「………………」
目の前に出されたラーメン。
エックスは、それを見て悩んでいた。
……店に入り、注文をしてみたものの……未だに自分が飲食できることに抵抗を持っていた。
「……ちょっと。早く食べなさいよ。伸びるわよ」
料理を運んできた店員……セリカが、急かしてくる。
「あ、ああ……すまない」
割り箸を割る。
箸の使い方は事前に調べたが……人生初の試みであった。
慎重に麺を摘む。
そして、そのまま口の中に入れ……。
「……!」
啜る。
今まで感じた事のない多幸感。
食感、味が全てエックスの感覚器官に作用する。
「これが……ラーメン……」
「アンタまさか食べたことないの……?」
「ああ……俺はこの方食事をしたことが無くてな……」
「いや真顔で嘘つかないでよ」
エックスは未知の感覚に舌鼓を打ち、あっという間に完食した。
「ハハハ、お客さん良い食べっぷりだ」
「ごちそうさま。美味しかったよ」
お代を支払い、店から出る。
あれから、悩みはしたものの……エックスは未知に対する好奇心に勝てなかった。
今まで味わった事のない感覚……食事を積極的に行った。
甘い物、辛い物、苦いもの、表現しづらいもの。
全て、未知の感覚だった。
「これが、食事か……」
「あれ、エックスさん……?アビドスにいらしてたんですか?」
ばったりと、ノノミと出くわした。
両手に買い物袋を抱えている。
「やあノノミ。ちょっとまだ用事があってね」
「そうなんですね……あら?どうして柴関から……」
「え?ああ……食事だよ」
「……え?………………えぇ!?エックスさんが!?」
ノノミが凄まじい形相で驚く。
ノノミにはエックスの事情を話しているので、さもありなんといった感じだ。
「ど、どうしてですか……?」
「まぁ……色々あったとしか」
「は、はぁ……?」
「ノノミは買い物帰りかい?」
「え、あ、はい」
「持つよ」
ノノミの手から買い物袋を受け取ろうとして、サッと避けられた。
彼女はそのまま歩き出す。
エックスはなんのけなしに隣を歩く。
「だ、大丈夫です……!」
「そうかい?なら良いんだけど」
「エックスさんに頼りっぱなしになる訳にもいきません」
「……そう、か?」
「……はい。今回は……いえ、今回も、助けてもらっちゃいました」
「助けるさ。何度だって」
「……ズルいです。どうしてそういう事をノータイムで言えるんですか?」
「友達だからな」
「………………」
ノノミから無言の抗議が来る。
何か言うことを間違えただろうかと思案するのだった。
「はぁ……いえ、アビドスを私達で再興すると息巻いていますけど……結局、エックスさんと……不本意ですがカイザーの皆さんの手を借りました」
あのあと、人工太陽が砂漠のど真ん中に落下。
解体が始まったが……。
エックスは自身の権限で人工太陽の中に眠る資源を全て対策委員会に譲渡した。
売却額は法外な利子を相当期間賄える額だろう。
エックスは、理事長から対策委員会がしている借金の仕様を聞き憤ったが……残念ながら手を出す事が出来なかった。
エックスはPMC部門で破格の待遇を受けている……が、その他の部門では全くそうではない。
なんなら金融部門からは口座の金が全く使われず増えていく一方で疎まれている。
「俺は……いつも一歩、足りないんだ」
「え……?」
「今回だって、俺がカイザーにいたから話が拗れてしまった……もっと上手くいく方法はあったはずだ」
あの時、カイザーと手を切っていたら……ホシノは話を聞いてくれたのだろうか。
「そんな事……ありません!」
「ノノミ?」
ノノミが立ち止まる。
「確かに、エックスさんがカイザーに所属しているのは……おかしいです。でも……エックスさんがカイザーに居なかったら……私は、こうして貴方と知り合えなかったと思います」
「そうかな……?」
「……きっと、そうです。あのパーティの日、エックスさんは来てくれました」
「……そうか」
エックスは空を見上げる。
先日の酷暑程ではない、暑い快晴。
何処までも広がる、不思議なヘイローが浮かぶ青い空。
「ノノミ」
「は、はい……?!」
「ありがとう」
「……え?」
「信じてくれる友だちが居てくれるから、俺は戦える」
「……あはは、なんですか、それ」
信じる友のため。
ゼロ、アクセル。
二人と駆け抜けたあの日々。
この世界に来てから、また迷って、また悩んでばかりだった。
だけど。
この世界にも、エックスを信じてくれる友がいる。
こんなに心強いことはない。
「俺のこの力は、破壊するためのものじゃない……友と、友の信じるものを守るための力だ」
「そうですか……じゃあ」
ノノミがエックスの前に立って、笑顔で振り向いた。
「助けてってお願いしたら、エックスさんは来てくれますか?」
それに、エックスは笑顔で返した。
「勿論」
――――――――――
『出番が少ない気がします』
「まぁまぁ……ここで出たらあまりにも空気が読めて居ませんよ」
『そうですそうです……!ああ……エックスさんが甘酸っぱい青春を送っています……』
「良いですね良いですね……見ててキュッとしますよこういうのは……」
「……なんなの、アレ」
「部長の数あるダメなところの一つ。出歯亀」
「はぁ……デカグラマトンの反応がなくなったとは言え……本体は捕捉できていないのでしょう?こんな事やってる場合かしら」
「リオ、いいことを教えて差し上げましょう。ロボットでも休息は必要なのです」
「ロボット、ね……。貴女はそう思っていないようだけど」
「……そうですね。いつの間にか、エックスさんはロボットと言うより私はエックスという個人と認識しています」
「……珍しいわね。貴女が私の言うことを肯定するなんて」
「ふふふ、何故でしょうね。これも……未知数の影響かもしれません」
「……非合理的よ」
元々言及していた5箇所のロケーションが終了。
残り3体のアインヘルヤル八闘士を出せる場所を決めて、預言者と共に出すって感じですかね。
ヒロインと過ごす日常を書くか、次の現場に向かわせるか……どうしたものか。