【完結】デカグラマトンハンターX   作:塊ロック

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彼のいない戦場

 

「1小隊後退せよ!」

「2小隊前へ!」

「チョーウザいんだけど!何コイツら!」

 

同時刻。

カイザーPMCはソル·ティターニャンの足止めを敢行していた。

 

「ぐわぁぁぁっ!」

「退避!」

「ハァ?!また逃げんの!?」

 

ティターニャンが攻撃を加えると、すぐに蜘蛛の子を散らすかの如く逃げる。

そんなやり取りが2時間ほど続いていた。

 

「何なの!?ほんっとウザいんだけど!!」

 

……カイザーPMCアビドス駐屯地と、アビドス廃校対策委員会は今回に限り停戦協定を結んだ。

もちろん、アビドス駐屯地の独断である。

 

今行っている時間稼ぎは……対策委員会があるものを発見するためのもの。

 

「逃げんなーっ!!!」

 

ティターニャンは、まだ気が付かない。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

数時間前。

 

『この度はお集まりいただき……また、手を取ってくださりありがとうございます』

 

モニターに映るのは、ヒマリの姿。

そのモニターの前にはエイミとセレナード。

 

そして、対策委員会の面々とカイザーPMC指揮官の姿があった。

 

『今、エックスさんは動けません……私達が、戦わなくてはなりません』

「分かってるけど……何でカイザーと……」

「セリカちゃん……落ち着いて。分かってるでしょ」

「……ホシノ先輩」

 

そう言うホシノは、指先から血が滲むほど拳を固く握り締めている。

ノノミは、その小さな肩に手を添える。

 

「大丈夫ですよ……エックスさんは、必ず来ますから」

「ノノミちゃん……おじさん、そんな事一言も言ってないけど」

「そうですか?気にしすぎですよ」

『エイミ』

「説明するね」

 

エイミがスライドを動かすと、撮影された装置が拡大された。

 

「これは?」

『恐らく……人工太陽の制御装置です』

「なんだと……!?」

『この端末と……あのロボット、ソル·ティターニャンの2枚体制で人工太陽は管理されています。』

「2枚体制……」

『どちらか片方が機能不全になっても、運用自体は可能と言うことです』

「同時に撃破しなきゃならないってことね……」

『いいえ』

 

ヒマリがきっぱりと否定した。

流石にカイザーの傭兵たちはざわめく。

 

『まずティターニャンを足止めし、その間制御装置を奪取、もしくは破壊します』

「……ティターニャンの処理能力を半減させる狙いですね?」

『流石作戦参謀。理解が早いですね』

 

性能が半減すれば……エックスが居ない今でも、勝機はある。

元よりエックスを大破に追い詰めたホシノが居る以上、有効打は確かに存在する。

 

『役割を分担しましょう。カイザーの皆様でティターニャンの足止めを。エイミとセレナードが制御装置へ侵入、そしてその間の護衛を対策委員会の皆様にお願いします』

「え?私達でその、ソルなんとかと戦うんじゃないの?」

「……私達を温存し、弱体化が図れた時総攻撃で叩き潰す魂胆ですね?」

 

ノノミの言葉に、ヒマリは頷く。

 

『対策委員会の皆様の戦闘力はカイザーの皆様より高いと判断しての采配です。異論はありますか?』

 

沈黙。

それを肯定と受け取り、作戦開始の運びとなる。

 

「……所で」

 

ホシノが沈黙を破った。

 

「あんたたちは、どうして……エックスの為に私たちと共闘しようと思ったの?」

 

その問いに、カイザーの傭兵たちは押し黙る。

そんな中……基地司令官が口を開いた。

 

「憧れたからだ」

「……え?」

「私達は誰しも望んで兵士になっている訳では無い。悪名が響くこの組織の末端として常に後ろ指を指されてきた。だが……あの日。巨大な敵……デカグラマトンと対峙した時に、確かに見たのだ」

「見たって……なにを」

「敵に比べると小さな……だが、我々よりも遥かに大きく、力強い背中を。我々と同じ冷たい身体に、熱い魂を宿したあの姿を」

「………………」

 

カイザーの面々は黙って頷いていた。

 

「機械に宿る魂を見た。英雄の背中だ。彼は自らを犠牲にしてあの巨大な敵を退けた。我々は汚い傭兵だが……あの高潔な魂に憧れ涙した」

「俺達は!あの人がカイザー乗っ取るって言うなら迷わず着いてくぜ!」

「俺はアイツにバイクの鍵貸したんだぜ!そしたら俺たち皆助けてくれてよ……」

「俺たちに価値なんて無いと思ってた。でも……隊長は俺達を助けに来てくれたんだ……」

「あの人は俺達皆気にかけてくれた……!何処までも着いてくぜ!」

 

司令官が喋っているのに感極まった後ろの兵士たちが口々に声を上げる。

参謀に睨まれて黙った。

 

「……そういう訳だ」

「なるほどねぇ……まあ、うちにも似たような子がいるし。この子もそいつのことになると制御出来なくてね」

「………………」

 

ホシノに脇腹を肘でつつかれたノノミが、顔を赤くして俯いた。

 

「まぁ……そういうことならわかったよ。エックスの顔に免じて……一度だけ、共同戦線だよ」

 

 




お人好しに感化されまくった結果、クーデター予備軍になるアビドス駐屯兵。
エックスの明日はどっちだ。
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