【完結】デカグラマトンハンターX   作:塊ロック

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小物の悪役には、相応しい幕引きを。


悪役の、幕引き……!

 

「………………ぐっ……!?」

 

オメガの爆発によって、エックスは大きく吹き飛ばされた。

立ち上がろうとして……全身の激痛がオーバーフローする。

 

そして、エックスの身体から光の粒子が漏れ出す。

粒子は目の前に集まり……シンクロチップの形に戻った。

 

……シンクロチップは、粉々に砕け散る。

 

「が、あっ……く、うっ……」

 

ガシャン、と大きな音がする。

右腕の肘から先が地面に落下する。

ボロボロと左顔面の破損箇所がこぼれ落ちる。

胸に空いた穴から更にオイルが滴り落ちる。

 

「エックスさん……!!」

 

ノノミが、倒れようとするエックスに駆け寄り、抱き止めた。

 

「ノノ、ミ……汚れてしまう……」

「そんな事を言ってる場合ですか……っ!」

「エックスさん……なんて、酷い怪我を……!」

 

遅れてマリーがエックスの容態を診る。

 

オメガから発生した爆発は……エックスを大きく吹き飛ばしたが……少女たちは奇跡的に無傷だった。

 

「おにーさん……」

 

イブキが今にも泣きそうな顔でエックスの胸の穴を手で抑えている。

 

「イブ、キ……ダメだよ……手で、触っちゃ……」

 

ミモリが包帯や止血用品を取り出して穴をふさぐ。

気休めにもならない、応急処置。

 

顔が割れ、露出した左顔面も包帯で覆われた。

 

「すまない……みんな……」

「謝らないでください……」

 

ノノミが、エックスの左手をとる。

 

「エックスさん一人で戦わせて……こんなにボロボロになって……本官だって……一緒に戦いたかったです……」

「キリノ……君、は……自分の責務を果たしていたじゃないか……」

「でも……!」

 

 

「ぐはっ……!ごぼ……っ……!!エ"ッ、ク"、ス"ゥゥゥゥ……!!」

 

 

「「「!!!」」」

 

 

 

老人の怨嗟の声。

 

全員がエックスを庇って立ちふさがり……ノノミはエックスの身体を抱き寄せる。

 

爆炎の中から、ズタボロになりほぼ死に体の……醜い、老人が現れた。

 

「まだ、生きて……!」

「死ねん……!死ねんのだ……ァ!!」

 

老人……Dr.バイルは、焦点の定まらない瞳で射殺さんばかりの憎悪を込めたうめきをあげる。

 

「かくなる上は……キサマを改造しこの世界を征服してくれる……!」

「……やらせると、思いますか……!」

 

ノノミが、強い意志の籠った眼差しでバイルを睨む。

 

「よせ、ノノミ……」

「エックスさんには……指一本、触れさせません……!」

 

マリーが銃を構える。

キリノも、ミモリも、イブキでさえも自身の愛銃をバイルに向ける。

 

「く、は……クヒャッーハッハッハ……!撃てるかね……小娘ども……!相手を殺そうと引き金を引いたことのない……楽園の家畜が……!」

 

……バイルの言う通り。

 

彼女たちの手は、震えていた。

 

「出来る、出来ないじゃなくて……」

「やるかどうか……」

「それだけ、です……!」

「やめるんだ……君たちが……手を汚しては……いけない……!」

 

エックスが、ノノミ押し退けてフラフラと立ち上がり皆の前に出る。

 

「エックス……!」

「終わりだ……バイル……!」

 

残った左腕をバスターに変形させる。

銃口からは……黒煙があがっている。

 

「駄目です……!エックスさん……!そんなの撃ったら……」

「ククク……ヒャハッ、クーックックック……!甦れ……我がしもべ達よ……!」

 

バイルが両腕を広げた瞬間……その背後に、大小様々なレプリロイドが8体出現した。

 

「アインヘリヤル八闘士……!?」

「否……!我が忠臣……バイル八神官だ……!」

「くっ……!」

 

8体のレプリロイドに太刀打ち出来るか。

……無理だ。

 

エックスはそう結論づけてしまった。

 

……だが、そうはならなかった。

 

 

何故なら、

 

 

「少し、遅かったですかね」

 

 

光の雨が……バイル8神官達を一瞬で粉砕したからだ。

 

 

「なっ……!?」

「お初にお目にかかります、Dr.バイル」

 

 

空から、誰かが降りてくる。

さながら、天女の様に羽衣のようなユニットを従えて、優雅に。

 

「セレ、ナード……!?」

 

エックスが、特異現象捜査部のサーバーへ確かに送信したネットナビ……セレナードが、実体化して戻ってきていた。

 

「やっと見せ場らしい見せ場でしたね。どうです?」

「き、キサマ……!」

「けど、バイルを片付けるのは俺達の仕事なんでな」

「はい!私達がやるのです!」

「ヴィア……リコ……!」

 

いつの間にか、バイルを挟むようにヴィアとリコが現れた。

 

「ディープログの管理者……何故ここに……!」

「ハッ!決まってんだろ……お前を再封印しに来たのさ!」

「ぐ、ぬうぅ……!捕まるものか……!二度と……あの暗闇などに……!!」

 

バイルは……両手をあげ、手のひらからショットを放ちヴィアとリコを攻撃して逃れようとする。

 

だが、その瞬間……老人の胸から、光る剣が突き出された。

 

 

「ぐ……あっ……!?」

 

 

「なっ……!?」

 

 

「端役の相手なぞ……私で充分だろうて」

「き、ききき、キサマ、は……!?」

「フン……」

 

 

 

バイルを貫いた大男。

 

エックスは、知っている。

 

「……シグマ……!!」

 

何度も対峙した……イレギュラー。

 

「久しぶりだな、エックス」

「き、さま……!」

「よせ、エックス。その身体で戦えば自壊は免れん。お嬢さん達に大人しく世話されていろ」

 

シグマブレードで貫かれたバイルの両腕に……リコとヴィアの召喚した鎖が巻き付けられていく。

 

「や、やめろ……!離せ……!」

「ディープログはお前を封印処置として今回の件を終わらせるらしい。喜べよバイル……また暗闇の中だ」

「い、嫌だ……!嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だァ……!!ワシは、ワシは……ぁっ……!」

 

未だ逃れようとするバイルの後頭部を、シグマが掴む。

 

「見苦しいなぁ人間の科学者よ……」

「触るな……イレギュラー風情が……!」

「イレギュラー?ハハハッ……!そうとも!」

 

シグマがブレードをバイルから引き抜き、後頭部を掴んだまま地面に叩き付けた。

 

「キサマていど……エックスではなくただのイレギュラーに引導を渡されるのが丁度いいのだ……!」

 

「再封印!」

 

「ぐおおおおおおおおおおおおっ!!!!!」

 

バイルの身体が末端から光の粒子となっていく。

その間、老人はずっと叫んでいた。

 

それを、エックスたちは呆然と眺めていた。

 

 

 

 




これにて……キヴォトスの危機は去りました。

この世界のイレギュラーも、あとひとり。
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