タイトル以上でもタイトル以下でもない。ただこう言う話が見たかったってだけ。ないから書いた、誰か書いて。
一応世界観的にはヒューマンバグ大学みたいな感じだと勝手に思ってます。
殺し屋。
現代でもその名を耳にすることは多々あるかもしれないが、それは大抵がフィクションの産物で、本物の殺し屋が現実の世界に存在しているなどと、誰が信じようか。
特に日本という世界一の治安を誇る国の人間にとっては、漫画やアニメの題材にされるくらいの印象しかないのが本当のところではないだろうか。
日本の場合、警察による殺人事件の検挙率は90%を優に越えている。
殺人に対する抑止効果が如何に絶大なものなのか、殺し屋なんてものの存在がフィクションとして扱われる由縁を表す数字だろう。
ちなみに今の話には何の意味もない。だってそもそも俺がいるの今ロシアだし。
殺し屋は存在するし、殺し屋の所属する暗殺組織は存在する。
なんで分かるかって?そりゃお前―――
「兄ちゃんら今日で人生終いだ、精一杯生きたか?」
「撃て!撃てぇ!」
「はいはいご要望通り熱々の9mmパラベラム弾をどうぞ」
「ギッ!?」
「兄ちゃんらの大好きな鉛玉だ」
「し、死ねぇー!!!」
「そういう情熱的な言葉は、せめて美少女になってから言ってくれ。」
―――俺が殺し屋だからに決まってんだろ?
護衛と目標を殺しきったので、遅くなったが自己紹介でもしようか。暇だし。
俺の名前は朧。…一応本名は別にあるので、名前と言うより組織内でのコードネームみたいな扱いだが。
暗殺組織『CLOVER』に所属してる殺し屋だ。
立ち位置は……実働幹部?まぁよく分からんが、一応組織内の現役最強は俺だ。同世代に負けた事はねぇ。
…なんで最強の頭文字に"現役"が着くかって?……立場上は現役引退してるうちのボスがクソ強いから。
まあ、それは置いといて。
俺が所属してる『CLOVER』の構成員達は、その殆どが元孤児やスラム出身だ。
全員って訳じゃないが、八割か九割は元孤児だな。
かく言う俺も、物心着いた時には捨てられててな、そこをボス――当時は幹部だったな――に拾われ、殺しに関する教育を数年叩き込まれた後、実際に殺しを経験してから正式に『CLOVER』に所属することになった。
構成員の大半が元孤児やスラム出身である理由は、大きくわけて3つ程ある。
1、戸籍などの情報が無い為、裏社会では色々と便利。パスポートの偽造とかも楽。
2、幼少期から殺し等の教育を受けさせる事が出来る為、優秀な殺し屋を作りやすい。
3、洗脳教い……ゲフンゲフン、環境から愛情などに飢えている奴らが多い為、そこにつけ込ん……ゲッフンゲフン、愛情を与えている事で、構成員の忠誠心が高くなりやすい(特にボスへの)。
そんな訳で、構成員の殆どは孤児やスラム育ちなんだそうだ。この前ボスが言ってた。
ついでに説明しとくが『CLOVER』は世界的な暗殺組織で、この手の組織では世界最大規模と言っていいレベルだ。
アジア、北米、中南米、欧州、中東、果てはアフリカまで、世界中に支部が存在する。
構成員数も世界中の支部の最末端まで総合すると数万を超える。
その中で特筆すべきなのは、本部のある日本、市場のでかい北米、欧州、ロシア、実地研修地になりやすい中東、そして人身売買が盛んなアジア圏とアフリカの支部で、他の国と比べても優秀な構成員が多いだろう。
……人身売買は金になるからね(小声)
ちなみに俺は本部所属ではあるんだが、優秀過ぎるからか、他の支部への応援や指導を任される事もあり、あっちこっちによく出張してる。今はロシア支部だ。
そんな経緯で居たロシア支部なのだが、先程の任務で支部への出張は終了だ。
この後の予定が終わり次第、飛行機で日本にある本部に帰る手筈だ。ボスがそろそろ帰ってこいって言うんでな。
という訳で、さっさとこの後の予定を消化して日本に帰るとする。
……この後の予定?
ロシアのスラム街観光だ。
ー
という訳でロシア、そのスラム街に来てみた。
本当にただ来てみただけだ。見るものなんか何もないからな。死体はゴロゴロ転がってるけど。
それも任務で腐るほど見るからなー。
暫く歩いていると、視界の端に銀色の何かが映り込む。
気になって視線を向けると、そこにはボロ布に身を包む銀髪の少女がいた。
歳はまだ十歳かそこらと言ったところだろうか?
少女の容姿はかなり整っており、将来的にいい面になるであろう事は容易に想像できる。
ただ、問題はそのガキが随分と痩せこけている事だ。
まぁここはスラム街だ、栄養失調のガキなんて、それこそ掃いて捨てるほどいる。
……解せないのはスラム街のガキにしては面が整いすぎてる事だ。
(大方、良いとこの嬢さんだったが、親の事業が失敗でもしたんだろ。で、スラムに流れ着いたと。……ま、よくあるストーリーだ。テンプレ過ぎて興味もねぇ。)
そう思いその場を立ち去ろうとするが、不意に後ろから声をかけられた。
「ねぇ……お兄さん……」
「あぁん?」
面倒臭いと思いながらも振り返ると、目の前にナイフが突き出された。
先程の銀髪少女である。
「……あらあらお転婆ねぇ…で?何か用?」
「…お金、結構持っていますよね?頂けますか?」
「…どうしてそう思った?」
ナイフを向けて金を要求する少女に対して、俺はそう問うた。
「……まず着ている服の材質が一般人のそれとは比べ物にならないほど質がよく、加えて防刃防弾性共に高い、この時点で相当金額が掛かっているはずですし、手や首の筋肉量から推察できる全身の筋肉量は凄まじく、栄養状態もかなり良好だと考えられます。更には歩き方が素人ではなくプロ特有の重心移動の仕方をしている所を見ると、恐らく軍人か傭兵、もしくは殺し屋などの類だと推測しました。
そして、その類でこんなスラム街に、好んで足を踏み入れるのは、裏稼業の人間である可能性が高く、裏稼業の人間なら相当金を溜め込んでいるはず……と。」
「…へぇ…いい"目"してんじゃん。」
俺は目の前の少女の目を見て素直にそう思った。
スラムのガキとは思えない観察眼と推察力、それに加えて精神力。
俺の言葉を聞き、少女は自分の推理が当たっていたと確信したのか、「やはり……」と言いながら口角を上げる。
「確かに俺は割と持ってる、だが嬢ちゃんに払う義理はねぇな。」
「そうですか……では仕方ありませんね。殺して奪う事にします。」
そう言いつつ、少女は手に持っていたナイフを逆手持ちにし、腰を低くして構える。
餓鬼の我流にしてはいい構えだ、完全に殺す気で構えてやがる。
「俺を殺すってか?餓鬼の癖にいい度胸じゃねえか。」
「私も生きる為に必死なんですよ、悪く思わないでくださいね。」
「安心しろ、悪いと思う必要はないさ。どんな世界でもこの世は常に弱肉強食、強ければ生き弱ければ死ぬ、それだけだ。」
「なら貴方を殺して私は生き延びさせて貰います!」
そう言って少女は突っ込んできた。
その速度は年齢を考えると、異常なレベルで速いと言えるだろう。
だが……
「ん〜、ぺんぺん草の方がまだ手強い」
俺はそう呟き、一瞬で距離を詰めてきた少の首を掴み、そのまま持ち上げる。
カランッ…と少女の手から虚しくナイフが落ち、少女の体は宙に浮く。
「ガッ……!……クッ……ソ……ッ!!」
苦しそうな表情を浮かべるも、まだ諦めていない様子だ。
どうにか手を外そうと力を込め、同時に鳩尾を狙って蹴りを出そうとしてくる。
陸に打ち上げられた魚みたいで可愛いね。
「……嬢ちゃん、素晴らしい提案をしよう。俺の犬になれ。」
そんな少女に、俺は素晴らしい提案をした。
「な……にを……!」
「いや〜丁度欲しいと思ってたんだ。俺の直属の部下は人手不足でな、犬の手でもいいから借りたいと思ってたんだわ。」
俺は提案を続ける中で、少女の首から手を離す。そっちの方が話しやすいからな。
「ゴホッ!ゲホゴホッ!!」
「嬢ちゃんは見込みがある。どうだ?犬になる気はあるか?」
「私は人間……ッ……誰が……!」
少女は俺の提案を拒否、更には蹴りを放ってきたが……俺はその足を片手で掴み取り、そのまま少女を壁へと投げつける。
ドゴッ!!という音と共に壁にぶつかった少女は、声を上げて咳き込む。
そして壁からズルズルと地面にへたり込み、息も絶え絶えの状態でこちらを見る。
そんな少女に、逆らえない事を教える為に拳銃をこめかみにゴリッと押し付けた。
「……拒否権、最初から、ないじゃないですか……もう、そのまま殺して下さい…どうせ私なんか、生きる価値もないですから……」
少女は諦めの表情で俯き、そう呟いた。
「価値ならある、俺の犬としてな。」
「……だけど、それもどうせ、使い捨ての、駒に過ぎないんでしょう?」
「いいや違う、お前は特別な犬になる。」
尚も拒み続ける少女に、俺はそう言いつつ―――
「………え…」
――抱き締めた。
「……は?え……な、何を……!」
突然の事に動揺を隠せない少女。
だが俺はそれにお構いなく続ける。
「分かるぞ……常に命を狙われる緊張感、今日食うにも困る毎日、明日を生きるのも精一杯な日々……それがお前の日常だ。そんな状況で、人の言葉なんか信じる訳が無い。」
「貴方に、何が…!」
『何がわかる』そう聞きたかったんだろうが、その言葉は口から出てくる事はなかった。
俺がその言葉を遮ったからだ。
「俺もお前と同じだ、同じ境遇を生きてきた。
だが、俺はその時に、今いる組織のボスに拾われた。返しきれねぇ恩だ。……まぁ、そんな訳で俺は人生が一変した。
それを、お前にもくれてやる。生きる価値がねぇと思うなら俺が価値を与えてやる。生きる意味がねぇと思うなら俺が意味をくれてやる。だからな……」
俺はそこで一度言葉を区切り、再度口を開く。
「さっさと立て!!縋り付け!!生き残る確率が1%でも高い方に!!死にたくないのなら今この瞬間から死ぬ気で俺に尽くせ!!」
そう言って俺は銃をしまい、少女の手を掴んで立ち上がらせる。
そして顔をグッと寄せて目を合わせると、少女は目を見開いていた。
「"生きるために人の命を奪うのは、悪か?"」
「そんなわけっ……ない……!」
「"弱肉強食のこの世界で、お前は食われるだけのネズミで居たいか?"」
「嫌だ…!そんなの、死んでも嫌…!」
俺がそう問うと、少女は俺の目を見てはっきりと答えた。
そんな少女に俺は再度言う。
「なら選べ!ここでゴミのように塵芥と化すまで腐肉を貪るネズミとして過ごすか、それともそんなネズミ共を踏み潰し、世界に蔓延る死肉に群がるハイエナ共を食い散らす猟犬として生きるか!!」
「私……は……!蹴散らされるネズミになるくらいなら、私は猟犬になる!貴方に従事し、世界の全てを貪り尽くす猟犬にッ!!!」
俺の言葉に、少女は迷い無くそう答えた。
「……いい答えじゃねぇか。お前、名前は?」
「…да my road、僭越ながら私に新たな名を頂けませんでしょうか。
過去と決別し、主様の忠実なる僕として、主様から我が名を頂きたいのです。」
「わかった、お前の名前は……
「……拝命致しました。我が身は主様の猟犬として、身の全てを差し出します」
そう言って少女は俺に跪く。
その目からは強い意志と、確かな覚悟が見て取れた。
「よし、そうと決まればまずは…………今日のホテル探しだな。良いとこ泊まろう。取り敢えずリーザを風呂に入れないといけないし」
…くぅ〜……
「………腹も減ってるみたいだしな。」
「……ッ〜!!!……も、申し訳ありません。」
リーザは顔を真っ赤にして俯く。
「いいんだよ、今のお前はとにかく食え、食うのが仕事だ。」
「しかし……それでは主様の側仕えとして……」
「じゃあ命令な。
お前の初めての任務は風呂に入って汚れを落とすこと、そして飯を食う事だ。」
「……っ、拝命致しました。」
リーザは恥ずかしそうにしつつも、その命令を了承する。
そうして俺は拾った少女を連れて歩き始めたのだった。
これから先、裏社会に名を轟かせる殺し屋を、この手で何人も育てる事になる事を、この時の俺は知る由も無かった。
「主様。私…これから先、色んなものを食べてみたいです。」
「そうか…まぁ、俺以外の命令で死ぬなよ」
「…無論です。この命尽きるまで主様にお仕え致します。……そして、この命を散らす時は……主様の為に。」
次回があれば次回以降はここのスペースは用語解説とか、どうでもいい小話とか載せる予定。
『CLOVER』……まぁ、まんまヒューマンバグ大学のCODE-ELとかがでかくなった感じ。現在のトップは叩き上げで上り詰めた。
どーでもいい小話―――この後リーザはボルシチとかビーフストロガノフとか、いっぱい食べた。
あと朧は急な予定変更をボスにちょっと怒られた。
リーザは成長――
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する(クーデレロシア美女)
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しない(合法ロリ)