【完結】デカグラマトンハンターX   作:塊ロック

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エルガドに行ったりストリートでファイトしてたりピノコニーにいたり学園でプロデューサーしてて遅れました(言い訳)


オープニングステージ

 

「う、わぁぁぁぁぁぁ!?!」

 

浮遊感。

いつもと違う感覚にただ戸惑う。

 

転送装置の故障か。

こうなるとエックスには何も出来ない。

運良くサイバースペースに飛んで自力でハンターベースの端末に辿り着くか……。

 

このまま次元の狭間に取り残されるか。

 

(こんなところで……俺は……!俺は……!)

 

ライドチェイサーのハンドルを握り締める。

 

「こんな所で、終われるか……!!」

 

エックスの身体が光りに包まれる。

 

(次元の狭間に飲まれるくらいなら……風穴を開けてその中に飛び込んでやる……!)

 

青を基調としたいつもの姿から、紫の鋭利なシルエットに変化する。

片腕をバスターに変化させる。

 

「プラズマチャージショット!フルパワー!!」

 

アルティメットアーマー。

エックスの秘められた可能性を完全に引き出す切り札。

ただし、不安定な側面も存在する諸刃の剣だ。

 

だが、こんな所で一生彷徨うより一か八かの脱出に賭ける方がよっぽど有意義だ。

 

「いけぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

バスターから発射されたエネルギーが、転送空間の中を切り裂く。

 

……ぴしり、と小さな亀裂が入る。

亀裂が入った、それだけで充分だ。

 

エックスはライドチェイサーから手を離した。

 

「うおおおおおお!」

 

全身にエネルギーが満ちる。

過負荷によりエックスの全身が黄金に輝く。

 

本来ならば受けたダメージを吸収して蓄積されるエネルギーを、普段エックスが使うエネルギーから無理やり引き出す。

 

「ノヴァストライク!!」

 

背中のブースターが火を吹く。

さながら鳥のように、輝きながら凄まじい速度と威力で亀裂に飛び込む。

 

小さな亀裂は触れた瞬間砕け、大きな風穴となりエックスを迎え入れた。

 

「やった……う、わぁ!?」

 

新たな浮遊感。

しかし……目の前に広がる光景にエックスは息を呑む。

 

「……凄い」

 

一面の青空。

幾何学的模様が幾重にも折り重なって見える、どこまでも広がる青い空。

 

エックスは、こんな光景を見たことが無かった。

 

いや……見ている余裕が無かった。

 

だが、エックスは一時的に心を奪われた。

 

 

……自分が落下していることを忘れて。

 

 

「……はっ、マズい……!?」

 

慌てて足裏のホバーを起動しようとし……反応が無かった。

 

「エネルギー切れ……!?」

 

先程のアルティメットアーマー装着、プラズマチャージショットフルパワー、ノヴァストライクと消耗の激しい行動が連続したため、エックスに残されたエネルギーは底を尽きかけていた。

 

「落ちる……!?」

 

エックスは、一面の青空から……眼下に見える広大な砂漠に落下する羽目になった。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

砂がある程度クッションになったが、エネルギー切れでエックスの意識はそこで途切れた。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

「……!……よ……!」

「……?……も……売れ……」

 

話声が聞こえる。

意識を失っていた時間は如何ほどだろうか。

 

その間に太陽光でエネルギーが少し回復していた様だ。

最後に砂漠が見えたから、砂に埋もれていなくて幸運だった。

 

目を開ける。

 

……そこには、フルフェイスのヘルメットを被った少女二人が言い争いをしていた。

 

「は?」

 

思わず声が出た。

その声に二人が気付く。

 

「うわ、動いた!」

「ど、どうする……!?」

「叩きのめして中身を頂くんだよ!」

 

何やらかなり物騒なことをされるらしい。

 

「ちょっと待っ」

 

ガチャ、と二人の手にしていた黒い棒状の物が向けられる。

反射的に腕をバスターに変えてこちらも向け返し、気付く。

 

(人間……!?)

 

頭に変な輪が付いている事以外……エックスは彼女達を人間だと判断した。

バスターがロックされる。

 

……レプリロイドは、人間を攻撃することが出来ない。

 

「うおっ……脅かしやがって!」

「おらっ!くたばれ!」

「ちっ……」

 

思わず舌打ちする。

手にしているのは火薬で鉛の弾を発射する機能の銃だ。

 

最近は久しく見ていない代物だ。

エックスのボディにはあまりダメージは入らないだろうが……今、エネルギーが心許ない状態では好ましくない状況だ。

 

「ふ、二人とも落ち着いてくれ」

「あ?何だよ」

「ここは何処なんだ?」

「……おい、コイツとんだスクラップじゃねえか」

「え?」

「チッ、大した金にならねぇじゃん」

 

あーつまんな、と呟いて二人はこちらに興味を失ってしまったようだ。

 

「あの……」

「あ"?気が変わらねぇウチに失せろ!」

 

しっしっと追い払われてしまった。

 

 

 

 

「……困ったな」

 

道を探そうにも位置情報がまるでわからない。

GPSがそもそも死んでいる。

ここは……何処なんだ?

 

「あのー……」

「え?」

 

またもや声をかけられ、振り返る。

そこには先ほどと違って敵意は感じない。

しかし……またこの子も人間だ。

 

「どうかしましたかー?」

「ああ……いや……」

 

なんて答えれば良いのか。

目の前の少女に敵意は無いが……手にしている得物があまりにも物騒過ぎた。

 

(これは……回転機構で弾幕を形成する固定兵器……少なくともかなりの重量があるのに……この子は手で持っている。本当に人間なのか……?)

 

しかし、エックスの目に移される情報は彼女が人間だと言っている。

 

「なんというか、貴方は普通の大人とは少し違うみたいですけど……」

「……大人?俺はレプリロイドだよ」

「レプリ……ロイド?」

 

レプリロイドと言う単語が浸透していない。

信じられないがここはエックスのいた地域からかなり離れているのかもしれない。

 

「うーん、ごめんなさい。それが何なのか私には分からなくて」

「そう、か……」

「でも、困ってるみたいですけど」

「あー……うん。困ってるんだ、実は」

 

ただ、善意でこちらを気遣ってくれているのは何となく察せられた。

 

なら、素直に従ったほうが良いだろうと判断する。

 

「俺はエックス」

「はい、エックスさん。私は……十六夜ノノミです」

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

十六夜ノノミと名乗った少女を通して分かったことがある。

 

それは、

 

「こことは違う世界……ですか」

 

眼の前の席に座る少女……十六夜ノノミがそう零した。

現在地は市街地。

先程の砂漠からかなり近い位置にある。

その無人となった駄菓子屋跡のベンチに二人で並んで座っていた。

 

……余談だが劣化の具合からエックスが座ると破損する恐れがあるのを懸念していたが、全くそんな事は無かった。

 

……違う世界。

最初はエックスも俄には信じ難かった。

だが、自身が無理矢理転送空間を突き破った事、自身の知識とノノミの知識の食い違い……。

 

様々な要因でそう判断せざるを得なかった。

 

「そうとしか考えられない……と言うのが結論かな……」

 

そもそも、自身の現在地などよっぽどのことが無い限り見失わないしハンターベースの支援もある。

通信の回線が何もかも砂嵐な上にどの地図を参照してもノーデータ。

流石に打つ手がない。

 

「げ、元気だしてください……」

 

見ず知らずの少女に気遣われる程度には、気が滅入っているらしい。

これではいけない、そう思いエックスは表情を引き締めた。

 

「まずは情報収集だ」

 

何事もそうだ。

ショックを受けるのも仕方ない。

仕方ないがそのまま思考停止は許されないのだ。

 

「ならそうですねー……D.U.に行くのはどうでしょうか」

「……そこは?」

「学園ではなく連邦生徒会が統治している地区です。人も物も、白い物も黒い物も何もかも入り乱れてるので……もしかしたら何か手掛かりが見つかるかもしれません」

 

学園。

ここ……キヴォトスは超巨大な学園都市らしく……そして何よりエックスを驚かせたのは、学園の生徒たちが流通、行政を担っている事だった。

 

「なるほど……」

 

どの道、ゼロからのスタートなのだ。

まずはそこに行ってみて、後は着いてから考えた方が良いかも知れない。

 

「ありがとう、行ってみるよ」

「私はまだやる事が残っているのでD.U.までは一緒に行けませんが……アビドスを出るまでは送らせて下さい」

 

この砂漠に沈みつつある都市はアビドス自治区と言うらしい。

ノノミもここの行政を担うアビドス高等学校の一員だと言っていた。

 

「いや、悪いよ。君も用事があるんだろ?」

「大丈夫ですよ?だって……」

 

ノノミが何かを言おうとした瞬間。

 

ドォン……と遠くで地響きが鳴り、少し遅れて振動が伝わってきた。

 

「……何だ?」

「っ……!?エックスさん!申し訳ありませんが今からここへ避難してください!」

 

ノノミがポケットから取り出した手帳に素早く文字を書き込み、ページを切り取ってエックスに押し付けた。

 

「き、君は!?」

「私は……皆のところに行かないといけません」

「……そうか、気を付けて」

「エックスさんも気を付けて下さいね?後で迎えに行きます」

 

そう言い残すと、ノノミは隣に置いていたミニガンを担いで走り出した。

 

……エックスは、ひとり残される。

 

手元の切れ端には、恐らく避難所の場所だろう物が記されていた。

 

「………………」

 

さっきの振動。

何か、大質量の物が地面にぶつかり起こったものだろう。

方角は……先程居た砂漠地帯の方だ。

 

「……行こう」

 

避難する選択肢は最初から無かった。

 

何故なら彼は……人間を守る、イレギュラーハンターだからだ。

 

「……!?アレは……!?」

 

そして、エックスは見た。

遥か遠く、地平線の向こうに居る巨大なヘビのようなシルエットを。

 

「これは自然災害じゃない……!」

 

おそらくノノミは避難誘導に出たのだろう。

人的被害が出る前に行動しなければならない。

 

「俺はもう、迷わない……!」

 

エックスは駆け出した。

避難所とは正反対の、砂漠の方へ。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

今日、カイザーPMCで働いている事をこれほど後悔したことは無かった。

 

ぶっちゃけ白か黒かと言われれば間違いなくブラック通り越してマットブラック。

そんな環境で働くこと数年、ようやくそれなりの位置について後輩も部下も出来た。

ゆくゆくは中隊長クラスまで上り詰められそうだ、と思っていた矢先の出来事だった。

 

ドォン!と巨大な音と地響きがなったかと思えば基地のそこら中で警報が鳴り出すではないか。

慌てて外に出て、言葉を失う。

 

……巨大な、機械の蛇のようなモノが、そこに鎮座していたからだ。

 

「ひぃっ……!?」

「何やってる!動ける奴は武器持ってさっさと行け!敵襲だ!!」

「見ろ……何か光って……」

「なんの光ィ!?」

 

次の瞬間、まばゆい閃光があたり一面を焼き払った。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

「なんてことだ……」

 

エックスは思わず言葉を失う。

砂漠が既に目と鼻の先程近い市街地のど真ん中に……巨大な穴が開いていた。

 

明らかに中から何者かが這い出た様な痕跡がある。

 

「……ハッ!?誰か!おーい!!」

 

瓦礫の山と化している周囲に生体反応が無いかチェックする。

……幸い、無事な建物を見る限り管理もされていないゴーストタウンの様だ。

瓦礫の山と何ら変わらない廃墟だった。

 

「向かった先は……向こうか!」

 

黒煙が上がっているフロアがすぐ近くにある。

恐らく向こうで戦闘が勃発したのだろう。

 

「おい、大丈夫か!」

 

フラフラと、歩けない仲間を担いだり肩を組んで歩いたりしている集団が居た。

駆け寄ってみると、エックスと似たような……あり体に言えばレプリロイドの様な者達だった。

 

「だ、誰だアンタ……」

「この先で何があったんだ?」

 

比較的無事そうで落ち着いているロボットに話しかける。

エックスの姿を見てきょとんとした後、彼は続ける。

 

「分からん……俺たちの基地が敵襲にあったんだが……まるで戦闘にならなかった……俺達は動ける奴を集めて撤退中だ……だがまだ基地には殿の部隊が居る……」

「そうか、分かった。俺が救援に行く」

「え……いやいや待て、お前は誰なんだ」

「……俺は」

 

この世界にイレギュラーは居るのだろうか。

この世界からすれば、自身の存在こそが不確定要素(イレギュラー)だ。

 

「俺はイレギュラーハンターだ」

「……なんだそれ」

「知らなくても良い。けど俺はその肩書に誇りを持ってるんだ」

「そうか……悪い。基地はこの先だ……あと、よかったら持って行ってくれ」

「これは……」

 

エックスが渡されたのは、何かしらの鍵だった。

 

「ドサクサに紛れて持ってきちまった。基地から撤退する奴が居たら渡してやってくれ」

「……ああ、確かに受け取った」

「頼んだぞ、イレギュラーハンター。あまり無理するなよ」

「分かってる!」

 

エックスは足裏のブ―スターを起動して、前方へかっ飛んだ。

 

「……すげぇ高性能な奴だな……羨ましい限りだ……あ」

 

カイザーPMCの兵士は足を止めて振り返った。

青いシルエットは、もう見えなくなるほど小さかった。

 

「名前……聞いてなかったな」

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

進むたびに襲われているロボット達を救出していく。

……黒いロボット達は武装してはいるが、物量に圧されてじりじりと後退していた。

 

同じロボット同士で敵対しているように見えたが、白い方は恐ろしい程統率が取れている動きで苛烈な攻撃を展開していた。

 

……まるで、全員が一つの意志の下にいるかのようだ。

 

ひときわ大きな盾を持つロボットが目の前に立ちはだかる。

今しがたチャージショットを放った直後……バスターをチャージする暇は無い。

 

「メルトクリーパー!」

 

エックスの機能のうちのひとつ、特殊武器。

倒した敵から、そのレプリロイドの特徴となる能力を装備として使用できるのだ。

 

エックスのバスターから放たれた炎は地面に着弾し、いくつもの炎の柱を生み出し盾を持ったロボットを包む。

 

「―――――――――!?」

 

手にしていた盾を無効化され燃え尽きる。

 

「大丈夫か!?」

「すまない……!まだこの先に仲間が!」

「分かった!」

 

二桁に登る黒いロボット達を救助してきたが、大きなシルエットに追いつく気配が無い。

 

「きりが無いな……」

 

せめて、ライドチェイサーがあれば……。

 

「う、うわっ!?なんだコレ!?」

「誰だ……!」

 

すぐ近くで悲鳴にも似た声が上がる。

駆け付けてみれば、フルフェイスヘルメットを被った二人の少女が小さな箱型のロボットの群れに襲われていた。

 

「ぎゃーっ!?なんだコイツ!」

「ちょっと、ヤバいって逃げなきゃ!」

「いだだだ!やべぇもう弾がない!」

 

直ぐ様武器を切り替える。

 

「サンダーダンサー!」

 

バスターから稲妻が発射される。

素早くロボットの一体に命中すると、瞬く間に稲妻が連鎖するように群れの中を駆け抜けていった。

 

感電したロボット達は黒煙を上げて動かなくなった。

 

「君たち、怪我は無いか?!」

 

ロボットの群れを飛び越えて、少女たちの眼の前に着地する。

……この二人、見覚えがあるような。

 

「な、お前さっきのポンコツ……!」

「酷い言いがかりだな……」

 

悪態をつく余裕を見て、思わず苦笑した。

 

「アレが見えるか?この辺は危険だ」

 

エックスは先程ノノミに渡されたメモを思い出して、二人に渡した。

 

「この近くの避難場所だ。ここを離れると良い」

「なっ……何だよオマエ、あたしらオマエの事バラして売ろうとしたんだぞ」

「何で助けんだよ」

 

そう言われても、エックスの根底にプログラムされている。

 

「人間は守らなくちゃいけないんだ」

「い、意味わかんねぇよ……」

「……行こう」

 

片方の少女がメモを受け取った。

それを見て相方の方も渋々承知した様だ。

 

「騙したらただじゃおかねーぞ」

「大丈夫。そんな事は決してない」

「……名前は」

「え?」

「オマエの名前だよ!」

「俺は……」

 

視界の端の大きな影が、気が付けば動きを止めていた。

 

「……何だ……?」

 

猛烈な悪寒。

……巨大なシルエットの向く方向が変わった。

 

……その首は()()()()()()()()

 

「拙い……こっちに来る!!」

「えっ……!?」

「逃げろ!」

 

地響きと共に砂煙が起こる。

間違いなくこちらに向かってきている。

 

「うげぇっ!?」

 

逃走経路をロボット達に塞がれてしまった。

 

「しまった……!」

 

話している間に囲まれてしまったのか。

このままでは押し潰されてしまう……!

 

「お仕置きの時間ですよ〜〜!」

 

突如響く第三者の声。

 

「伏せろ!」

 

その瞬間、暴力的な弾丸の嵐がエックスたちの頭上を通り抜けていった。

 

「新手か……!?」

「その声……エックスさん!?」

「えっ……!?」

 

顔を上げたエックスの目の前に、先程分かれたばかりの少女が立っていた。

 

「君は……」

「何でこんなところに居るんですか!?」

「君こそ!ここは危険だ、早く逃げるんだ!」

「エックスさんこそ!どうして避難しなかったんですか!」

「俺イレギュラーハンターとして……」

「ここは貴方の世界じゃないんですよ!言うことを聴いてください!」

「っ……!」

 

彼女の言うことも一利あった。

エックスは右も左もわからない土地で勝手に飛び出しているに過ぎない。

 

「……それでも、目の前で誰かが傷付くのを……黙って見ている訳にはいかないんだ」

「……頑固ですね」

「……よく言われたよ」

「お、おいぃ!喋ってる場合かよ!前!前ッ!」

「え……しまった!」

 

既に全容がわかるほど接近されていた。

 

「で、デケェ……!」

 

……その姿は、巨大な蛇とも形容できた。

砂漠に不釣り合いなほど白い巨躯。

 

その頭とも言える場所に……何故か、少女達と同じ様な輪が浮いていた。

 

先程まで見ていたロボット達と同じ機械なのに明らかな違和感があった。

 

「嘘……このままだと、アビドスに……!アヤネちゃん!?」

 

ノノミが片耳に手を当てて誰かの名を叫ぶ。

 

「繋がらない……!」

「ノノミ、逃げるぞ!」

「だ、ダメです……!アレが向かってる方向には……私達の学校が……」

「なんだって……!?」

「通信も繋がらないし……」

「避難を優先すべきだ!」

「駄目なんです……あそこは、替えの効かない、大事な……皆の場所なんです」

 

……ノノミは足を止めてしまった。

 

「ノノミ!」

「行ってください。私はここでアレを迎撃します」

「駄目だノノミ!危険すぎる!」

「行ってください、エックスさん。これは……アビドスの問題です」

 

そう言ってノノミは巨大な蛇に向けて銃口を向けた。

 

凄まじい腕力と脚力で断続的に射撃を繰り返しながら駆け出した。

 

「止まって下さい!私が相手ですよ〜〜!!」

「ああ言ってるぞ!さっさとずらかろう!」

 

ヘルメットの少女がエックスの腕を引く。

 

「……駄目だ。君たちだけでも行ってくれ」

「何でだよ!ワタシらはまたねーからな!!死ぬんじゃねぇぞ!!」

 

ヘルメットの二人がそう言い残して走り出したのを見送って、エックスはノノミを追った。

 

「ノノミ!」

「エックスさん!?」

「手を貸す!」

 

あんな巨大な敵なのだ。

生半可な攻撃は通用しないだろう。

 

「貫けぇ!!」

 

バスターのフルチャージショットを放つが、装甲を貫通せずに弾かれた。

 

「硬い……!」

 

蛇はエックスを意に介さず姿勢を低くしてノノミに突撃する。

 

「っ!!」

 

蛇は加速する。

今から走った所で間に合わない。

 

「ノノミーっ!!」

 

声にならない悲鳴。

 

……なんの為に残った。

 

なんの為にここに居るんだ。

 

(……目の前で伸ばされた手を、掴む為だ!)

 

エックスはブースターの出力を全開にし、ダッシュ機能で加速しノノミの前に割り込んだ。

 

「危ない……!?」

 

ノノミの声が後ろでする。

既に、白色の巨躯が目の前に迫っている。

 

「全エネルギー解放ッ!!」

「えっ……!?」

 

エックスが光に包まれる。

 

ノノミが思わず手で顔を照らす光を遮った。

 

……光が収まると、エックスの姿は変わっていた。

 

手足が巨大化し、身体の上から鋼鉄を継ぎ足した様なマッシヴなフォルム。

 

さながら、分厚い鎧を着込んだ騎士の様。

 

「エックスさん……?」

「装着!ガイアアーマー!」

 

大地の名を冠するアーマー。

 

「うおおおおおおおおおお!!!!!!」

 

エックスは雄叫びをあげ、両手を前に突き出す。

 

「止まれえええええええええええええ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う……?」

 

舞う砂埃が落ち着く。

目を閉じていたノノミは少しずつ目を開く。

 

「エックスさん……?……えぇっ!?」

 

……ガイアアーマーを纏ったエックスが、大蛇の上顎と下顎を掴んで受け止めていた。

 

「くっ……おぉ……!」

 

エックスの身体の節々からスパークするかのように火花が散っている。

 

「え、エックスさん……!?」

「は、ははは……これは……ちょっとキツイかもな……」

「笑ってる場合ですか……!」

「口の中に発射機が見える……こいつの口を開かせる訳には、いかない……!」

 

お互いに微動だにしないが、エックスの身体が保つかどうかは時間の問題だった。

 

「くっ……!」

 

ノノミがミニガンのスピンアップを始める。

 

「このっ……!」

 

僅かに開く腔内へノノミがミニガンの銃口を突っ込み撃ち始めた。

大蛇は流石に堪らず身悶えをするが、

 

「大人しく……していろ!」

 

エックスのフルパワーを振り切れない。

だが……少しずつ、エックスは引きずられる。

 

「万事休すか……!」

 

……その瞬間、大蛇の土手っ腹に一発の砲弾が命中し、爆ぜた。

 

「な、何だ!?」

『生きてるか、イレギュラーハンター!』

「あれは……カイザーのPMC……!?」

 

……多数の歩兵に、数台の戦車が砂埃を上げてこちらに向かってきていた。

 

「な、何で……!」

『行くぞ!能無しの雇われども!あのクソ野郎に目にもの見せてやれ!!』

「「うおおおおおおおおお!!」」

 

数多の弾丸、砲弾が大蛇の側面に雨あられと降り注いだ。

 

「何でカイザーが……」

『あの青いのに……あ?黒くなってる?まぁ良い!奴に続け!俺達にも意地がある!!』

『隊長!上から3ヶ月の減給申告です!』

『その辺に置いとけ!』

 

オープン回線から聞こえる怒鳴り声。

恐らく、エックスが救助した兵士達が体勢を立て直し向かってきたのだろう。

 

「エックスさん!弾切れです……!」

「分かった……!吹っ飛ばす!」

 

ノノミが下がると同時に、エックスは両手を離す。

その瞬間、大蛇の口が開き……中の砲台が光を集める。

 

「エックスさん!?」

「エネルギーは貯まった……!後は、」

 

エックスは両手を腰だめに構える。

 

「ぶつけるだけだ!」

 

量の手のひらに、エネルギーが集中する。

ガイアアーマーに搭載されている機能の一つ……ギガアタック。

エックスが傷付くたびにアーマーにエネルギーが蓄積され、貯まったエネルギーを波動弾として撃ち出すガイアアーマーの切り札。

 

「ギガ……アタァァァァアック!!!」

 

ブラックホールを連想させるほど黒いエネルギーの塊を両手から撃ち出す。

大蛇のチャージは間一髪間に合わず、口の中にエネルギー弾が吸い込まれた。

 

「――――――――――!!!!」

『一斉射!全部くれてやれ――――!!!』

 

口から爆炎を蒔き散らし仰け反る大蛇。

そこへミサイル、砲弾、何もかもが突き刺さり更なる大爆発が起こった。

 

「はぁ……はぁ……」

「や……やった……?」

 

煙が晴れると、先程まで大蛇が居た場所は……巨大なクレーターとなっていた。

 

「や……やりました……」

 

ノノミが力なくその場にへたり込んだ。

エックスも力が抜け、元のアーマーに戻った。

 

「終わった……か……」

 

遠くから、カイザーと呼ばれた者達が駆け寄ってきているのが見えた。

 

 




他のナンバリングのアーマーもガンガン使います。
特殊武器はどうしようかな……。

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