ソロモンに咲いた桜   作:ユウ・ベルフ

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3話

ブリティッシュ作戦から10日後、一度ソロモンに帰還していた母艦とともに公国軍第二機動艦隊としてサイド5に向けて発進した。なぜサイド5に向かうかって?そりゃあ作戦が失敗したからだ。くそったれめ、落ちたのはジャブローなんかじゃねえ、オーストラリアのシドニー。全然違うところに落ちたから無関係な一般市民が大勢死んだ。なのにもう一度コロニーを落とす?馬鹿も休み休み言ってくれよ。そう思いながら機体の調整を行なったり訓練したりして時間を待っていた。

 

ジオン第二機動艦隊 ムサイ級軽巡洋艦 艦内

 

「ナガト」

 

俺の方に向かってくる親友が俺を呼ぶ。俺は艦内の外が見えて誰も来ないお気に入りの場所で宇宙を見ていた。

 

「どうした?シン」

 

「調子はどうだ?」

 

「ぼちぼちだよ、作戦開始まであとどんくらいだっけ?」

 

「あと7時間くらいだ。作戦宙域について、その後展開、作戦開始だ。」

 

「そうか、はぁ…。」

 

「どうした?」

 

俺はシンから時間を聞き憂鬱を隠すことなく態度に出す。シンが俺を見ながら聞いてきた。

 

「いや、またコロニーを落とすのかと思ってな」

 

俺は心底うんざりした顔でシンにつぶやく。

 

「そうだな、また落とさなくてはならないとはな…、

だが…」

 

神妙な顔をしてシンもかえす。二人の間に沈んだ空気が漂うが

 

「やらねばならんのだろう?俺達は軍人で、上層部からの命令だから」

 

「あぁ、そうだ。俺達は軍人だ。命令は絶対。なんとしてでも完遂しなくてはならない。どんな命令でもな…」

 

俺は軍人としての回答をするとシンも軍人としての回答をする。

 

「ははは…笑えねぇなくそったれ。こんな作戦思いつくなんて上層部はどこまで頭が狂ってるんだ。民間人が犠牲になっていいはずなんてねぇだろうがよ」

 

「それはそうだ。民間人が犠牲になる作戦など愚の骨頂。軍人がたてていい作戦ではない。」

 

「だがそれをやってるのがジオンの軍上層部だ。こんなの虐殺と変わらねぇよ…」

 

「あぁ、だがそれでもやらなきゃならない。ナガト、作戦中は考えるな。俺達は軍人だ、軍というなの組織の1つの歯車にすぎん。たとえどれだけ多くの血をかぶろうと、生きて戦い続けなければならん」

 

「あぁ、わかってるよ。でもありがとうな。俺達は軍人だ。望んで軍人になったんだ。俺は戦友たちのために、家族のために戦う。この作戦も生き残ろう。」

 

「あぁ。必ず生き残ろう。生きて帰るんだ」

 

「おう、さて!準備でもしますかねぇ。」

 

「そうだな、軽くなんか食ってこう。作戦に支障が出ない程度にな」

 

「そうだな、少し腹減ってたところだ。行こうぜ」

 

シンと拳と拳を軽くぶつけ合ったあと艦内の食堂で握り飯2つとお茶を作ってもらい食べたあと、ノーマルスーツに着替え自分たちのザクに乗り込み調整を行う。

 

「ナガト!ちょっといいか?」

 

「どうしました?姐さん」

 

コックピットで調整をしてるとミヤビ整備長が声をかけてきた。この艦のモビルスーツの整備士をまとめ上げる姐さん的存在で整備士達からは姐御、パイロットからは姐さんと呼ばれ慕われている。

 

「ある程度の調整は済ませといたがどんなもんだい?」

 

「最高です、姐さんが整備してくれるとコイツご機嫌の度合いが最高なんですよ。」

 

「そりゃそうだろう!どんだけモビルスーツいじってると思ってんだい、あんた達の機体を整備するやつらはあたしが鍛えた一流さ。艦隊の中でもあいつらを超える整備士はそういないさ。そしてそいつらを育てたのはあたしだよ?あたしがやってご機嫌斜めになるならその機体スクラップにしてあたしも引退するさ」

 

「それは困りますよ姐さん、俺とシンの機体をオーダー道理に整備してくれるの姐さんしかいないんですから!」

 

「あっはっは!あったりまえだろう!そんなことありゃしないよ!いいかい?ちゃんと生きて帰ってくるんだよ。いくらザクが優秀だからって、整備士の腕がいいからって慢心しちゃだめ。生きて帰ってこなかったら蘇らしてからあたしがもう一回殺してやるからね」

 

姐さんは俺の両肩を掴み顔を近づけ真面目な顔で俺に言う。

 

「わかりましたよ姐さん。帰ってきます。それに、死ぬ気はありませんから」

 

「ならいい。なんかあったら呼びな。時間はある。じっくりとはいかないが調整しときな」

 

「はい!姐さん」

 

そう言うと姐さんは笑顔で頷いてマイヤーの機体の方に向かっていった。若干ハイライトが消えていたのは気のせいだろう。

 

 

その後調整を済ませ、出撃時刻となった。

隊長機、シン機と発進し次は俺の番だ。

 

「ナガトヨシノ!ザクⅡ、出撃ぞ(でるぞ)!!」

 

カタパルトからザクがはじき出される。強烈なGに耐え敵を狩るためにザクは宇宙を駆ける。

 

母艦から発艦した10分後、連邦、ジオン両艦隊から砲撃が始まる。ピンクと黄色のビームの粒子が漆黒の宇宙を染め上げていく。全くもって壮観だ、傍観してる分にはな。

 

「作戦開始!敵艦隊に突っ込む!シンは俺と、マイヤーはナガトにつけ、エレメントだ!」

 

「「「了解!!!」」」

 

隊長の無線を受け取るやいなやシンは隊長の左斜め後ろに、マイヤーもそれに習い俺の左斜め後ろに機体をつける。

 

「シン、死ぬなよ!」

 

「あぁ、お前もな!」

 

「マイヤー!俺に続け!決して離れるなよ!」

 

「了解です!」

 

俺はシンに無線を飛ばしたあとザクの左手で親指をたて、マイヤーに無線を繋げスラスターを吹かし、敵艦隊に突っ込んだ。適当な位置にいたサラミス級に狙いを定め敵艦上方から有効射程いっぱいまでひきつけて艦橋にぶち込んだ。艦橋が蜂の巣になり爆発すると同時に下方に機体を滑り込ませ側面の砲塔や機関部に鉛玉を打ち込んでいく。マイヤーもそれに合わせて俺の反対側をぶっ潰していた。容易に一隻沈めるとそのまま二隻目のサラミス級に纏わりつきなるべく弾薬の消費を抑えながら一隻、また一隻と屠っていく。共同で二隻、単独で三隻サラミス級を沈めた頃無線が入る。

 

「隊長が戦死した。これより隊長に代わりシンマツナガが指揮を取る!ナガト、マイヤー合流しろ!」

 

「了解した」

 

「了解です!」

 

マイヤーと共にシンの元に集まる。隊長の最後を話され、シンに指揮権を譲渡したあとサラミス級に突っ込み戦死したこと、作戦は失敗、その腹いせかは知らんがドズル閣下がモビルスーツに乗って戦場に飛出して敵艦に殴り込みをかけていること、そしてそれを援護することを知らされ頭の情報処理が追いつかなくなりかけるがなんとか理解し、シンの二番機の位置につき、マイヤーが三番機の位置についてドズル閣下の機体に合流する。

 

付近に到着したときにはヒートホークのでっかいやつで艦橋をぶった斬ってたが副砲2門が回転しドズル閣下の機体を狙っていたのでシンと俺で1つずつ潰して合流する。

 

「何やってんですドズル閣下!」

 

「学生の喧嘩じゃないんですよ!」

 

ふたりしてドズル閣下に無線で怒鳴ると

 

「作戦を台無しにされたのだ!!腹いせに敵艦を沈めてなにが悪い!!!」

 

と怒鳴り返されたが

 

「腹いせに暴れることが艦隊司令官のやることですか!!」

 

とシンが怒鳴り返し一瞬の間のあとセイバーフィッシュやサラミスニ隻、マゼラン一隻が攻撃してきたので

 

「シン!ドズル閣下のおもりを頼む!マイヤー!サラミスとマゼランを殺る!まずはマゼランだ。接近して砲の死角に入り沈めるぞ!」

 

「おいおもr「わかった、セイバーフィッシュは任せろ。」

 

「了解です!」

 

シンとマイヤーの返答を聞くやいなやスラスターを吹かしマゼランの弾幕を掻い潜り両側から蜂の巣にしていき、艦橋をヒートホークでぶった斬って轟沈させるとふた手に別れ一人一隻ずつサラミスを沈め、セイバーフィッシュを殺ろうとしたらもう残骸と化していた。装飾を施されたザクとシンの機体の周りに漂い何も言わぬ残骸になったセイバーフィッシュに手を合わせながら合流する。どうやら敵艦隊は撤退したようで敵影は見当たらなかった。

 

「帰艦する!シン、ナガト、それとマイヤーといったな、ついてこい!」

 

三人して困惑しながらドズル閣下を戦闘にワルキューレに収容されていく。そしてコックピットから降りてドズル閣下の元に向かったら一発ぶん殴られるシン。そして次に殴られる俺。湧き上がっていた格納庫を静けさせるには十分だった。そしてマイヤーは困惑していた。

 

「これで上官への無礼は許してやる!」

 

そう胸を張って言うもんだから頭を抱えちまった。あんま変わんねぇなこの人は。まぁ、無線で上官に怒鳴りつけるなんてことを拳1つで許してくれる懐の深さは漢の中の漢だ。

 

「いいかシン!お前はソロモンの白狼に、ナガトはソロモンの夜叉になるのだ!!ソロモンを護る2つ頭として!!」

 

俺達に指を指し艦内の人たちが唖然としているのを気にせずドズル閣下は続ける。

 

「貴様らは俺の守る、俺たちの守るソロモンの要になってもらわねばならぬ。そこで、この作戦が終わり次第貴様らは士官学校に入学してもらう!」

 

「「はぁ…。はぁ!?」」

 

唐突すぎるドズル閣下の命令に二人しておどろく。なにせ士官学校だ。誰彼簡単に入れるもんじゃないのだ。そこに入学しろと。全くこの男は…。

 

「ドズル閣下、入学と簡単に仰りますがそう簡単に入学できるところではないのですが?シンならともかく俺は厳しいでしょう。」

 

俺は当たり前なことを聞く。そりゃそうだ、良家の出ならまだしも後ろ盾も何もない平民での俺が入学できるなんてことはまずない。だがドズル閣下はそんな俺の考えを吹き飛ばすように豪快に笑い

 

「そんなもの、初戦と先ほどの功績、そして俺が推薦するのだ!問題はない!!」

 

俺の肩に手を置き、自信満々にそう答える。職権乱用では?とも思ったが口には出すまい。折角入れてくれるのだ、ご厚意を受けよう。

 

そうして俺たちは本国サイド3に帰還したのち士官学校に入学することになった。

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