【完結】デカグラマトンハンターX   作:塊ロック

115 / 130
ソニックレーシングクロスワールドにて、ロックマンとブルースが追加プレイアブルキャとして実装されましたね。
令和最新アレンジのワイリーステージは必聴ですよ!


決戦前夜

 

――――夜。

 

エックスは、部室棟の屋根の上から星空を眺めていた。

 

 

明朝、エックスの帰還と……キヴォトスの未来を賭けた決戦が始まる。

銃火はあれど……エックスの居た世界より平和なこの世界に、やはり思うところはある。

 

(帰る、か)

 

帰って、どうなるのだろうか。

アクセルは未だ目覚めておらず、ゼロは引退を宣言している。

イレギュラーハンターはボロボロで……レプリフォースも等の昔に全滅している。

 

発展のための軌道エレベーターですら次世代レプリロイドのテロで破壊された。

 

……この先、あの世界に未来はあるのだろうか。

 

(だが……バイルが居る)

 

未来。

エックスが眠りについた世界から来た狂気の科学者。

 

(俺の引退は……まだまだ先みたいだな)

 

スマホに誰かからの着信。

初期設定から弄っていない無機質な音が鳴る。

 

『エックス、オートでんわですよ』

「ありがとう、セレナード……ところで、オートでんわって?」

『え?オートでんわですが……』

「……?」

 

あまり触れるべきではないかも知れない。

待たせるのも悪いので、とりあえず出る。

 

「もしもし」

『……もしもし?』

 

恐る恐る、と言った様子。

 

「こんばんわ、ノノミ。いい夜だね」

『こんばんわ、エックスさん』

 

電話の相手は、ノノミ。

何だかんだ……捜査部以外で最も交流のある生徒はノノミになるな、とエックスは微笑む。

 

「どうしたんだい?」

『その……声が、聞きたくなりました』

「そうか」

『……あはは、一昨日会ったばかりなんですけどね』

「こちらも暇してた所なんだ。構わないさ」

『珍しいですね』

「そうかな?……そうかも」

『……そろそろ、なんですか?』

 

ノノミの声は、震えていた。

 

「……そろそろ、と言うのは?」

『帰られるんですよね……元の世界に』

「……そうだな」

『そう……ですか……』

「ノノミ」

『は、はい』

「今まで、ありがとう。世話になった」

 

エックスがそう言うと、ノノミは黙ってしまった。

 

「……ノノミ?」

『エックスさんは……電話で、そういう事言うんですか?』

「……いや、その」

 

何故かちょっと怒られている気分になるエックスだった。

 

『ここは、会いに来てくれるパターンなんじゃないんですか』

「……夜も遅くなるだろう」

『そんなこと問題になりません』

「そうかな」

『そうですよ。だって』

 

 

 

「ここに居ますから」

 

 

 

 

エックスは思わず振り返る。

 

……部室棟の屋根にかけられたハシゴから、ノノミが顔を出していた。

 

「え、なん……来てたのか……?」

「……ぷっ。あはは!」

 

ノノミが堪えきれずに笑い出した。

 

「びっくりしましたか?」

「あ、ああ……そりゃもう……」

「よい、しょ……っと」

 

ノノミが屋根に登る。

未だにぽかんとしているエックスの隣に腰を下ろした。

 

「……どうして?」

 

エックスがなんとか捻り出した言葉は……そのひとこと。

 

「会いたかったので」

「もう夜だけど……」

「大丈夫です。送迎してもらいますので」

「親御さんにご迷惑を……」

「フリーになった蒼き雷霆をヘッドハントしに、と言ったら」

「……俺の負けだ」

 

エックスは早々に両手を挙げた。

 

「ふふっ、私の勝ちですね☆何かお願いごと、聞いてもらいましょうか」

「えっ、そういう話だったのかい?」

「うーん……」

「あ、本当に考えてる……」

 

うーんうーんとノノミが隣で唸っている。

エックスは何を言われるのかと戦々恐々していた。

 

「決めました」

「あ、ああ……」

「エックスさん。今から私が言うことに……ちゃんと本音で答えてくださいね?」

「本音?」

「はい。相手がどう思うとか、そういうのナシで。エックスさんの思ったことそのままを言ってください」

 

ノノミがそう言うと……立ち上がって少し離れる。

そして、エックスに向き合う。

エックスも、何となく立ち上がる。

 

 

「エックスさん」

 

「ああ」

 

「好きです」

 

「………………」

 

「貴方を、お慕いしています」

 

 

ノノミが、真剣な表情でエックスを見つめている。

エックスは……悩まなかった。

 

 

「すまない。それは……駄目だ」

 

「……っ、理由を……聞いても?」

 

「俺と君は……レプリロイドと人間だ」

 

 

レプリロイドと人間の恋愛。

エックスの世界では……あり得ない話だった。

 

そもそもこの二者間は同じ時間を歩めない。

 

「貴方がレプリロイドでも、構いません」

「ノノミ……駄目なんだ。俺は……君の未来を奪いたくない。永遠に姿が変わらない俺と、君は一緒になれないんだ」

「……」

「だから……」

「あーあ」

 

真剣な顔をしていたノノミの顔が崩れる。

くしゃっと、微笑んだ。

 

「分かってました。エックスさんは本心からそう言うって」

「ノノミ……」

「そもそもエックスさんは帰るんですから……引き止めたら酷ですよね」

「………………」

「この気持ちに名前を付けたかった……それだけです」

「ノノミ」

「はい……!?」

 

まくし立てるノノミに近付いて、エックスはノノミを抱き締めた。

 

「え、エックスさん……?!」

「ありがとう。こんな俺を好きになってくれて」

「……ふふ、どこでこんな事を覚えてきたんですか?」

「えっと……図書館で借りた本に」

 

ノノミが、エックスの肩に顎を乗せる。

二人の身長差は、ほぼゼロなのだ。

 

「……冷たい」

「俺は……ロボットだからな……表面は熱を持たないんだ」

「……なのに、こんなにエックスさんの心は熱くて……私の頬も熱いです」

「え、大丈夫かい……?」

 

ノノミの顔を離して、正面から目線を合わせようとして……。

 

「えいっ」

「んっ……!?」

 

ノノミに、唇を合わせられた。

 

「ぷはっ……ふふふ、奪っちゃいました」

「ノノミ……」

「最後まで、わがままでごめんなさい」

「……女の子は、多少わがままなくらいが丁度いいらしい」

「エックスさんは何の本読んだんですか……?」

 

エックスは、ノノミから手を離す。

ノノミも、エックスから離れた。

 

「フラれちゃいました」

「すまない……」

「良いんです。初恋は実らないっていうのが定番なので」

「ノノミ」

「はい」

「俺は……明日の朝、Dr.バイルに挑む」

「……そうですか。今日で……良かったです」

「今まで、ありがとう。この世界で一番最初に会えたのが……君で良かった」

「私も……エックスさんに会えて、良かったです」

「……もう、二度と会うことは無いと思う」

「……はい」

「…………………」

「……もう、そんな顔しないでくださいよ」

 

ノノミがふっ、と笑う。

 

 

「大丈夫です。いつか、エックスさんよりいい人を見つけますから。私をフッたこと、後悔させちゃいますから!」

 

「……ああ」

 

「私、幸せになりますから!」

 

「ああ……俺は、それを見ることは出来ないけど……その未来を、守りに行く」

 

「……頑張って、ください」

 

「ああ」

 

「それじゃあ……さよなら、エックスさん」

 

「……さよなら、ノノミ」

 

 

そう言うと、ノノミは駆け出して……飛び降りていった。

 

「……絶対に、負けられない」

 

負けるつもりなど毛頭ない。

だが……あの子の、ノノミや……この世界の未来のために、勝たなければならない。

 

「俺は、勝つんだ」

 

エックスは、夜空を見上げてそう呟いた。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。