リハビリみたいな話ですので特に進展はありません。
エックスはトリニティ総合学園へ再び向かっていた。
自由に出入りは出来るようになったものの、未だにオメガと同じ反応の正体が掴めず、気になる場所もあった。
エックスは腰のポーチから携帯端末を取り出す。
ヒマリが用意してくれたそれは、板状のものでスマホと言うらしかった。
これ一つでキヴォトスのあらゆる情報、通信、果ては買い物まで出来るらしい。
向こうの世界にはここまで小型化された情報端末は無かった。
と言うか自身がデータベースやネットワークに繋がっているのでこういった端末は情報収集型のレプリロイド以外不要だった。
向こうと違って科学技術が劣っている訳ではなく、進化の方向性が違ったのだなと感じたエックスだった。
その中でもヒマリに勧められたのはモモトークと言うアプリであった。
なんでも、文書を相手に送ってやり取りする一種のメールのようなものらしい。
メールと違って一言二言だけ送る、会話のレスポンスのように交互に送り合う等カジュアルなイメージを感じさせられた。
エックスもヒマリに言われてアカウントを新設。
登録してある連絡先はヒマリ、エイミ、ノノミの3人だった。
先日この話をノノミにしたら登録してくれとねだられたので応える形になる。
……何番目か聞かれたとき、3番目と返したら1番目は誰かと普段のノノミからは想像できないトーンで喋っていたのを思い出す。
トリニティに出入りするなら、現地の生徒とも連絡先を交換しておくべきだろう。
ミカかマリー……どちらかとまた会わなければ。
そんな事を考えていたら、モモトークにメッセージが来ていた。
ヒマリからか。
《今は手が離せないのでモモトークで連絡します》
《今回の目的はトリニティ地下空洞の調査、主に文献の捜索です》
《まずはミカさんかマリーさんを探してください》
とのこと。
ミカはいわば幹部でありそう簡単にアポ無しで会えるとは思えないため……必然的にマリーに会いに行く形になる。
「……土産の一つでも用意しておくべきだったかな」
何かアドバイスをくれそうな人に聞くのも有りだろうか。
連絡先として期待できそうなのはノノミだけど……。
ちなみにエイミは今日も別件で出ていた。
いつも早いので大変そうなので弁当を手渡したら驚かれた。
『君のために早起きしてお弁当を作ってきたんだ』
『……エックスは寝ないんじゃないの?ありがとう』
レシピ通りにやってみたが料理というのは存外難しい。
さじ加減というものだろうか。
プログラムされただけの動きでは到底再現しきれない奥深さを感じた。
取り敢えず近くにあったスイーツの店で見かけたプリンを購入してトリニティの教会に向かうのだった。
エックスの趣味が料理になりそう。