐えれるかぁ!!一人ノリ突っ込みの限界が近いんですけど!?」

 

 

もう毎日こんな感じです。

 

 

食べれるものは判別つけたし、まだ大丈夫だけど衛生面の限界が近い。

 

 

あとあの虫も襲いすぎたのか全然見かけることがなくなって、マジでお腹がすいている。

 

 

「へぁ~…どっからともなく救世主が降りてこないかなぁ」

 

 

…やっぱり言霊って実在するんですかね。

 

 

「ねぇアンタ」

 

 

後ろから久々に人の声が聞こえてきたのは、ちょうどそうやってぼやいた時の事でした。

 

 

「…あうえ!?はい!はいはいはい!!呼びましたか!?」

 

 

「依頼で来たんだけど、やたら森で奇声発したり、妖精を食べてるって噂になってたのはアンタ?」

 

 

「依頼!!やったーー!!家に帰れる!すんごいコスプレの人だけどようやくマイラブマザーの元へ…」

 

 

「アンタかって聞いてんのよ、答えなさい」

 

 

「あ、ごめんなさい、普段はこんなテンションじゃなくて、今がおかしいだけなんですけど、そうですね、ちょっとストレス発散とご飯調達のために…え?妖精?」

 

 

「あっそ、分かったわ、それじゃ…」

 

 

「さようなら」

 

 

「へ?」

 

 

そうして、謎の光に包まれたのと同時にまた私は意識を失ってしまいましたとさ。

 

 

 

 

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