ソロモンに咲いた桜   作:ユウ・ベルフ

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2話

作戦開始時刻前 作戦宙域

 

「ナガト一等兵、現在日時は?」

 

「隊長、機体に異常でも?時計壊れたんですか?」

 

ザクのコックピットで隊長からの無線にこたえる。

 

「馬鹿野郎、そんなわけあるか。貴様の口から聞きたいのだ。」

 

「はぁ、現在0079年、1月3日、2350であります。」

 

「そうだ、あと少しで作戦開始だ。そして作戦が成功すれば凱旋だ、英雄扱いと休暇だ!そして女たちが寄ってくるぞ!」

 

「自分は休暇だけでいいです。うまい料理を食いながら、ゆっくり休暇を楽しみたいですね。」 

 

「なんだナガト一等兵、女より飯か。マツナガ一等兵はどうだ」

 

「自分は別荘で音楽を聴きながら静かに休暇を過ごしたいですね、いい円盤が手に入ったんです。」

 

「さすがは良家の坊っちゃんだな、マイヤー二等兵!貴様はどうだ?」

 

「はっ!自分は女性とご飯を食べたりいちゃいちゃしたいであります!」

 

「ハッハッハ!ナガト、マツナガ!マイヤーを見習え!男が栄誉と女に飢えなくてどうする!」

 

「英雄なんてなるもんじゃないでしょう…。英雄が出てくるときなんてろくな時代じゃない。少なくとも俺は嫌ですね」

 

「そうですよ、英雄なんてもんになっても飯は食えません!充分な休暇と給与とうまい飯!これ以外はほどほどでいいです」

 

「全く、少しは欲をだせ…両一等兵…」

 

なんて他愛も無い話をしながら作戦時間まで待機する。

 

「作戦開始時刻まであと5分です!」

 

マイヤー二等兵が作戦開始時刻まであと5分を告げる。これから戦争が始まる…。人同士が殺し合う最悪な戦争が…。この手で敵を…、人を殺すのか…。

 

「ナガト、大丈夫だ。いつもどおりやればいい。」

 

そんなことを考えているとシンの声が聞こえてきた。モニターを見るといつの間にかシンのザクⅡが俺のザクⅡの隣に並び接触回線を開いていた。そうだ、俺はなんの為にここにいる。シンを、ドズルを、守るためだろうが!!こんなことで怯えてどうする!そう自分を律して

 

「そうだな、いつもどおりだ。ありがとう、シン。」

 

と返した。するとシンは機体を離しザクの左手で親指をたてる。それを見た俺も左手で親指をたててかえした。

 

「作戦開始まであと30秒!」

 

マイヤーの声がコックピットに響くと隊長の声が力強く響いた。

 

「よく聞け貴様ら!これから戦争が始まる。血で血を洗うクソみたいな戦争が始まる!そしてこれから駆ける戦場が貴様らの初陣だ!仲間が死んだことを悲しむ暇も、敵を殺した罪悪感を感じる暇すらない戦争が始まる!だが間違えるな、俺達は殺したいために殺すんじゃない!仲間を、家族を、故郷を守るために戦うんだ!これは戦争だ!戦場だ!余計なことは考えるな、仲間を守るために戦え!そして死ぬな!俺の隊で戦死することは絶対に許さん!なんとしてでもこのくそったれな戦争を生き延びるぞ!全機俺に続け!連邦に一泡吹かせるぞ!」

 

「「「了解」」」

 

隊長が言い切るやいなや艦砲射撃が始まる。それに合わせてスラスターを吹かし、敵艦隊にむけ吶喊する。ビームの砲弾が飛び交う中、縦横無尽に飛び回り、サラミス級巡洋艦の艦橋を、砲塔を、船体を、推進部を、蜂の巣にして撃沈していく。他の隊のザクや隊長のザクⅠ、シン、マイヤーのザクⅡと編隊を組んだり分散したりしながら敵艦隊を屠っていく。そんなときだった。

 

「ナガト一等兵!敵編隊上方!!突っ込んでくる!」

 

マイヤーからの通信が入ると同時にアラートが鳴り響き、レーダーに3つの反応がでるが俺は冷静だった。

 

「んな攻撃あたっかよ!」

 

言うやいなやスラスターを吹かしてミサイルを回避しセイバーフィッシュの編隊に突っ込み真ん中の機体を足で蹴り飛ばし機首を踏み潰すと機体を捻り照準を合わせマシンガンで2機目を叩き落とす。3機目を探したがすでにマイヤーが落としてくれていた。マイヤーのザクに接触回線を開き

 

「助かったぜマイヤー!ありがとうな!」

 

「いえ!お見事です!」

 

「なぁに、マイヤーも見事だよ。よし、次に行こうか!」

 

「はい!」

 

マイヤーの返事を聞くとマイヤーのザクから離れエレメントを組んで敵艦隊に再度吶喊し敵を落としていく。追加でサラミス級巡洋艦4、マゼラン級戦艦1、セイバーフィッシュ7機を落としていると、コロニー、アイランドイフィッシュが地球に向けて落下していくのが見えた。

 

「見ろ、コロニーが落ちていく。アイランドイフィッシュが地球に向けて落ちていく…。」

 

「えぇ、落下起動にのったのでしょう。…、ナガト一等兵、集合命令です。行きましょう」

 

「一体どれだけの人間が死んだんだ。コロニーの人たちはどうなった。それに地球の人たちは…」

「ナガト一等兵?」

 

「すまん、隊長達に合流しよう」

 

俺は考えるのをやめ、コロニーが地球に落ちていく光景に背を向け隊長達に合流しようとザクを動かした。これ以上見たくなかった。少しでも早くこの場から離れたかった。怨念が、憎悪が見えた気がしたから。

 

隊長達と合流したあと母艦に帰還し収容されてコックピットから降りると大歓声があがっていた。艦内のほとんどが歓喜に溢れていた。みんな口々によくやったやジークジオンと叫んでいるが俺はそんな気になれなかった。疲れていたし喜びよりもあのコロニーが纏っていたオーラが気になって仕方がなかった。そしてそれを思い出すだけで冷や汗が止まらなかった。隊長、シン、マイヤーが整備兵達に揉みくちゃにされているのを尻目に俺はトイレに向かい、吐いていた。あのコロニーが恐ろしく、脳裏に焼き付いて離れなかった。それに地球の人たちが、なんの罪もない人たちがどうなったのか。それを考えただけで震えが止まらなかった。冷や汗をかき震えながら部屋にいきベットに倒れると死んだように眠った。

 

「…一…兵…、ナ…ト…等…。ナガト一等兵!」

 

「んっ…。うぅ…何だマイヤー…。」

 

マイヤーが俺を揺さぶりでかい声で読んでいる声で目覚めた。なんだって言うんだ。もう少し寝かせてくれてもいいじゃないか…。そう思いながら体を起こすとマイヤーとシンが部屋の中にいた。

 

「起きたか、ナガト。大丈夫か?」

 

「あぁ、大丈夫だ。寝たら治った。というかなんでシンがいるんだ?」

 

「あぁ、隊長がお前の様子を見てこいって。どうせ大丈夫だろうからおきたらドズル閣下のところに行くってよ。」

 

「珍しいな隊長が俺の心配なんて、ナガトなら大丈夫だろう!があの人の口癖だろうに…。んでドズル閣下のとこだって?なんでまた。隊長ならまだしも一等兵風情が行っても大丈夫なのかね…、他の士官に睨まれても知らねぇぞ…」

 

ため息をつきながらシンに応える。他の士官の方々に何言われるかわかったもんじゃない。あぁ、いくらドズルでも憂鬱だ。

 

「まぁ、ドズル閣下が呼んだんだ。行くしかあるまいよ」

 

シンも困った顔をしながら方をすくめる。わかったよとベットから起き上がり身だしなみを整えてシンと部屋を出て隊長のもとに向かう。

 

「おう!やっと起きたかねぼすけめ!」

 

隊長が俺の背中をバンバン叩きながら笑いかけてくる。

 

「痛いですよ隊長…。おまたせしました。」

 

「良い、初陣での大戦果だ。よくやった!さて、ドズル閣下がお前らをお呼びだ。さっさと行くぞ!」

 

「「はい」」

 

隊長を先頭にランチに乗り込み旗艦ワルキューレに向かう。なんともでかい。ランチを格納庫に降ろしドズル閣下の元へ向かう。ドズル閣下の部屋に向かうとそこそこ大きい部屋だ。始めてワルキューレの中に入るのででっかいなぁがまじなリアルの感想だった。隊長はここで待ってるから行ってこいといい部屋の前でとまった。シンと目を合わせ、ノックをする。

 

「ナガトヨシノ一等兵!シンマツナガ一等兵!入ります!」

 

 

「入れ」

 

中から聞き慣れた、兄貴分の声が聞こえる。

 

「入ります!」

 

二人で入室しドズル閣下の前にいき

 

「ナガトヨシノ一等兵、シンマツナガ一等兵!参上しました!」

 

と敬礼する。ドズル閣下は笑いながら

 

「楽にしろ、ここには俺達しかいない。そこに座れ」

 

といい、ソファーに腰を掛ける。ドズル閣下が座ったあと、対面のソファーにふたりで腰を掛ける。

 

「先の作戦、ご苦労だった。二人ともよく働いてくれた。初陣とは思えん戦果だ、さすがは俺の兄弟分よな!」

 

とドズル閣下がいうとシンが

 

「いえ、閣下こそ作戦成功。おめでとうございます」

 

といい、俺も

 

「おめでとうございます」

 

といい少しの間雑談をした。何分久しぶりに合ったのだ。階級を忘れ三人共昔の、子供の時のように笑い合った。しばらくして、ドズル閣下の顔が真面目になり

 

「これからの2人の活躍に期待する」

 

と言われ、

 

「「はっ!」」

 

と起立して敬礼で応え、部屋をあとにし、隊長と合流して母艦に戻った。

 

 

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