「Cannon Ball」
「X5 Xvs ZERO」
「やるじゃねぇか、アロナ」
ヴィアは……サンクトゥムタワーの頂上から、D.U.の街を見下ろしていた。
『……この世界が、私に……応えてくれました……』
聞こえてくる声は、涙ぐんでいた。
『私は……グスッ……この世界を、愛せていたんでしょうか……』
「ハッ!愛してたんだろうさ!このツンデレ野郎め!」
『……貴方は、本当に口が悪いですね……』
『良い雰囲気出してますけどそろそろ手伝って貰えませんか!?』
リコの悲鳴が通信に差し込まれる。
ヴィアとアロナは顔を見合わせて笑った。
「……で?あのエックスは……何だよ」
『この世界がもたらした、絆が呼んだ彼だけの奇跡です』
「奇跡を実現する世界で、自分の奇跡を起こすなんてな……流石だぜ、エックス」
『今の彼は……この世界の住人と、全てのロックマンに支えられて立っています』
「シンクロチップ……ディメンションエリアを展開してる今だからこそのチョイスか。クロスフュージョンによるデータとの融合……」
『今の彼は……言わば、クロスフュージョン、パーフェクトロックマンです』
「パーフェクトロックマン、か……良いねぇ』
ネットナビであるロックマンEXE·とそのオペレーター、光熱斗が絆を最高潮にまで高め合体した姿であるクロスフュージョン。
それが、全ての世界のロックマンを繋ぐ架け橋となった。
『けど……ノーマルアーマーだけ、武器もバスターとゼットセイバーしか使えない、か……」
状況は厳しい。
だが、エックスならやるだろう。
ロックマンとは、そう言う存在だ。
「なら、俺も付け加えようかな」
ヴィアが笑いながら提案する。
『え?』
「今のエックスは支えられているが何か強化されてる訳じゃない。ほぼ素の状態だ。だから……」
「XFパーフェクトロックマン……エックス、ファイナルゼロカスタムだ!」
――――――――――
「何だ……この光は……!?」
バイルは、突如輝き出したエックスのボディに驚愕する。
「オメガ!さっさとトドメを刺せ!」
「……!」
弄ぶように痛め付けていた手を止め、紫に染まったセイバーを抜く。
オメガは、それを振り降ろし……。
……蹴り砕いたハズの、エックスの右腕に阻まれた。
「なっ……!?」
「こんな……所で……!」
砕かれた関節はスパークし、踏み潰された顔面はヒビが入っている。
セイバーに貫かれた胸の穴からはオイルが漏れる。
震えながら立ち上がる姿は弱々しいし、エネルギーの残量だって心許ない。
だが、
「皆の……声が、聞こえたんだ……!」
エックスは、立ち上がった。
震えながら、しかしゆっくりと、オメガのセイバーを押し退ける。
「キサマ……!?何故立てる……!?」
「倒れてなんて、いられないんだ……!!」
「!?」
エックスはそのまま、オメガの顔面に拳を打ち付けて吹っ飛ばした。
「はぁ……はぁ……!」
残りエネルギー、おおよそ10%。
この状態で……エックスのステータスは止まっている。
これ以上増えもしないが、減りもしない。
不思議な感覚だ。
けど、動ける。
「まだ……戦える!」
「ダブルチャージウェーブ!」
「!」
オメガがバスターからチャージショットを2連発。
エックスも自身のチャージショットで撃ち落とす。
「ドリャァ!!」
「!?しま」
その裏に隠れていた剣波に対応が遅れる。
なんとかゼットセイバーを構えて受け止める事が出来た。
「くうっ……!!」
が、重い。
今のエックスに、この一撃は相当に堪えた。
「ハッ!」
「くぉ……!!」
オメガが軽く跳躍し……一瞬で距離を詰めセイバーを振ってくる。
エックスもゼットセイバーで攻撃をいなす。
「セイ!」
「っ……!」
「ハッ!」
「うぐっ……!」
「トウ!!」
「ぐあっ……!!」
三段からなる連続斬り。
一撃、二撃は防げたが、三撃目で大きく後退する。
「クヒャッーハッハッハ!!エックス!そんな死に体で立ち上がるとは……まだまだ痛めつけられ足りないようだな!」
「守るんだ……!」
「……?」
「俺が、この世界を守るんだ……!!」
ゼットセイバーを翻し、オメガを斬りつける。
今のエックスの剣技は……素人振りではない。
……ゼロの動きが、ラーニングされていた。
「っ……!?」
ボロボロの身体から繰り出される、鋭い攻撃にオメガは怯む。
後隙に差し込もうとセイバーを振るうが、全てエックスに阻まれる。
「オメガ!何をしている……!」
「俺は……もう迷わない……!」
オメガがバスターショットを構えようとした瞬間、エックスは自身のバスターでショットを撃ち落とす。
エックスがオメガの懐へ飛び込む。
「滅びよ!」
オメガが、光を収束させた手のひらで地面を叩く。
オメガを中心として光の粒子が槍となり、辺り一面に撒き散らかされた。
滅閃光。
ゼロがかつて使ったラーニング技だ。
「でも、お前は……ゼロじゃない!」
「抜かせ!オメガの身体はオリジナルゼロのボディだ!」
「例え身体がホンモノでも、宿る魂がニセモノだ!」
「機械が何を言うか!」
「センサーも、視覚も全てキサマをゼロだと言っても……俺の魂が!キサマを否定する!」
光の槍をゼットセイバーで弾く。
その隙をオメガが逃さないと飛び込んでくる。
エックスは、それを左腕のアッパーカットで迎撃する。
「キサマは……ゼロじゃない……!!」
オメガの顎を打ち付け、浮いた身体、胴体に膝を突き刺す。
オメガが宙に舞う……が、すぐさま体勢を立て直す。
「アークブレード!」
「うっ……!」
空中でセイバーによる回転斬り。
そこから斬撃を四方八方へ飛ばしてきた。
エックスはその場から動けずまともに受けてしまう。
ボディに切れ込みがいくつも入る。
だが、切り落とされるほどの威力ではない。
「落ちろ……!」
「グッ……!?」
着地した瞬間のオメガに、ダッシュで接近し低姿勢からの一撃を見舞う。
オメガのガードが間に合わず、袈裟斬りをまともに食らった。
「消え去れ!」
オメガがまた輝いた左腕で地面を叩く。
今度はオメガを中心に光の柱がそびえ立つ。
「く、おっ……!?」
エックスは飛び退く……が、かなり踏み込んでいたこともありダメージを受けてしまう。
蓄積したダメージに、遂に膝を付く。
「まだ……まだ……!!」
オメガの追撃が無い。
エックスは震える足に気合を入れて立ち上がる。
「なんとも情けないものよのうエックス!」
オメガの背後に浮かぶバイルが嘲笑う。
「理想?魂?レプリロイドのキサマが抱くには不相応じゃないか!その結果がこれとはな!」
「お前には……分かるまい……!」
「分からんさ!人間など!レプリロイドなど!等しく地獄のなかで変わらない今を生き続けさせる家畜に過ぎんのだから!」
「この世界は……明日を、奇跡を望んでいる……!」
ゼットセイバーを地面に突き刺して身体を支える。
「俺も!お前も!この世界に居てはならない『マイナス』だ!」
「だとしたら何だと言うのだ!」
「俺は誇りあるイレギュラーハンター……ハンターとしてこの世界のイレギュラーであるお前と、オメガ……そして……俺を、排除する!」
一切濁ることのない、闘志に満ちた瞳。
「出来るか!イレギュラーハンター!」
「出来る出来ないじゃない……やるかどうか、ただそれだけだ!」
オメガが薄ら笑いを浮かべ、セイバーを掲げ走る。
エックスもゼットセイバーを地面から抜き迎撃する。
「ドリャァ!!」
「うおおおおっ!!」
オメガのチャージセイバーを真正面から受け止める。
エックスの両足が衝撃で地面に沈み、周囲の瓦礫が宙を舞った。
「このっ……!」
「!!」
片手を離しバスターに変形させ、チャージショットを放つ。
浮いていたオメガの腹に命中し……オメガが一瞬浮き上がる。
そこへ、エックスがゼットセイバーによる三連撃を叩き込んだ。
「天烈刃!」
降り降ろしたゼットセイバーの握りを逆手に変えて飛び上がる。
セイバーを用いた昇竜剣だ。
「くっ……!?」
オメガのボディに一閃。
どういう仕組みか……身体に傷は入らない。
だが、動きは少しずつ鈍化している。
ダメージは蓄積しているのだ。
「何をしているデカグラマトン!オメガの傷を直せ!」
「……そう言うことか!」
どうやら、デカグラマトンがシステムに干渉してオメガの傷を表示させていないようだ。
「待ってろ……デカグラマトン!今、助ける……!」
両腕をバスターに変形させる。
既に、チャージはフルチャージ。
「ダブルチャージ、ウェーブ!」
片腕ずつチャージショットを放つ。
オメガがセイバーで切り払おうとした瞬間……。
「クロスショット!」
「!?」
チャージショットが合体し、大小様々な弾丸へと変化する。
特大のチャージショットは斬られたが、数多の小径チャージショットがオメガの身体を貫く。
そして、
「斬鋭弾!」
先ほどオメガに撃たれた剣波を、今度はエックスが放つ。
意趣返しの様に放たれたそれは……オメガのセイバーを上空に跳ね飛ばした。
「なっ……!」
「うおおおおおおっ!!!」
すかさずエックスが飛び込み、握り締めた拳がオメガの頭を打つ。
続いて左の拳でボディを打ち、オメガが後ずさる。
「何故……何故圧される!?オメガ!キサマは破壊神だ!オリジナルのゼロなのだぞ…!剣の素人であるエックスに何故圧される……!」
オメガが拳を振り返す瞬間、エックスはゼットセイバーを展開。
振り抜かれる拳を避け……セイバーを振り上げる。
「ぐ、あっ……!?」
オメガの右肘から先が切り飛ばされた。
しかし、それでも怯まず残った左腕の裏拳を顔面に受けてしまう。
「がっ……!?」
ダメージが蓄積し過ぎた結果、エックスの顔左半分の表面が砕けて内部機構が露出。
左目のレンズが潰れる。
オメガがにやりと笑った瞬間……エックスの胸のセイバー痕に左手を突っ込まれた。
「がっ……!?あ、あぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
激痛。
内部に手を入れられ……心臓部を握り潰されようとしている。
だが……エックスは左手でオメガの腕を握る。
「ぐ、ぎ、ぎ……!これで……逃げられないな……!」
「!?」
エックスは渾身のヘッドバットをオメガの頭に叩き込んだ。
「ごあっ……!」
「これで……落ちろぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」
右腕をバスターに変形させ……限界を超えてエネルギーをチャージする。
バスターのメーターが激しく明滅し、エックスの右腕が震え、火花が撒き散らかされる。
「ファイナル、チャージショット!!」
「ぐおおおおおおおっ!!?!!!」
バスターから放たれたエネルギーの奔流が、オメガの身体を包んだ。
反動で、エックスも吹っ飛ぶ。
「ぐぅ……っ!!」
ゴロゴロと転がり、なんとか立ち上がる。
胸の穴から、だらりと力が抜け落ちたオメガの左腕がぶら下がっていた。
エックスはそれを引き抜き捨てる。
メインカメラ左が破損した事により視界が悪くなる。
通信機がひっきりなしにコールしているが機能不全のため応答できない。
身体中の至るところからアラート。
これ以上戦えば機能停止する。
だが、エックスは警告をすべてカットする。
からん、と宙に舞っていたオメガのセイバーが目の前に落ちる。
オメガは、両腕を失い、両膝を地に付き項垂れていた。
こちらを睨む眼光は、既に明滅していた。
エックスは立ち上がり、ゼットセイバーを構える。
「ま、待て……エックス!」
「……………」
バイルが何か言っているが、エックスは反応しない。
「それは、ゼロのオリジナルボディだ!キサマは親友を一生情けないニセモノの身体で過ごさせる気か!」
「…………………」
「やめろ……!オメガが居なければタワーが占拠できぬ……!」
エックスは、無言でセイバーを両手で頭上に掲げた。
かつて、友がエックスと本気で刃を交えた時に放った技。
「エックス!破壊神の力が惜しくないのか!」
「ゼロは……言った……」
セイバーにエネルギーが収束する。
「立ち塞がるのなら……叩き斬れと!」
「ええい!」
バイルが遂に手を出そうとする。
バイルから放たれたショットがエックスを襲おうとして……、
突如、エックスを覆ったバリアに阻まれた。
「何っ……!?」
心優しい、シスターの少女の力を感じた。
(マリー……?)
「させません!」
続いて、バイルに向けて弾丸の雨が振り注ぐ。
「くおっ……!?」
「エックスさん!」
ノノミが、エックスとバイルの間に割って入っていた。
ノノミだけじゃない。
キリノ、ミモリ、マリー、イブキも、そこに居た。
「エックスさん……!」
「エックスさん!!」
「おにーさん!」
「エックスさん!」
「「「「「負けないで…………!!!」」」」」
「っ……!うおおおおおおおおっ!!」
「ま、待て……!邪魔だ小娘ども……!」
「これで……全てがゼロになる……!」
マイナスが消え、キヴォトスは
エックスは、頭上に掲げたセイバーを振り降ろした。
「幻夢……零……ッ……!!」
振り降ろした一撃が、空間すらも切断するような衝撃を放つ。
動けないオメガはまともに衝撃波を受け……両断された。
『ありがとう……イレギュラーハンター……』
デカグラマトンの、声が聞こえた気がした。
その瞬間、オメガから閃光が放たれる。
「あ、ああ……」
バイルのうめき声を包むように、大爆発が起きた。