後日談になります。
スランピアでの戦闘後……エックスは倒れるわヴィアは時間切れで居なくなるわで最終的にエイミが走ってスランピアから離脱する羽目になった。
「おかえりなさいエイミ……あらエックスさんはどうされましたか?」
エイミが部室に帰った頃にはすっかり夜になっていた。
ヒマリがぐっと伸びをしている。
「動かない」
「そうなんですか……?あら、本当ですね」
どしゃあっ、とエイミがエックスを床に放る。
それでもエックスは起き上がらなかった。
「エネルギー切れでしょうか……?」
「エックスの動力って太陽光だっけ」
「確か本人はそう仰られてましたが……もう夜ですね」
「こっちに戻るときに散々浴びたけど駄目なのかな」
うーんと二人で首を捻った。
そこで、モニターが一つ灯った。
『ふぅ、やっと繋がりました!』
最近よく耳にする溌剌とした声。
「リコさん。ちょうど良かった」
『ちょうど良かった……?うわぁ!?エックスさんが死に体です!?』
「あれからずっと起きない」
『そ、そうなんですか……エネルギー切れでしょうか……?うーん、ヴィアさんはどう思いますか?』
『まぁエネルギー切れだろうな……』
「必要なのは太陽光だよね?なら散々浴びせたけど……」
『さっきの戦闘で何処かイカれたか……?』
「困りましたね……」
『お邪魔するよ』
回線に入ってきた新しい声。
「ウタハさん?」
『や、久しぶり。エックスさんとちょっと話がしたくてね……おや?どうしたんだい?』
「見ての通りエネルギー切れらしくて」
『でも彼のエネルギーは太陽光じゃ?』
「集光機能が戦闘でだめになったのかも知れません」
『それは一大事だ……でも、他に手は……あ』
ウタハが何か思い当たったかのように声を上げた。
『お、何か思い付いたのか?』
『以前……エックスさんに試してもらった経口エネルギー補給飲料があって……バージョンアップしたのをまだ保存してたんだ』
「ああ、例の」
『丁度いいから今から持って行こう』
「お願いします」
ウタハからの通信が切れる。
これで、事態が好転することを祈りたい。
「そう言えば……やっと、って言ってたけど何かあったの?ヴィアが帰ってから全然繋がらなかったし」
『あー……聞いちゃいます?』
「気になったし」
『まぁ言っても良いんじゃないか?』
『うぅ……』
リコが若干涙目になっている。
しかし、リコもヴィアもエックスと同じレプリロイドの様に見えるが……二人とも感情が豊かだし何なら泣いている。
何なのか結論など出ないがそんな思考をヒマリがし始めた頃。
『クレームと始末書に追われてて……』
「それは……また」
『
『ハッ!まぁリコはそろそろ横の繋がりも作るべきだしな!』
『これヴィアさんのアイデアのせいなんですよ!?』
『何とかなったし良いじゃねぇか!』
『よくないです!!』
ギャーギャーと二人で喧嘩を始めてしまった。
そこへ、ウタハが到着した。
「やぁ、邪魔するよ。今日は随分と賑やかだね」
「いらっしゃい、ウタハさん」
「それで、エックスさんは……なるほど、死に体だね……」
ウタハがE缶を取り出す。
「それが例の?」
「ああ。改良が出来たから今度こそ上手くいく」
「……どうやって飲ませるの?」
「………………しまった……エックスさんは意識が無いんだった」
「流し込めば起きるでしょ」
「あっ……エイミ待っ……そんな一気に……」
エイミがエックスの口を開けてその上にE缶を一気にひっくり返して全て流し込んだ。
……そして、
「ごふっ……!?ゴホッ、ゲホッ、な、何だ……!?」
エックスが凄まじい勢いで飛び起きた。
それはもうイカロスフットパーツを付けているかのレベルで。
「あ、起きた」
「うっ……うう……き、気持ち悪い……頭がガンガンする……」
すぐにエックスは倒れ込んで頭を抱え始めた。
「ちょ……ウタハさん?大丈夫なんですか?これ……」
「大丈夫……のはず……現にこうして動いて……あれ?エックスさんの身体ってこんな色だっけ……?」
「ちょっと、エックス!?何か赤くなったり緑になったりしてるけど?!」
「う、うぅ……ごめん、分からな……う、わっ、なんだコレ!?」
エックスの体色が不規則に入れ替わっている。
しかも勝手に左腕がバスターに切り替わる。
「う、わ、拙い、止まらない……!?」
「ちょっと、エックスさん!?」
「に、逃げてくれ皆……!?」
次の瞬間、四方八方へ炎やら歯車やらトランプのカードやらがめちゃくちゃにエックスのバスターから飛び散ったのだった。
『大体ヴィアさんはいつも……あっ、エックスさん起きて……な、何事です!?』
『ハッ!良かったなエックス……いや良くねぇやなんだこの状況』
――――――――――
あれから、スランピアは正式に取り壊される事になった。
何度か足を運び、調査したが……アトラクションのロボット達の暴走……その程度しか確認出来なかった。
何故生徒たちを集めていたか……それは分からなかった。
「ふーん……そうなんだ」
この日も、エックスは調査を終え……トリニティの気まぐれなお姫様と面会していた。
「以上が、この1週間の調査結果だ」
「分かったよ。お疲れ様、えっちゃん。これで、このお仕事はおしまい」
「……良いのか?」
「だって……分からなかったんでしょ?」
「そうだけど……」
「なら良いや。解決したし」
「……そうか」
「そういえば……二人はうちの子だったけど、後の三人は?」
「え?ああ、それぞれミレニアム、ゲヘナ、ハイランダーの生徒だそうだ」
ハイランダー鉄道学園。
キヴォトス中の鉄道の管理運営に特化した学校……らしい。
「ハイランダーの?珍しいね」
「そうなのか?」
「うーん……あんまり見ないんだよね、そこの制服」
エックスの記憶では学生の制服というより列車乗務員と言った出で立ちだったが……彼女も生徒なのだろう。
意識が戻った後はしきりに礼を言って去っていった。
「えっちゃん、次は何処に行くの?」
「次、か……」
ブリーフィングを思い出す。
オメガの反応があった場所は、トリニティ、ゲヘナ、百鬼夜行、アビドス。
順当に行くのであれば……。
「ゲヘナ学園、か」
「えー……?」
「反応を見るからに……あまり良い印象は無さそうだな」
「私、ゲヘナってあんまり好きじゃないんだー」
「それは、何故?」
「……なんとなく?」
「何となくって……」
「だって……そもそもトリニティとゲヘナってものすごく仲が悪いだもん」
「学校間で?」
「そうなんだ……ずっとずっと、昔から」
「そう、なのか……」
ミカは手にしていたティーカップに口を付け、残った紅茶を飲み干した。
「さて、それじゃあ私は行くね。今回はお願い聞いてくれてありがとう」
「次はもう少し楽な仕事を寄越してくれると助かるけど」
「ふーん?その言い方だと、次もお願いしちゃうけど良いの?」
「君が本当に困ってるなら断らないよ」
「……今回の件、私がそんなに困ってなかった……そう言ったら?」
「そうは見えなかった」
ミカはエックスをじっと見つめる。
そして、苦笑した。
「えっちゃん、本当に底抜けのお人好しだね」
――――――――――
「エックスさん!」
駐輪場へバイクを取りに戻った時……名前を呼ばれ、振り返る。
「マリー、こんにちは」
「はい、こんにちは」
走ってきたのか、頬が少し上気していた。
「今回は、ありがとうございました……私達だけでは助けられませんでした」
「こちらこそ、君達が来てくれていなかったら……彼女たちを戦闘に巻き込んでいたかも知れない」
あの時、マリー達が間に合わず戦うことを選んでいたら……間違いなく怪我人が出ていた。
「そんな事……」
「だから俺は君達……君に、礼を言わなきゃいけない」
エックス個人も、マリーに対して恩がある。
このトリニティのエックスへの悪評、全てを塗り替えてくれた事。
「え……」
「ありがとう、助かったよ」
「……はい。お力になれて……良かったです」
この調子で総力戦8回とバイル……書き切れるのか……?