「おにーさん、人気者だね!」
「ああ、全くだ……」
背後に迫る追手の気配を感じながら、エックスは跳躍し廃屋の屋根に着地する。
さて、どこに逃げたものか。
「イブキ、君のお家はどっちだい?」
「うーん……あっち!」
エックスの首にぶら下がっておぶられているイブキが明後日の方向を指さした。
「分かった、そっちに向かおう」
「そこの青い奴!止まれ!」
「……その前に、こいつらを撒かないとな」
「大丈夫!イブキのお家は誰も入れないから!」
「分かったよ。向かおう」
「あっ!おにーさん上!」
「何……!?」
イブキが警告すると同時に、エックスの真上に影が重なる。
何かが、上から降ってきた。
「くっ……!新手か!」
「よう……カイザーの青い英雄」
廃屋に激しく着地した影。
その姿に既視感を覚える。
「お前は……レッド……!?」
大きくせり出した褪せた赤い肩のアーマー。
アイパッチの様に隠された片目。
人間で言う所のオールバックの様な形状の頭部。
「あぁ?レッド?そんな名前じゃねぇよ。俺はスカーレット。ゲヘナ自警団スカーレットアラートの頭領をやってるモンだ」
「スカーレット……?」
彼は、エックスの知るレッドではない……?
「俺に何の用だ」
「用?ンなもん決まってるだろ……俺らのシマにカイザーのモンが来た……そんなのは宣戦布告と一緒だろうが」
「待て!俺はお前たちと敵対する意思は無い!」
「こっちにゃあるんだよ!前々からお前らカイザーPMCは目障りだったんだよ……!弱ぇクセに難癖つけてこっちのシマを荒らしてきやがる……!」
スカーレットと名乗る男はヒートアップしたのかどんどん語気が荒くなる。
「お前らが荒らした後の事考えたことあるか!?クソがよ……!今日と言う今日は叩き潰してやる……!手始めにテメェの首をカイザーの前に飾ってやるよ!」
「くっ……聞く耳持たずか!」
エックスはイブキを背負い直す。
「うわっ!」
「すまない、イブキ……!家に帰るのは少し先になりそうだ」
「うん、分かった」
「君は……本当に良い子だ。ごめんな」
「謝らないで、おにーさん。一緒に帰ろう!」
「ああ」
「ヒソヒソ話は終わったか?行くぞ!」
スカーレットがブレードを抜く。
エックスは片腕をバスターに変形させ……足元に撃ち放った。
「なにっ……!?」
廃屋が弾け飛び瓦礫や砂埃が舞い上がった。
「クソが!どこ行きやがった……!」
砂埃が晴れると……そこには誰も居なかった。
「チィ……探せ!」
周囲に居た部下に指示を飛ばす。
すると、スカーレットの端末に連絡が入る。
「……はい、もしもし?……ああ、センセイ。あんたの言った通りエックスの奴がここにやってきた」
『………………』
「増援?そっちからわざわざ用意してくださるとは……ありがたい話で」
『………………』
「分かってますよ、必ず奴は血祭りに上げます」
今度は自警団VSカイザーPMCの構図に。
生徒の存在感なさすぎますね……。