殺し屋してます。幼女拾いました。   作:湯タンポ

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天ぷら――美味い。

寿司―――超美味い。


つまり………日本食最高!



ロシア幼女、日本食を堪能する。

「…なんか君ら随分仲良くなってない?」

 

 

「あ、主様。お疲れ様でごさいます。」

 

 

「おう」

 

 

食事処のテーブルで水無月とリーザが話していると、そんな声と共に朧がやってくる。

 

 

訓練を終えた2人が任務を終え帰還した朧と合流したのだ。

 

 

「い、いやぁ、それはエリザヴェータの覚えがいいもんでこっちも熱くなったつーかいや別にそれ以外の感情とかないですからね先輩!!コイツはちゃんと育ててるんで!」

 

 

「お、おう、いや別に責めてるわけじゃなくてな…」

 

 

朧の問いに何やら焦った様子で答える水無月。

 

 

そんな水無月の姿に困惑しつつも、席へと着いた朧は適当に注文を済ませ、未だ早口で捲し立てている水無月に新たな話題をふる。

 

 

「で、水無月。お前にリーザの教育を頼んでから1ヶ月だが……実際どんなもんだ?注文通りあと2ヶ月で実戦投入出来そうか?」

 

 

「あ、はい……まぁそうっすね、正直どの規模かにもよるっすけど……さっき言ったように覚えはいいですし筋もいいです。それにこの一ヶ月で戦闘に関する基礎中の基礎はある程度叩き込めたんで…はい、先輩の最初の命令通りあと2ヶ月もあればある程度の実戦投入も可能になるかと。」

 

 

水無月は、リーザの方に目を向けながらそう答えた。

 

 

「そうか……お前やっぱり自分で向いてないって言う割に、教官としても結構優秀だよな 。」

 

 

「いやそれほどでもねぇっすよ、あはは……」

 

 

朧が水無月を褒めると、彼女はなんだか気恥ずかしそうにしながら目を逸らし、顔の火照りを覚ます為か先程ピッチャーで運ばれてきたお茶をコップに注いで口に含んだ。

 

 

 

「で?"姉さん"呼びは人前ではさせないようにしてんのか?」

 

 

「ぶふぉあっ!ゲホッ、ゴホッ……な、なな何で先輩がそれを知ってんですか!? たった数時間前の話なのに!」

 

 

朧がそう水無月に言うと、彼女は飲んでいたお茶を吹き出し噎せながらも問う。

 

 

「そりゃリーザに盗聴器付けてるからに決まってんだろ」

 

 

「……?私に、ですか?」

 

 

すると横から朧の言葉に疑問を持ったリーザが問うてくる。

 

 

「あぁ、殺し屋組織が、入ったばかりの新人に何も監視を付けないわけがねぇだろ?」

 

 

「……たしかに、組織のリスク管理として至極当然ですね。」

 

 

そんな朧の言葉に納得したリーザは、どこか複雑そうな顔を浮かべる。

 

 

(……当然、理解していますが……しかし、それは主様にとって私はまだ信用に足る存在にはなり得ていないという証明になってしまう訳ですね……少し、心苦しいです。)

 

 

彼女からすると『お前はまだ信用出来ない』と公言された様なものだ、無理もないだろう。

 

 

(無論、この身は全て主様の為に捧げると誓いました。ですから、道具扱いされるのも水無月姉さんの扱きも苦ではありませんし……なんなら前者は嬉しいまでありますが…だからこそ、主様に信用されていないというのは、少々"効き"ますね……。)

 

 

無意識に、スプーンを握る手に力がこもる。

 

 

だがそれもすぐにほどけ、彼女は思考を切り替えるように目を瞑り小さく息を吐―――

 

 

(……違和感。)

 

 

リーザは、その違和感に気付き目を開ける。

 

 

(私に監視を付けるというのは当然のリスク管理、しかし……)

 

 

リーザは朧にそれとなく視線を向けながら思考を続ける。

 

 

(それならば、何故盗聴器を付ける程度で私への監視を済ませているのでしょうか。確実を期すならば、破壊されたり外されたりするかもしれない盗聴器等よりも、水無月姉さんに私を監視させる方が確実性が高いのでは無いでしょうか。

 

ですが、実際には水無月姉さんが私と顔を合わせるのは一日のうち一、二時間程度ですし、代わりの人間が私を監視している様子もありません……。まぁこの組織にとって私程度なんて大した脅威になり得ないでしょうし、私の考えすぎと言う可能性が一番高いですが……)

 

 

リーザは思考を続ける。

 

 

(もし、私の考えすぎでないのならば……それはつまり、主様は私に監視など付けずとも信用出来ると踏んだか、もしくは水無月姉さんや私を含めて誰も信用―――)

 

 

「リーザ」

 

 

「……っ!あ、はい?なんでしょうか」

 

 

「いやずっと眉間にシワ寄せて料理も口にしてねぇからどうしたもんかと。」

 

 

「い、いえなんでもないです主様!」

 

 

朧の言葉で思考を現実に戻すリーザは、急いでスプーンを口へと運び、食事を再開する。

 

 

(あ、すっごい美味しい)

 

 

思考しながらも味は感じ取っていたらしく、リーザの心の中は考察と美味しさで満場一致していた。

 

 

「主様、この料理は何と呼ぶのですか?すごく美味しいです。」

 

 

そんな思考の切り替えが早い彼女が食事に気を取られながら朧に問うと、水無月が笑いながらそれに答える。

 

 

「はは、そりゃ良かったなエリザヴェータ!それは天麩羅だ。」

 

 

「テンプラ……世に言うЯпония(日本)の伝統料理ですね。テンプラは様々な素材を活用すると聞きますが、このサクサクとしつつも中はトロりとしたクリーミーな食感は、一体どのような素材を……」

 

 

「あ、あぁいや……それはその……ま、まぁ、知らなくても美味いならいいんじゃねぇか!?ね、先輩!」

 

 

リーザが料理について考察していると、水無月が何故か慌てた様子で朧に話をふる。

 

 

「なにそんな慌ててんだよ、ただの鱈の白子の天ぷらじゃねぇか。」

 

 

「シラコ…?」

 

 

リーザは朧の発した聞き覚えの無い単語を聞き返す。

 

 

「あぁ、白子ってのは魚の精巣のことだ。」

 

 

「魚の精巣……ですか。…やはり日本の方の食に対する情熱は凄いですね、食材を余すこと無く、ここまで美味しく仕上げるだなんて……」

 

 

「……気にする所そこなのかよエリザヴェータ…」

 

 

リーザはそう呟きながら、料理を口に運び続ける。

 

その顔は、普段の無表情から少し崩れ、僅かに綻んでいるように見えた。

 

 

 

(……写真撮っていいかな…いや流石にそれはヤバい奴だし……でも姉としては妹の可愛い姿は残しておきたいし……)

 

 

一丁前に姉貴面している水無月が謎の葛藤をしていると、朧の携帯が振動し、メッセージの受信を知らせる。

 

 

「っと………あー悪い、任務入ったから俺行くわ、2人ともゆっくりしていけよ。」

 

 

「いえいえ!先輩が忙しいのは承知で呼びましたんで、気にしないで下さい!

 

……また海外案件ですか?最近多いですね。」

 

 

「あぁ、今回は中国の支部に一、二ヶ月程らしい。本場の麻婆豆腐でも食いまくるわ」

 

 

朧が水無月の問いかけに苦笑しながら答え、立ち上がって店から出ていった。

 

 

「……あ〜ぁ……先輩行っちゃったな……」

 

 

「……そうですね。」

 

 

2人きりになったテーブルで、水無月がそう呟くと、リーザもどこか寂しそうにそれに同意する。

 

 

(やべっ……なんか先輩が帰ったこの状況で2人っきりの空間気まずいんだけど……)

 

 

「そ、そういやエリザヴェータ!お前って今何歳なんだ?なんだかんだ聞いてなかった気がしてよ。」

 

 

「……?私は11歳です。」

 

 

「11……まあ、この組織の新米ならそんなもん……か?」

 

 

※『CLOVER』の平均加入年齢は9歳。異常に若いね!

 

 

 

「…にしてもエリザヴェータ、11の女って割にはお前結構ちっこい―――」

 

 

「ちっこくありません!」

 

 

水無月がリーザに年齢の話題をふると、彼女はそれはもう勢いよく食い気味でそれを否定した。

 

 

「えっいやその」

 

 

「良いですか姉さん!!」

 

 

「あっハイ」

 

 

リーザは椅子から立ち上がり、水無月に詰め寄りながら言葉を続けた。

 

 

「確かに私の身長は132cmですが、ヨーロッパ圏の子供は発育が遅い傾向があるというデータが世間では浸透しています。それに加え、私は主様に拾われるまでの直近2年ほどはスラム街でその日暮らしをしていたのであまり栄養状態は良くありませんでしたし、その間あまり伸びなかったというのは自然と言えましょう。そして何より、姉さんは女性の割に身長が高すぎる為に私が小さく見えているだけなのです!!!」

 

 

いつものクールな幼女は何処へやら、リーザは水無月に息継ぎなしに捲し立てる。

 

 

「お、おう、悪かったよ……」

 

 

そんな彼女の圧に押され、若干引き気味になっている水無月であった。

 

 

(……ま、まあまだ11歳だし、全然これから伸びるだろ。知らんけど)

 

 

そんな風に思いながらも、水無月はリーザの怒りを鎮めるようにあたふたしながら頭を撫でる。

 

 

「そ、その……悪かった」

 

 

「……っ!いえ、こちらこそつい頭に血が上ってしまい……」

 

 

そんな水無月の謝罪を受けたリーザも、冷静さを取り戻したのかすぐに頭を下げる。

 

 

そんな彼女の様子に小さく笑った水無月は席に座り直し、テーブルのグラスを傾け喉を潤した。

 

 

リーザも両手で持ったコップに口を付け、水をちびちびと飲むが、よく見れば彼女の耳は真っ赤である。

 

 

どうやら今更ながらに水無月へ自分のアホな姿を晒してしまったことに恥ずかしくなったらしい。

 

 

(ん〜可愛い過ぎか?大人びてると思ったが年相応な所もあって……うん、イイ。実に可愛い。)

 

水無月がそんな微笑ましい彼女を見てニヤニヤしていると、リーザはそんな彼女に視線を向けた。

 

 

「……姉さん」

 

 

「ん?どした」

 

 

水無月はなんの気もなしに返しつつも、彼女の次なる言葉を待つ。

 

 

「その……私、一人っ子だったので、

 

姉さんと呼んで慕える人間が出来て、正直嬉しかったんです。だから……これからもそう呼んでよろしいですか?」

 

 

「っ……」

 

 

そんなどこか不安げな様子のリーザに、水無月は一瞬言葉に詰まるが――

 

 

(あ〜俺みたいな奴が姉でそんな風に思ってくれるのか……やべ、泣きそう。つか泣いていい?そのまま天に召されそうだぜ……いや俺の場合は地獄だけど)

 

 

 

―――心の中で滂沱の涙を流しながら、精一杯の笑みを浮かべて言葉を返す。

 

 

「ああ、勿論だ!お前はもう俺の妹だよ、血が繋がってなかろうが、誰がなんと言おうがな!」

 

 

「っ…はい、ありがとうございます」

 

 

リーザは、その返答を聞き、嬉しそうに口角を上げて笑う。

 

 

それは普段の彼女のポーカーフェイスからすると少し不自然なくらいに、純粋で輝かしい笑顔だった。

 

 

(うっわマジか……お前そんな可愛い顔出来たのかよぉ!我が生涯に一遍の悔い無し!!いややっぱ悔いしか――っ!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「伏せろエリザヴェータ」

 

 

「…!?はいっ!」

 

 

突如水無月が倒したテーブルに潜り、リーザもそれに倣いテーブルの背後へ身を隠すと、2人の頭上を何かが高速で通過した。

 

 

 

 

 

 







唐突!Q&Aー


現状リーザと水無月ってどれくらい戦闘力離れてるん?

ロシア幼女「小学生とイノシシくらいです。」


例え分かりずらー。じゃあ朧とはどんくらい?

ロシア幼女「乳児とヒグマレベルです。」


朧のこと好きなん?

ロシア幼女「主様のことは当然敬愛しておりますし私の生きる理由の全てであり私の価値観の全てですこの身程度では何億回差し出したところで到底釣り合うわけもありませんがそれでも私はあの方に褒めていただけるように少しでも利用価値を高めなければいけな―――


長いので閉廷です。

リーザは成長――

  • する(クーデレロシア美女)
  • しない(合法ロリ)
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