強くなるにはどうすれば良いかって?
…そりゃあ死ぬ気で頑張る以外になんかあんのか?
訓練でへばる様な奴が実戦で通用する訳ねぇだろ?
「遅い!リロード時間、弾を打ち切る速度、構える速度、全て遅い!てめぇはエスカルゴか!?」
「…がっっは…!…申し訳、ありません。教官」
幼女に教官と呼ばれた人物は、叱責の声と共に、幼女に蹴りを叩き込む。
幼女は地面を転がり、蹴られた腹を抑えつつも立ち上がった。
「もう一度、お願いします…!」
「当たり前だ。」
そう言って彼女の教官は再度構える。
幼女はその動きを目で追いつつ、教官の放った蹴りに合わせて背後に飛び退り回避する。
だがそこに待っていたのは、もう片方の手に握られていた銃がこちらを向いていた。
(…ッ!間に合わな)
幼女が死を覚悟したその刹那――発砲音が鳴り響き、幼女の額を撃ち抜く。
撃ち抜かれた幼女の頭から脳髄の赤い花火が飛び散る――
ことは無く、額には痛そうな痣があるだけだった。
「ッ〜!!い、痛ぁ……!!」
幼女は額を抑えながら膝を折り蹲る。相当痛いらしい。
彼女に命中したのは、実弾ではなく訓練用の弾だが、それでも当たれば痛いし辺りどころによっては普通に怪我もする。
「早く立て、実弾なら手足に掠っただけでもその程度の痛みじゃすまねえよ。」
「…は、はい……」
そう言われ幼女が立ち上がろうとした時……
パンッと、乾いた破裂音が響く。
「……今の反応速度は良かったぞ、エリザヴェータ。」
そう言った教官の手に握られた銃口からは煙が出ており、幼女――エリザヴェータはブワッと背中に冷や汗が垂れる感覚を覚えた。
(っ、今の、まさかとは思いますが……)
「…おおっと、うっかり実弾も入っちまってるみたいだ、後で整備班に文句言わねぇとなぁ」
「あ……は、ははは……」
(……そこまでやります?いや、そりゃあ実践的かも知れませんけど…)
リーザが乾いた笑い声を上げながら、冷や汗をダラダラ流していると、再び銃声が鳴り響くと共に、教官が一瞬にして間合いを詰める。
「っ!」
「同じところに1秒以上立つな、死ぬぞ。それからテメェの手にある銃とナイフは飾りか?さっきから手が動いてねぇぞ」
すんでのところでの放った銃弾を回避したリーザだが、教官から苦言を呈する様に言われ、リーザは気を引き締めるようにして銃を構え直す。
「…申し訳ありません…っ!」
「謝ってる暇があるなら手を動かせ。頭を働かせろ。常に思考を止めるな。」
「……ッはい!!」
ー
「はいじゃあ時間なんで終わり、"先輩"にはよろしく言っといてな」
「ぜェ……はー……ありがとう、ございました。」
あれから1時間ほどして、教官は、仰向けになりながら肩で息をしているリーザにそう告げると、駆け足で去っていく。
なんせ
ちなみに彼女の言う"先輩"とは、朧の事である。
「……教官が自分と同じ女なのかどうかを疑いそうになる…身長も高いし、体格もすごいし、何より訓練中の言葉遣いはほぼ男ですし。」
リーザは訓練場のベンチに腰を掛けながらそんな独り言を零す。
リーザの近接戦闘を担当する教官――"水無月"は身長178cm、体重70kgと、並の男より恵まれた肉体を持つ女性である。
その身長と、訓練中の言葉遣いから、男と言われても納得してしまうだろう。
しかし彼女はれっきとした女性であり、『CLOVER』の女性構成員としてはトップクラスの実力者だ。
まぁ、近接戦闘において体格が良いというのはそれだけで相当なアドバンテージになる。
その上女性特有の身体のしなやかさや体幹の良さ等も併せ持った彼女は、男所帯であるこの組織においては非常に貴重な戦力であると言えるだろう。
「わりぃエリザヴェータ!この後先輩と一緒にお前飯に連れてく予定だったの忘れてたわ!」
そんな思考に没頭する中、声が聞こえてリーザが顔を上げると、そこには水無月の姿が。
「あ……教官」
「……な、なぁエリザヴェータ、その『教官』っての、どうにかならねぇか?確かに好きによべとは言ったけどよ……なんだか気恥ずかしくていけねぇや……」
「申し訳ありません。如何せん他の呼び方という物が分からないものでして……では何とお呼びすれば?」
リーザが水無月と向き合いながらそう問う。
実際、一人前と認められた構成員はコードネームを与えられる為、基本的にはその呼び名で統一される事が多い。
まあ例外として、個人的な関係や付き合いが有る場合は、本名や愛称で呼ぶこともあるが…(リーザが朧の事を主様と呼んだり、水無月が朧のことを先輩と呼んんだり。等)
「そーだな…………な、なぁ、エリザヴェータ。」
「はい、何でしょうか教官。」
水無月はリーザに向き合いながら、何やら周りを確認しながらそう呼ぶ。
「その……よ、呼び方がねぇなら
さ……"姉さん"って、呼んでくれねぇか…?も、勿論2人きりの時だけで良いからよ。」
「……?」
突然の事に、リーザは思考が追いつかずにキョトンとする。
「いや、その……な?…俺は生まれて直ぐに捨てられてよ、家族ってもんを知らねぇんだよ。……その上、組織に拾われてからもこんなガサツな性格は直らねぇし、女のくせしてこんなガタイのせいでお前みたいな訓練生の子供からは恐がられるしで……その、なんだ……お前は俺を怖がらねぇだろ?
だからよ、お前みたいな妹がいたら良いな…と思っちまって……そんな柄じゃねぇのは分かってんだけどな。」
そう言って、水無月は恥ずかしそうに目を逸らしながら頬をかく。
「…あぁいや、何言ってんだ俺、忘れてくれ。今のはやっぱりなし……」
「……分かりました。水無月
「………っっっ!!!」
リーザがそう呼ぶと、水無月はバッと顔を上げ、リーザを勢い良く抱きしめた。
だが、考えてみて欲しい。身長180センチ弱、体重70キロの、空挺レンジャー並に鍛えられた筋肉を持つ女性が、身長130センチ程の11歳の幼女を全力で抱きしめている図である。
「ぐぇ……つ、潰れ……っ」
リーザが苦しそうな声を漏らす。水無月の筋肉は伊達ではない、その腕力で抱きしめられれば当然苦しいだろう。
なんならそのままお陀仏してもおかしくは無い。今まで何十もの人間をその絞め技で屠って来たのだから。
「っっ〜!!あ"りがどゔエリザヴェータ……お"前、な"ん"ていい子なん"だよぉぉぉぉ……姉さんが絶対守るからなぁぁぁぁ!!」
そんな水無月の感極まった様子の言葉に、リーザは若干顔を青くしながらも答える。
「ギブです姉さん、本気で死゛ぬ"ぅ……!!」
その後なんとか水無月を引き剥がしたリーザは、彼女に手を引かれて食事へ連れていかれるのだった。
男勝りなお姉さんが幼女に姉呼びさせる展開……良くない?
いや、良い!(断言)
リーザは成長――
-
する(クーデレロシア美女)
-
しない(合法ロリ)