【完結】デカグラマトンハンターX   作:塊ロック

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ホシノが折れるのがちょっと早かっただろうか。


Departure

 

「ハァ……ハァ……うっ、く、ぐ……」

 

上半身が無くなったバリアントが力なく崩れ落ちる。

エックスは余裕無く肩を上下させていた。

 

「近付いている……のかな。感じる磁気が強くなってきた……」

 

とりあえず、まずは磁場を何とかするのが先決だと判断し……強い磁場を探し回っていた。

通信回線が開けばエイミ達とコンタクトが取れる。

そうすれば多少はマシになるだろう。

 

(ダッシュも出来る、ジャンプもできる、バスターは撃てる。いつもと同じだ……)

 

「……え?」

 

次の瞬間、エックスの体に何か違和感が生じる。

 

「なん……う、おっ……!?」

 

足元がおぼつかない。

身体が浮き上がる感覚。

違う。

 

(本当に身体が浮いて……!?)

 

何とか地面から飛び出ている鉄パイプを掴んで身体を支える。

ここまで強い磁場が出ているなんて。

 

(ステータスに異常は……異常だらけで何が原因か分からない……!)

 

深刻な障害までは発生していないものの、エックスの身体はガタガタである。

今、何が起きたのか判断がつかない。

 

「磁場で浮遊感……まさか、俺の身体に磁気が付与されて……っ!?」

 

何かの駆動音。

振り返ると……大型のメカニロイドが、エックスを今にも押し潰さんと迫っていた。

 

「なん……くっ……!」

 

カニ型のメカニロイドは両のハサミを振り上げ……バチバチと音を鳴らしてスパークを起こす。

 

「こいつ、磁力を操るのか……!」

 

メカニロイド……クラバンガーNSという名前だが……がハサミをエックスに向ける。

 

「う、わっ!?」

 

エックスの身体が一瞬でクラバンガーNSのハサミに吸い寄せられた。

 

「離せ……!」

 

バスターを向けて、チャージショットを放とうとする。

その瞬間、クラバンガーNSは磁極を切り替える。

 

「ぐぁっ……!?」

 

今度は磁力の反発で凄まじい勢いで吹き飛ばされる。

砂漠に埋もれたビルに突っ込み、コンクリートを破砕しながら転がった。

 

「く、そ……!」

 

良いように弄ばれている。

こんな図体のデカいだけのメカニロイドに。

 

「お前なんかと、遊んでいる暇は無い……!」

 

クラバンガーNSがハサミを向け……るよりも先にチャージショットで片方のハサミを吹き飛ばす。

 

「!?」

「遅いッ!」

 

もう片方のハサミをスパークさせながら振る。

が、エックスの方が先にクラバンガーNSの身体に取り付く。

 

「砕け散れぇッ!!」

 

至近距離からチャージショットとバスターの連打。

撃って撃って撃ちまくる。

 

クラバンガーNSの脳天をチャージショットが貫通し、巨大な図体が地に伏した。

 

「急がなければ……!」

 

足が痛む。

気にしていられない。

痛覚をカット。

まだ動ける。

歩みは止めない。

まだ、何も解決していないのだから。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

「……ここにも戦闘の痕跡、か」

 

ホシノが、破壊されたメカニロイドを見て呟く。

 

「ん。カニみたい」

「確かにねぇ……ノノミちゃん、どうしたの?」

「いえ……戦い方が、荒っぽいと言いますか」

「ノノミちゃんもそんなにあいつのこと知ってるわけじゃないんじゃない?」

 

ここまで見てきた戦闘の痕跡を思い出す。

エックスの戦闘スタイルは、様々な属性、用途の使い分けが出来る特殊武器を主軸に柔軟な戦法を好む。

 

だが、今まで見てきた残骸は強力で大きなエネルギー弾で抉られたような跡ばかりが残されている。

 

「攻撃手段が……一つしか使われていない?」

「え?あいつって腕の大砲でエネルギー弾撃って戦うんでしょ?こんな感じじゃないの?」

「いいえ……公表されてはいませんが、エックスさんは多彩な戦法で知られています……」

 

何となく、ノノミは一つの答えに行き着く。

 

「……本調子じゃ、ない?」

「の、ノノミちゃん……顔が怖いよ」

「……まさか、」

「ちょ、ちょっと待ってよ……!?おじさん一発蹴っただけだよ??!」

「どこをですか」

「………………頭」

「ホシノ先輩」

「………………ハイ」

 

ノノミはため息を吐いた。

エックスの身に無視できない重大な障害が発生しているとみて間違い無い。

 

(どうか……無事で)

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

「ここだ……最も磁場が強い場所」

 

エックスがたどり着いたのは……クレーターのような、何か巨大な質量を持った物が落ちたような、そんは場所。

 

「……何か、居る」

 

そのど真ん中。

何かが、埋まっている。

 

「………………」

 

エックスは、油断なくバスターを構えて近付いていく。

 

「ヴ、モッ……?」

「うわっ……!?」

 

何か、は鳴き声を上げながら……立ち上がった。

 

「デカい……!」

 

エックスの背をゆうに超え、ライドアーマーよりも巨大な体躯のレプリロイドが立ち上がった。

 

「ヴモー……ヴモー……あ?メシの時間……か?」

「お前は……!ミノ·マグナクスだな!」

「ンモォォォォォ!お前、あの、えっと……き、きた、なぁ……!エックスゥ゙……!!」

「あたりの磁場を止めろ!」

「邪魔は、さぜない……!!バイルざまの……えーっと……なんだっけ……ヴモー……」

「お前を、排除する!」

 

これ以上の問答は無意味と判断し、エックスはバスターを放つ。

 

マグナクスの持つ巨大な斧に弾かれ、虚空へ消える。

 

「モォォォォォォッ!!!」

「くっ……!」

 

斧がエックスの真上に振り下ろされる。

なんてパワーだ。

だが、

 

「そんなものに、当たるか!」

 

素早く背後に回り込み、チャージショットを撃ち込む。

 

「モ、モォォォッ!!」

「何……!?」

 

マグナクスがエックスに手のひらを向ける。

その瞬間、エックスの身体がマグナクスの手の中に収まった。

 

「しま……!?さっきの磁力がまだ身体に……ぐぅっ!?」

「獲ったどォォォォォ!!!」

「う、あぁぁぁぁぁっ!!」

 

握り締められる。

エックスの身体がミシミシと音を立てる。

 

耐えられない。

 

「が、あ、は、っ……」

 

痛覚は切ったはずなのに、痛む。

 

(俺、は……)

 

ホシノの顔が脳裏に浮かんだ。

 

(終われ、ない……のに……!)

 

彼女と、分かり会えなかったのは……心残りだ。

 

「……すま、ない……ノ……ノ……ミ……」

 

 

 

 

「駄目です。許しませんから………………絶対に!!!」

 

 

 

「……え?」

 

 

 

「ヴモッ!?」

 

 

マグナクスの後頭部に、大きな貨物用コンテナが激突する。

マグナクスはたまらず手を離し……エックスは、宙に投げ出された。

 

「うわっ……!?」

「エックスさん!」

 

誰かが、エックスを受け止めた。

 

……いや、誰かなんて分かってる。

 

「の、のみ……?」

 

霞む視界。

微かに映る、今にも泣き出しそうな微笑みを浮かべた少女。

 

「はい……ノノミです……エックスさん……」

 

エックスの伸ばした手を取り、ノノミは自分の頬に当てる。

 

「すまない……俺、は……」

「助けてもらったなら、まずはお礼からですよ?」

「……あり、が……とう……」

「はい。よく出来ました」

 

お姫様抱っこの体勢から、ノノミはエックスを地面に降ろす。

 

「ちょっと!ノノミ先輩!いちゃついてないで早くきてってば!」

「はい!今行きます!」

 

見れば、既に三人ほどマグナクスに立ち向かっていた。

その中のひとりは……先ほど、エックスを蹴り飛ばした少女……小鳥遊ホシノだった。

 

「ノノミ先輩、結構アグレッシブよね……!」

「ん。コンテナを蹴り飛ばした時はびっくりした」

「はいはい、おしゃべりはその辺で〜……本気で行かないと、怪我するよ」

 

アビスの対策委員会が、来ていた。

 

「ノノミ先輩、後は私が見ます」

「……よろしくお願いします、アヤネちゃん」

 

エックスの下へ、赤ぶちメガネの黒髪の少女が駆け寄ってくる。

 

「応急処置ですが、とりあえず動けるはずです」

「すまない……」

 

アヤネと呼ばれた少女が、エックスの腕や頭を見る。

 

「酷くボロボロですね……どうしてこんな……」

「俺が……やらないといけない事だからだ……」

「……頑固ですね。ノノミ先輩が心配する訳です」

「ノノミが……」

「ずっと、気にしてましたよ。貴方のことを」

 

エックスがノノミに視線を向けると、ノノミは手にしていたミニガンを掃射し始めた。

 

「お仕置きの、時間ですよ」

 

 

 




対策委員会、合流!
反撃開始だ!
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