個人的には私のギルティギアの師匠が書いてるブルアカ小説が日々の楽しみだったりします。
エックス、トリニティへ向かう。
……そういえばトリニティはカイザーコーポレーションを指名手配してましたね。
まぁエックスなら大丈夫でしょう。
「おはようございます、エックスさん」
いつもの様に、特異現象捜査部のオペレーションルームに入るエックス。
いつもの様にエイミが車椅子に腰掛けて出迎えた。
「おはよう、ヒマリ。早いんだな」
「まぁ私はここに住んでるようなものですので」
「あまり無理はしないでくれよ?」
「うふふ、エックスさんに言われたくはありません」
『ハッ!その通りだなエックス!』
ここに居ない第三者の声。
エックスはディスプレイに目を向ける。
「ヴィアか」
『ようエックス』
青いレプリロイドの様な姿の男だ。
親友の姿ににているのでエックスとしては若干思う所があったものの、今では割り切ることにしている。
『さて、エイミは今日は来ないからメンバーは揃ったな』
「はい。エックスさん、これを」
「これは……」
大型のモニターに映されたのは、地図と……4つの赤い点。
「キヴォトスのマップと……この赤い点は?」
『俺達が調べたオメガ……あの白い大型レプリロイドに
「……!」
エックスは息を呑む。
だが、すぐに疑問を口にした。
「酷似した、とは?」
『考えてみろ、同じ反応が4つだぞ?そのうちのひとつはオメガかも知れんが後は説明できん』
「確かに……」
「土地勘の無いヴィアさんとリコさんが出した反応とキヴォトスのあらゆる情報を観測できるこの天才美少女ハッカー、明星ヒマリの能力を以てしてもここまでしか特定出来ませんでした」
『あー、その……何だ。それ毎回やるのか?』
「私の能力を分かりやすく伝えられるではありませんか」
『そうか……まぁ、リコも今張り切って作業してるから詳しい座標は後で送る』
「そっちも、無理しないでくれよ」
『大丈夫だ。ディープログじゃ日常茶飯事だ。前は優秀なプレーヤが居たしな』
「プレーヤ……?」
『おっと、気にしないでくれ』
「それではエックスさん。貴方にはこれからキヴォトス全土を対象にした巡回パトロールと調査をお願いします。エイミも色々お願いしていますので基本的に単独行動になります」
ミッションブリーフィングが始まる。
「分かった。カイザーの方にも暫く顔は出せないと伝えておくよ」
「はい。この光点の位置はトリニティ、ゲヘナ、百鬼夜行連合……そして、アビドス」
「アビドス……!?」
「はい。そしてこれが……先日、アビドス学園の対策委員会と呼ばれる組織からの提供です」
マップがアビドスを拡大し、1枚の写真が表示された。
写っているのは……細長い、蛇のようなシルエット。
「ビナー……!」
『活動を再開したらしいな』
「ですが、この1週間目撃情報が皆無……カイザーも対策委員会も足取りを掴めない状態です。追加情報が出るまで他の3箇所を見に行ったほうが良いかも知れません」
「……了解」
ノノミが心配だが、まずは情報が一切無い3箇所が優先だ。
「どこから行くのかはエックスさんにお任せします……と、言いたい所ですが」
「?」
「ここからは他校の管轄地です。いきなり部外者が入っていって調査させてくださいなんて言おうモノなら大事になります」
「……そうか、そういうものか」
エックスの世界ではイレギュラーハンターの肩書が様々な現場の立ち入りを補助していた。
ミレニアムの身分証だけでは行動範囲も狭いという事か。
「安心してください。事前に立ち入り申請を送っておきました」
「流石だな」
「もっと褒めても良いんですよ?」
「いや、ヒマリは凄いと思う。俺一人ではここまで来られなかった」
「ふふふふ、そうでしょうそうでしょう」
「感謝してるよ、ヒマリ」
「ふふふ……なんだかここまで純粋に賛辞されるとこそばゆいですね」
『さて、俺も作業に戻るぜ。ここに連絡したからったら俺達に通信を繋げてくれ。じゃあな』
そう言って、モニターからヴィアの姿が消えた。
「エックスさん。最初はトリニティ総合学園からで良いでしょう」
「トリニティ総合学園……」
「キヴォトス3大学園の一角を占めるマンモス校です。まずはティーパーティーと呼ばれる生徒会に接触しましょう」
「えっと、キヴォトスの学校は生徒会が自治してるんだった……かな」
「概ねその認識で構いません。先日連絡を入れたら『うん、面白そうだからオッケー☆』の二つ返事でした」
「……大丈夫なのか、それ」
「一応ティーパーティーのメンバーらしいので大丈夫かと……」
「その生徒の名前は?」
「確か……」
――――――――――
ミレニアムからバイクを走らせること暫くして。
町並みが変わり、なんともファンタジー的な建築物が増えてくる。
トリニティの自治区域に入ったのだろう。
ここから程なくしてトリニティ総合学園へ到着出来るだろう。
ただ……。
(……見られている?)
何となく、そんな感じがする。
(杞憂だと良いんだがな……)
……この時、エックスは忘れていた。
自分が走らせているバイクは、カイザーPMCの物だということ。
自身が既にキヴォトスでそれなりに有名だということ。
そしてカイザーPMCの一員として作戦に従事しているのを知られている事。
……カイザーコーポレーションが、生徒に害をなす企業だと言うことを。
――――――――――
「ぐっ……!?」
エックスは、背中から受けた衝撃で思わず躓いて倒れた。
足音が離れていく。
どうやら、敷地の外へ追いやられた様だった。
結局、トリニティの自治組織……正義実現委員会に囲まれた後……エックスはトリニティの敷地の外へ送還された。
「しまったな……失念していた……」
取り敢えず報告のためにリコたちへ回線を繋いだ。
『あ!お疲れ様ですエックスさん!』
リコの溌剌とした声が響く。
「やぁリコ。ヒマリに繋いでくれるかな」
『分かりました!』
『あらエックスさん。お早い報告ですね。トリニティにはもう到着されましたか?』
「ああ……今しがた追い出された」
『……は?』
ここまで起こった事を、ヒマリとリコに掻い摘んで話した。
『……すっかり忘れておりました。エックスさん自身は間違いなく善人です。私が保証しましょう。ですが……カイザーの協力者、という事実しか知らなければこうもなります』
「俺も忘れていたよ……情報収集の為に一時的に力を貸していたとは言え……本質的にあそこは弱者を搾取する企業だ」
『協力者には会えましたか?』
「文字通り門前払いさ……本当にトリニティの生徒だったのかい?」
『ええ……こちらでも調べました。ティーパーティーの構成員なのは確かです』
「ただ……」
追い出されてしまった身でノコノコ戻ってしまえばまた同じ状況が再現されるだけだ。
『ヒマリはもう一度その生徒と接触してくれないか?俺は……何とか潜り込む』
「分かりました、ご武運を」
敷地の外でウロウロしているだけでも不審者なのだ。
今できる調査だけでも何とか、やれるだけのことはやりたかった。
「さて……どうしたものか」
一番手っ取り早いのは普通に柵を飛び越えて屋上からの侵入だが……。
間違いなく不法侵入なので状況はより悪化する。
であれば……。
(内部の協力者に手引してもらうか……)
しかし、肝心のティーパーティー所属の人物からの連絡は無い。
エックスが知っているのは名前だけと来た。
(困ったな……)
ここの所、エックスは困惑する事が多くなっている。
キヴォトスでの生活に慣れたとは言っても、根底にある世界の常識が違うのだから仕方のないことだろう。
「あのー……?」
(どうすれば……いやしかしここでヒマリからの連絡を待つだけと言うのも……)
「もし?」
(もしバイルが動いてるとしたら此処も安全ではない……俺が動けば、余計な被害は……)
「あ、あのっ!」
「え?あ、ああ……すまない。少し考え事をしていた」
「難しい悩みですか?」
「そうだな……俺個人では難しいかも知れない」
「そうなんですか……私ではお力にはなれないかもしれませんが……誰かに打ち明けるだけでも楽になるかもしれません」
「そういうものなのか?」
「悩み、苦しみに対して……時にはそうやって向き合う事も出来るというだけですよ」
「なるほど……」
「良ければ教会に案内しましょうか?」
「教会……?」
「はい。私はシスターフッド所属、伊落マリーです。よろしければ、貴方のお悩み……私に聞かせて貰えないでしょうか」
そう言って、修道服に身を包む少女はにこりと微笑んだ。
マリー、登場。
トリニティ生徒の中でもぶっちぎりで好きなんですよねこの子。