【完結】デカグラマトンハンターX   作:塊ロック

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何で(仮)?

……先生が来るまでは正式に発足してないからです。


特異現象捜査部(仮)

 

「着いたよ」

 

建物に案内され、エレベーターでかなり上の方まで登った記憶がある。

割と長い道のりであったが、ひとまず終焉と見て良さそうだ。

 

……通された部屋は、いたるところにモニターやパソコンが設置されていた。

 

おおよそ生活感が無い……と言うか研究所と称した方が適切であるだろう。

 

「ここが……」

「特異現象捜査部です」

「……?」

 

割って入る第三者の声。

続いて、車輪が回る音、タイヤの付いた何かがこちらに近付いてくる音。

 

「初めまして……青の英雄さん」

「君は……」

 

安楽椅子のような車椅子に腰掛けた、白いシルエットの少女。

尖った耳、何処までも白い肌と髪。

そして……やはりこの子の頭にも輪は浮いていた。

なんとも儚げな印象の少女だ。

 

「私は……ヴェリタスの部長兼、特異現象捜査部(仮)の部長……ミレニアム最高の天才清楚系病弱美少女ハッカーの明星ヒマリと申します」

 

……前言撤回。

なんともまぁ自画自賛に満ちた自己紹介だった。

 

「えっと……明星さん?で良いのかな……青の英雄って言うのは一体」

「先日、アビドスの砂漠に駐留していたカイザーPMCの証言です」

 

ヒマリが手を振ると、モニターの一つが点灯、映像が流れ始めた。

 

『本当なんだ!俺達は見たこと無いでけーヘビに襲われたんだ!』

『けどそこに颯爽と現れた英雄がいたんだ!』

『青いヘルメットに腕のバスターが目印だ!頼む!探してくれ!』

『先日の戦闘以降流砂に巻き込まれて消息不明なんだ……頼む、コレを見てる奴らも手を貸してくれ』

『前代未聞です!あのカイザーPMCが揃ってとある人物を探しています!青いヘルメットに青いスーツのイレギュラーハンター、エックスさんをお見かけの方はカイザーPMCか……アビドス学園に一報をお願いします!』

 

ニュース番組の一部だった様だ。

 

「貴方が……イレギュラーハンター、エックスですね?」

「そう……だけど、ここまで大袈裟な」

「確かに、普通ならばあり得ない事です……ですが、貴方と相対した存在」

 

エイミがちらりとヒマリを一瞥した後……近くにあったリモコンを拾いボタンを連打した。

 

「エイミ、エアコンの温度を下げるのを辞めなさい。今大事な話を……エイミ?聞いてますかエイミ?今何回押しましたか?寒いのですが……エイミ??待ちなさい、室温が一桁ですよ???」

「えー、まだこの部屋暑い……」

「えぇ……」

 

なんとまあ急にゆるい雰囲気になってしまった。

 

「二人とも、そこまでにしなさい」

 

またしても新たな声が割って入ってきた。

 

「……リオ」

 

今度は黒のシルエットの大人びた少女がエックスの目の前までやってきた。

 

「ミレニアム学園生徒会長の調月リオ」

「……それは、どうも」

「単刀直入に言うわ、エックス。貴方のデータを渡しなさい」

「なんだって?」

 

思わず、エックスは聞き返した。

しかし、警戒は怠らずに。

自身に残されたエネルギーは少ない。

恐らくフルチャージバスターを撃つだけで機能停止まで起きるかもしれない。

 

……そして、目の前に居る調月リオも人間である。

エックスには撃つことは出来ない。

 

「もう一度言わせる気?貴方の頭の中のデータを渡せと言っているの」

 

何も変わらぬ様子で、リオはそう言い放つ。

隣に居たヒマリは、頭を抱えて深いため息を吐いた。

 

「……断る、と言ったら?」

「今すぐ機能停止させて解体するわ」

 

……エックスは、部屋の中に気配が増えている事に気付いた。

この場に居ない第三者が機を伺っている。

 

「……最初からこれが目的だったのか?」

「………………」

 

エアコンのリモコンを持っていたエイミを見る。

勝手に信じたのはエックスではあるが。

 

「違うよ」

「……えっ?」

「……エイミ?」

 

エックスとリオは同時に面食らったのか、二人してエイミの方を見てしまった。

 

「確かにエックス、貴方のデータは必要。でも欲しいのは戦闘経験」

「……それはどういう」

「ナイスですわエイミ。これ以上は無駄な争いに発展しますから。説明しましょう」

 

ぱちん、とヒマリは指を鳴らした。

わざわざ左手のグローブを外して。

 

すると、部屋の中のモニターが一斉にとある映像を映し出した。

……どれも、映像の画質が悪かったり、そもそも対象をしっかり収められていなかったりとろくに映りはしていないが。

 

「これは……」

「これが、この特異現象捜査部(仮)が発足することになった理由です」

「ヒマリ。いい加減その仮と言うのをやめてくれるかしら」

「何を言ってるのです。私はまだ部長をやるとは言っていません」

「じゃあ何故ここに居るのかしら」

「天才と言うのも暇を持て余すのです」

「たちが悪いわね」

「貴女の顔を立てるつもりで一応真似事をさせてもらっているのです。少しは感謝してほしいものですね」

「どうせ貴女に変わる人材は居ないのだから好きにさせるしか無いのだけれど……提示された報酬だけでは不満?」

「ええとても」

「はぁ……」

「それで、エックスさん。貴方はこの中の一体と交戦しましたね?」

「この中の……まさか」

 

数多のモニターが、別々の映像を映す。

それはモニターの数に物を言わせた新たな映像。

巨大なシルエットだ。

そして……蛇のような。

 

「アビドス砂漠の……!」

 

エックスをここまで流した張本人だ。

 

「はい。アビドスで度々目撃報告が上がっているのですが……明確な資料が一切ありません」

「……こいつは、一体なんなんだ」

「名はビナー……私達特異現象捜査部が追っているデカグラマトンの内の一体です」

「デカグラマトン……」

 

その名を聞いた途端、エックスの胸がざわつく。

 

エックスの中の勘が告げている。

これは、厄介な案件だと。

 

「エックスさん。デカグラマトンと言う脅威を解明するために……協力、していただけないでしょうか」

「協力、か」

 

要請されたとなれば受理はしたくなるものだが……。

 

「データを渡すと言うのは些か困るというか」

「……?何故です?」

 

ヒマリが小首をかしげる。

 

「俺のデータは、君たちで言うところの脳に当たる。脳を引っこ抜いて渡すなんて流石に出来ないだろう」

「あ……」

 

ヒマリの後ろで腕を組んで静かに聞いていたリオから声が漏れた。

 

「……知らなかったのなら、気にしなくて良い。とにかく、何かしらの手段で俺の記録をそちらに送らないといけない」

「そうですね……」

 

ガラガラとエイミが作業台を転がしてきた。

その上には大小様々な物体が並んでいる。

 

「これは?」

「外付けの記録端末。何か刺さったりしない?」

「うーん……」

 

見た所、端末に差したりして記憶領域の拡張に使ったりするものだろうが……。

 

「残念だけど、俺の規格に合いそうなものは無いかな……」

「え、このタイプCとか新しい方だと思うけど」

「……うーん、ちょっと入らないかな」

「ちなみに何かしら差すところってあるの?」

「ああ、取り敢えず首の後ろに」

「うわぁ、なにこれ」

「何と言われても」

「部長(仮)、これイチから作らないと多分駄目かも」

「まぁ……」

「……エンジニア部に投げるしか無さそうね」

「エイミ、彼をエンジニア部へ案内してあげてくださる?あと……分解しないように念を押して」

「なんだか不穏な単語が聞こえたんだけど……?!」

「はいはい行くよ」

「待ってくれ、心の準備が……!?えっ、俺が引っ張られる……なんて腕力だ……!?」

 

叫ぶのか驚くのかリアクションが忙しいエックスは、そのままエイミに引きずられて行った。

 

……残ったのは、ヒマリとリオだけ。

 

「……どういうつもり?」

「どう、とは?」

 

沈黙が続いた後、リオから口を開いた。

 

「アレはロボット。意志があるように見えても結局それは変わらない」

「そうでしょうか。私には顔立ちの整った素敵な殿方に見えましたけど」

「正気?」

「ええ。貴女よりは」

「「………………」」

 

売り言葉に買い言葉。

この二人の仲はそれほど良くないのかも知れない。

 

「協力を取り付ける必要など無いはずよ。命令されれば動く……ロボットはそういうものよ」

「彼は、一般の定義のロボットでは無いのかもしれません」

「……レプリロイド、ね」

「レプリカ、アンドロイド……どういった意味なのでしょうか」

「考えても無駄よ」

「名前が付けられているのであれば、その意味から存在にアプローチするのも面白いではありませんか」

「名前、ね……エックス……未知数。私は好きにはなれないわ」

 

話は終わりだ、と言わんばかりにリオは踵を返した。

 

「ロマンがあって良いと思いませんか?」

 

ヒマリは、誰も居ない部屋でひとり呟いた。

 

 




うわー!これ収集つけられるのか!?

感想あればよろしくお願いします!
作者の原動力になります!!
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