よくもまぁここまで続いたものだと自分でもびっくりしています。
「ごはっ!!?!」
口のなかに異物を感じ、エックスは飛び起きた。
「あ、起きた」
「え、エイミ!?」
エイミがエックスの枕元に座っていた。
その手には……いつぞやの、ミレニアム缶が握られていた。
「げほっ……!ごほっ……!それを、飲ませたのか……!?」
「うん。エネルギーの回復を待つより効率的でしょ」
「そうだが……」
あらゆる特殊武器を使い切らないといかないほどエネルギーが暴走する代物を何で持ってきて。
そう言おうとして……。
「あれ……」
何も起きていない事に気が付く。
「改良、成功したって」
「そ、そうなのか……」
やっと落ち着いたところで、エックスは何故エイミがここに居るのか尋ねた。
「迎えに来たよ」
「そうか……わざわざすまない」
「今回も色々やらかしたみたいだね」
「や、やらかしたって……」
「大立ち回りしてぶっ倒れたんでしょ?」
「うぐ……」
痛いところを突かれて押し黙るしか無かった。
「今回も大変みたいだったね」
「まぁ……な」
「百鬼夜行も不運だよね。連続で襲われるなんて」
「バイルにとって、百鬼夜行に何か目的となるものがあったのかもしれない」
「ふーん……あ、エックス見て。桜」
「…………………えっ?」
エックスは慌てて窓の外を見る。
今更ながら、エックスは自分が何処に寝かされていたのか把握する。
未だ、百鬼夜行。
どこかの校舎の保健室。
窓を開けると……外には、満開の桜が並んでいた。
「……なんてこった」
エックスは思わず呟いた。
『お、エックス……起きたか』
「ヴィア……これは、どういう事だ?」
『まぁ……俺にも分からん。アロナが何かしたと思うんだが……』
『おはようございます、エックスさん』
ヴィアとの通信に、アロナが割り込んでくる。
「アロナ……?」
『疑問があるようですのでお答えします。これは、貴方が私の予測を上回る活躍をした事に対する報酬みたいなものです』
「……予測?」
『本来ならば、メタルヒーローズは異なる姿を取る筈でした。それを、貴方は別の形態へ昇華させた……今回は私の負けです』
「勝ちとか負けとかよく分からないが……これはやり過ぎじゃないか?」
『本来その土地は年中桜の咲く場所。咲いていない方がおかしいのです。なので問題はありません』
「そう……か」
エックスは、初めて見る本物の桜に目を奪われていた。
世界には……エックスの知らない自然がまだまだたくさんある。
「あ!エックスさん……!目が覚めたのですね!」
窓から外を見ていると……ミモリが、パタパタと走ってきた。
「ミモリ……心配かけたね」
「いえ……そんな。でも……一晩でこんなに咲くなんて」
「あー……これは……なんというか」
エックス自身が操作したわけではない。
だが、アロナの件をキヴォトスの住民に話すわけにはいかない。
「……えっと、そちらの方は?」
ミモリは、座っていたエイミに気付き困惑の声をあげる。
「ああ、彼女は同僚のエイミだ」
「どうも」
「は、はぁ……百鬼夜行連合学院、修行部の水羽ミモリです」
……余談であるが、エックスはすっかり慣れてしまって忘れていたが……エックスの傍に扇情的な姿のグラマラスな少女がいることに、ミモリは気が気でなかった。
「これで、ミモリの依頼は完了かな」
「……はい。本当に……お世話になりました」
「いつでも頼ってくれ。俺は、イレギュラーハンター……イレギュラーを狩るのが、俺の仕事だから」
「もう百鬼夜行が襲われるとは思いたくないですけどね」
「それが一番だ」
それから、陰陽部からの面会を断ってエックスとエイミは帰路に着く。
ミモリは、名残惜しそうにそれを見送っていた。
「エックスさん!今度は……私が、遊びに行きます!」
「ああ、楽しみにしてるよ」
「また……また会いましょう!」
「それじゃあ、また」
今回の騒動も、無事に解決されたのだった。
『……あの、私忘れられていませんか?』
未だスリープ中のスマホの中で、セレナードは呟いた。
アインヘリヤル八闘士、残り1体。
それを打倒すれば……いよいよ、バイルとの最終決戦になります。