ここ最近のオープンワールド系のソシャゲの中で一番移動がストレスフリーで助かります。
「やっほーえっちゃん!昨日はありがとね!」
シスターフッドの使われていない倉庫の一角を借りて一夜を過ごした後、マリーの案内でエックスはミカに会いに来ていた。
「君の友達は無事だったよ」
「うん、助かったよ。向こうから今度転入生を受け入れるから、あの通路もちゃんと使えるものにしたかったんだ」
「そうだったのか。それは何よりだ」
てっきり他のティーパーティーと顔合わせするものかと思えば、ミカ一人だけが会いに来た。
トリニティの一角にあるカフェのオープンテラスで向かい合って座っていた。
……無論、エックスは相変わらず何も飲食は出来ないのだが。
「えっちゃん、お人好しが過ぎるとか言われた事ないの?」
「そうだな……よく言われるよ。最近特に」
何度ノノミに釘を差されたか。
会うたび電話するたびにお人好しもほどほどにと言われるものだ。
「ふーん?女の子?」
「ああ。そうだね」
「え?本当に?どんな子?」
「どんな……そうだな、大人しいけど芯のしっかりした子だよ」
「へぇー……えっちゃん、そういう子が好きなの?」
「頑張る姿には好感を持てるよ」
「へぇー……!」
……なんだか凄い脱線してる気がしてきている。
ここらで軌道修正を計らねば一生脱線し続ける気がする。
と言うかこの年の女の子はどうにもこういう話が好きな傾向にあるのだろうか。
「ミカ」
「……うん、分かってるよ」
ミカがIDカードをテーブルの上に置いた。
「えっちゃんのトリニティでの身分証明だよ。これを持ってれば大抵の所は出入りできるから」
「ありがとう……大抵の?」
「私のゲストなんだから色んな所に入れるよ?あ、でも流石にお買い物する時に私のツケにするのは辞めてね?」
「やらないよ、そんな事は」
「冗談だよ、冗談」
IDカードを手に取り、またもや撮られた覚えのない写真を目にして顔を顰めた。
「あはは、ごめんね☆急いで用意したから変な写真かも」
「いや……助かるよ」
「えっちゃんはこれからどうするの?」
「一度ミレニアムに戻ってからまた来るよ。少し……気になるところがあってね」
例の地下通路。
言いようのない違和感と悪寒がした。
「ふーん……分かった。じゃあまたね、えっちゃん」
ミカはにぱっと顔を綻ばせて帰って行った。
――――――――――
「あ、エックスさん。ご要件は済ましたか?」
カフェから出ると、マリーがそう声をかけてきた。
「マリー……?帰ったんじゃ」
「気になって戻ってきました」
「そ、そうなのかい……?」
「はい。私がそうしたかったので。気にしないでください」
「そ、そうか……」
「この後はどうされるのですか?」
「一度ミレニアムに帰るよ」
「そうなんですね。ではお見送りさせてください」
「いや、それほど……あっ」
「?」
エックスが珍しく慌てた様な声を上げた。
「しまった……バイクが」
……正義実現委員会にしょっ引かれた際にバイクを置いてきてしまったのである。
「バイク、ですか?」
「ああ……ここに来るときに乗ってきたんだが……」
「どちらに停められましたか?」
「確か……」
エックスは地図を検索し、マリーに住所を伝えた。
「この近くですね。案内します」
「あ、ああ……」
マリーの申し出は助かるといえば助かるのだが……。
「なぁ、マリー」
「はい、なんでしょう」
「君は……」
どうして、そこまでしてくれるのかい?
エックスの疑問に、マリーは慈悲深い微笑みを浮かべて答えた。
「私がしたいからです」
マリーはあの後サクラコに直談判した後正実に行ってビラ配りしたうえでツルギを説得したそうです。