「ふははは!進めー!私のモフ要塞Mark2!!」
「凄ーい!!どうなってるの〜!?キャハハハ!!」
解説しよう!モフ要塞Mark2とは…!!
ルーミアとの修行によって変化の術をちゃんと扱える様になった私が、自分の尻尾をMade-to-orderしてッ!!
自由自在に形を操りッ!完璧なヨギボーとして座れる様にした形態の事だぁッ!!
という訳で、私ですどうも。今現在はこのクソデカい尻尾を変形させてフランちゃんを乗せて運んでます。お外の庭でレミリアさんの所寄る前に遊んでる。
ちゃんと葉っぱを日傘に変化させて、尻尾に挿して日陰を作っているのでヴァンパイアでも安心安全!変化させる過程でぶっ刺しておくと、毛が絡まるから固定される。
尻尾の馬力がどっから出てるのかは分からないけれど、乗せても全然重たくないから全力で走れます、フランちゃんが軽いのかな?
「ふははッ!フランお嬢様、お飲み物は如何ですか?お食事は?」
「え〜?それじゃジュースとプリン!」
「注文承りましたぁ!」
そして私の変化の術、その真髄を教えてやろうッ!!
ルーミアに教えられ、恐らく私だけが出来ると言われた秘技だ。
「うーーん……よいしょっと」
「わ!本当に出てきた!」
尻尾から小さいテーブルを生やして(根元は毛のまま)、その上に変化させたプリンとオレンジジュースを生やしてあげる。モチのロンスプーン付き。
「あーん……うん、美味しい!」
そうさ、私の変化の術…なんとイメージした物体を再現出来るみたいなのです!!
初めて見せた時はルーミアの表情が物凄いことになってたけど、詳しく聞いてみると、見た事も無い位に変化としての精度が高いらしい。
……まぁ、精度が高いからって本当に物質が変化してるのは如何なものかとはちょっと思ってるよ?でも狐変化ならこんな感じかな〜って。
ちなみに、このプリンの参考元は私のお母さんです。ジュースは市販の奴。
「このまま空の旅でもしましょうか?フランお嬢様」
「行きたい!あ…でも、お姉さんレミリアお姉様のお客さんでしょ?黙って行っちゃったら怒られちゃう…」
「ふっふっふ……ならば、許可…取りに行こ!フランちゃん!」
「え…?いいの?」
おいおい、またお姉さんと呼んでくれた子を見捨てるとでも?もうお姉さんフルパワーで働いちゃうぜ?このままレミリアさん所寄ってお出かけ報告直行だ!!
帰るのはキャンセル!この子の失われた495年を少しでもいいから取り戻してあげようじゃないの!!
…それと、ちゃんと事情を聞かないとね……こんな良い子を495年閉じ込めた、納得出来る理由ってのをなァ!ウラドヴァンパイア!
あ、でもメイドさん呼ぶの止めてね?漏らすから、無理怖い。
「出発進行ー!ちゃんと尻尾にもたれかかっててね〜!」
「うん!」
■
《何の変哲もない動物の毛ね、染色体やその他構成物資も特に異常は無い、本当にただの狐の毛》
「そう、ありがとうパチュリー」
《……まぁ、でも聞く限りだと…『何の変哲もない』という部分が大問題なのだけれど…》
「……」
《気を付けなさい、貴方で手網を握りきれなければ、紅魔館にとってどんな影響があるか…ーー》
静かに目を閉じ、紅茶を啜り警告を頭に刻む。
そして向こうからやってくる大きな声の持ち主に、軽くため息を吐く。
「レミリアさーーーーん!!!お話いいですかーー!!」
《…ほら》
「……全く」
「お姉様ー!お出かけしてきていいー?」
「妹様!?どうして…いや、それよりもお客様からお離れ下さい!すぐに準備は致しますので…!!」
「嫌!私ここがいい!」
「んふふ…」
フランちゃん可愛いポイント+1000000点!!お姉さんの尻尾気に入ってくれたみたいだな!まぁ私もこれより心地良いモノ作れないし、気に入ってくれて良かった。
「妹様…」
「…随分と遅いお花摘みだと思っていたら、こんな事になっているとはね……全く、『見えない』のがここまで不便だとは…それと、フラン?外出の許可は出せないわ」
「えー…なんでー!」
「駄目なものは駄目、早くその方から降りて部屋に戻りなさい」
案の定許可は取れんか……そりゃぁ長年閉じ込めるにも理由があっての事だわな、これからは私の説得に掛かってる。
「……レミリアさん、帰り道にフランちゃんと会って色々お話を聞いたんですけど……これが失礼な事だったら申し訳ないですが、495年もの年月…フランちゃんを閉じ込めてたって本当ですか?」
「ええ、本当よ」
「……何か、事情があるんですか」
「そうね」
「教えて欲しいとは言いません、私が踏み込むべき話じゃないのは理解しています……それと、フランちゃんが外出する許可を取るのが、その何かしらの事情で難しそうといのも分かっています」
「…分かってるじゃない、私が招待したとはいえ、私の可愛い可愛い妹を、ただの外来のお客に任せられるとでも?朝日が差し込むこの時間ではフランに対して悪意ある行動を取りやすい、そしたらフランは簡単に傷ついてしまうわ」
「お姉さんはそんな事しないってば!良いじゃん!ずっと閉じ込めてた癖に!」
「お姉…ーーはぁ、フラン?我儘もいい加減に…」
…忘れてはいないだろうか、私には秘訣があるのを。
「レミリアさんッ!!お願いします!!!」
尻尾を立てたまま、話を遮って土下座する。
「ちょ、急にどうしたのよ」
「私には事情を知り得ていない、ただの無神経な客だというのは理解していますが…それでも、閉じ込められていたフランちゃんがこうやって遊んでくれている姿を見るのは久しぶりなんじゃないですか?」
「………」
「私もフランちゃんと遊ぶのは楽しくて……だから、妹さんの失われた495年の歳月の、ほんの少しでも埋め合わせをさせてあげられないでしょうか……」
そう、私は人の良心につけ込む最強最悪の半妖怪(仮)だぜぇ?グヘヘ!
レミリアさん、貴方が妹を何かしらの事情があって閉じ込めていたとするのならば、その決断も相当の覚悟を持って決定したのは分かっている、話してみて悪い妖怪では無いのは分かっているからね……。
だからこそ!フランちゃんを思う力が強いほど!フランちゃんをダシにして良心につけ込むこの戦法は……効くのだ!!
「ダメ」
あれぇ!?
「だからこそ、よ……全く、事情を知らないからこそね…」
「ど、どうして…」
「そうよお姉様、私が遊び相手にこのお姉さんを選んだのよ?それも駄目なの?」
「…私は別にフランが遊びに出ることは否定しないわ、私が拒絶しているのは……」
「ユウ、貴方に預ける事よ」
……なっ。…コイツ…!
「…随分な物言いですね」
「当たり前よ、『例外』に妹を預けられる程、私の肝は座ってないわ」
「それがフランちゃんの幸せを邪魔するものだとしても、ですか」
「そうね」
「……」
「……フラン、早く降りなさい」
…引けねぇ、例え今メイドが凄い視線でこちらを睨んでても逃げねぇ!背中は見せんぞ!!
私の人生初の『お姉さん』呼びをしてくれたこの子の為にもここは引けない、私が原因であっても私を選んで遊び相手に指名したのはフランちゃんだ、ならば私以外じゃ意味が無いという事……子供心はそんなものだ、お気に入りを取り上げられればそれもそれで傷つく。
態度も態度だ、剛健不遜で高いプライドを持つ事は良いが……こんな可愛い妹が居てやる態度じゃないでしょうに、姉妹喧嘩まで発展しそうな態度だぞ?
「…ぁ…は…キャハ…」
「…キャハハハ!なら、いいわ…お姉様も……要らない、咲夜もパチュリーも美鈴もこの子以外何もかも消えろッ!!!消えろ消えろ消えろ!!キャハハハハハハッッ!!!」
突然、尻尾に座っていたフランが発狂したかのようにケラケラと笑い出す。
「…!?ちょ、フランちゃん!?」
「チッ…咲夜!一旦取り押さえるわよ!!」
「はい!」
「きゅっとして………!」
あ、でも…フランちゃん、それはダメかなぁ…。
「…ドカー…モゴモゴ…」
「「……!!」」
「フランちゃん、私にはフランちゃんとレミリアさんの姉妹の事情は知らないけど…『要らない』とか消えろはダメだよ……だからごめんね、ちょっともふもふするよ?」
尻尾で口を軽く塞いでモコモコしてあげる。
「モゴ…ぷはっ…」
「落ち着いた?」
「…うん」
やっぱり初等教育とか、倫理教育は大切だな……簡単に要らないって言ってたら、いつか本当に居なくなっちゃった時に……人は、簡単に壊れかける。
なんてたって、当事者だから!! ちょっと場合と話が違うけど、いつまでも居ると思っていたお母さんが、幻想郷に来て居なくなっちゃったせいで毎日毎日不安で不安で…心が不安定なんです。
なので自戒として、説教気味に……。
「……フランちゃんが、いつか必要だと思うかもしれない、『居てくれる事』に心の底から感謝する時が来るかもしれないからね、『要らない』って言葉は今の内封印しておこ?」
「……でも…」
「495年、それだけ時間があったら色々思うことはあるかもしれないけど…レミリアさん、吸血鬼の平均寿命って?」
「…大体、今の私達で人間換算で…それと…妖怪としての力が強いから、最低でも後20倍は生きると考えていいわ」
わぉ、いつから閉じ込められてたか知らないけど…まっ600か500歳程度として…最低10000歳か、凄いな!?
「まだまだ先は長いから、フランちゃんの気持ちだってどんどん変化していく…だからね、やっぱり要らないって言葉にいつか後悔しちゃうかもしれない」
「じゃあ、お姉さんはどうしてるの…?」
「そうだなぁ…私は、そうやって本当に後悔しちゃう言葉は止めておけって教育されてきたから……まぁ、嫌い!!とか…」
嫌いって言葉は、私はとっても良いと思う。否定として、拒絶として、自己表現としての言葉として最適だ。
肯定してる訳じゃないよ?でも、やっぱりそういう『否定する言葉』にもある程度の選択が必要、それにおいてお母さんから学んだ事は……やっぱり…。
「ちゃんと怒って、泣いて、嫌いって言って否定して…レミリアさんが治さなきゃいけない事なのか、フランちゃんが治さないといけない事なのかハッキリさせないと」
こういう向き合い方だ。
「でも、要らないとか消えろって言っちゃうと…元に戻らなくなる時もあるからさ、嫌だったり怒ったりする時は嫌いとか、苦手、とかで言おっか」
「……うん」
ちなみにこんな事、言うまでもなく義務教育だったり、家庭教育の一環に含まれてるので偉そうにご勉悦する気は無い……が、それでも『受けた事が無い』者にとっては知っておかないといけないし。
……さて、それはそうとしてどうやって外出の許可取ろっかな…。
「……」
「レミリアさぁん……どうにかお願い出来ませんか?私の何が危険なのか、怪しいのか、駄目な所治すんで…見張りも付けて良いんで、どうにかこうにかなりません?」
「はぁ」
「良いわ、連れていきなさい」
「お嬢様!?」
え?いいんですか!?…もしかして私の『お姉さん力』に当てられたもうたか?ガッハッハッ!!
《レミィ…駄目よ、私が許可しない》
「………紅魔館の主として、カネイロ・ユウ、貴方に依頼しておきましょう、妹と遊んであげて」
《レミィ!》
「大丈夫ですよ、依頼じゃなくてもフランちゃんが私と遊んでくれるなら、というか遊び相手にしてくれるなら是非是非」
この遠隔で宝石から話してる人がパチュリーさんかな?めちゃくちゃ私の事否定してるけど……尻尾の毛で何かやばい事でも分かっちゃった?
「やったぁ!お姉様大好き!お姉さん、行こ!」
「おっしゃ!任せなさい!」
「でも、もしも妹に何かあれば……」
…ーーレミリアの姿が、一瞬で掻き消える。
「貴方を殺すわ」
「っ…はい、分かりました」
喉元に着きつけられた爪に生唾を呑んで、返事を返す。
確かに死の恐怖を感じさせるその目、その殺意…霊夢よりも鋭い殺意だ…。
「お客様……いえ、ユウさん、くれぐれも何事も無いように」
「はい!!!」
ごめん嘘、やっぱりこの人の方が怖い、ヤバい。泣きます。『殺す』じゃない、『このクソガキッ!!!殺すぞッ!!!!殺す殺す殺す殺す殺す!!!!』みたいな雰囲気してるヤバすぎ無理漏らす。