【完結】デカグラマトンハンターX   作:塊ロック

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これにてオープニングステージ、VSビナーは終了です。



情熱セツナ

 

「居たぞ!」

「生きてたかイレギュラーハンター!」

「君たちは……」

「全員、アンタが助けてくれた奴らだよ」

「あんときはだめかと思ったぜ!」

 

暫くして。

エックスは瞬く間にカイザーPMCの兵士たちに囲まれて口々に感謝の言葉を投げられていた。

少し離れた所に、ノノミは座っていたが……浮かない顔をしている。

 

「いや、あの大蛇を撃退できたのも君達のお陰だよ」

「謙遜すんなって!お前らも見ただろ!こいつの活躍!」

「あんなデケーやつ受け止めてふっ飛ばした!その話もう5回目だぜ隊長!」

「ははは……」

「そういやアンタの名前を聞いてなかったな」

 

兵士の一人がそんなことを口にした。

 

「イレギュラーハンター、だっけ?聴いたこと無いな」

「それは役職だよ。俺の名前はエックスだ」

「ハッ!装備も良ければ名前も良いってか!羨ましいやつだな!」

「そんな事は……」

「言わせねーぞ!」

「やめろって……ははは……」

 

(……これだけ笑ったのも、なんだか久しぶりだな)

 

「エックス、そろそろ連れがご機嫌斜めだぜ」

「え?ああ……別に連れって訳じゃ」

「……あの子、アビドスの子だろ。俺達とはあんま折り合い良くないからな。頃合いを見て連れて行ってやってくれ」

「それは……どういう?」

「うちの上とあんま仲良くないんだわ、あの子の学校」

「……そうなのか」

「俺達も助けられた手前邪険にしたくないんだが……確執が深くてな」

「分かった」

「お前ら!英雄サマのお帰りだ!」

 

その一声でズラッと兵士たちがエックスの両脇に整列する。

 

「敬礼ッ!」

「よしてくれ……俺はやれる事をしただけなんだ」

「俺等なりの敬意ってことにしてくれ」

 

照れくささを感じながら、エックスはノノミ前まで来た。

 

「……もう良いんですか」

「ああ。君が居辛そうにしてたから」

「それは……すみません」

「謝ることはないよ。事情は知らないけど……詳しくは聞かないよ」

「そうですね……気持ちのいい話ではないので」

 

……こんな、少女がPMCと確執を持つなんて信じられない。

一体どんな事情があれば、この少女はここまで静かになってしまうのだろうか。

 

「エックスさんは……身体は、大丈夫なんですか?」

「応急手当てくらいは受けたよ」

 

レプリロイドの概念は浸透していないのに、自身の修理は出来ているのだから不思議なものだ。

もしかして彼らは名前が違えど同じレプリロイドなのかもしれない。

 

「……エックスさんは」

「うん?」

「どうしてあの人達を助けたんですか?」

 

ノノミは、まっすぐエックスを見ている。

瞳から表情をを読むことはできない。

それ程に感情の無い目だった。

 

(……なんて目なんだ)

 

かつて、戦場となってしまったエリアでそんな目をする子供たちを見てきた。

クーデターの起こったハイウェイや、占拠されたスカイラグーンの墜落地点で。

 

何がこの娘をこんな風にしてしまったのか。

 

エックスには……どうすることも出来ない。

 

だから、胸の内を正直に話すしかない。

 

「助けたかったからだ」

 

その言葉に、ノノミはため息をついた。

 

「……底抜けのお人好しですね、エックスさんは」

「そうかな……」

「カイザーPMCは……あまり評判が良くない人が多いです。けど、皆さんこの短時間でエックスを慕うようになっています」

 

ノノミが歩き出したので、エックスも隣に並んで歩いた。

兵士たちが手を振っているので、それに手を振り返した。

 

「貴方みたいな大人は……ここじゃあ珍しいと思います」

「大人……か。俺のいた場所じゃ子供は銃なんて持っていなかった」

「……銃を?」

「ああ」

 

エックスの脳裏に浮かぶ風景。

子供たちが遊ぶ、平和な世界。

……久しく見ていないその光景に、寂しさを感じる。

 

「想像できませんね……私たちはみんな、物心ついた頃から銃を持っています」

「……文化の違いなんだろうな」

 

治安の悪い地域はまず身の守り方を何よりも先に覚えるものだ。

砂漠地帯と市街地の境界線まで歩いてきた。

 

思えば、今日一日ですさまじい密度の体験をした様な気がする。

 

「エックスさん、良かったら……私たちの学校に来ませんか?」

「良いのかい?大事な場所なんだろう……俺みたいな部外者が行くのはあまり……」

「エックスさんなら構いません。みんなも多分……歓迎してくれると思います」

「そうか……なら、」

 

その先の言葉は続かなかった。

何故なら……()()地響きが鳴ったのだから。

そして……地面も凄まじく振動している。

 

発生源が近い。

 

「そんな……!」

「俺達は戦える状態じゃない……逃げるべきだ!」

「はい!」

 

エックスとノノミは走り出す。

今打てる最前手……だが判断が、少し遅かった。

 

「――――――!!!」

「嘘……!?」

「お前は……!!」

 

顔が半分吹き飛んだ大蛇が、砂の海を割って飛び出してきた。

エックスは、咄嗟にノノミを突き飛ばした。

 

「きゃ……!?」

「くっ……うわぁ!?」

 

飛び込んできた大蛇に食いつかれる。

 

「エックスさん!?」

「来るな!!」

 

腹に食いつかれてしまった。

このままではエックスの胴体は上下に真っ二つにされてしまう。

腕をバスターに変え、大蛇の顔面に連射する。

拘束が解ける気配が微塵もない。

 

「くそ……!」

「だ、誰か……!あ!通信が……アヤネちゃん!皆を……!」

 

ノノミは弾切れで動けないが……誰かとやり取りしているのか、しきりに叫んでいる。

 

「ノノミ!逃げろ!」

「そんな……エックスさんが!」

「俺はいい!自分の身の安全を確保しろ!」

「でも……!」

「早く行け……うわぁ!?」

 

大蛇が動く。

エックス諸共砂の中に潜るつもりだ。

 

「クソ……!離せ……!!」

 

もうエックスに残されたエネルギーは僅かしかない。

 

「うわあああああああああああああ!!!?」

「エックスさん!そんな!エックスさああああああああああん!!」

 

ノノミの悲鳴が小さくなる。

エックスの視界は砂で覆われてしまった。

 

「クソ!潜られた……うっ、ぐぅ!?」

 

砂の中をこの大蛇はまるで泳ぐかのように進んでいる。

このままどこかへ連れ去られるのか……そのまま噛み砕かれるのか。

 

「こうなったら……」

 

バスターにエネルギーをチャージする。

 

「いい加減……離せェっ!!!」

 

先ほどのギガアタックで無くなった顔面にチャージショットをぶつける。

一瞬拘束が緩む。

そのまま腕を伸ばし銃口を傷口に押し付けて連射した。

 

「うおおおおおおおおおお!!!」

 

後の事は考えない。

とにかく……生き延びる!

 

たまらず、大蛇は口を開いた。

 

「やった……!」

 

エックスは脱出できたが……今は、激しい流砂の中。

 

「うわっ……!?」

 

一気に押し寄せる砂に飲まれる。

 

「くっ……しまった……!?」

 

足裏のブースターが作動しない。

完全に燃料切れだ。

 

「くそ……!」

 

エックスは、そのまま砂の流れに飲み込まれ……どこまでも流されていった。

 

 

 




ようやく、本編スタートです。
思ったよりも長かった……。
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