【完結】デカグラマトンハンターX   作:塊ロック

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ホシノ、動かし方がよくわからなくて良くない役を押し付けてしまっている気がする。


思い交わり

 

「何?エックスがアビドスへ向かったと?」

 

カイザーPMC、理事長室にて。

 

「は、はい。数時間前に近辺で目撃情報がありました」

「ふむ……アビドスの駐屯地が音信不通になってから2週間……情報収集に向かわせた斥候も戻って来なかった土地へ、奴が……」

「連れ戻しますか……?」

「いや……救援部隊を編成しろ」

「は……?理事長、今……なんと……?」

「補給物資と、衛生兵を編成しいつでも出れるようにしておけ。2度は言わん」

「ハッ!」

「それと、例のアレを奴に持っていけ」

「アレ……試作メカのアレを……?」

「エックスなら扱い切れるだろう。せっかくだ、データ取りもさせろ」

「畏まりました」

 

部下が慌ただしく理事長室から出ていく。

理事長はため息を吐いた。

 

「ヤキが回ったな……。費用はヤツ持ちにしてやるか……」

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 

 

「………………あれ、俺は」

 

ひどく頭痛がしている気がする。

自己診断をかけると様々なエラーがエックスを蝕んでいた。

 

「くっ……、うっ……俺は、今まで何を……」

 

なんとか身体を起こす。

関節からスパークが起きている。

衝撃だけでエックスの防御力を貫通している。

 

恐らく、太刀打ちするにはアルティメットアーマーで五分とれるかどうか。

 

「そ、うだ……確か……アビドス分校から追い出されて」

 

メモリーが軽く飛んでいる。

エラーチェックと並行で記憶を復旧させる。

 

「恐らく、彼女がノノミの言っていた先輩……」

 

一度電話口で警告されているのを思い出す。

あんな実力者だったとは。

 

「リコ、ヴィア……」

 

返ってくるのは、静寂だけだった。

 

「通信がイカれたか……?」

 

元々あの二人に繋がったのは、オメガにやられている最中の事だった。

ここまでの衝撃を受けて、エックスの状態は最悪にまで落とされたのかも知れない。

 

(特殊武器にエラーが起きている……全て使用不可……アーマーも……駄目だ、ほぼ使い物にならない)

 

エックスはここから、素の状態で誰の協力も得られないままアインヘルヤル八闘士とビナーに挑まなくてはならなくなってしまった。

 

「……だが、動ける……!」

 

エックスは立ち上がる。

目の前がチカチカするが、いつもの事だ。

 

「バスターは撃てる……なら、戦える……」

 

辺りはまだ明るい。

だが、時刻は気を失う前から5時間が経過していた。

つまるところ、夜なのだが……空に輝く人工太陽が一際存在感を放っていた。

 

「早く、何とかしなければ……」

 

ふらふらと歩き出す。

どこへ向かう。

 

どこへ行けば良い。

 

どうやって戦う。

 

一度休んだほうが。

 

この体では無理だ。

 

『アビドスは、私達がなんとかする』

 

「駄目だ!!」

 

エックスは吠える。

 

「俺は、俺が……!なんとか、しなければ……!」

 

悩んではいられない。

立ち止まっていられない。

 

この世界がゲームだなんて知ったことか。

 

ここで生きている人々を見捨てることは出来ない。

 

この世界で、共に過ごした人々を見捨てることは出来ない。

 

この世界の友を見捨てることは出来ない。

 

例え自分がこの世界にとってイレギュラーだとしても。

この世界を去ることが決まっていても。

 

この世界のイレギュラーを排除する。

 

「そう、約束したんだ……!」

 

デカグラマトンとの契約。

彼を、撃つ。

 

そのために、エックスは歩く。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

「ホシノ先輩。アヤネちゃんから聞きました」

「……なにを?」

「エックスさんを、追い出したそうですね」

 

対策委員会、部室。

 

ノノミは、ピンクの髪をした小柄な少女……小鳥遊ホシノに詰め寄っていた。

 

「ノノミちゃん。分かってるよね、理由」

「でも、」

「あいつは、おじさんたちと因縁のあるカイザーの一員。巷で有名になってて、色々いい話もあるけどそれだけは変わらない。頼っちゃいけない。仮にあいつから何も求められなくても……カイザーに借りを作っちゃう」

「………………」

 

エックスは間違いなく善意で手を差し伸べてくる。

見返りだって求めない。

 

だが、カイザーコーポレーションは?

これにかこつけてあれこれ条件を増やさないとも限らない。

エックスがどれほどカイザーコーポレーションに影響力があったとしても。

根本的に汚い大人の企業であることは変わりない。

 

ノノミが、ずっと目を逸らしてきた現実。

 

エックスが、カイザーコーポレーションにいるという、現実。

 

「くっ………………」

 

握っていた手が、痛む。

 

「ノノミちゃん」

「私だけでも、行きます」

「駄目だよ。帰ってこれないかもしれない」

「そんな場所に、あの人は来てくれたんですよ……!ひとりで!!」

「ノノミちゃん……」

「私は、助けに来てくれたともだちの手を払うなんて……絶対にいやです……!」

 

ともだち。

それでも、ノノミはエックスをともだちだと言う。

 

彼の善意は本物で。

想いも本物で。

 

あの時、狼のようなロボットに攫われた自分を追いかけてくれて。

 

あの日、身を挺して大蛇の突進を受け止めノノミを救ったときからずっと。

 

大事な、友達。

 

「対策委員会の皆も、アビドスも大事なんです……!でも、エックスさんも、大事なんです……!」

 

ホシノは、感情を顕にする後輩の訴えを黙って聞いていた。

そして、

 

「………………ごめんね」

「え?」

「ノノミちゃんがそんなに必死になるとは思わなかったよ。だから……今回だけ。ノノミちゃんの為に動こうか」

「ホシノ先輩……」

「おじさん、ずっと昼間でずっと明るくて……ずっと暑いの、嫌だしね」

 

いつもの、ぐでっとした言動に戻る。

いつの間にか流れていた涙が、床に落ちる。

 

「ありがとう、ございます……」

「でも、あいつが事態を解決する気が無かったりとかしたら……」

「あり得ません」

「即答かぁー……」

「あの人は何でも背負いがちなんです。今回だってホシノ先輩にやられたの、引きずっちゃってます。抱え込んでると思います」

「う、うへー……そんなに?」

「今頃自分が何とかしなきゃって無茶してます」

「………………い、急ごうか」

「超特急です。お願いします」

 

自身の愛銃を担ぎ、ノノミは駆け出した。

 

 

 




今更だけどエックスめちゃくちゃピンチな気がする。
あと過去イチ致命傷に近いのがホシノの蹴りとは……。
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