【完結】デカグラマトンハンターX   作:塊ロック

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万魔殿へ

 

「エックスを処分するチャンスを逃しただと?」

『え、えぇ……邪魔が入りまして』

「ワシのレプリロイドを使ってその体たらく、情けないぞスカーレット」

『すみません、センセイ……』

「だが、まぁ良い。ヤツをそれなりに痛めつけたところは評価しよう」

『ありがとうございます』

「それで?頼んでいた件……どうなっておる」

『それが……』

「……なるほど」

 

モニターの前に立つ老人は唸る。

 

「……引き続き、確保を頼むぞ」

『はい』

 

通信終了。

 

「上手く行かぬものだな」

 

老人……バイルは、誰に聞かせる訳でもなく呟く。

この世界の神秘の確保。

これが中々難しい。

バイル側に付く者たちでは、神秘を有する生徒に太刀打ち出来ず……難航している。

 

せめて、一人……サンプルが手には入れば。

 

『………………』

 

ブン、とモニターが独りでに灯る。

いつもの、赤く光る画面。

 

「なんじゃデカグラマトンよ……来客だと?ワシに?」

「ごきげんよう、Dr.バイル」

「貴様は……」

 

現れたのは……白いドレスに、自身の苛烈さを象徴するような、赤い肌の女。

 

「お久しぶりでなくて?」

「ベアトリーチェか……?何故ここに」

「手こずっている様ですので」

「黒服の指示か?手を切ったのは貴様らのほうだろうが」

「いいえ?私の独断ですわ。貴方の研究には、神秘に至りうる価値がある……私はそう思っておりますの」

「……何が言いたい」

「おほほ……私にも、一枚噛ませて頂けないかしら」

「ほう……?」

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

さて、困った。

意気揚々と駆け出したは良いものの……万魔殿がそう簡単にエックスを通すとは思えない。

 

『一応連絡はしてみましたが……期待はしないでください』

「ああ、ありがとうヒマリ」

『エックスさん!見えてきましたよ!』

 

今はリコ達がいるので、ヒマリとエックスの間にダイレクトな通信が確立されている。

足を止める。

生徒の往来は少ないが……立派な校舎だ。

 

「……普通に入れてしまった」

 

校門に誰も立っていない。

これはこれで困ってしまう。

 

と言うより何故ここまで人が居ないのだろうか。

 

『ゲヘナの生徒は授業を受けていないという噂は……本当だったのですね……』

「そ、そうなのか……?」

『エックスさんの目を通して他校の様子を見るというのも貴重な経験になるものですが……これは確かに、困惑の方が勝りますね』

「どうしたものか……」

 

 

 

 

「貴方、何してるの?」

 

 

 

 

声をかけられた。

これ幸いとばかりに振り向く。

あわよくば案内してもらえれば……そんな希望は、秒で打ち砕かれた。

 

「……っ!」

 

エックスが距離を取る。

ほぼ直感で、エックスは行動した。

 

この相手は、強過ぎる。

 

「……何」

 

目の前の少女はめんどうくさそうに呟く。

エックスはこの時初めて少女を見た。

 

長い白い髪。

華奢で小柄な体格に……大きなヘイロー。

そして、腕に巻かれた風紀委員の腕章。

 

「……すまない。敵意は無い……つもりだ」

 

エックスは直ぐ様両手を上げる。

その様子に、少女は怪訝な顔をする。

 

「言動がめちゃくちゃね」

「君が、強過ぎるからかな……」

「ふぅん……分かるんだ。『蒼き雷霆(アームドブルー)』さんは」

「知ってるのか……俺を」

「局所的に知名度のある変なヒト、だって」

「……あははは……間違ってなさそうだ」

「変なヒトなのは否定しないの?」

「……間違いなく、キヴォトスにおいて俺は異物(イレギュラー)だろうからな……。俺はエックス。君は?」

「私?私は……ゲヘナ学園風紀委員会3年の空崎ヒナ」

「よろしく、ヒナ」

「よろしく……それで、エックスさんは何の用があってゲヘナに?」

「万魔殿……パンデモニウムソサエティーに行きたいんだ」

「それは……どうして?」

 

ヒナは少し意外そうな顔をした。

 

「ゲヘナの生徒は基本的に興味は無いのに」

「謝りたい人がいるんだ」

「……何をしたの?」

「好意を、無碍にしてしまった」

「謝って、許してもらえると?」

「思っていないさ」

「じゃあ……どうして?」

「後悔を残したくないから。これから、どんな道に転ぼうと……自分のやってきたことに、後悔を残したくない」

「まるで……これから帰れなくなる戦いに赴くみたい」

「そのつもりは無いさ……ただ、もしかしたら帰れなくなるかも知れない」

 

エックスは拳を握る。

ヒナをじっと見据えて、言った。

 

「それに……喧嘩別れしたままなんて、良くないだろ?」

「……分かった。着いてきて」

 

ヒナが短くそう言うと、踵を返して校舎へと歩き出した。

 

「!ありがとう」

「はぁ……気分転換に外に出ただけなのに……まぁでも……めんどうではなさそう」

「?」

「なんでもない」

 

 

 

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