「……本部との連絡が繋がりました!」
カイザーPMC、アビドス駐屯地。
この一言が聞こえた瞬間、兵士たちは狂喜乱舞した。
「やりやがった……!」
「隊長はどんだけ伝説作る気だよ!」
「救世主だ!」
「お前ら!!」
ドン、と机を叩き聞こえた怒声に一瞬で場が静まる。
「喜ぶ前に手を動かせ。こっから先ひとりも死人出すんじゃねぇぞ」
参謀役の男が、静かに告げる。
そして、隣に居た基地司令官が指示を出す。
「これより救援が来るまでの間死守せよ。ここで死ぬことは許さん。英雄が凱旋する場を整えよ」
「お前ら!聞いてのとおりだ!サイン色紙欲しかったら死ぬ気で帰ってこい!!」
――――――――――
『部長』
「ええ、復旧した様ですね」
特異現象捜査部にて。
ヒマリとエイミがやり取りしている。
『よ、良かったです……エックスさんとの通信が断絶した時は終わりかと……』
『全くだ。どれどれ……げえっ!?』
ヴィアが悲鳴を上げる。
「ど、どうされました……?」
『エックスの状態がヤバい!』
モニターに出されたエックスのステータス。
一瞬で目を通したヒマリも呻いた。
「絶体絶命……」
『おいエックス!何があった!起きろ!………………あ?!マジかよ!すぐに離れろ!』
――――――――――
「………………」
エックスは、燃え尽きてしまったマグナクスを横目でみる。
「お前は……仲間をなんだと」
絞り出した言葉は、震えていた。
「ハァ?仲間ァ?キャハハハハ!何言ってんの?アタシらはなっからバイルの捨て駒よ?仲間意識なんて無いって!」
「捨て駒だと……どう言う意味だ」
「……ウッザ。敵のアタシに何聞いてんのよ」
「答えろ!」
「チョーウザいんだけど!んなボロボロで凄んだってなんも怖くないって!」
ティターニャンの羽根からユニットが二つ分離し、炎の刃を回転させながら飛んできた。
「くっ……!」
「お、おろしてください!!?」
「すまない!」
アヤネを抱えたままのエックスはその場から飛び退り、アヤネを降ろした。
「通信は復旧しているようだな」
「え……?あ、はい!これで……」
手にした端末で何かを確認したらしいアヤネを置いて、エックスは前に出る。
「ソル·ティターニャン!お前の目的はなんだ!」
「知らなーい!アタシはただバイルが作ったあの人工太陽の管理を任されただけだし?」
「なら、お前を破壊すれば……」
「何?やろうっての?ウケる……そんなボロボロのアンタに勝ち目があると思ってんの??」
エックスは考える。
相手は炎を操る、集団戦にも強そうなタイプのレプリロイド。
加えて空を自在に飛び回る。
こちらは6人いるが、ひとりは後方支援タイプ。
ズタボロのエックスと、ホシノ、ノノミ、白髪の少女、セリカと呼ばれた少女。
実力は申し分ない……ホシノに関しては特A級イレギュラーハンターすらも凌駕する実力が感じられる。
だが……。
(俺が、足を引っ張る……)
エックスのダメージが相当積み重なっている。
酷な話になるが、他のメンバーが戦闘不能になっても退却し立て直しが可能だが……。
エックスが倒れてしまうとそこで終わりなのだ。
バイルに対抗するための手札は、エックスしか無い。
(どうする……!)
「退くよ」
「え……のわっ!?」
腹部に衝撃。
ホシノが、エックスの腹を抱えて肩に担いだ。
「何を……!」
「退却。今やり合うのは得策じゃない」
「逃げんの?ダッサ!」
「ふふ、なら捕まえてみますか?」
「は――――?」
挑発するティターニャンに、ノノミが不敵な笑みで挑発し返した。
「『ダサい』私達を捕まえられなかったら……本当に『ダサい』のは貴女の方になっちゃいますね?」
「この……生意気!」
『閃光弾投下!』
通信に割り込む声。
そして、ドローンが飛来し……何かを落とした。
「んなぁ……!?」
辺り一面が光に包まれる。
「退くよ〜!」
「う、わっ……!?」
ホシノに抱えられたまま、エックス達は戦闘を離脱するのだった。