「え……?行方不明……?」
その日、マリー日課の礼拝を済ませ掃除をしているときだった。
今日もそれとなくエックスに会えたらなとぼーっと考え事をしていた時である。
「はい……ここ2、3日連絡が無くて心配で……」
シスターフッドの同級生の一人が音信不通。
そんな相談をされた。
「うーん……私も心当たりはありません……確かにお顔を見ていませんね」
「そうですか……あ。確かちょっと前に肝試しに誘われたんですけど」
「肝試し……ですか。夏を満喫と言うには些か早いとは思いますけど」
「あはは……そうですね。私は断ったんですけど……そしたらあの子怒っちゃって……それから話す機会が無くて仲直り出来なかったんですよね……」
「それは……」
なんとかしてあげたい。
マリーは素直にそう思った。
だが、自分ひとりでは不可能だとも理解している。
「この件、サクラコ様には……」
「……あー、その……まだ……」
「駄目ですよ。こういう事ほど報告はしっかりしませんと」
「分かってはいるんですけど……」
「さ、行きましょう。私も着いていきますから」
「うう……ごめんマリー……」
「私より先に謝る人が居ます。皆さんに謝るのはそれからですよ」
とは言え……大規模捜索と言うのは少し無理そうな話である。
今は上層部の進めるある企画がようやく実行の目処が立ってきた時期だ。
あまり大っぴらに動くことは反対される可能性がある。
(……そうだ)
マリーはスマホを取り出し、モモトークを起動した。
連絡先……エックスをタップしようとして、ふと手を止める。
(……これ、事件をダシにしてただ会いたいみたいじゃないですか……)
マリーはエックスの人柄に好感を持っている。
なんならもっとエックスについて知りたいとも考えていた。
(……はしたない子だと思われないでしょうか)
それはそれとして部外者であるエックスに頼るのはどうなのだろうか。
(あの人なら……二つ返事で引き受けてくれるでしょうけど)
なんならもう引き受けていた。
……そんな事は今、マリーは知る由もないが。
(……連絡だけ、そう……連絡しておくだけなら……!)
声をかけておいて自分も捜索に向かえば良いのではないだろうか。
それなら仮にすれ違ったとしてもどちらかが見つけられるはず……。
「……マリー?」
「えっ……あっ、はい何でしょう?」
「何か……拙い事でもあった?」
「い、いえ……大丈夫です。行きましょう」
結局、報告は上げたものの大規模捜索は出来なかった。
だが、少人数で取り敢えず先遣隊は編成される事になった。
「ありがとうございます皆さん……」
「顔を上げてください。最後に聞いた所在を教えてくれませんか?」
「はい……確か」
マリーのスマホが通知を受け取った。
先輩と同級生が話している時、ちらりと確認する。
……エックスから、返信が来ていた。
『俺はこれからスランピアに向かう。今日は助けになれない。すまない』
簡潔にそう書かれていた。
(スランピア……確か随分と前に廃園になった遊園地ですね……)
「あ!スランピアです!多分そこで肝試しするつもりで……」
「……えっ?」
マリーのイベントを増やせないならマリーを呼べば良いのでは?
エックスとマリーが戦場で合流するようです。
……ちょっとマリーが卑しくなり過ぎてる気がしてきた。