時は戻って。
イレギュラーハンターベース内。
青いロボット……エックスは神妙な面持ちでベンチに腰掛けていた。
ベース内は慌ただしく行き交うエックスと同じロボット……レプリロイド達で溢れていた。
「ふぅ……」
「浮かない顔だな、エックス」
「シグナス……」
彼の隣に、ひときわ大きく存在感のあるレプリロイドが腰掛ける。
彼はこのイレギュラーハンターの総司令官だ。
「……ゼロとアクセルの事か」
「……ああ」
「アクセルは治療中、ゼロは……引退を考えていると言っていたな」
少し前にあった、軌道エレベーターであったイレギュラーの反乱。
その影響でエックスは一人の同僚が意識不明の重体、そして……。
無二の親友が引退を口にした。
「……俺は」
「エックス。悩む気持ちも分かる……だが、お前を必要とする人々も居る」
「わかってるさ……任務だろ?」
「すまないな……転送の準備は済んでいる」
「変わらないな……」
「ああ……変わるのは難しい」
エックスは立ち上がる。
いつも、事件の最前線に立ち解決のために尽力する。
しかし……結末は彼に微笑まない。
何かしらの犠牲は必ず出てしまう。
無論……彼の手で出てしまう犠牲も。
「イレギュラーハンターエックス、出撃します!」
それでも彼は走り続けなければならない。
積み重なってしまった犠牲と、居なくなった戦友たちの為にも。
後の世に出るすべての人々の為に。
(そうだ……俺は迷っていられない。悩むのも……今すべき事が終わってからだ)
今回の作戦は転送装置を用いた強襲作戦だ。
最も近い転送ポイントにライドチェイサー:バリウスを用いて一気に対象へ接近する。
『エックスさん!臨時のオペレーターですがよろしくお願いします!』
通信。
知らない若い声だ。
「今日エイリアはいないのかい?」
つい、口を出る。
長い間エックスのオペレーターを務めてきた女性の名だ。
『はい!エイリア先輩は別の業務で席を外していますので、私が臨時でエックスさんのオペレーターを務めさせていただきます!』
「そうか、よろしく頼むよ」
ライドチェイサーの格納庫に到着。
エックス専用のバリウムに跨り、エンジンを掛ける。
このままライドマシン用の転送装置まで向かい、現場へ急行する。
「エックス、出ます!」
ライドチェイサーのエンジンが唸る。
格納庫から発進、現場へ急行する。
『転送シークエンススタート。カウントします……5』
『……あっ!待って!』
『どうし……きゃぁ!?』
「……!?どうした!?」
転送シークエンスが既に起動している中、通話越しに悲鳴が響く。
『いけない!転送中止!』
『駄目です!止まりません!』
『エ……ク……!!すぐ……れ……!!』
「何……!?うわっ!?」
転送の青い光がエックスの体を包む。
……が、いつもと違う気味の悪い浮遊感に襲われる。
『エ……ク……!!エックスーーーー!!!』
……この日、この世界から……イレギュラーハンター、エックスの姿は消えてしまった。