「これからどうしよう…」
何が起こって、ここまで巻き戻ってきたのかわからないが、大切なのは巻き戻ってしまったということ。すべての関係性や元に戻り、ルーミア、人里の皆、妖精妖怪私の家も何もなくなった。
フランちゃんも、私との関係は一旦リセットされ、紅魔館のメンバーとも…今行っても殺されるだけで終わるだろう。こいしちゃんももう私のことを覚えていない。
ただ……。
ただ、あの時起きたことの決着をつけなければならない…!!
「心も落ち着いてきた、深く考えろ…!あれは一体……まず私のせいであるのか、私のせいでないのかを確定させる」
普通に考えれば私以外が死んでいた。つまりあの事態引き起こせるのは私だけとも考えられるが、私にその力があるとも思えない。一番の問題としては幽香もいなくなっていたと言う事。
彼女より私は強くない、というか、あの人この幻想郷でも最強みたいな強さしてたし……。
「……ならば、考えられる事は一つ」
異変
「幻想郷そのものを揺るがしかねない大事件」
生き残る力があっても抵抗する力は無い。ルーミアと一緒に行って、助かってたのも生き残る力があるからだ。相手を害する力も無い、相手が殺す気ならば、私は一瞬で殺されるし、弾幕ルールに則ってちゃんと勝負してくれないと勝ち目も無い。
そんな私が異変を起こして、みんなを殺し、幻想郷全員を消失させた?
「……でも…私ができなくても、もしかしたらコレを起こし得る存在は…」
「私の近くにあった、私の一部」
それは想定には入れていなかった可能性の一つ。
「尻尾……お前……」
「やっぱり、自我が……あるのか?」
私であり、私以外でも無いし、私じゃない…疑問の答えになるのは尻尾なのかもしれない。
「そもそもお前は何なんだ…!幻想郷に来る前から、私に生えて、病院で調べても、普通の狐の尻尾であること以外がわからない」
「現実世界より優れた解析能力を持ってるパチュリーさんが見ても、お前は何の正体も分からなかった、じゃあ何なんだお前は一体!」
尻尾の能力でわかっている事は、ちぎってもちぎっても絶対復活する、無限増殖能力。パチュリーさんみたいな賢者がドン引きするレベルの物質変化能力。
そして、私のイメージの具現化。
「馬鹿な私でもそろそろ感づいてきた、お前ただの妖怪の尻尾じゃ無い、最低でも大妖怪レベル、妖力も何にもない私にこんな事が出来させれる力はある」
「塾で学んだ、妖怪にとって妖力は動力源、妖怪が引き起こす多種多様な妖術はそれありき……生命力と言って差し支えない」
「つまり死にかければ相応に妖力は使えなくなるし、妖力の循環も滞る、だけど私は死にかけ、いやほぼ死んでた状態変化の術で身体を治せてた」
思い出すのは咲夜さんやレミリアさんに殺されかけた時、あの時はハイテンションで何も思って無かったけど……。
「つまり、つまりだ、『私と尻尾』っていう回路で変化の術は動いてるんじゃなくて……私から切り離された『尻尾』が一妖怪として独立している…?」
纏まってきた……が、以前この尻尾の起源は整理しても何一つ分からない。
あの小狐を助けた位でこんな事になるとは思えないのが問題だ、あんな狐にこんな力がある訳無い、この力を人に与える(呪う)位なら生きてるだろうし。
「…………」
「……」
行き詰まっても思考は止めない、活用しろ、この世界で得てきた知識を、妖怪とは、妖力とは、呪いとは…。
「……!」
「小傘ちゃん…が……確か…」
草の根ネットワークを通じ、里で知り合った可愛い妖怪。多々良小傘。
……彼女が人を驚かせる理由は、その恐怖の感情から、能力を得てお腹を満たすためだ。人が驚けば、その分の恐怖の感情が小傘ちゃんに還元される。
そしてそれは小傘ちゃんに限ったことではない、全妖怪がそうである。
全妖怪が、だ。
「強い妖怪や大妖怪は他の補給手段や強くなる修行があるらしいけど……基本は変わらない、妖怪は全部……全部…!!」
なら、尻尾は誰からそれを得ている?
「私だ…!」
私は……今、落ち着き過ぎている。
幻想郷に来てからそうなんだ。
精神が壊れそうな位の恐怖、死に対する恐怖、分からない事に対する恐怖も全て……普通であればトラウマになる経験も、そしてそれを与えた存在に対する忌避感すらなく、波が引いていく様に恐怖が薄れて……。
「こいつ……こいつはもしかして…!」
私の恐怖を、喰らってた…!?
私の精神保護として、恐怖のストッパーになっている代わりに力を得ている……かな、予測するとするなら。
「……」
だからループか、ループさせれば無限に私から妖力を補給出来る。
「予測、想定だけど…一番納得しやすいものではある」
「……なら」
「なら!霊夢の所へ行く!!殺されまくればいつかは妖力が…」
「……殺される事に、恐怖を覚えたら…ダメじゃん、てか死ぬ事自体、生物の根源的な恐怖なんだ、だから怖がってるとか無いとか関係無い…」
…本当に化け物みたいな力だ。毎日お腹がすいて困ってる小傘ちゃんにも分けてやりたい。
予測が会ってたら、の話だけどね。
でも、まぁ……試してみないことには始まらない、か。
「まずは……霊夢をぶっ飛ばす…!!!」
■
どうも、私です。
拝啓 博麗霊夢様、貴方様のご自宅へお伺いしたいのですが出入口は何処でしょうか。
「ま、迷った……」
変な迷い方した…どこ行っても森の森のもりもりもり。
「……こうなったら全部ぶち壊すか」
「もう無視されないくらい、なんの事情があっても私を殺さなきゃいけないくらいに」
尻尾を握り込みながらイメージする。
「借りるぜ魔理沙!友情(仮)パワーッ!!パチュリーさんに一生借りとくだけだ理論振りかざすなら!!」
黄金色に光り、莫大な光量を発しながら尻尾が逆だっていく。
「自分も借りられる事覚悟しとけーーッッ!!!」
合わせ放つは現代文明最高火力!!
「恋符 マスターーースパーーーァァァックゥゥ!!!」
構造もなんも知らないけど!同じ爆発をイメージするぜ!!核爆弾!力を貸してくれぇっ!
「ストップ」
ぐぎゅっ……!?し、尻尾を誰かに……掴まれた…。
てか今の声聞き覚えが……。
「ほえ…ウガッ…!?」
■
「ねぇ」
「ねぇねぇ」
「貴方、食べても…ーー」
「あんのクソチート巫女がァァァァァッッッッ!!!!」
「お得意の勘だけでぇっ!殺しに来てんじゃねぇぇぇぇッッッ!!」
「ふぅ゛〜ッ……ふぅ゛ッ………」
「あ、ごめんルーミア、こんな感じで変な人間だから食べない方がいいよ」
「え、あうん、分かった…」