「え………………」
ノノミは、衝撃で立ち尽くしていた。
町中の巨大スクリーンに映るエックス。
ボロボロになりながら戦い、巨大な敵を討った姿はまさしくヒーローであった。
だが……。
「う、そ……?」
次の瞬間、エックスは刺された。
そして……倒れて、動かなくなってしまった。
「うそ、ウソ……嘘……!!」
ノノミは、その場に立ち尽くしてしまった。
――――――――――
「くくく……ヒヒヒ……!!」
老人は、嘲笑う。
足元で転がる青い英雄を見下して。
「クヒャッーハッハッハ!!!やったぞ!遂にやった……!」
「………………」
傍らに立つ赤いレプリロイド……オメガが、エックスの頭を蹴る。
うつ伏せに倒れていたエックスは仰向けになるよう転がされた。
その胸には……ゼットセイバーで穿たれた風穴がぽっかりと空いていた。
「エックスを!ワシの手で!殺してやった……!これほど気分がいいのは何百年ぶりだろつて……!」
「………………」
オメガは喋らない。
会話するという機能を持ち合わせていないからだ。
それは中に入れられていたデカグラマトンも同じ。
バイルに捕らえられ改造を施され、そしてオメガのなかにダークエルフの代わりとして組み込まれた。
最後の力を振り絞り……自身の破壊をイレギュラーハンターへ託した。
だが……それは叶わなかった。
「オメガよ!このガラクタのボディを二度と蘇らぬようバラバラにしてしまえ!」
オメガがエックスの右腕肘を踏み砕いた。
横たわる人形の表情は驚愕のまま変わらない。
――――――――――
「そん……な……!!」
トリニティにて。
マリーはスパーク·マンドリラーの助力もありヒート·ゲンブレムの撃退に成功した。
その、すぐ後。
クロノスハイスクールが行っていた報道を見てしまった。
「エックスさん……」
――――――――――
「え……」
「隊長……!?」
「そんな、嘘だろ……!」
「エックス……!!」
「隊長ぉーっ!!」
どこかの戦場で。
カイザーPMC達の慟哭が響く。
――――――――――
「私の……ミスでした……!」
ディープログ。
アロナはモニター前で項垂れていた。
『待て、アロナ……!何があったか説明しろ!』
通信の相手は、ヴィア。
傍らにはリコも居た。
「エックスさんが……倒れました」
『倒れ……なっ……!?』
ヴィアにデータを共有する。
『オメガに、やられた……!?』
『そんな、エックスさんが負けるはず……』
「私が、終わったと判断して……そうしたら、エックスさんがゼロ……と……」
『………………しまった!!』
ヴィアが頭を抱える。
『オメガの中身が……
『姿を見たらゼロさんだと思って油断してしまいましたか……』
『クソったれ!何がエックスが負けるわけない、だ!ちょっと前の俺の頭ぶん殴ってやりたい気分だ……!!』
「もう……この世界を閉鎖するしか、手は無いのでしょうか……」
アロナが、キツく拳を握る。
「……ごめんなさい……」
『………………ハッ!仕方ねぇな!!』
「え?」
次の瞬間、キヴォトスに居たヴィアが……アロナの傍らに戻ってきていた。
そして……イレギュラーハンター、ゼロの姿を借りた見た目ではなく……。
「貸しだぜ?アロナ」
「ヴィ……ア……?」
ヘルメットを外し、白い、長い髪を降ろしていた。
『ヴィアさん!?まさか、また何かしでかすつもりじゃ!?』
「緊急事態だからな!リコ、フォースメタルを作る!」
『えっ……フォースメタルを!?』
「な、なんですか……それは」
「エックスの世界から百年後に落下した小惑星から採取された未知の鉱物だ。ソイツを使ってエックスを復活させる!」
『そんな事が……』
「出来る!何故ならブルーアーカイブはゲームの世界!ゲームのルールがあるならそれを通せば実現する!」
ヴィアは、自身の手に六角形の金属を実体化させる。
「その名も……エックス専用フォースメタル……Xハート!戦闘不能になった時LEを10%回復させる!」
「10%……」
「悪いな、これが俺の限界だ!それに俺は元々ロボット破壊プログラムの宿主だからな!出来るのはここまでだ」
ヴィアは、アロナにXハートを手渡す。
「後はそれに……冷たい身体の中に入れるための熱い魂が要る」
「な、何ですか……急に曖昧なことを……」
「分かってるだろ?奇跡を起こすのさ」
「奇跡を……?」
「そう!キズナが呼び起こすキセキをな!」
『なるほど!つまりアロナさんがやるのです!』
「えっ……えぇ??!」
『今から流星のロックマンの仕様を借りてキヴォトスに存在するエックスさんのキズナを繋ぎます!』
「き、キズナ……?」
『その名も、ブラザーバンド!』
「ブラザーバンド……それを、私が?」
「お前が、アイツらに頼むんだ。エックスを助けてくれってな」
ヴィアはその場にへたり込んでしまった。
「わりぃ……ちょっと休憩……」
『ちょっと!?こっちの処理私に全部やらせる気ですか!?』
「仕方ねぇだろ!結構力使っちまったんだから!あとで行く!」
ギャーギャーと騒ぐ二人を見つめ……アロナは、手のなかにあるフォースメタルをじっと見ていた。
「お前が愛した世界なんだろ?だったら、応えてくれるはずだ」
「愛し……そんな、ただ私は奇跡を……」
「エックスに愛着持ってほしかったからあんな機能与えたんだろ?今更隠すなって」
「それは……」
「大丈夫だって。お前の信じた奇跡の物語を信じろって」
「私の信じた……奇跡を……」
フォースメタルは、鈍く輝いていた。