エックスが少年型レプリロイドで身長も160〜165センチだと言うのを最近知りました(
……まぁでも戦歴見たらとてもじゃないけど子供ではないよな……。
エックスの奇妙なキヴォトス生活が、本格的にスタートした。
カイザーからの依頼を受ければ戦場へ、ヒマリに呼ばれれば特異現象捜査部へ。
エックス用の道具が必要になればエンジニア部やヴェリタスに出向いた。
週に1回、ノノミへの報告も忘れていない。
中々忙しくてアビドスへ出向けないし、ノノミもアビドスを離れる訳にはいかないので未だに電話だけ。
そんな生活が一ヶ月続いた。
『今週はどんな事があったんですか?』
いつもの様に、ノノミに電話している。
「そうだな……エンジニア部が俺用の補給アイテムを作ってくれたんだ」
『補給……?』
「ああ。俺のエネルギーは太陽光を変換して補充出来るんだけど、戦闘が続くと流石に追い付けなくなる。それで直接補充出来る物が何か必要だったんだ」
……ウタハに渡された缶を思い出して、苦い顔をする。
『名付けてE缶だ』
『え……これ、俺の世界にもある代物だ……よく作れたね』
『えっ、そうなのかい?むぅ……徹夜でアイデア出しをしたんだが……』
『でも部長!同じ名前のアイテムがメガマンに出てましたよ?』
『メガマン?……ああ、あのレトロゲーの』
『前にもその名前は聞いたな。少し興味が出てきたよ』
『メガマン、ですか……?生憎と私もよく知らないんですよね。ゲーム開発部が詳しいかもしれません!』
『……なんだか、学生らしい部活だ』
『まぁとりあえずこれ一本でキミのエネルギーは全回復、フルチャージ間違いなしだよ。試してみて』
『分かった。それじゃあ……コフッ!?』
『うわっエックスさん!?』
……エックスが遠い目をする。
あのときは酷い目に遭った。
暫くバスターの調子が悪くてたまに弾ではなく旗が出るようになってしまった。
『えっ、腕から旗が……?どうしてですか……?』
「……俺にも分からない」
あの時は自己診断何度を掛けたが原因が全く分からなくて仕方なくエンジニア部にバスターを軽く点検してもらった。
それでも原因が分からず2日経ったら直ったのだから気味が悪い。
『……それと、カイザーではどんなお仕事を?』
ノノミはカイザーでの仕事の話をよく聞く。
ただ、声のトーンが幾分か下げて。
最初にノノミに伝えた時は暫く絶句していた。
「前回はアビドス砂漠の基地の復興だったよ。あの時の奴らの残党が居着いていて相当に手間取ったんだ」
……奴らは一体何なんだろうか。
ヒマリ達にもそれとなく聞いたがはぐらかされてしまった。
『申し訳ありません。実はまだ伝えられる決定的な情報を私達は持っていないんです』
とのこと。
デカグラマトンについてあまりにも情報が少なかったのだ。
『そう、ですか』
「心配しなくても大丈夫だ」
『……それでも、やっぱり心配で。こうして連絡できるのも奇跡みたいなものですし……』
「ノノミ」
『はい?』
「落ち着いたら、会いに行くから。俺を直に見れば奇跡じゃないって納得するだろ?」
『……はい、約束ですよ?』
「ああ」
『……破ったら、泣いちゃいますからね?』
……以前、ノノミの先輩と少し話すことがあったが……。
『……ノノミちゃんを泣かせたら、スクラップにするからね?』
普段昼行灯のよう、と言う評価を聞いていたエックスはその時の代わりようにぎょっとした。
「大丈夫。必ず行くから」
『はい。それではエックスさん、さようなら』
「ああ、さようなら」
受話器を置く。
時計を確認すると、そろそろ依頼の時間だ。
あの時渡され、返しそびれた鍵はバイクの鍵だったらしく、カイザーからそのままエックスに貸与された。
バイクのキーを手に取り、エックスは部屋から出た。
「エックス、行きます!」
誰も聞いている訳ではないが……いつものセリフが自然と口から出る。
バイクにキーを差し込み、エックスは走り出した。
今日はD.U.に向かうつもりだった。
――――――――――
「あ!エックスさん!おはようございます!」
交差点で信号待ちをしている時……歩道から声が聞こえた。
ちらりとそちらを見やれば……ヴァルキューレ警察学校の制服に身を包んだ少女が手を振っていた。
エックスは微笑み、バイクを移動させて少女の目の前に停めた。
「やぁ、おはようキリノ」
「今日はお仕事ですか?」
彼女の名前は中務キリノ。
ヴァルキューレ警察学校の生活安全課に所属する1年生だ、
エックスとは治安維持や個人で行う巡回の際に出会い、意気投合した仲だった。
エックス自身、キリノの明るさ、情熱に感化され初心を思い出すことができた。
不器用ながらも自身の希望の為に努力出来る……とてもいい子だった。
「ああ」
「そうなんですね!また本官もご一緒できる日を楽しみにしています!」
「ああ。キリノも頑張って」
「ありがとうございま――――」
次の瞬間、エックスとキリノの近くにあった信号機が爆発した。
「は……!?」
「あっ!エックスさん危な……」
「えっ……ごはっ……!?」
エックスの頭の上に、信号機の残骸が激突した。
たまらず転倒する。
「だ……大丈夫ですか……?」
「あ、ああ……大したダメージにはなってないよ……」
頭を押さえて立ちあがる。
「一体何が……」
「あ!エックスさん、アレを!」
「え……うわぁ」
キリノが指をさした方を向くと、エックスは思わず呻いてしまった。
……白い戦車と、黒い戦車がお互いに向き合ってにらみ合いをしていた。
「どこかのグループの抗争ですね……」
「傍迷惑な……」
「ブラックマーケットも近いですからね……あっ!大変です!」
「どうし……うわ」
またも呻いてしまった。
足元に転がる信号機。
そして……エックスとキリノの居る交差点で……ものの見事に交通渋滞が発生してしまった。
流石にこの状況で乗用車で飛び出す者はいないのがせめてもの救いだった。
「あ、あわわ……どうしましょう……!」
「落ち着いて……とにかく、応援を呼ぼう」
「そ、そうですね……」
キリノが無線機で連絡を入れる……が、
「……ダメです……誰も居ません……」
「なんてこった……」
思わず天を仰いだ。
今この場でやらなければならないのは、この交通渋滞の解消。
「となると手は一つか……」
「ど、どうするんですか……?」
「交通整理をする」
「えっ……この規模を?!」
「やるしかない……」
「あ!交通課に送ったメッセージに反応がありました!あと30分で到着するそうです!」
「30分……!?いくらなんでも……」
対応が遅い。
そう言いかけたが、エックスは口を閉じた。
キリノが、悲しそうな顔をしていたからだ。
「ヴァルキューレは……正直、対応の遅さで悪い意味で有名です」
「すまない……」
「いえ……」
「……なら、やっぱり俺たちが現場を繋ぐしかない」
「え……?」
「キリノ。君は現状をよくないと思っている。なら……行動できるはずだ」
「エックスさん……」
「ちょうどメガホンとホイッスルは君が持ってるね?俺は息が吹けないからそっちは頼む」
「わ、わかりました!」
「行こう」
「へ……!?わひゃあ!?」
エックスは、キリノを抱えて交差点の真中へ跳んだ。
「ちょ、ちょっと……!?エックスさん!?」
「緊急事態だ……さて、やろうか」
「……はぁ。はい!」
エックスはバイクに積んでいたLEDの誘導灯のスイッチを入れた。
「お騒がせして申し訳ありません!只今より交通統制を始めます!誘導に従ってください!」
……結局、この日は交通課の到着が遅れたのでエックスはカイザーの依頼をすっぽかす羽目になった。
取り敢えずこれで一区切りです。
ここからデカグラマトンにDr.バイルと前途多難ですがなんとかエンドマークが打てるように頑張りたいです。
いつも感想ありがとうございます。
読者の方の声を聞くのも楽しみの一つなので、頂けるととても嬉しくなります。