『エックス、聞こえるか?』
「ヴィアか?どうした」
『この広い地下通路の中の探索、サードアーマーを使ったらどうだ?』
「サード?マックスアーマーじゃないのか?」
『表記ミスか……?まぁ良い、あれのアイテムトレーサーをこっちで拡大してマップを作るぜ』
「ああ、分かった」
エックスに新たなアーマーが装着される。
額にはV字のアンテナ、肩アーマーも装着、白のアーマーに金の衣装が入る。
「アイテムトレーサー、起動!」
『リコ!』
『えぇ!?肝心な所は人任せなんですから……!』
エックスの頭の中に、この地下通路のマップが浮かび上がる。
「……広いな」
『ああ……こりゃ骨が折れそうだな』
「リコ、ヒマリには今日中には帰れないと伝えてくれ」
『分かりました!』
「さて……任務開始だ!」
エックスは走り出した。
天然の洞窟だが……よく見ると足元に非常灯が置かれていたり、ロープが張られている。
整備した痕跡が残っていた。
「……!」
エックスは立ち止まる。
足音が複数。
金属が地面を踏む音。
『エックス……こりゃいきなりビンゴかも知れねぇな』
「ああ……!」
エックスの前に、ずらりと同じ顔が並んでいた。
……ミレニアムの廃工場以来姿を見ていない、紫のカラーをしたレプリロイドだ。
『エックス、気をつけろ!奴らはバリアント!バイルの尖兵だ!』
「一網打尽にする!」
エックスは特殊武器を選択、マックスアーマーの能力で性能を高める。
「チャージフロストタワー!!」
―――――――――――
「え……ああ!?」
「エイミ?珍しいですね……声を荒げるなんて」
「部長……氷が……」
「粉々に砕けましたね……しかも跡形もなく」
「そんなー……エックスぅ……居ない……」
「エックスさんは今日中には戻ってこないみたいですよ……あと、服を着なさい」
「やだー……あつい……」
「エイミ……冷房の温度を下げないでください」
――――――――――
レプリロイド……バリアント達の頭上にいくつもの氷塊が生成され、落下した。
「行くぞ……!クロスチャージショット!」
両腕をバスターに変形させ、交互に撃ち出す。
すると、発射されたバスターは合体し拡散。
大小さまざまバスターがバリアントを貫いた。
30機近く居たバリアントの大群は一瞬で一網打尽となった。
『流石だなエックス!だがまだまだ序の口みたいだぞ……』
『団体様のご来店ですぅ!?エックスさん、頑張って下さい!』
「全く……きりが無いな!」
エックスは駆け出した。
『……レプリロイド反応の中に生体反応……?』
リコが、そう呟いた。
――――――――――
伊落マリーは迷っていた。
果たして、今纏めている資料を持って……自分はどうするのか。
そもそもこれを誰に出す?
サクラコか、ミカか、それとも他のティーパーティー?
正義実現委員会にでも出すのか。
「私は……」
どうすればいいのだろうか。
たった少し話をしただけの相手に、ここまでする義理はない。
だが……。
(義理……?いいえ……私はシスターを目指す者……損得や義理で人を救う存在ではありません……)
困っている人に寄り添う、ただそれだけ。
「……決めました」
誰に言うでもなく、自分の決意を口にする。
「エックスさん。私は貴方の味方になります」
マリーは丁寧に纏めた資料をクリップ留めし、ファイルに入れて再度駆け出した。
「失礼します!サクラコ様はいらっしゃいますか!!」
「え!?ま、マリーさん!?」
――――――――――
「生体反応だって?」
通信機越しに聞こえたその単語に反応する。
『ああ……3……いや、4人だ。この地下通路に人間が居る』
「何だって……!こんな危険な場所に……」
『エックス、待て。なら何故あのミカとかいう女はここに友達を通すって言ったんだ。色々話がおかしくないか?』
「バリアントが出現する前は危険は無かったのかも知れない」
『ハッ!お人好しが……!』
『エックスさん!生体反応とイレギュラー反応が近いです!もうすぐ接触します!』
「分かった!リコ、最短コースを教えてくれ!」
『はい!』
エックスは駆け出す。
裏がある事など百も承知。
ただ、あの聖園ミカと言う少女が最後に見せた表情がエックスの脳裏から離れない。
罪悪感。
後ろめたいことをしようとしている顔。
(年端もない少女が、そんな顔をしてはいけないんだ……!)
この世界は、エックスの居る世界より救いがある。
だからこそ……生徒たちは笑顔でいるべきだ。
(俺が戦うことで少しでも笑顔が救えるなら……!俺はやるだけだ……!)
出来る出来ないの話ではない。
可能性が1%でもあるのならば、やらないと言う選択肢は無い。
『エックス!見えたぞ!』
ヴィアの声に気付き、バスターの機能を切り替える。
設定は4発、チャージが開始される。
「チッ……リーダー!まだ湧いてくるよ」
「私達で前線を維持する!ヒヨリ!少しでも良い!何とか当てろ!」
戦闘中の四人が見えてきた。
囲まれないように立ち回ってはいるが……物量差で圧されるのは時間の問題だった。
「さ、サオリ姉さん……!新しい敵です!」
「何……!?」
「すまない!」
少女達に何かを言う前にエックスはバスターを構えて謝罪した。
リーダー格の少女が意図に気付き叫んだ。
「全員伏せろ!」
統率が行き届いているのか、直ぐ様全員が伏せた。
「ストックチャージショット!全弾発射!!」
マックスアーマーに搭載されているもう一つの機能。
あらかじめチャージを進めておき、最大4発のフルチャージショットを撃てるように準備しておく機能だ。
クロスチャージショットと違い面制圧力は無いが、チャージショットを4発好きなタイミングで撃てる小回りの良さが特徴だ。
少女達の近くに居たバリアント達が次々とバスターで薙ぎ払われていく。
エックスが撃ち尽くした瞬間、少女達が立ち上がり残りのバリアントを処理していった。
「ふぅ……」
ひと息つき、エックスは少女達に近付く。
「間に合ってよかった」
「……!」
リーダー格の少女は、躊躇いなくエックスに銃を向けた。
エックスはアーマーを解除して両手を上げる。
「誰だ」
「……君の友達から、助けるようにお願いされたんだ」
「友達……?」
リーダー格の少女は、訝しむようにエックスを睨みつけた。
……エックスとリーダー格の少女がお互いに見合って数瞬。
少女は銃を降ろした。
「リーダー」
「恐らく協力者だろう。そうだな?」
「この地下通路の安全化の依頼を受けた」
「……そうか。この先に奴らは居ないんだな」
「ああ。アレで最後のはずだ」
「判るのか?」
「スキャンを掛けた。敵影はない」
「随分と性能が良いな」
「企業秘密だ」
「……分かった。お互い詮索は無しと行こう。失礼する」
そう言うと、四人はそそくさと行ってしまった。
「……ふぅ」
エックスはひと息つく。
これでようやく……取り敢えずの終わりだろうか。
「今は……もう夜か。何処かで一夜明かさないといけないな」
『取り敢えず地上に出ようぜエックス。辛気臭くてたまらないぜここ』
「ああ……なんだか不気味だ」
ただの洞窟。
そう片付けるには気味が悪い。
例えるなら……地下墓地……。
『や、やめてくださいよ二人とも……!』
『悪い悪い。エックス、行こうぜ』
「ああ」
後味の悪さを感じながら、エックスは地下通路を後にした。
………………地上に出ると、すっかり夜になっていた。
「……しまったな……」
せめて、あのミカから連絡先を聞いておけばよかった。
「うん……?」
誰かが走っている。
こんな夜更けに?
なんとも尋常じゃない雰囲気だったので、エックスはつい呼び止めた。
「き、君……!こんな夜更けにどうしたんだい……?」
「は、はい?私ですか?」
聞き覚えのある声。
月明かりが二人を照らした。
「君は……!」
「エックスさん……!?」
伊落マリー、その子であった。
――――――――――
「そうだったんですね……」
少しして。
マリーの案内で礼拝堂に通されたエックスはまた椅子に座ってマリーと話していた。
……何となく、座る位置が近い気がする。
「ミカの依頼も無事に終わった……明日、尋ねてみようと思う」
「分かりました。では案内は私がします」
「……良いのかい?」
エックスとしては、あの気不味い別れから気が引けていた。
だが、マリーは。
「はい!私がエックスさんをお守りしますね」
……妙に気負っている気がする。
気圧されてエックスは曖昧な返事しか出来なかった。
「あ、ああ……よろしく……」
「ところでエックスさん。今日はどうするつもりですか?」
「どう……そうだな……今からミレニアムに戻る訳にもいかないし……」
「そう言う事でしたら、こちらでお部屋を用意しますけど」
「流石に悪いよ。俺は飲食も眠らなくても良い身体だから」
「え……?」
マリーがきょとんとした。
「言ってなかったかな?俺はレプリロイド……ロボットなんだ」
「え……えぇ……!?」
地味にエックスの通常強化パーツ初登場。
皆さんはどのバスターが好きですか?
私はやっぱりガイアアーマーですね。
アリウスは出しましたがエックスとは絡みません。
彼女達を救うのは先生の役目なので……。