デカグラマトンの名前を使っている本作ではデカグラマトン編はまるで関係ないのですが……。
世間でかなり話題になっていたので投稿するのを躊躇っていました。
そろそろ落ち着いたかなーと思い再開します。
「……何?それは本当なのか?」
キヴォトスの何処か。
研究室のようなスペースで老人……Dr.バイルが赤い肌の女性……ベアトリーチェと密談を交わしていた。
「ええ。黒服がそう決めたわ」
「つくづく物の分からん男だな、奴は」
「そのために……PMCがある場所に集められていますの。先日のコクマー、試運転にはもってこいでなくて?」
「なるほど……キサマと手を組んで正解だったと見えるな」
「あらあら。資金援助以上のことは出来ませんこよと?」
「いやいや充分だ」
「おほほ……」
「クーックックック……」
―――――――――――
なんと、ノノミもセイント·ネフティスの勉強ということで代表者に同行していたそうな。
「エックスさんが居るなら、安全は保証されたと言っても同然ですね」
「……コイツはウチの従業員だ」
「でも、エックスさんは皆を守りますから」
「……いや、私を優先してもらわないと困るが……おい、なんとか言え」
「あ、ああ……」
何とか言えと言われても。
守るべき生徒と守るべき契約との間に挟まれていたエックスは、板挟みに陥っていた。
今までは生徒がエックスの仕事に関わることが無かったから問題なかったのだが……。
まさかノノミがこんな場所に居るなんて。
仕事の妨げになる事は無いだろうが……。
(いざという時に、ノノミと理事長を天秤にかける事態が起きなければ良いが……)
「エックス。貴様はここで待機していろ」
「ああ」
会議室へ理事長は入って行った。
この先は防犯上VIP専用のエリアとなる。
護衛だろうと例外なく。
「それではエックスさん。また後で」
ノノミも中へと入っていく。
エックスはスマホを取り出し……セレナードが管理している部下達の配置を確認した。
(……この布陣なら、よっぽどのことが無い限り侵入されることもないだろう)
「……おっ。誰かと思えばイレギュラーハンターじゃないか」
「え……?あっ、キミは!」
「久しぶりじゃないか?えぇ?」
声をかけてきた男性……以前にPMC、ラウンズのパーティ会場の警備として雇われていた賞金稼ぎだった。
「久しぶり、カルレル。元気そうだな」
「あの時賊を追いかけて飛び出したきり帰ってこなかったから、てっきりくたばったもんだと思っていたぜ」
「見ての通り、ピンピンしてる」
「違いねぇ。しかし、カイザーの社員だったのか」
「成り行きでね」
「そりゃ凄い成り行きだな……しかもここ、VIPエリア前だろ?相当重用されてると見たね」
「ははは……どうかな」
エックスはカルレルに妙な懐かしさを感じている。
他の大人たちより、レプリロイドに見た目が近いからなのかも知れないが。
「キミは……聞くまでもないか。雇われたんだろう?」
「まぁな。弱小企業が見えのために雇ったのさ」
「なるほど……」
「しっかし、こんな後ろ暗いPMCばかり集めて何の話をしてるんだか」
――――――――――
(えっ……?)
十六夜ノノミは困惑していた。
社会勉強のため……と言うのは割と口実で、参加企業名にカイザーの名前があったため……エックスに会えるかもと思い軽い気持ちで参加したのだが……。
スクリーンに映された男性の姿に違和感を覚えた。
『本日はお集まり頂き、誠にありがとうございます』
黒服の男性は厳かに口を開く。
『今回は……皆様に我々からひとつ、【依頼】があります』
各PMCの社長、理事長、それぞれのトップは黙って聞いている。
『Dr.バイル。この研究者の始末です』
「えっ……?」
――――――――――
「そういや、あのお嬢さんは元気か?」
「お嬢さん?」
「惚けなさんな。セントネフティスのご令嬢だよ」
「ああ……元気にやってるみたいだ」
「あ?イマイチハッキリしないな……お前の女だろ」
「何を言って……違う」
「は?違う?真っ先に飛び出して命懸けで救出に向かっておいてか?」
信じられない物を見るような目をする。
「それでオトモダチですで済むもんかね」
「友達さ。この世界で出会った初めての……かな」
「そうかい」
呆れたようにカルレルがため息を吐いた。
「……この世界が、アンタみたいなお人好しばっかだったら……もう少し生きるのが楽だったかね」
「そうかい?ここだってそれなりに良いところだと思うけど」
「正気かよ」
「正気さ……子ども達が笑っていられる場所なんだ。守るべきだと思える、良い世界さ」
「……理想家だな」
「理想……理想か」
エックスは思案する。
理想。
自らの望む未来とは、なんなのかを。
「俺は……」
ずん、と大きな揺れがエックス達を襲った。
「……何だ!?」
バランスを崩しはしなかったが……かなり大きな揺れだった。
「……始まったか」
カルレルの呟きを、エックスは聞き逃さなかった。
「カルレル……?」
「雇い主が行動を始めたってことさ。んじゃ……悪いが、動くなよ」
「何を……!」
カルレルが懐からなにかを取り出す。
エックスは、悪寒を感じ動きを止める。
「流石に賢いな……これ、なんだと思う?」
「……リモコン、だろう。それも……爆弾の」
「ご明察。大人しくしてたら押さねぇよ」
「なんの、つもりだ」
「さぁね。俺の雇い主に聞いてくれ」
「キミの、雇い主……?」
「おっといけねぇ。口が滑っちまった……エックス。お前は、甘過ぎる」
「なんだと……!」
「だからつけ込まれるし……あんな爺さんに良いように動かれるのさ」
「まさか……カルレル、お前……!」
「じゃあなエックス。せいぜい足掻いてくれ」
笑いながら、カルレルは背を向けた。
その背を撃とうにも乗客……そして、ノノミの命。
それが彼の手に握られていた。
「見損なったぞ……カルレル……!」
エックスは、動けなかった。
この一言をエックスに言わせたかっただけです(
アインヘリヤル八闘士、最後の一人……物語はやっと終わりへと向かえそうです。