設定がとっ散らかってるかもしれません。
「「「………………」」」
『あ、あははは……』
ミレニアム、特異現象捜査部部室。
エックス、エイミ、ヒマリは目の前のモニターを注視してずっと黙っていた。
モニターに映っているのは……先日、エックスと通信をした少女型レプリロイドだった。
「君の話を掻い摘んで話すと」
目を閉じ思案していたエックスが、口を開いた。
「管理していたデータが逃げ出し、この世界へ入り込んで実体化しているって事になるのか?」
『は、はい……概ねその認識で良いと思います……』
「なるほど……それで、そのデータがあのDr.バイルと名乗ったご老人だと」
ヒマリも納得してはいない苦い顔で続けた。
「それで?エックスさんとはどういったご関係で?」
『え、ええとそれは……』
「俺は君の事を知らない。だが君は俺を知っているどころか俺の身体に遠隔で干渉してきた。流石に理由を話してくれ」
仮に少女に悪意が有った場合、好きな時にエックスを操ることができるかも知れない可能性が浮上してしまう。
『う、うーーーーん……本当は話しちゃいけないんですけど……でも皆さん当事者ですし……こう言うときに限ってヴィアさんは居ませんし……』
なんともまぁはっきりしない態度だった。
少女型の姿も相まってらしいと言えばらしいが。
「こっちは死にかけたんだから、ハッキリして欲しい」
エイミからの駄目押し。
流石の少女も折れるしか無かった。
『はぁー……ええと、私はリコと言います』
リコと名乗った少女は観念したかのようにポツポツと喋りだした。
曰く、自分は『ありとあらゆる世界中のゲームのデータ』を保管する『ディープログ』の中の『とあるゲーム』を担当する管理人だと。
そして、最近その『ゲームのデータ』に老朽化では説明できないバグが発生しており、調査と修復を行っていた所……そのうちの一つのデータが失踪。
行方を追っていたらしい。
「……ゲームの管理人?」
『うぅ……信じてもらえ無いでしょうけどもそうなのです……』
「……その話が本当ならば」
ヒマリは、エックスを見やる。
「ここに居るエックスさんは、そのゲームの中の人物……と言うことになりますね」
「!」
流石にエックスは面食らった。
この世界……キヴォトスとして異物である自分が、空想上の存在だと言う事に。
『そ、それは違います……!エックスさんは……
誰もが頭の上に疑問符を浮かべる。
流石のヒマリもお手上げ状態だと肩を竦める。
「……分かった。正直君の言う事には納得していないけど……あの土壇場で助けてくれた事に礼を言うよ。ありがとう」
「それで、この話が本当だとする仮定で話を進めすが」
『は、はい!何でしょうヒマリさん!』
「あのご老人はゲームの中のキャラクターだと?」
『そうです。ロックマンゼロ、と言うゲームに登場するキャラクターです』
「……頭痛い。流石にこれ以上信じられないよ」
『うぅ……そうですよね……』
「ただの設定で済ませるには先日の被害が大き過ぎます。エイミ、耐えてください。この状況を解決するには情報が少なすぎます」
「リコ、Dr.バイルはどうして……復讐なんてするんだ?」
エックスは、バイルに言われた事を考えていた。
『すべてのレプリロイドと人間に復讐する』
半身を機械に置き換え生き永らえている狂気。
あれは一体、なんなんだ。
『それは……』
『待たせたなリコ』
『あっ、ヴィアさん!何処に行ってたんですか!』
……モニターに、もう一人レプリロイドが割り込んできた。
エックスのよく知る親友に似た姿をしているが……アーマーの色は青で統一されている。
『よう皆。俺はディープログの元管理人のヴィア。リコの……まぁ先輩でサポーターみたいなもんだ』
「……それで、」
『まぁ聞け、俺が話そう。バイルは……過去に、不死の刑として体をいじられ、宇宙に追放され百年漂っていたんだ』
「……なんだって!?」
――――――――――
「ええい!なんじゃあのアーマーは!」
どこかの地下。
バイルはオメガを横たわらせ、修復作業に追われていた。
エックスの放った渾身のバスターコレダーはオメガの胸部装甲を……
「ワシが知るエックスは、あんな物を持っていなかった……忌々しい!」
コンソールを触る手が止まる。
オメガの修復は、思っていたより早く終わりそうだ。
「……コアにまで攻撃が届いていなくて生命拾いしたか……じゃが」
バイルは拳を握り、コンソールへ叩き付けた。
「おのれエックス……!キサマは必ずワシの手で引き裂いてくれる……!」
――――――――――
「それは……一体どう言うことだ」
エックスは、自らの声が震えている事に気が付く。
理由はなんであれ、人間を無理やり生きながらえさせ、追放した事実に怒りを抱かずにいられないのか。
『ハッ!理由だ?簡単だ。奴が大罪を犯しているからだ』
「大罪?」
『……まぁそれは、俺から言える事じゃない』
「でも……それはあくまでゲームの設定なんだよね?」
『その通りだ。だが奴はこの世界に現れ脅威を振り撒いている』
「確かに……理由はどうであれ、アレは間違いなくキヴォトスに害を振り撒くでしょう」
「………………」
エックスは黙り込んでしまった。
「……エックスさん?」
「……いや、なんでもない。所でひとつ気になっていたんだが……」
エックスは、改めてリコとヴィアを見やる。
「俺は、帰れるのか?」
『『………………』』
「「………………」」
沈黙。
『……恐らく、可能です』
「恐らく、と付けた理由は?」
『本来、Dr.バイルとエックスさんはこの世界にとってのイレギュラーです。必ず、何かしらの圧力が世界から掛かるはずです』
「ふむ……?分からない話ではありませんが」
『Dr.バイルのデータを回収、修正すれば世界の修復力が働いてエックスさんも排除される可能性があります』
「排除、か……」
だからこその、恐らく。
「どっちにしろ無事で帰れるか分からないってことか」
『すみません……何しろ現実世界は完全に管轄外なんです……』
『こっちとしてもデータが実態を持って現実世界へ流れたのかが全く分からないんだ。出来る限り協力はしたいがこっちの事情も混みいっててな』
「大丈夫だ。少なくとも希望は見えたから」
『そう言ってくれると助かる。Dr.バイルの情報はこちらから可能な限り送っておく。何故か知らんがエックス経由ならこの世界ともアクセス出来るらしい』
「理由が分からない技術を使うと言うのは、少し躊躇しますけど」
『ハッ!んな事言ったらエックスだってそうだろ?ヒマリ』
「……あー」
『とにかく!私達は全力でエックスさんをサポートします!よろしくお願いしますね、皆さん!』
――――――――――
「……二人はどう思いますか?」
通信終了後、ヒマリはエックスとエイミにそう問い掛けた。
「怪しい。信じられない」
エイミはバッサリと切り捨てた。
「俺は……五分五分だ」
「ロボットのくせにハッキリしない答えだね」
「耳が痛い……俺は、迷うし悩むんだ」
「……?」
エイミとヒマリが首を傾げる。
「周りからもハッキリしない奴だとはよく言われたよ。肝心な時に迷って、失敗したこともたくさんあった」
エックスは昔の事を思い出す。
あの時はまだ……シグマも隊長で。
「エックス」
「ん……なんだい、エイミ」
思考の海に入ろうとしかけたところを、エイミに呼び戻された。
「エックスはどうしたいの」
「俺?」
「ええ。エックスさん……貴方はこの話乗るべきだと思いますか?」
気付けば、二人ともこちらを見ていた。
「……どうして俺に?」
「だって、一番重要なのは貴方の意思ですもの」
「俺の?」
「貴方は私達の協力者ですが……別の世界から来たというある意味最大の被害者です。帰れるかもしれない話の決定権はどう考えても貴方にあります。まあ……それはそれとして私達にも協力していただけると助かりますけど」
「ははは……そうか、そういう考え方もあるか……」
エックスは天を仰いだ。
自分がどうしたいか。
何をするべきか。
「俺は……バイルを止めなきゃならない」
「「はぁー……」」
「え、な、どうして……?」
二人から盛大にため息を貰った。
「エックスさん。貴方はもう少し自分のために動いても良いんじゃないでしょうか」
「らしいといえばらしいけどね」
「では、先方にそうお返事しましょうか」
「二人は……良いのかい?」
「ええ。どの道、あのご老人がデカグラマトンと関係しているのであれば、私達は介入出来ますよ」
「今のところ暇だしね」
「二人とも……ありがとう」
Xdiveの設定をどこまで使うか、とても悩ましいですね。
バイルはゲームのデータですが、エックスは『ロックマンX』の世界のエックスなので便宜上本物と評しています。