「おはようございます、エックスさん」
オデュッセイア海洋学園での騒動から二日後。
一日休養を設けた後、カルレルの残したデータについて話し合う事になっていた。
特異現象捜査部を訪れたエックスを、ヒマリとエイミ、リオが出迎えた。
「来たわね。あの傭兵の残したデータを開封したわ」
「……どうだった」
「座標データがひとつ」
スクリーンに映されたキヴォトスの地図に、赤いマークが打たれた。
「……ここは……!ミレニアムじゃないか」
……そう、ミレニアム学園の広大な敷地……その外れに位置していた。
「まさかこんなに近くに拠点を構えていたなんて……舐められたものね」
「ここは、兵器生産工場の跡地。ここからバリアントが出てくるのも目撃されてたよ」
「裏は取れてるわけか……」
「はい。これで……全てが終わるのですね」
ヒマリが、ふとそんな言葉をこぼす。
「……みんな、世話になった」
「ふふふ、エックスさん……まだ早いですよ」
「いや……もしかしたら、そんな暇がないかも知れないからな」
「Dr.バイルを片付けたらそのままお別れかも」
「かもね」
エックスは、地図を睨めつける。
「……今回は、俺1人で行く」
「合理的とは思えない判断ね」
「ここからは、今までとは格段に危険度が違う。君達でも……生命を落とすかも知れない」
「……それは」
「Dr.バイルも本気だ。だから……俺一人で行く」
「止めても無駄みたいだね」
エイミがため息を吐く。
ヒマリもやれやれと言ったばかりに首を横に振る。
「私はここを開けることは出来ないけれど……ヒマリの名前で申請すればほぼ物資は融通出来るように調整した。私が出来るのはここまで……健闘を祈るわ」
そう言い残して、リオは退出した。
その姿に、エックスは少し目を丸くした。
「リオ……」
「彼女も何だかんだ変数に影響された様ですね。エックスさん……私は、一緒には行けないかも知れません……ですが、ここからずっと援護はしていますからね」
「私は、退路を確保しておくから」
「エイミ……」
「一緒が駄目なら別方向から行くから」
「……皆、ありがとう」
いつの間にか、こんなにも仲間に恵まれた。
この世界でも……。
「お、揃ってるな!」
「こんにちは、皆さん!」
ヴィアとリコの声が聞こえた為……モニターに目を映す。
だが、誰も映っていなかった。
「……え?」
「ハッ!エックス、こっちだ!」
「なっ……!?」
肩が叩かれ、エックスが振り向く。
そこには……ヴィアと、リコが確かに目の前に立っていた。
「こうして実際に会うのは初めてですね!」
「……もう大抵の事に慣れたつもりでは居ましたが……流石に、驚きましたわ……」
ヒマリが、ぽかんと二人を見て口を開けた。
「……エックス、バイルの捕獲だが……時期を見て俺達二人がやる」
「……何だって?」
「エイミさんに協力してもらって、キヴォトスの各地に装置を設置していました」
エイミを見ると、いつもの表情でピースしていた。
「この座標なら……4カ所起動させて十分カバーできるな」
「エイミがよく調査で空けていたのはこの為か……」
「そういうわけだ。エックス、お前はオメガを倒す事に集中しろ」
「……分かった」
作戦決行は……。
「明日の、早朝。攻勢をかけましょう」
「ああ!」
決戦の日が、目の前だ。