【完結】デカグラマトンハンターX   作:塊ロック

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バイルの配下のアイツが登場。
Xdiveにも出てこなかったので完全に趣味の対戦カードです。


氷狼、月を振り返らず

 

会場から悲鳴があがる。

 

「何だ……!?」

「エックスさん、あれ!」

 

ノノミが指指した方向……パーティー会場内の床に大穴が開いている。

 

「地下から……!」

 

美術品は確かもう展示されているはず。

ならば、例の慈愛の怪盗が地下から侵入してきたのか。

エックスが会場内に飛び込むと……。

 

「……!?」

 

紫のカラーのレプリロイドが、絵画らしきものを抱えていた。

 

「バリアント!?」

 

エックスは咄嗟にバスターを向ける。

 

「やめ……!絵画に当たったら……!」

「えっ……あっ!」

 

聞こえた叫び声に一瞬躊躇してしまい、視線をバリアントから外した瞬間逃げられてしまった。

 

「拙い……!」

「おいエックス!何の騒ぎだ!」

 

ワラワラと会場内に賞金稼ぎ達もやってくる。

 

「敵襲だ!美術品が盗まれた!」

「オイオイマジかよ!どれだ!?」

「ぜ、全部です……」

「はぁ!?」

「本日搬入した美術品が……全て持ち去られてしまきました……」

「なんてこった……」

 

見れば、何か置かれていたであろうがらんとしたスペースが荒らされた跡があった。

 

「バイルが、何故美術品なんかを……」

『お疲れ様です!エックスさん!やっと始末書が終わったので遊びに来まし……う"わ"ぁ"!!?エックスさんの周辺にイレギュラー反応だらけですぅ!?』

「……っ!リコ、ちょうど良かった!」

『どうしてエックスさんは目を離すとこんな状態になってるんですか……?』

「それに関しては本当に申し訳ないが緊急事態だ!至急イレギュラーの行方を追ってくれ!俺は……」

 

「きゃぁぁっ……!」

 

「……ノノミ……!?」

『エックスさん……!大変です!強大なイレギュラーが居ます!気を付けて下さい!』

 

庭からノノミの悲鳴。

急いで飛び出ると、エックスは言葉を失った。

 

……何故なら、一面が凍り付いているからだ。

 

「オイオイ……今度はなんだよ……」

 

後から来たマックが、そんなことを呟く。

 

「ノノミ……!?」

 

エックスは庭の中心にノノミが横たわっているのに気が付く。

すぐに駆け寄ろうとして……。

 

「オイ!エックス!上だ!」

「っ!」

 

マックからの声を聞き、すぐに飛び退く。

次の瞬間、エックスの立っていた場所に大量のバリアントが殺到した。

全て……両手が鋭い鉤爪になっている。

 

『バリアント·クロウです!素早い動きに注意してください!』

「どう見たって慈愛の欠片も持ち合わせてなさそうな面だな……」

「面?全員同じではないか」

「言ってる場合かよマック、カルレル……これやばいんじゃねぇのか……?」

「流石にダブルの言う通り割に合わねぇかも知れねぇな……」

 

「邪魔だ!」

 

そして、エックスのチャージバスターがバリアント·クロウを薙ぎ払う。

 

「ヒュウ……こりゃすげぇ……」

「ノノミ!」

 

外傷は無さそうだが……両手と両足が氷の枷によって繋がれている。

エックスが駆け寄る前に……。

 

「ガウウッ!!」

「う、くっ……!?」

 

視界の端に何かが光るのに気付き、既の所で氷の刃を避ける。

 

「へっ……!やるじゃねぇか……!」

 

キヴォトスに生活するロボット、そのどれもに当てはまらないシルエット。

さながら、青のオオカミと言ったところか。

 

両手から刃の様に氷を生やしている。

 

「お前は……!」

「伝説の英雄と戦ってみたいが、命握られた上に仕事を厳命されてるんでな。流石にそりゃ次の機会にって奴かな」

「流暢によく喋る……!」

「そう殺気立つなよ……オレだってやりたくなるじゃねぇか……!」

 

油断なくオオカミ型レプリロイドにバスターを向ける。

向こうの方がノノミに近い。

下手に動けない。

 

「何が目的でノノミを襲った!」

「欲しがってるんだよ、この世界の生徒ってやつを」

「バイルが……?」

「ンだよバレてんのか……へっ、なら丁度いい!」

 

オオカミ型レプリロイドが空に向かって大きく咆哮した。

 

「オレはアインヘルヤル八闘士の一人、フェンリー·ルナエッジ!」

 

次の瞬間、ルナエッジと名乗ったレプリロイドはノノミを掴み上げて跳んだ。

 

「オレに付いてこれるかな?」

「待て……!ノノミ―ッ!!!」

 

エックスも後を追おうとしたが、更にバリアント·クロウが増援として現れる。

 

「くそっ……!邪魔だ!」

 

エックスは特殊武器、メタルアンカーをセットする。

 

「チャージメタルアンカー!!」

 

鋼鉄の隼が辺り一面に降り注いだ。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

鋼の隼が降り注いだ後、エックスは素早くリコに指示する。

 

「ルナエッジの反応をマーキング!反応が消されないよう手当たり次第に追跡しろ!」

『は、はい!』

 

(バイクを取りに……いや、そんな時間は……足で追うしかないか……!)

 

『エックス、落ち着け!』

「分かってるさヴィア。ルナエッジを追う……!」

『ヤツはサイバーエルフと半融合して驚異的なスピードを持つレプリロイドだ。お前の足じゃ追いつけるかどうか……』

「バイクを取りに行く暇は無い、このまま急行する!」

『あっ、馬鹿野郎……!クソ、何か……あっ!』

 

ヴィアが何か思い付いたように声を上げた。

 

『リコ!あれだ、送るぞ!』

『え、えーっ!?また始末書増えちゃいますよ……!』

『言ってる場合か!』

『わ、分かりました……』

『エックス、受け取れ!』

「え、何を……これは!」

 

エックスの目の前に、何かが転送された。

バイクの様な見た目だが、タイヤは付いていない。

少し古い型のライドチェイサーだ。

ADU-T400ターボ「チェバル」……それがこれの名前だ。

 

「ライドチェイサーか!これなら追いつける……!」

「……もし?」

「何だ!緊急事態なんだ、手短に頼む!」

 

ライドチェイサーに跨った瞬間、声をかけられてつい荒げてしまった。

 

振り向くと……白いシルエットの少女が、困ったように立っていた。

出で立ちはパンツスタイルの白の礼服、顔を隠すためかマスクをしている。

髪も白いためやたらと白いイメージが強い、そんな印象だった。

 

「私も、同行しても良いでしょうか」

「何を言ってるんだ!危険だぞ」

「いえ……私も、盗まれた美術品に用がありまして」

「……君も雇われた護衛の一人か。悪いけど俺は美術品じゃなくて……」

「あのロボット……恐らく美術品を乗せたトラックと合流している筈です」

「何……?」

 

少女は、スマホを取り出し画面をエックスに見せた。

 

「事前に仕込んだ発信機です」

「なんてことを……」

 

あまりの暴挙にエックスは絶句してしまった。

護衛するからとは言え依頼人に内密で発信機を仕掛けるなんて。

 

『エックスさん!たった今目の前の生徒さんの情報とルナエッジの座標が合致しました!』

「なんだって……!?」

「話はまとまりましたか……?」

「あー……そうだな」

 

こうなると結局、エックス一人で追いついたとしても美術品の回収が難しい。

ならば、分担して片方任せた方が効率が良い。

 

(……エイミに影響されたかな?)

 

効率の良さを優先したと気付き、心のなかで笑う。

少女に向き直って、エックスは告げた。

 

「分かった。連れて行くよ」

「ふふ、賢明な判断ありがとうございます」

「それで、君の名前は?俺はエックスだ」

「私は……そうですね、アキラとお呼びください」

「分かった、アキラ。ライドチェイサーは二人乗りじゃないから俺にしがみついてくれ」

「分かりました……殿方にこうして抱き着くというのも、なかなか恥ずかしいものですね」

「あ、舌を噛まない様に気を付けなよ」

「え……?」

 

次の瞬間、エックスはアクセルを全開、ペダルをベタ踏みした。

爆発的な加速を持ってライドチェイサーは凄まじいスピードで発進した。

 

「こいつはかなり早いぞ!!」

「発進してから言わないでくれます!?!!?!!?」

 

舌を噛まなかったらしい。

つくづくキヴォトスの生徒は頑丈だった。

 

しばらく猛スピードでライドチェイサーが疾走る。

 

『次の角を……』

「右です!」

『がーん!』

「分かった!」

 

アキラのオペレートを受けながら進むこと数分、ナンバープレートの無い大型トラックが見えてきた。

 

「ナンバーが無い……?」

「反応があの中から……恐らく、アレです」

「よし……!」

 

エックスが片手を離しバスターに切り替える。

 

「ちょっと……正気ですか!?」

「足を止める……!」

「当たり所が悪くて横転でもしたら貴方のお姫様も怪我しますよ……!」

「くっ……どうすれば……!」

「匿名であのトラックをヴァルキューレにリークしました。運が良ければ進路を塞いでくれるハズ……」

「リコ!ヴィア!」

『こっちで進路は割り出した。奴らはD.U.をいっちょくせんに突っ切って何処かへ向かうらしいが……アビドス、ミレニアム、トリニティ、ゲヘナのどこでも無いのは確かだ。逃がすと面倒だぞ』

「トラックのコントロールを奪うというのはどうでしょうか」

 

背後のアキラから提案が出た。

 

「俺は体格的に運転は無理だ」

 

キヴォトスに一般流通している車両は、エックスの体格では

運転することができない。

足が大きくて操作しづらい上に入れないのだ。

 

「なら、私が運転を」

「免許は?」

「……………」

「……免許は?」

「ええ、大丈夫です。運転は出来ますので」

「おい!」

「ではお聞きしますがエックスさん……貴方がやると?」

「……分かった、今回は目を瞑る」

「それが賢明かと」

「問題はどう奪取するかだが……」

 

トラックのスピードは依然として変わらないが、ライドチェイサーのスピードを振り切れない。

徐々に距離が近付いてくる。

 

夜も更けたD.U.は、流石に普段より交通量は少ない。

だが、全く無いわけではなかった。

クラクションを鳴らしながら急停止する車を尻目に、エックスは思案する。

 

「ヴィア、トラックに飛び移る」

『ライドチェイサーはこっちで回収出来るから気にするな』

「分かった」

「決まりましたか?」

「近付いて……飛び移る」

「……面白いですね」

「いけるか?」

「少し厳しいかも知れません」

「……分かった。俺が跳ぶからそのまましがみついててくれ」

「それしかありませんね。頼みますよ?」

「分かってる」

 

遂にライドチェイサーはトラックに追いつき、並走する。

運転席には……やはり、バリアントが座っていた。

 

「行くぞ!」

 

エックスはライドチェイサーの上に立ち上がり、跳んだ。

そのまま、トラックの荷台に置かれたコンテナを蹴ってトラックの上に着地する。

 

アキラを降ろし、運転席の真上まで走った後に扉の窓に手を突っ込む。

 

「!?」

「運転は交代だ」

 

バリアントの首根っこを掴んで運転席から引きずり出す。

衝撃でドアが吹っ飛んで行ったが、アキラがそこへ器用に滑り込んだ。

 

「減速させます!」

「頼んだ!」

 

エックスはバリアントを後方へ投げ捨ててノールックでバスターを放ち撃ち抜く。

 

その瞬間、足元から衝撃。

そして氷の刃が顎先を掠めた。

 

「ガウウウッ!!」

「フェンリー·ルナエッジ!!」

「やってくれたなぁ英雄サマよぅ!こうなりゃ……やるしかねぇよなぁ!」

 

ルナエッジがコンテナに大穴を開けて飛び出る。

エックスはバスターを数発撃ち込むが、両手の刃に防がれる。

そのまま押される形で二人はトラックから落ち、市街地のど真ん中へ転がり込んだ。

 

「イレギュラーは処分する!」

「へっ上等だ!」

 

ルナエッジが咆哮を上げ、砕けた氷の刃を再生成する。

 

「切り裂け、牙よ!」

「ノノミを、返してもらうぞ……!」

 

エックスが、ルナエッジにバスターを向けた。

 

「グアウッ!」

 

ルナエッジが両肘に生成した氷の刃を体の前に掲げた瞬間、一瞬でエックスの目の前まで肉薄する。

 

「速……!?」

「ごっ……!?」

 

エックスは咄嗟に身を引き、そのまま足を振り上げてルナエッジの顎を蹴り上げた。

 

その勢いのままバク転し距離を離した後、バスターを連射する。

だが、素早く移動するルナエッジを捉えきれない。

 

「遅ぇ遅ぇ遅ぇ!!」

「くっ……ホーミングトーピード!」

 

ピラニアを模したミサイルがエックスバスターから2発放たれる。

誘導兵器なら相手がどれだけ速かろうと追い続けるだろう。

だが、ホーミングトーピードはルナエッジに追い付かずそのまま爆散した。

 

「速すぎる……!」

「オラァ!」

「ぐあっ……!?」

 

いつの間にか背後に回られ、背中を斬り裂かれてしまった。

幸い装甲は抜かれていないが、大きなダメージを受けてしまった。

 

エックスはゴロゴロと転がり、特殊武器を選択。

 

「ライトニングウェブ!」

「ぬぁ……!?」

 

ルナエッジが転がる途中、地面に貼り付けた電気を帯びた蜘蛛の巣を踏む。

本来は足止めや擬似的な壁として使う物だが、特定の敵に対しては電気を通して大きくダメージを与えられる武器……だったが。

 

「ハッ!効かねぇな!」

「何……!?」

「アオオオオオオウ!!」

 

ルナエッジが跳躍し、尾から冷気のガスを噴出する。

すると、ルナエッジを模した氷像が生成される。

 

『あっ!エックスさん気を付けて!』

『そいつは動くぞ!』

「くっ……!」

 

エックスは慌てて起き上がり飛び退く。

次の瞬間、エックスのいた場所を氷像が砕く。

……そして、着地の瞬間2枚目が飛んできた。

 

「このっ……!」

 

チャージバスターで粉砕する。

が、

 

「ガウウッ!!」

「ぐ、あっ……!?」

 

死角から現れた本体に斬りつけられ、またしても吹っ飛ぶ。

 

『フェンリールナエッジは氷属性のレプリロイドで、雷属性は効きません!炎属性で攻撃を!』

「だが、当たらないぞ……!」

『何とかして足を止める方法があれば……そうだ!セカンドアーマーだ!』

「セカンドアーマーだと……?」

 

ルナエッジが氷の刃を振ると、腕から離れた氷塊が飛んでくる。

エックスはダッシュで下をくぐり抜け、チャージショットを放つが、躱される。

 

『あれだけダメージを受けてるんだ!』

「そうか……!」

 

エックスはセカンドアーマーを装着する。

ファーストアーマーと比べると、赤の差し色が増えた印象だ。

 

「ハハハッ!姿を変えてどうにかなるかよ!」

 

ルナエッジの攻撃は苛烈さを増す。

エックスの周囲を飛び回りながら、少しずつダメージを蓄積させてくる。

 

(耐えろ……!チャンスはやってくるはずだ……!)

 

「どうしたどうした!この程度か!」

「くっ……」

 

足元が滑る。

ちらりと視線を下ろすと、いつの間にかアスファルトが凍りついていた。

 

「しまっ……!」

「貰ったァ゙!!」

 

ルナエッジが飛び込んでくる。

……その瞬間、エックスはルナエッジの手を抑え顎を反対の手で掴んだ。

 

「なっ……!?」

「体勢を崩せば、突っ込んでくると思ってたよ……!」

「て、テメェ……!」

「この距離なら、逃げられない……!」

 

エックスの身体が光りだす。

高エネルギーの奔流が、じわじわと漏れ出す。

 

「自爆する気か……!?」

「悪いが、逝くのはお前だけだ……!」

 

そして、抑えていた力を一気に解放する。

 

「ギガクラッシュ!!」

 

辺り一面を、高エネルギーの爆発が包みこんだ。

 

「グァ、ァァァァァァッ!!?」

 

ルナエッジが半壊しながら吹っ飛ぶ。

 

ギガクラッシュは、セカンドアーマーのボディパーツに付与された機能の一つだ。

ガイアアーマーの様に傷付く事でエネルギーが蓄積し、それを解放する奥の手。

 

『今だエックス!熱いのを叩き込め!』

「うおおおおっ!」

 

アーマーの機能で、特殊武器にチャージ効果を付与する。

エックスは手を突き出して叫んだ。

 

「グランドファイア!!」

 

炎のレーザーとも言える塊が、一直線にルナエッジへ発射される。

 

「へっ……流石だな……英雄サマよぉ……!」

 

ルナエッジが、炎に包まれ……爆散した。

 

「はぁ……はぁ……終わった……?」

 

エックスは膝をついた。

思っていたよりダメージが蓄積していたようだ。

 

遠くからサイレンの音がする。

ここに居ると、少し面倒な事に巻き込まれそうだ。

 

「リコ……トラックは?」

『少し先で停車しています』

「分かった……」

 

エックスは、セカンドアーマーを解除してよろよろと歩き出す。

 

「ノノ……ミ……」

 

 




アインヘルヤル八闘士、凍月軍狼フェンリールナエッジ登場!

……どうすんだよ総力戦以外にも8ボス出して。
これ本当に収集つかないんじゃないかな……?

あ、彼らは再生ボス枠なので獲得特殊武器はありません。
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