エックスは何となく外の空気に触れたくて、一度外に出た。
奴らが如何に血気盛んであろうと……流石にゲヘナ学園に手を出すことは無いだろう。
作戦会議は停滞してしまった。
各々やる気があるのは良いが、意見が纏まらないのだ。
イブキが眠たそうにしていたので、休憩を挟んで再開する運びとなった。
「……なんだか、久しぶりな気がするな……」
メンバーで解決策をあーだこーだと話し合う。
イレギュラーハンターでは中々やらない事だった。
一度エックスが前線を引いてシグナスと会議していた時のことを思い出す。
あの時は、自分もまだまだ青かったと思い知った。
「……ねぇ」
そんな中、声をかけられた。
視線をやると……白髪に黒のメッシュを入れた、少し派手な格好の少女が居た。
高めに結った髪の横から一対の角が生えている。
更に、耳にいくつかピアスが付けられている。
「俺に用かい?」
「……スカーレットを倒すの?」
「……何処でそれを?」
エックスは警戒する。
作戦が漏れた?
この少女の出方次第では手荒な真似をする羽目になる。
だが、少女の口から出たのは……意外な言葉だった。
「何処だって良いでしょ。それより……スカーレットを、止めて」
「止める……?」
「アイツは……昔、あんなんじゃなかった。私達がゲヘナ学園を離れる時も面倒を見てくれて……」
少女は、語りだす。
恐らく……過去、スカーレットに世話になったのだろう。
「スラムの皆も……アイツを慕ってたんだ」
「それが本当なら……何故」
「あの変なジジイのせいだ……!」
「……君、その話を詳しく教えてくれないか?」
「え、ああ……良いけど……あれは……便利屋の仕事でこっちに戻ってきた時のことなんだけど……」
曰く、スカーレットはフラスコ頭の奇妙な老人が従えた亀のような大きなシルエットに押さえ付けられ……耳に何か装置を取り付けられたらしい。
「それから少しして、スカーレットガ暴れ始めたんだ」
「なるほど……」
「私には信じられないんだ……スカーレットが、こんな事をするなんて」
「……恐らく、その装置で洗脳されているんだろう……奴は、レプリロイド技術に精通している……」
「見ず知らずの相手に言われても困ると思うんだけどさ……頼むよ、イレギュラーハンター」
「分かった」
「……え?」
「引き受けよう。必ずスカーレットを生かして……更生させるって」
「何も……きかないの?」
「困ってるんだろ?それで、俺を頼ったんだ。断る理由はないよ」
「……ありがとう」
「お礼は、全部終わってからにしてくれ」
少女は一礼すると、素早く身を翻しゲヘナ学園の敷地から出て行った。
この行動の早さを見るに……何かしらの理由でゲヘナ学園を離れざるを得ない理由があり……そして、ここでの行動に制限があること。
だが、エックスには関係なかった。
頼まれてしまったのだから。
ちらりと時計を確認し、エックスは執務室に戻った。
――――――――――
「それで……私たちに頼みって?」
エックス達は風紀委員会の部室に立ち寄っていた。
目当ては勿論、彼女達の助力を得るためだ。
「スカーレットアラートを検挙して欲しいんです」
イロハが風紀委員長……ヒナにそう告げた。
「無理」
「そこを何とか」
「無理なものは無理……大体、どうして私達を動かすよ?」
「端的に言うと事態の解決の為の手が足りないからです」
「……ふぅん?スカーレットアラートの動きを止めて……あの大きな亀を何とかする気ね」
ヒナの推測に、エックスはつい口を挟んだ。
「知っているのか?」
「あれだけ大きければね。それに……あれが現れてからスカーレットアラートはチンピラに成り下がった。疑わない理由が無いわ」
「それが分かっているなら……」
「理由が無いのよ」
「現に犯罪が起こっているのにか!?」
「
「なっ……」
エックスは絶句した。
検挙するに足らない……?
「ゲヘナでは軽犯罪なんて日常茶飯事なんですよ」
こっそりとイロハがエックスに耳打ちする。
「それらすべてに対応していたら風紀委員会では対応し切れません。勿論万魔殿も」
「そう……なのか……」
エックスは歯噛みした。
こんな事が許されて良いのだろうか。
「他校の生徒に手を出したとか無い限りは強制捜査なんて……」
「大変です!スカーレットアラートがトリニティの生徒を捕縛して輸送しているとの情報が……!」
「「「………………えっ!?」」」