起きたら尻尾が生えていた   作:カピバラバラ

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起きたら憧れの人に出会った

「やぁやぁそこの旅人、少し待つウサ…仕掛けた罠が全て突破され、迷いの竹林も簡単に通ると思ったら妹紅を味方につけているとは、どんな事情があっ…ーー」

 

 

立ち塞がるウサギを容赦なく業火が襲う。

 

 

「あっちぃウサァッ!?」

 

 

「すまんてゐ、今は事情があるから押し通らせて貰う、先に戻って永琳に伝えとけ、『検体』が来るってな」

 

 

「うわすっごい……」

 

 

これが不死鳥の力か、かっこいいな…!

 

 

「あちち…全くもう、仕方ないなぁ」

 

 

燃えた尻尾を手でパンパンと消火し、姿を消した。

 

 

「一瞬で消えた…今の御方は?」

 

 

「因幡てゐ、診断所飼いのイタズラウサギだ、気にしなくていい」

 

 

「ウサギまで人型なのかよ…ワカサギ姫といい、幻想郷って本当に凄いな…」

 

 

「あはははー……あ…お空が…真っ暗闇に…」

 

 

「走馬灯見てるーー!?!?やっばい急がないと…!」

 

 

「……アンタ、見てて面白いな」

 

 

「光栄ですよどうも!!」

 

 

「ははは…まっ、取り敢えず人里からも離れた、ここからは飛んでいくぞ、着いてこい」

 

 

妹紅の背中が燃え上がったかと思えば、その炎は持ち主である妹紅を焼き尽くす事も延焼する事も無く、主導権は妹紅にあるかのように動きを制御され、翼の形を取り…空を飛ぶ力を与える。

 

 

「あいあいさー!……めっっちゃ綺麗な翼ですね、これも不老不死の?」

 

 

「いや、炎は全部自前で鍛えた」

 

 

「うっひゃ〜…」

 

 

「時間だけはあるからな」

 

 

なんかすんません…私も飛んでさっさといくか!てかあっちぃ、この翼近付くと普通に熱持ってる。まぁそりゃそうか…。

 

 

「ユウ〜…ユウのこと……もっと食べていい〜…?」

 

 

「だーめ!体調戻るまでは厳禁ですっ!」

 

 

「うーー……我慢出来な〜いッ!」

 

 

「いっでぇ!?」

 

 

寝ぼけながら牙を肩へと突き立てて、貪りつかんと口をもぐもぐとさせるルーミア。

 

 

食べる度に闇は溢れ出し、身体が溶けていっている。

 

 

「ちょー!もーー!!背負うバランス崩すから止めなさいッ!コラッ!ルーちゃん聞いてる!?」

 

 

「しらなーい!」

 

 

「いい加減にしないと家出ていくよ!?」

 

 

「ヤダーー!!!」

 

 

「我儘言うんじゃありません!!」

 

 

 

「……アンタら本当に見ていて面白いな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鼻をくすぐる医薬品の匂いが充満する部屋で、マスクと手袋という幻想郷には似合わない物を装着しながら、試験管に向き合う人物がいる。

 

 

その部屋にノックがなされ、大きな声で呼び出しが行われた。

 

 

「来たウサ!永琳、場所を空けといた方がいいよ」

 

 

「はいはい、全く…妹紅が連れてくる検体だったわよね…イナバ、手術室を使うわ、準備をお願い」

 

 

「まぁた治療して欲しい人連れ込んで来るんですか〜?ついでに姫様も呼んどきますね、喧嘩し合いたいでしょうし」

 

 

 

従者のウサギが部屋を出ようと扉を開けた時、信じられない程に大きな叫び声が三人の耳を貫いた。

 

 

 

「しーーつれいしまーーーすッッ!!!永琳さんいますかー〜!!!!」

 

 

 

「……とんだお客が来たみたいね」

 

 

「あいててて…耳痛ったい……あれ?波長が…」

 

 

「私も…」

 

 

 

どうも、私です。

 

 

「ミンチにしてやるッ!!」

 

 

「燃やし尽くせェッ!!【蓬莱 凱風快晴-フジヤマヴォルケイノ】ッ!!」

 

 

到着して早々、殺し合いを目撃しております。しかも不死者対…多分不死の人。

 

 

「あちゃー…もう始まっちゃってたか…こんにちは、そして初めましてお客さん、どうぞこちらへ検体を」

 

 

「ありがとうございますッ!ほらルーミア!そろそろ私の身体から口離して!」

 

 

「ヤダーッ!!!」

 

 

「こんのッ…!えっと、永琳さん…麻酔か何かあります!?」

 

 

「検体は妖怪でしたか…麻酔はあるけれど、多分効かないから……ふんっ!!」

 

 

「ふぎゃっ!!」

 

 

へ?あ、ルーミアが気絶した……いや、そ、そんな手刀で物理的にいく?

 

 

…背中、治しとこ。

 

 

「麻酔を知っている、という事は外来の方かしら?」

 

 

気絶したルーミアを背負って、診察室へと運び込む永琳。

 

 

「あ、はいどうも…金色夢有っていいます、呪いを受けて幻想郷に来ました…」

 

 

「丁寧にどうもありがとう、私は八意永琳、この場所の管理者であり医者よ、今回は…この妖怪の体調が優れないという訳かしらね」

 

 

丁寧な人だなぁ……あ!そうだそうだ…病院に行くとなれば診察書、という訳で色々ルーミアの事纏めた資料持ってきたんだった。

 

 

「こちらを…」

 

 

「…!流石外来人ね、このレポート用紙はどこで?」

 

 

「私が受けた呪いが狐からだったんで、変化の術を使わせてもらってます…どうですか?ルーミアの状態は…」

 

 

「……」

 

 

ペラペラと纏められたページを捲りながら、横たわるルーミアを触診している。

 

 

「こうなった原因は?」

 

 

「私の腕を食べさせてあげたらこうなっちゃって…それから私の身体を食べる度に悪化してるのに口を離さないからどんどん酷くなっちゃいまして…」

 

 

「……色々とツッコミどころがあるけれど……他には?」

 

 

「色々口走る様になって…おいしー!!とかずっと叫んで…」

 

 

「あ、大体分かったわ…任せて下さい」

 

 

「本当ですか!?お、お願いいたしますッ!!」

 

 

有能過ぎるでしょおいおいおい!?ビックリたまげてまうでぇ!?

 

凄いな…幻想郷の本場の医者って質疑応答と軽い触診で分かっちゃうものなんだ、妖怪相手なのに。

 

 

「それまでは御屋敷の方で待っていて下さい……あの二人の勝負を見ながらお茶でも飲んで」

 

 

「あ、はい…失礼します…」

 

 

スタコラサッサと診断所から出て、和風な屋敷の縁側に座る。

 

 

目の前ではグロテスクながらも華やかな光景が広がっていた。

 

 

「死ねッ!【神宝 ブディストダイアモンド】!!」

 

 

「ぐがッ……まだまだァッ!」

 

 

「おおぅ…」

 

 

エグいエグい…うわ腕こっちに飛んできた、燃え炭になってるけど…。

 

 

凄いな、不死同士の争いってこんな獣みたいな取っ組み合いになるんだ、どっちも死ぬほどブチ切れてるし……明らか弾幕勝負でのスペルカードと威力が違い過ぎるし。

 

 

今までふよふよとした光弾打ったりビームだけだったのに、咲夜さんとかこの2人に至っては物質そのものを発射してない?宝石みたいな奴で妹紅さんがミンチみたいになってるし……。

 

 

 

「お客さん、どうぞお茶です」

 

 

「あ、頂きます…」

 

 

また新しいウサギっ子が出てきた、しかもセーラー服だし。

 

 

麻酔だったり…ビニール手袋にマスク、人里のインチキ臭い薬草の混合物じゃない、本当の医薬品だったり、ここは現代文明に近い技術を持ってるから…まぁ違和感は無い。お茶ずぞぞぞ……。

 

 

「……あのお2人は…どうしてこんな…」

 

 

「あ〜…結構衝撃的な光景ですよね、言っちゃえばただの喧嘩なんですけど…色々因縁があるというか、仲は悪くても喧嘩するほど仲はいい…的な?」

 

 

「…まぁ……不老不死でしたら色々ありますよね…ちなみに、こうやって殺しあってる2人の…あのお姫様の様な人はここお住まいの?」

 

 

「ええ、そうですね…あ、自己紹介がまだでした…私はあそこで戦ってる蓬莱山輝夜様のお付の優曇華イナバと申します」

 

 

「輝夜さん…イナバさん…私は金色夢有です、今回はよろ……し、く…」

 

 

……待って?

 

 

かぐや?輝夜って言った?

 

 

…十二単を彷彿とさせる衣装、漆黒で流れる様なツヤのある黒髪……絶世の美女……ウサギ?もしや…月のウサギ…?

 

 

 

思考に耽けるその内に、戦いは激化し遠く空中で戦っている妹紅の身体が爆散する。

 

 

「あーハッハッハ!無様ねぇ妹紅!!へぶっ!?」

 

 

輝夜の真下、死角になっている場所に一枚の炎の羽が舞っており、それが火柱を立てて輝夜を焼き尽くす。

 

 

「端正な顔が台無しだなッ!輝夜ァッ!」

 

 

「よくも…!【難題 蓬莱のーー「輝夜姫じゃん!!」へ?」

 

 

 

そしてそこへ、興奮した乱入者が一人。

 

 

 

「ほ、本物?本当のかぐや姫ですか?あの御伽話の…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

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