起きたら尻尾が生えていた   作:カピバラバラ

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起きたら私は少しでも

 

「…本当に草の根1つも生えてないんだ」

 

 

「元地獄だからね〜」

 

 

「フランちゃんとはよく遊んでるの?」

 

 

「ふふ、誰しも子供の時にね、大人には気付かれない友達っていたでしょ?フランちゃんにとってそれが私…古明地こいし、宜しくね!」

 

 

「うむ!宜しく!!」

 

 

中々良いお嬢様じゃないか、その引っ付いてる閉じた目玉は気になるけど…。

 

 

「こいしちゃんは何かの妖怪?」

 

 

「うん、私はサトリの妖怪だよ、お姉ちゃんも居るんだけどお姉ちゃんもサトリの妖怪で、姉妹なの」

 

 

「あらまぁ…サトリの妖怪か、色々大変な事あるでしょうに…こいしちゃんは今日一緒に遊んでくれるの?…というかフランちゃんは?」

 

 

「うふふっ、遊びたいからさ、遊んだら教えてあげる、隠れんぼから始めよっかお姉さん」

 

 

…急に?ヘンテコな子だなぁ。

 

 

「というか私がいつの間にか背負ってるじゃん、フランちゃ〜ん、起きて〜?」

 

 

あれ、マジで気づかんかったけどいつの間にか背中でフランちゃんが寝とる。落下して刺さってる間に何があったんだ?

 

 

「…驚いた、これも分かっちゃうの?」

 

 

「え〜?あ、もしかしてこいしちゃんの仕業?遊ぶのはいいけど迷惑かけちゃダメよ?」

 

 

「う、うん、そうだけど……どうなってるんだろ

 

 

「ん、んっ……うーん、あれ……ユウ?…私、寝てた?」

 

 

「はいおはようさん、それじゃ2人とも…地獄案内宜しくね〜」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サトリ妖怪、それは…心を読む妖怪。(阿求ちゃん情報)

 

見たくないもの、知りたくないもの、知られたくないものまで見通し、相手の心を掌握する恐怖の妖怪。

 

妖怪という分野において、皆一様にルーミアの様に人の心の闇や、心の在り方を力としている。それ故に心を暴かれるというのは妖怪にとって致命的なモノであり、サトリ妖怪を前にしては本来の実力の何千分の一程度しか機能しない。

 

人に嫌われ、妖怪に嫌われ、人外全てに居場所が無い、そんな妖怪だ。

 

 

 

「地下、なんもねーー!!!!あはは!!」

 

 

 

「広いでしょ〜?場所には困ってないんだー!」

 

 

 

「キャー!!?す、凄〜い!普通にお空を飛ぶのとは全然違うね!」

 

 

荒野に似つかない、というか全く似合わない華やかな乗り物…ジェットコースターの様なものが地獄で踊っている。

 

 

「なんも無かったら!作る!!」

 

 

「ユウお姉さんって不思議な人だねーー!?」

 

 

「わーー!!! このまま突撃だー!」

 

 

観光後、こいしちゃんのお姉ちゃんと謁見するって話になりまして…なら、こんな平野飛んでいくのもなんだし、レールを空中で作り続けながらジェットブースター付けたトロッコで地霊殿に突撃することにしました。

 

 

 

という訳でぇ!!どうも、私です。

 

 

 

「2人が初めて出会ったのって、監禁中の事だったんだ……」

 

 

「「うん!」」

 

 

ジェットコースターの風に吹かれながら、元気に返事を返す2人。

 

 

 

…この2人、中々に重い関係だったみたいですね。

 

 

 

「ユウと同じで、こいしにも『目』がなかったの」

 

 

 

『目』、『目』かぁ……目??…まぁ姉さんが運命見れるから、フランちゃんも『何か』見えてるんだろう。

 

 

 

「私も、フランちゃんがお姉ちゃん以外で初めて見てくれたから」

 

 

 

「…お姉ちゃん、サトリさん以外の初めて『見てくれた人』なんだね」

 

 

 

「うん…だから、私はフランちゃんがとってもとっても大切なの」

 

 

 

地獄の観光案内中に色々話してくれた。姉の事やフランちゃんとの出会いの事。

 

 

一言では語りきれない互いの心情が絡み合った奇跡の会遇だ。

 

 

「私も、こいしちゃんの事がとっても大切…ユウお姉ちゃんも大切だけど、こいしちゃんも親友で、ユウも親友、ただの遊び相手じゃないんだ」

 

 

「そっっっかぁ………部外者で後輩が言うのもなんだけど、私からもお礼を言わせて欲しい、こいしちゃん、本当にありがとう」

 

 

「うん、それと…もう貴方も親友よ?ユウお姉さん」

 

 

「あはは、お姉さんお姉ちゃんか!背丈は2人に負けてるけどね!」

 

 

 

私は、私自身がそこまで情に流される人間じゃないのは理解している。

 

 

けれどやはり、合理的に考えて……人には感情がある、当たり前だけど。

 

 

だからこそ2人の人生、その行き道には『報われるべき』何かを心の何処かで求めている。これは同情でも憐れみでも無い、単なる責任の話だ。

 

 

 

「フランちゃんの初めての親友で、こいしちゃんの初めての親友」

 

 

「私は2番手か〜……なんか良いな、この2番手の感じ」

 

 

495年を孤独に過ごした少女と、その一生を姉以外の全員に嫌われ、そして醜いものを見続けてきた少女の絆…か……。

 

 

 

「あ!地霊殿にそろそろ着くよ〜!お姉さん、そろそろ止めてー!」

 

 

「OKッ!途中下車にご注意くださ〜い!」

 

 

空中で変化を解除、目立つ筈だけどこいしちゃんが何かをしてくれているのか通行人や途中の鬼みたいな人にも何にもバレずに到着できた。

 

 

でっかい門の前に立ってこいしちゃんの案内のままに地霊殿へ足を運ぶ。

 

 

 

「デカいね、紅魔館位ある?」

 

 

「同じくらいかなぁ〜…さとりお姉ちゃんの部屋は一番奥にあるの、今はずっと引きこもってて…」

 

 

「…そっか、サトリ……なるほど…」

 

 

 

 

サトリ妖怪は、その一生を嫌われて過ごす。

 

 

 

地霊殿を歩きながら思い出すのはお母さんの話。

 

 

『辛いこと、苦しい事が沢山ある人生は…耐えることしか出来ないのかなぁ?』

 

 

『また急にどうしたの?…明日が月曜日だからだよね??』

 

 

『大正解、日曜日が終わるのが辛くて仕方ないの、日曜日の価値を決めるのは人の人生によりけりだけどね、お母さんの日曜日はちょっと高価過ぎるかも……はぁ…』

 

 

『……お疲れ様、お母さん……まぁでも、やっぱり受け入れることしか出来ないんじゃない?お母さんが苦しんでも曜日は変えられないし、私も辛いっちゃ辛いし』

 

 

『ふ〜ん?じゃあ聞くね?どうして耐えているの?どうして辛いのに頑張ってるの?』

 

 

『それは……それ、は……うわぁ、ムズッ!?答えられんわ』

 

 

『あははは!まぁそうよねぇ……私も答えるのムズいわ…でもね、ユウ』

 

 

 

『私はね…ーー』

 

 

 

 

「……」

 

 

「こいしちゃん、フランちゃん、抱きしめていい?」

 

 

「ええ!?急にど、どうしたの?」

 

 

「ユウ…」

 

 

「取り敢えず、今までの苦労に…部外者なりの『お疲れ様』を言いたくて……よし!ギューッとなッ!!」

 

 

 

2人纏めて抱きしめようとするが、そもそもこいしちゃんに体躯が負けてるから腕に収まりきらない。でも抱きしめようとする。

 

 

今、私に出来る精一杯の責任の取り方。

 

 

『私はねぇ、いつか報われたいからかな』

 

 

報われるべきなのだ。苦痛、苦悩、この世界に存在する苦しみは『いつか報われる事』を前提として受け入れなければ、余りにも残酷過ぎる。

 

 

でも、受け入れても『報われる』とは限らない。

 

 

そんな理不尽な事が、何故起きているのか?……それは…。

 

 

 

『報う人が、居ないから』

 

 

 

報いの責任を、誰も取ろうとしないからだ。

 

 

 

 

「よし!お母さんの入れ知恵だけど、おきとしきしハグ?みたい奴は、心を癒してくれるんだって」

 

 

「「……」」

 

 

「…ねぇ、ユウ…もう少し抱きしめてもいい?」

 

 

「うむ!良し!!」

 

 

「私も〜!」

 

 

 

だから、せめて……せめて、ほんの少しだけでもいいから……。

 

 

私がお母さんに抱きしめてもらった様に、皆を抱きしめたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここがお姉ちゃんのお部屋、ずっと引き篭ってるから私以外ペットを除いて誰も来ないんだよね」

 

 

「うむむむ…難儀してるねぇこいしちゃんも」

 

 

「そうだよー?お姉ちゃんと遊んであげるのも大変なんだから」

 

 

「フランちゃんは初めて?」

 

 

「うん、そもそも地霊殿の中にまで来るのも初めて」

 

 

「よっしゃ!それじゃお礼参りするぞ〜?」

 

 

勢い良くノックをして、この館の主の元へと飛び込んでいく。

 

 

「おっじゃまっしま……ーーありゃ?」

 

 

「」

 

 

「お、お姉ちゃん…」

 

 

なんか、ピンク髪の子が椅子からひっくり返ってる。

 

 

 

「だ、誰ですか!?そもそも私に気付かれずどうやってここに…お空!お空ー!侵入者………ーーこいし」

 

 

 

「久しぶり、お姉ちゃん」

 

 

 

「こいしの仕業でしたか…人影も気配も無く扉がいきなり開くものですから、本当に幽霊かと……ゴホンッ…こんにちは、貴女方はこいしのご友人ですね」

 

 

「あ、あぁ…こんにちは、金色夢有です」

 

 

「こんにちは!私、フランドール・スカーレット!こいしちゃんのお友達です!」

 

 

フランちゃん礼儀正しいッ!!ユウポイント10000点加点!!

 

 

「丁寧にどうも、私は地霊殿の主…旧地獄の支配者にして一帯を統べる管理者でもある古明地さとりです」

 

 

「……そして、とんだお客さんを連れてきましたね、こいし」

 

 

「あはは!凄いでしょ?2人とも」

 

 

さとりさんが身に付けている赤い紐が繋がった目玉がギョロギョロと私達を見ている。

 

 

サトリ妖怪である事がマジマジと理解できる人外の部分だ。

 

 

察するに、こいしちゃんにも付いてる方も……開いてる方が自然……だよね。

 

 

「…それを通じて心を読めるんですか?」

 

 

「おや、サトリ妖怪の事を知っていましたか」

 

 

……こいしちゃん…。

 

 

「むむむ……むむ…こいし、あんたこの2人は…」

 

 

「読めないでしょ?」

 

 

(…フランさんの方は、余りにも心のパーツと声が不揃いで不協和音を奏ですぎているせいだが…)

 

 

サードアイをユウへと向け続けるが…。

 

 

(「この狐はなんだ…?『心の目』をこいしの様に閉ざしている感覚は無いの…に…ーー」)

 

 

 

「ッ!?」

 

 

さとりの耳に、心で考えていた事と同じセリフが聞こえてくる。

 

 

 

「……サトリ妖怪の苦悩を知らないのに、私が悠々とその責任だかなんだか言う訳にはいかない」

 

 

 

「『ソレ』を通じて読むのなら、お借りします…読心の力」

 

 

 

ユウの手元には……。

 

 

さとりと全く同じ見た目をしたサードアイが握られていた。

 

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