二人の転生者を継ぐもの   作:ぺへ

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第壱話

櫛比とした住宅街の屋根を走る者が一人。

 

見とれるほどの腰まである黒髪を持ち、使い古された紅い鎧を身に纏い、背に瓢箪の形をした取っ手の着いた物を背負い、左腰には唾のない真っ黒な刀を差した者の姿が一瞬、見えたと思った瞬間にすぐさま消え数メートル離れた距離に見えたと思ったら又もや消える。

 

それを繰り返し女は目的地へ到達した。結界に囲まれているものの、彼女の瞳力は確かに捉えた

 

組織の裏切り者であり、聖書に名を記した程の強者である『コカビエル』を。数人のか弱い悪魔を前に全力に等しい程の光力を利用した悲しき男の姿を。

 

瓢箪の様な武器、『芭蕉扇』に右手を掛け結界を破壊尽くした後、すぐさま構える。

 

着地したと同時に光の槍を構え放つコカビエルを前に『芭蕉扇』が光り輝く。

 

「「「「「「「え?」」」」」」」

 

「『うちは返し』」

 

光が収まる瞬間、来たはずである爆風がコカビエルを襲う。予期せぬ敵襲と油断によりコカビエルは真正面から受けてしまった。

 

「カフッッッッ!!な、何故、貴様が居る!!花梨!!」

 

コカビエルにとっても想定外だったのだろう。自身が鍛え上げた弟子が来る事など。

 

「アザゼルから貴方を捕らえろと伝達された。しかし、簡単には捕らわれてくれないのだろう?」

 

「貴様・・・!!」

 

コカビエルは額に青筋を浮かべ、グレモリー眷属と敵対していた以上に濃密なオーラを放つ。対して花梨と呼ばれた女は腕を組んだまま三つの勾玉が浮かんだ瞳でコカビエルを見るだけ。

 

手元に光の槍を出した途端、目の前に赤く濡れた刃先があった。目の前の女は未だ腕を組んでいるだけで動いてすら居ない。ならこの血は誰のなのか。考えがまとまらない内に背後から声が掛かる。

 

「・・・どんな状況であろうと決して背後を取られるな。私はそう教わったはずだが?先生。」

 

「分身か・・・!!ガハッ・・・」

 

刃が抜け思わず倒れ込む。道連れにしようと振り向くもそこには既に刀を横になぎ払いつつも涙を流す弟子の姿しか無かった。

 

一瞬躊躇ったが為に、この光景が生涯最後となった。

 

彼女はと言えば、頭部を失ったコカビエルをじっと見つめただ涙を流す。物心付いた頃から鍛え上げた師。痛まない訳が無い。しかし、必要な事であったのも事実。

 

現に目の奥が痛む。今頃、写輪眼の模様も変わっているだろう。そう判断した彼女はコカビエルの頭を持って立ち去ろうとする。

 

「ま、待ちなさい!」

 

その言葉になんとなく足を止める。情報にあったリアス・グレモリーだろうと目を向ける。

 

「あなたは何者!?何故コカビエルを!」

 

「砂利に答える通りは無い。」

 

「な、なんですって!」

 

コカビエルの頭部を地面に置いた後、手で何かの印を結ぶと煙を立て消える。

 

「せっかく遠出したんだ。相手をしてやる。」

 

「ッ!」

 

先に出たのは金髪の男。聖と魔の混じった剣を振るうも簡単に避けられた上、鳩尾へ掌底を放ち体がくの字に曲がった所で首を掴まれる。

 

「あぐっ」

 

「威勢よく来た割にはこの程度かしら?」

 

「祐斗先輩!」

 

次に来たのは白髪の少女と蒼髪の少女。背後ではリアス・グレモリーと思われる紅髪の少女と黒髪の少女が魔力を溜めている。その背後では左手に見覚えのある赤い篭手を持った少年が気を失っている金髪の少女を守るように立っている。

 

「(赤龍帝の篭手(ブーステット・ギア)ね。力を溜めている。恐らく、譲渡の力をあの二人に使うつもりね。)」

 

白髪の少女の攻撃をいなし首を掴み、蒼髪の女は聖剣で斬り掛かるもこれも避けて回し蹴りでダメージを与えつつ、地面に倒れた所で鳩尾を強く踏みつける。

 

「あぅ・・・」

 

「カハッ・・・」

 

「小猫ちゃん!ゼノヴィア!てめぇ!!」

 

「まだ力は溜まらないのかしら?赤龍帝。」

 

写輪眼でオーラを推し量る。本人の魔力量から逆算しても次で最後だろう。

 

「来ました!行きます!」

 

『Transfer!』

 

瞬間、二人のオーラが跳ね上がり互いに魔力を構える。対する彼女は誰がどう見ても残念そうにしている。手に持っていた二人を遠くに投げ飛ばし、踏みつけている相手を蹴り上げ上空へ飛ばすと再び印を結ぶ。

 

「雷よ!!」「消し飛びなさい!!」

 

恐らく彼女達にとっては自力の最大以上の魔力を放つが花梨も印を結び終え息を軽く吸う。

 

「火遁・豪火球の術」

 

吐き出した息は燃え上がり、やがて巨大な火の玉となり二人の魔力と激突した。舞い上がった土煙が収まると二人は肩で息をしているのに対し花梨は先程とは変わらぬ立ち姿。

 

「そ、そんな!部長と朱乃さんの最強の攻撃が!」

 

「最強?攻撃?あれしきの児戯で?平和ボケもいい所ね。小僧。」

 

花梨はそう吐き捨てリアス達に背を向ける。そこで何かを思い出したように立ち止まる。

 

「そういえばあれも回収しなきゃならないわね。」

 

向かった先には祭司服を着た若い男。その手には折れた聖剣が握られている。花梨は向かいながらも気付いていた。この男は寝たフリで誤魔化し自分を殺すつもりだと。

 

あと一歩でも近付けば斬り掛かるだろう。そう予想し最後の一歩を踏みしめる。男は予想通り逆袈裟斬りで動き出すも手首を抑えられ花梨と目が合う。合ってしまう。三つ巴の目は男を眠りへと誘う。

 

「・・・ああ。退屈ね。」

 

男を背負い花梨は再び姿を消した。

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