起きたら尻尾が生えていた   作:カピバラバラ

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起きたので本気で弾幕勝負する

 

宙に浮かんだ宝石から弾幕が発射される。

 

 

空に広がる弾幕は空を覆いつくしており、幻想郷の実力者が行使できる弾幕となんら変わりない力を見せている。

 

 

「ええ……凄すぎません?これを作ったんですか?パチュリーさんが?」

 

 

「ふふ、そうよ、『アレ』を貴方に貸してあげる…それで咲夜と勝負しなさい、貴方から咲夜へ一回でも弾幕を当てれたら勝ちとしておくわ、咲夜は私達のストップが入るまでは好きにして」

 

 

「了解致しました」

 

 

「賢者の石での作品を貸すなんて、随分とパチェも奮発するのね?」

 

 

「アンタ達には無い反応を返してくれるのが嬉しいのよ、レミィは魔法と錬金術を便利な何でもできるモノと捉えてるから反応は薄いし文句は言うし…分かる?」

 

 

「ごめんってば」

 

 

弾幕をひとしきり展開した後、宝石は落下しパチュリーの手に収まる。

 

 

そしてユウに手渡されようとされていたが…。

 

 

「…ああでも、貸して貰って壊しちゃうかもしれないし、壊した責任を取りたくても取れなくなるかもなので……複製しちゃっていいですか?」

 

 

「え?」

 

 

「よいしょ、変化っと…」

 

 

自分の尻尾の毛を一本ちぎって、その毛を目の前の宝石そっくりそのままに変化させる。…さながら孫悟空みたいになったけど。

 

 

「確かに今まで考えた事無かった…!こうやって変化で弾幕を作れば……いや、あの量は無理か…やっぱりパチュリーさんのコレみたいな奴を見てみとかないとダメだったな…ありがとうございますパチュリーさん」

 

 

私の変化の欠点は物量だ、シンプルにその量に対して一つ一つに繊細なイメージでの作成が追いつかない。それと毛を一本使って変化させるから先に尻尾が消し飛ぶ。

 

 

だから丁度、パチュリーさんが今見してくれたみたいなモノが欲しかったんだけど……そもそもそんなものが実在するなんて知らなかったからどうしようも無かった。イメージの欠片すら湧かない。

 

 

確かに、私の常識は覆されたよ……本当に凄いなパチュリーさんって、コレってどんな構造であんな事になってんの?

 

 

「ちょ、ちょっと待って頂戴……コレを完璧に複製したの?」

 

 

「あ、ごめん…それは違うくて、機能だけですね、だから構造とか何で作られてるとか、さっき言ってた魔術?設計部分は全く」

 

 

「………危なかった、私の心の何処かしらがグチャグチャになる所だったわ」

 

 

以前、ルーミアをビームでぶっ飛ばした時があるでしょ?よくよく考えたらアレも私じゃなくて、尻尾が光り輝いてビーム打ってたから、多分無意識に変化の術を使ってたんだと思う。

 

 

尻尾と呼べば反応してくれた謎は解けてないけど……そろそろ相棒地味てきたなこの尻尾。でもお前のせいで幻想郷来てるの忘れねぇからな???

 

 

「よし!それじゃ弾幕勝負、やりましょうか…咲夜さん」

 

 

「…随分と自信がありそうね?」

 

 

勿論!だって弾幕勝負なら殺されないも〜ん?殺し合いになった瞬間秒殺されるけど、これってただの遊びの勝負ですし〜?楽負け楽負け〜!

 

 

「失うものも無いので、一安心できてるってだけですよ…あはは……」

 

 

「そう、じゃあ位置につきましょう」

 

 

…本当にただの勝負だよね?

 

 

ま、まぁ取り敢えず飛んで配置に着くけどさ……。

 

 

「お嬢様、フランお嬢様、お目汚しを失礼するかもしれません」

 

 

「あんまり虐めちゃダメよ?最低限の怪我しかさせちゃダメだから」

 

 

「ユウ〜!がんばれー!」

 

 

「……フランお嬢様…」

 

 

あやっばい、殺意膨れ上がってる。フランちゃん応援やめよか?有難い、有難いけど今だけは止めないかい?お姉さん死んじゃうかもしれないからさ!

 

 

最低限(瀕死)の怪我とかになっちゃうかもだからさ!!!!

 

 

 

「あら、咲夜には勝って欲しく無さそうね?」

 

 

「だってユウは私が選んだ遊び相手よ?ユウなら絶対勝てるもん!ユウ〜!頑張ってー!咲夜程度に負けないでよね!」

 

 

「ふふふ…ウチのメイドはそんな甘くは無いというのに、任せたわよ?咲夜」

 

 

「勿論でございます」

 

 

 

お、おぁぁぁ……むりぽ…ころされる……。

 

 

 

「フ、フランちゃん!が、頑張るよー!」

 

 

「勝ってくれる?」

 

 

「……か、勝つさ!」

 

 

「そうよね!ユウなら楽勝!頑張れ!頑張れ!」

 

 

ぉ゛……我が道にッッ!!一切の逃げ道無しィッ!!!!

 

 

「かかってきやがれ咲夜さん!!!」

 

 

「……ふふ」

 

 

空に浮かぶ両者の準備が整い、レミリアが日傘の下、スタートの音頭を取る。

 

 

 

「それじゃ、私が合図をするわね、開始の合図まで…3…」

 

 

 

 

「2…!」

 

 

 

 

「1!スターt…ーー」

 

 

 

レミリアが、空に向かってどこからともなく取り出した朱色の槍を振りかざし、合図として振り下ろす。

 

 

 

……ユウが紅魔館にやって来てから、ずっと咲夜の神経は逆撫でされ続けてきた。

 

 

言葉使いは大人しいが、心底ではレミリアの事もフランの事も一切の尊敬も恐怖も慕いもせず、同じ土俵に立っているかのように立ち振る舞い、フランに気に入られ……。

 

 

そして、初吸血の話を聞いた瞬間、咲夜が最低限守ろうとしていたマナーと琴線すら踏み越えてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

時よ止まれ 【幻世 ザ・ワールド】

 

 

 

 

ルールに能力使用の制限は無い、故にそれは初手にて発動された。

弾幕勝負の美徳である完全な実力主義を否定し、美しさと思念に勝る物は無いというものを完全に否定した反則技。

 

 

空間と時間の支配者、咲夜の最強の禁じ手である。

 

 

 

「…さて、どうしてやりましょうか」

 

 

殺すか、半殺しか。

 

 

お嬢様は最低限と言った、つまりは生かせて終わらせろという事。

 

 

「貴方の身体は、幾つの風穴まで耐えられるかしら?」

 

 

【幻符 殺人ドール】

 

 

空中で停止したままのユウに向かって、幾1000本のナイフ状の弾幕が投擲される。弾幕勝負はただの勝負といえど、弾幕自体は殺傷力を持つれっきとした攻撃手段。

 

 

近くにまで寄って、その雁首へとナイフを握りしめたまま思いっきり振りかぶり、『勢い』を保存したまま停止させた。

コイツはお嬢様様に首をかみ切られた後に瞬時に治して見せた、完全に殺しきるには…。

 

 

「……ダメダメ、殺してはいけない、と言ってもまぁ…十分な量ではあるわね…少し張り切りすぎたわ」

 

 

すぐさまコイツを殺したいが時間が停止している間での攻撃は意味が無い、停止している物体を移動させる事は出来るが、停止している物体への攻撃は……。

 

 

「…チッ」

 

 

腹の虫が収まらないので、意味が無いと分かりつつこの場でナイフをユウの脳天に突き刺した。

 

 

……だがナイフはキンッ!と子気味いい金属音を発して弾かれるだけ、突き刺さりはしない。時空間が停止している物体への形状への干渉は出来ないのだ。固定された空間によってナイフや攻撃は弾かれてしまう。

 

 

「…まぁいいわ」

 

 

「貴方は自分の運命を悟る時間すらない」

 

 

「終わりよ」

 

 

 

ーー時は再び動き出す。

 

 

 

 

 

 

「…ッ!?どぉわぁぁ!?!?!」

 

 

ユウの首にナイフが突き刺さり、周囲を取り囲むナイフが高速でユウの全身に風穴を空け、空中でハリネズミが完成してしまった。

 

 

空中で赤い花が爆散し、ユウの尻尾の毛らしきものがバサバサと風で空を舞う。

 

 

そのまま咲夜がふよふよとレミリアの元まで降りてくる。

 

 

「…咲夜〜?時を止めたわね?アレはこの場だと芸が無いというのに…」

 

 

「申し訳ございません、ですが抑えが効きませんでした」

 

 

「貴方の鬱憤は分かるわ、仕方ないっちゃ仕方ないか……ーーでも、まだ私達はストップを掛けていないわ、勝負を続けなさい、咲夜」

 

 

ーー昨夜の頭上に、赤い光の弾幕が降り注がれる。

 

 

「喰らえぇぇぇーー!!!頑張れ宝石君!君ならいける!!」

 

 

咄嗟のことだが、バックステップで弾幕をかわし、声がする方向を向くと…。

 

 

そこには無傷のカネイロ・ユウが宝石をずっと撫でていた。

 

 

「貴方…!どうやって…」

 

 

 

「フランちゃんの応援パワー…ですかねッ!」

 

 

 

尻尾に手を伸ばし、毛を数十本ちぎってから宙へ放り投げる。

 

 

 

「名前なんだっけビームッ!×34!!」

 

 

数本はイメージが追いつかなかったのか、ただ毛がヒラヒラと舞うばかりだったが…それ以外の毛が、全て虹色の極光へと姿を変える。

 

 

 

「チィッ!!」

 

 

空を割ってビームが通り過ぎる。その規模のモノが30本、同時に来ていた。

 

 

 

「…あれ、魔理沙のマスタースパークよね?」

 

 

「…そうね」

 

 

「「……」」

 

 

「わ〜!!がんばれー!ユーウー!」

 

 

 

「ワッハッハ!!頑張る!フランちゃん見ててねー!」

 

 

という訳で、どうも私です。

 

 

「私の尻尾が禿げる事は無いぞーー!咲夜さーーん!!」

 

 

「クソっ、こんな……っ…ゴリ押しにッ!」

 

 

咲夜さんの力のタネは理解出来た、時止めだ。

 

 

…最初から薄々は察してたし、フランちゃんの発言とかもあって確信しかけだった。

 

 

漫画とかで相手の能力を理解するターンだとかをよく読んでるから、ソレを試してみた。フランちゃんと私の間にこっっそり紐を付けておいててね、尻尾の中に隠れてる時とか。

 

 

あとレミリアさんとパチュリーさんにも、噛み付かれた時にこっそり足首に巻いておいた……多分バレてる、知ってる上で見逃されてる、

 

 

私の身体が串刺しハリネズミになった瞬間、紐が全て同時に切れたから時止めだッ!ってわかった訳よ、既視感ある戦法だって?そりゃそうよ!!

 

 

「そもッ……そも!どうやって傷を治して…!」

 

 

時を止める暇も無く咲夜はビームと弾幕の挟み撃ちに合っている。

 

 

空は赤い光弾と極光に埋め尽くされ、ユウもユウで弾幕勝負の美徳を完全に無視した下品な光景を繰り広げてしまっている。

 

 

次第に弾幕は服を掠め、ビームは逃げ場を潰し、被弾まで秒読み。

 

 

圧倒的な火力の前に咲夜の弾幕は通用しない……が、その火力を無に帰す力もある。

 

 

「……時よ止まれッ!!【時符 プライベートスク……

 

 

来たッ!!焦って口で言ったな!!

もう遅い!貴様は既にチェックメイトを掛けられているのだ!!

喰らえッ!半径20m!エメラ〇〇 〇プ〇〇〇〇ッ!

 

 

「ウェア】ッ!」

 

 

 

ーー再び時は停止する。今度こそ完全に仕留める為の本気の時間停止。

 

 

 

 

 

「…………」

 

 

 

「……これは…」

 

 

 

「……」

 

 

 

「……詰み、ね…」

 

 

 

先程まではユウの方向からしか放たれていなかったマスタースパーク。

 

 

だが、串刺しになった空中で血だるまになりながら舞っていた毛が咲夜の周りにも漂っていて、それがマスタースパークへと変化していた。

 

 

空中の四方八方、逃げ道無しにビーム囲まれる。ビーム同士の隙間は弾幕で埋まり、被弾は避けられない。

 

 

「…………」

 

 

「……はぁ」

 

 

 

ーー時は再び動き出す

 

 

 

「ぐッ!」

 

 

 

炸裂。

 

 

弾幕とマスタースパークが咲夜を地面へと叩き落とした。

 

 

 

 

「しゃっ!オラッ!当たった当たった!フランちゃーん!!勝ちましたよーー!勝ったからお姉さんってもっと言ってーーー!!」

 

 

「え〜?仕方ないなぁ…ユウお姉さん!かっこいいよー!!」

 

 

「イヤッホーーイ!!フランちゃん好き好き大好き!その可愛さと善良さはどこで売っていやがんだいこんちくしょう!ルーミアに分けてくれ!」

 

 

 

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