朝日が窓から射し込む。
エックスは、手にした本を閉じる。
「朝か……」
久しぶりの自室で迎えた朝。
トリニティの図書館で借りた本もあらかた読み終えたので、そろそろ返却に行かねばならない。
壁に貼られているキヴォトスの地図に視線をやる。
オメガの反応が検出された場所に貼られたシール。
残す場所は……。
「……アビドス、か」
ビナー。
この世界で初めて訪れた場所で出くわした相手。
再出現したらしいのだが……未だに続報が無い。
ノノミにも連絡を取ったが……既読が付かない。
(心配だな)
向こうは忙しいのだろう。
そう思うことにしてはいるものの……やはり心配である。
近々アビドスを訪れてみよう。
「ん?」
スマホを充電スタンドから外して手に取る。
セレナードが居ない。
【ヒマリの所に居ます】
一言だけメッセージが残っていた。
「了解」
さて、今日は何をしようか。
――――――――――
ひとまずD.U.のカイザーPMC本部で仕事の確認をする事にした。
エックス自信、仕事レプリロイドなので何もないというのが落ち着かないのだ。
「あっ!エックスさん!おはようございます!」
「やぁキリノ。精が出るね」
バイクで信号待ちをしている際、キリノが声をかけてきた。
D.U.を訪れると大抵顔を合わせている気がしている。
「今日はどちらまで?」
「カイザーPMCの本部さ」
「はい!お気を付けて!」
キリノに見送られ、ちょっと元気をもらった気分になる。
(今日は良いことがありそうだな)
――――――――――
「面談だ、エックス」
「……面談??」
理事長室。
相変わらず威圧感のある姿の理事長にそんなことを言われた。
「誰と……?」
「カイザーコーポレーションの幹部とだ」
「最近は誰かさんのせいで企業イメージが白くなってな」
「へぇ、企業努力の賜物じゃないか」
「ぬかせ」
「ははは」
「はぁ……貴様のせいでどんどんクリーンなPMCになっておるわ……。カイザー系列企業の中で明らかに浮き始めた。特に金融関係部署から結構なクレームが来ている」
「カイザーローンから?」
「仕事にならん、とな。元々金貸しの護衛等に使っていた訳だからそうもなる」
「これを期に舵を切ったらどうだ」
「プレジデントに言え」
「プレジデント……か。そいつがカイザーコーポレーションのトップか」
しかしかなり話が大きくなったものだ。
ついにトップと対面か。
「以上だ。期日は追って伝える」
「分かった」
「それと……百鬼夜行連合学院の駐屯兵は減給だ」
「俺の口座から補填分差し引いておいてくれ」
「……相変わらず貴様は他人に甘いな」