「……ケセドの方は未だに稼働を続けているのですね」
モニターと端末を忙しなく操作するDr.バイルの背中へ、ベアトリーチェが呟いた。
「奴は真っ先に侵食したからな。預言者たちが眠りにつく前に手を出せた唯一の個体……働いてもらわねば困る」
「そうですか……しかし」
ベアトリーチェはここまでの戦闘データに思いを馳せる。
もう、この老人に先はない。
獲るなら、今。
この老人の首さえゲマトリアに転がせば黒服から小言が出る程度に事態は収まる。
「もう、手駒のレプリロイドは居ないようですわね」
「奴らはオメガ起動までの時間稼ぎに過ぎん。起動した後サンクトゥムタワーへ到達すれば……ワシは真の意味で自由になれる」
「………………」
この老人の狙い。
キヴォトスの中枢、サンクトゥムタワーへ到達……管理者たちへの叛逆。
管理者については以前から気づいては居た。
だが、目的が最優先。
この老人は……それらすらも支配仕様としている。
(どうしようもない支配欲。あまりに醜い)
こうして援助はしているものの……黒服の言った通り大したことは無かった。
(援助も、ここまでね)
老人はこちらを意にも介しない。
目の前の鉄くずに必死に何かを施している。
ベアトリーチェはそっとその場を離れ……通信機に指示を下した。
「やりなさい」
――――――――――
発砲音。
弾丸が雨あられのように老人の体を貫いていった。
「ぐ、ヌゥッ……!?」
数多の風穴を空けられたバイルが、その場に崩れ落ちる。
這々の体で振り向けば、見知らぬシルエットが四人。
その内の一人の持つ突撃銃から熱気があがっていた。
「き、さま……ら……!」
「マダムの命令だ」
「フン……!だと思ったわい……!何の手も打ってないとでも……!」
シン……と周囲の音が消える。
静かになっただけ……だが、4人は身構えた。
何故なら……バリアントを生産していた預言者……ケセドが動きを止めたからだ。
「何……」
次の瞬間、ケセドの部屋の前にある窓にヒビが入った。
「なっ……」
バリン!
少しも間もあかず、窓が割れ……緑……いや、微かに七色に光る液体の奔流が部屋を満たす。
「う、わっ……!?」
4人は飲み込まれ、流されていった。
「く、は、は、は……くっ、クーックックック……!ベアトリーチェ!首を洗って待っておれ……!ケセド……いや、レインボーデビル!侵入者をまとめて片付けろ!」
ケセド……工場の奥に鎮座する球体……が浮び上がり七色のスライムがどんどん集まっていった。
『死に損ないめ……!』
「死に損い……?そうとも!死に損なった!死に損なったまま時を止められてしまったのだよ!だからワシは死なんのだ!!ベアトリーチェ!今まで世話になった例として……キサマは楽に殺してやる!」
『ぐっ……!?もう、追って……ああっ!!』
「クーックックック……!さぁ、もうすぐだ!ワシが、この世界を支配するまで!」
レインボーデビル·ケセド、爆誕。
雑魚召喚が自信の分身のスライムの塊を無限に生成し続けます。