ソロモンに咲いた桜   作:ユウ・ベルフ

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作者です、この小説を読んでくださりありがとうございます!
誤字報告をくださった方ありがとうございます!
極力誤字を無いように細心の注意をしてはいますがそれでも誤字をしてしまうことがあると思います、そのときはご指摘のほどお願いいたします!
また感想、提案、誤字以外のご指摘なども是非頂けると嬉しいです、よろしくお願いします!

それでは本編スタートです!!


7話

0079年 9月15日 ファルメル艦内

 

俺がソロモンに配属されてから2ヶ月がたった。ドズル親衛隊として哨戒任務、スクランブル任務で敵艦隊を返り討ちにしていると撃沈数が3桁を迎えシンとともに大尉に昇進していた。

そしてドズル閣下からの命令でシャア少佐率いる特務部隊と共に連邦の艦を補足し追跡していた。連邦のモビルスーツ開発が成功したとの情報、そしてその運用艦と思しき艦船の建造。そしてその艦は宇宙に上がってくる。その情報を得ていたドズル閣下がシャア少佐に命じて特務部隊としてその情報の真意を確かめようとしていた。そしてドズル閣下は連邦の新型モビルスーツが戦闘可能だった場合に備えて俺もシャア少佐の部隊に同行せよと俺に特命を出したのだ。そして今シャア少佐から呼び出され俺は艦橋に上がっていた。

 

「ナガト大尉、どう思う」

 

開口一番、白く犬が伏せをしたような形を艦が映ったモニターを見ながらシャア少佐は聞いてきた。

 

「はっ、あれは見たことのない艦であります。あの2つの箱のようなもの、あれは恐らくモビルスーツを搭載する格納庫ではないでしょうか。」

 

「貴官もそう思うか、やはり連邦は新型モビルスーツの開発に成功している可能性が高いな。ドレン、あの艦を追う。あの艦がどこに行くのか確認しなくてはな」

 

「はっ、レーダー員、あの艦を見失うなよ!第2戦速!操舵手、つかず離れずいやらしい位置を維持しろ!」

 

シャア少佐の一声からドレン少尉が指示を出しファルメルは連邦の新造艦を追跡する。艦橋から新造艦を見ていたシャア少佐は俺の方を見て

 

「ナガト大尉、今回の任務は荒れるかもしれんな」

 

「荒れる…でありますか、少佐殿。」

 

「あぁ、連邦の新造艦そして連邦の新型モビルスーツ。恐らく一筋縄ではいかんだろう、ナガト大尉も出撃してもらうぞ。もちろん私も出る」

 

「はっ、小手調べといきましょう。シャア少佐、私は機体の調整をおこなってまいります。」

 

「分かった、何かあればすぐに呼ぶ。」

 

「はっ、失礼します」

 

そう言うと敬礼をし艦橋を後にするとモビルスーツハンガーへ向かい黒を基調として左胸がピンクに塗装されている高機動型ザクRN-1型のコックピットに入る。機体の状態が示されているタブレットと姐さんに作ってもらったマニュアルを交互に見ながらひとつひとつ不良箇所がないか丁寧に確認している。今回は俺だけシャア少佐の隊に同行せよとの命令だったため整備兵の人達や姐さんを連れてくることができなかったのである。そのことを話したら姐さんが鬼のような気迫でマニュアルを手書きで書き上げて渡してくれた。ファルメル所属の整備兵の中には姐さんの元で働いていた人がいたためその人に俺の機体の大まかな整備を任せている。ある程度できるとはいえ本職はパイロット、整備兵の人達より整備はできないので専門家におねがいしている。まぁ、大尉という階級でシャア少佐の部下じゃないためファルメルの中ではかなり浮いている。早くソロモンに帰りたいと思うが任務のため我慢しよう。はてさて、だいたいチェックするところは終わったな。あとはコックピット内で計器の異常がないかとか確認しよう。……、異常なし。ふむ困った、することがなくなってしまったな。こういうときは小説を読むに限るな。そう思った俺はコックピット内に隠している3冊の小説のうち1冊を取り出して読み始める。ひと目を気にせず黙々と読めるため好んでコックピット内で小説を読んでいるが姐さんには怒られるのでこういうときじゃないとできないのだ。さて、集中して読むとしよう。

 

 

そこから3日間することがなく3冊の小説を読み切ってしまい手持ち無沙汰になった頃、艦橋に呼ばれたので艦橋に上がる。

 

0079年09月18日

 

連邦の新造艦、ホワイトベースはサイド7、1番地に入港。シャア少佐は連邦のV作戦と判断、現在独断でザク3機を出撃させて偵察をさせている。さて、鬼が出るか蛇が出るか。艦橋に上がってしばらくした頃、偵察に出た3機のうち1機だけが帰還した。帰還したものがデータを渡し、それをモニターで見る。

 

『曹長!120mmが効きません!!』

 

『うわぁぁぁぁ!!ぁぁぁあ』

 

『よくもジーンを!!うぉおおおっ!ぐわっ』

 

『来るなっ来るなぁぁぁあ』

 

「これは…、我が軍のザクが容易く…」

 

そこに記録されていたのはザクマシンガンが効かず辿々しくも殺意を持った動きでザクに迫り顔の動力パイプを引きちぎる姿とパイロットの断末魔、その後もう1機が飛びかかるがビームの剣でコックピットを一突き。その後動力パイプを引きちぎったザクのコックピットも突き刺して撃墜した映像だった。あまりにも衝撃的な映像に言葉を失った。恐らくだが出力はザクよりもあるだろう。だが動きが素人だ、まるで訓練すら受けていないものが操縦しているかのように。だがそれでもザクを2機撃墜していることを加味すればジオンにとってあまりにも脅威。そう考えていると

 

「連邦の新造艦、ドックより出てきます!」

 

レーダー員が報告を上げると

 

「出るぞ。ナガト大尉、スレンダー軍曹ついてこい」

 

「「はっ」」

 

シャア少佐は俺とスレンダー軍曹を見たあと艦橋から出ていく。それを追うように二人でモビルスーツハンガーに向かいコックピットに乗り込む。今日はパイロットスーツは無しだが、まぁなんとかなるだろう。俺はベルトを締めて機体を立ち上げていくとシャア少佐専用に塗装されたザクⅡS型とスレンダー軍曹のザクⅡF型が発進するのを確認した後2機の後ろを追うために機体を発進させる。

 

「ナガト・ヨシノ。ザク、出るぞ!」

 

カタパルトから射出されアフターバーナーをふかして2機の後ろに位置づける。少しすると白い艦が見えてきた。するとシャア少佐はリミッターを外して一気に加速する。このときにアフターバーナーが少し赤く輝きながら吹かされるのでまるで本物の彗星に見える。今頃連邦の新造艦は慌てふためいてるだろうなぁ。まぁいい、俺はスレンダー軍曹のザクの加速に合わせて機体を加速させる。新造艦まで近づくとすでに新型モビルスーツとシャア少佐はやりあっていた。それを確認した俺はスレンダー軍曹に無線を入れる。

 

「スレンダー軍曹、貴方はシャア少佐の援護を。私は連邦の新造艦を攻撃します。」

 

「了解であります!」

 

そう言うとスレンダー軍曹はシャア少佐の元に向かっていった。さて、新造艦のデータ取りをしつつ攻撃しますかね。俺はスラスターをふかして一気に新造艦の艦橋まで距離を詰めギリギリのところで機体を止めると下方に反転。その後新造艦の周りをぐるっと一周まわったあと懐に入り込み、まばらに反撃してくる対空兵装に120mmを叩き込む。こちらには効いてるようだ、ちまちま潰していくか。新造艦の側面でひらひらと対空兵装から撃ち出させる弾を避けながらひとつひとつ丁寧に破壊していく。半分程度対空兵装を潰していると

 

「ナガト大尉、撤退だ。スレンダー軍曹が撃墜された。」

 

「なっ…、了解であります。」

 

そう言うと機体を反転してシャア少佐に合流して一気に戦闘域から離脱する。

 

「連邦の新型は艦砲並のビーム兵器を実装していた。ザクⅡを一撃で仕留めるほどの威力だ、分が悪い」

 

「なるほど、スレンダー軍曹はビーム兵器で…。連邦の技術力、侮れませんな」

 

「あぁ、補給を頼まねばな。帰還したら艦橋に上がって来てくれ」

 

そう言うと通信を切り撃墜されたスレンダー軍曹にむけコックピット内で敬礼をし、ファルメルに着艦する。機体を固定しコックピットから降りてファルメルの整備兵に整備をお願いして艦橋に上がる。上がると既にシャア少佐は艦橋で戦闘データをファイルにアップロードさせて戦闘記録を確認していた。

 

「お待たせしました。」

 

「早かったな、早速ドズル閣下に通信をする。」

 

「了解です。」

 

「通信士、繋いでくれ」

 

シャア少佐が通信士に声をかけると

 

「繋がりました」

 

の声とともにドズル閣下の顔がモニターに映る。

 

「独断先行の上に3人の部下と3機もモビルスーツを失うとはな。」

 

ドズル閣下は不機嫌を隠さずに言う

 

「それについては申し訳ありません。ですがこちらの記録をご覧ください。」

 

と言うとシャア少佐は通信士に指で指示を出しソロモンにデータを送る。データを見たドズル閣下は顔を険しくし

 

「これが連邦の新型か…。ザクを圧倒するとは、連邦のモビルスーツ、脅威となりうる。補給艦パプアをすぐに送る。補給を受けた後に新造艦を追撃しデータをとれ。そして可能であれば奪取、もしくは撃破しろ。ナガト大尉は補給艦パプアの護衛艦に乗艦し帰投しろ」

 

「「はっ。」」

 

シャア少佐と俺は敬礼し通信は切られる。その後すぐに補給艦パプアとの合流ポイントが送られてくるとそれを通信士がシャア少佐に報告する。

 

「補給艦パプアとの合流予定時刻は明日1030。合流予定ポイント、ノベンバーリム1599であります。」

 

「ドレン、ノベンバーリム1599に進路をとれ。第2戦闘配備のまま待機、交代で休ませろ。航海長、操艦頼む。」

 

「了解であります。第3戦速。進路、ノベンバーリム1599!」

 

「航海長、いただきました。第3戦速、よぉーそろー」

 

「ナガト大尉はブリーフィングだ。先にブリーフィングルームに行っていてくれ。」

 

「了解しました。」

 

シャア少佐は艦内に指示を出し、俺はブリーフィングルームに向かうため艦橋をあとにした。

 

 

ファルメル艦内 ブリーフィングルーム

 

先に着いていた俺はイスに座り艦橋を出る前に通信士から貰ったシャア少佐と新型モビルスーツの戦闘データを見ていた。やはりザクマシンガンでは新型に効いていないらしく近接戦に切り替えている。だが相手の動きはまるで素人。民間人が操縦しているのではないかと錯覚しそうになる。ビーム兵装か、ジオンの今の技術力でビーム兵装を装備できるモビルスーツを開発できるか否か、微妙なところだな。新型モビルスーツが開発するまではザクでの戦闘になるだろうがどこまでやれるか…。まぁ、やるだけやるしかないのだが。そう考えているとブリーフィングルームのドアは開き、シャア少佐が入ってきた。

 

「すまない、待たせた。」

 

「いえ少佐。先の戦闘のデータを見ておりました。」

 

「新型モビルスーツをどう見る。」

 

「あの機動力と装甲は脅威ですね、あれと同格のモビルスーツが量産されたらジオンに勝ち目は無くなります。ですが動きはまるで素人、パイロットは感と機体性能に助けられているだけですね。」

 

「そうか、確かに動きは素人だった。だがあれは危険だ。できれば鹵獲したいところだな。」

 

「現有戦力では鹵獲どころか破壊できるかすら怪しいです。武装偵察隊辺りを連れてこないと心もとないかと。」

 

「それはそうだがやすやすと援軍は呼べんよ、使える数は限られている。」

 

「そうですね、しかし限られたものの中で遂行しなくてはならんとは、厳しい状況になるでしょう。追撃に加われず残念です。」

 

「君の任務は別にあるだろう。恐らくだが新造艦…、いや木馬と呼ぼう。木馬は地球に降りるだろう。君の乗機は宇宙でこそ力を発揮する。」

 

「はっ、しかし補給艦パプアとの合流、補給時のスクランブル待機は私につかせてください。」

 

「あぁ、君に頼もう。」

 

その後補給時、補給後の打ち合わせなどを終わらせ、ブリーフィングルームを後にする。一度間借りしている部屋に行き荷物をまとめ、ケースをコックピットに入れて固定しておく。戦闘にならなければいいが、補給時の奇襲など戦闘においてセオリーだ。何があってもいいようにしておかなくては。固定を終えた俺は整備兵に整備状況を確認する。

 

「整備状況はどうですか?」

 

「9割方完了しております、ナガト大尉。ほぼ被弾が無かったため整備が楽でしたよ、推進剤と弾薬の補給は済んでおります。」

 

そう言うと機体状況を記すタブレットを渡してくれた。それを全て確認し、整備兵に返す。

 

「実は、明日の補給の時に離艦することになりました。スクランブル待機のあと、補給終了後に護衛艦に乗艦して離艦します。短い間でしたがお世話になりました、ありがとうございました。」

 

「こちらこそ、ありがとうございました。短い間ではありましたが大尉の機体を整備できてよかったです。これからの御武運を祈ります。」

 

そう言うと整備兵は敬礼してくれた。それに答礼で返すと

 

「本は好きですか?」

 

「本でありますか、好きではありますが…」

 

「ではこれを受け取っていただけませんか?新品ではありませんが面白い小説です。是非受け取ってほしい。」

 

そう言うと俺はコックピットの中にあった小説を整備兵に渡す。

 

「ありがとうございます。ありがたく頂戴します。」

 

受け取ってくれた整備兵が、ではと敬礼して飛んでいったのでロッカールームに向かいパイロットスーツに着替えコックピットに入り、スクランブル待機に入る。

 

 

9月19日時刻1030 合流地点ノベンバーリム1599

 

ファルメルは補給艦パプアと合流、護衛艦はエンジントラブルで到着が10分ほど遅れるとのことだった。補給が始まってすぐのときだった。レッドアラートと共にビームが両艦の間を抜ける、続けて2発目がパプアに被弾、3発目がファルメルを掠める。

 

「スクランブル!!」

 

「ナガト・ヨシノ!出るぞ!!!」

 

オペレーターからの無線とともにカタパルトから緊急射出されると白い機体が遠目に見えた。すぐに機体を上方に移動し射線からぬけると機体を前に進ませる。すぐに通信を繋げオペレーターに報告する。

 

「目標確認!!数1、機種は連邦の新型!距離5000!」

 

「できる限り敵機を引きつけてください!!護衛艦到着まであと660秒、なんとか耐えてください、その間に補給を済ませます!」

 

「了解、耐えきってみせましょう。」

 

そう言うと一気にスラスターをふかして距離を詰める。徐々に白い機体が大きくなってくると、射程距離に入る。恐らく相手のレーダには映って居るだろう。すると銃口がこちらに向いたとこが見えると機体を横に滑らせると機体があった位置にピンク色のビームが通っていく。それを横目にそのまま機体を進ませながら銃口が向くたびに機体を滑らせ躱していきながらザクマシンガンをぶっ放す。白い機体もザクマシンガンの弾丸を躱しながらビームを飛ばしてくる。程よくぶっ放したあと左手にザクマシンガンを持ち替えヒートホークを右手に持ち、一気に懐に入り込むと左にヒートホークを振るが後ろに避けられる。左手のザクマシンガンを腹部にぶっ放すが盾で防がれる。

 

「チッ、やっぱり硬いなくそったれ」

 

新型を正面に捉えながら一気に後ろに下がるとそのまま新型モビルスーツは距離を詰めつつビームライフルを撃ってくる。

 

「そんなに撃って、弾切れを知らんのか連邦の新型は!!!」

 

適当に弾丸をばら撒きつつ残弾が100を切ると撃つのをやめザクマシンガンを新型がビームライフルを撃ってくる位置にぶん投げると爆発が起き動きが止まる。

 

「艦隊との距離は目と鼻の先、ファルメルからの増援の見込みなし。護衛艦到着まであと300秒。武装はヒートホークのみ、敵は連邦の新型モビルスーツ。相手にとって不足なし!推して参る!!」

 

言うやいなや一気に距離を詰めビームライフルを撃とうとする腕を左手で抑え腹部に推力を殺さずに蹴りをぶち込むとそのままスラスターをふかして背後に周りヒートホークを振り下ろすが盾で防がれ左肩と右足をビームライフルで撃ちぬかれ動きを止めてしまった。そのすきを見逃さず新型は艦隊に向かい飛んでいくのを後ろから追いかける。だが推力が足りず追いつくことができず距離ははなされていく。ザク1が果敢に新型に取り付くがコックピットを撃ち抜かれ爆散、パプアにもビームライフルを撃ち込まれ轟沈し、次はモビルスーツを搬入中のファルメルだ。まずい、間に合わない…。そう思ったときだった。新型の直上から3機のザクが編隊を組んで攻撃をし下方に退避する、さらにその後ろからザンジバル級が主砲を新型モビルスーツに撃ち込むが躱される。あの艦は…

 

「ナガト大尉!無事ですかい?」

 

4機目のザクが俺のザクの左側に着くと2丁もっているザクマシンガンのうちの片方を俺にわたす。

 

「助かった、だがもう少し早く来てくれ。パプアが沈んじまった」

 

「ファルメルとナガト大尉に比べたらあの艦は旧式、沈んじまってもやむ終えませんぜ。」

 

「だが…、まぁいい。あとだ、連邦の新型を追い払う。武装偵察隊の力を見せてやれ!」

 

「おう!」

 

そう言うと俺はスラスターをふかし、助けに来たザクも俺のあとに続く。5対1の形になった途端連邦の新型は反転して撤退していった。

 

 

その後補給を終えたファルメルはノベンバーリムを後にし連邦の新造艦追撃の任務に向かう。それを見送ったあと、シーマ教官が指揮するリリー・マルレーンに乗り込みソロモンに帰還した。

 

 

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