しかも、今回はいつもより短い上に全然話が進んでません。駄目だこりゃ。
まあ、今回も楽しんでいってくれるとうれしいなぁ......(草加スマイル)
後藤明が診療所から脱走したのは、決闘があってから数時間後の事であった。
模擬戦の後、医者の気にしていないの一言で医者の物を盗った事は不問となり、治療を受けていた後藤明であったが、上白沢慧音が彼の荷物を取りに一度帰宅した時に隙を見て逃げ出したのだ。慧音も、流石に一度捕まったのだからそうすぐに逃げ出すとは思わなかったのだ。
一体何が彼をそうかりたてるのか、慧音には全く分からなかったが、とにかく彼を探さなければならなかった。
当然、彼を一人にしておけば何をしでかすか分からないのもあったが、いくら彼が強くてもそれは人間の中ではの話。そこらにいる妖怪にすら負けるのかもしれないのだ。慧音は急がなければならなかった。
だが、彼女一人で探すにはあまりにもこの幻想郷は広すぎた。だからこそ人里の人間に協力を求めたが、よそ者で厄介者の後藤明を積極的に探そうとする人間はそうおらず、非常に少人数で探す事になった。
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鬱蒼と木がしげる森の中........魔法の森を抜けて、三途の川に通じる再思の道を通り抜けた場所に、ここ無縁塚はある。
無縁塚自体は小さな森に囲まれ、その中で開けた場所だ。両手に抱えられる程度の石が申し分無い程度に転がっていたのは、墓石のつもりなんだろう。
転がったままなのを放っておくのは問題があるので、流石に直したが........ここの環境はいつ来てもあまりよろしく無い。まぁ、ここが凄く危険なのも原因なんだろう。
この無縁塚では文字通り、無縁の人間の埋葬場所だ。だが、この狭い幻想郷では無縁の人間なんてまずいない。結果的にここに埋葬されるのは、ここに迷い込んだ外の世界の人間という事になる。
外の世界の人間が多く埋葬されている為、ここでは”外”と”幻想郷”との結界が曖昧になっている。なので、ここには外の世界の物が多く流れ着いている。
更に、ここが墓地であるのも関係してか、”冥界”とも繋がりやすく、妖怪にとっても人間にとって最も非常に危険な場所だ。
そして、後藤君が診療所から居なくなってから早数時間。自体は一刻を争う。早く見つけないと......
医者殿の話だと、彼はこの無縁塚の事を含めて幻想郷の地理に関して詳しく聞いていたらしい。
人間不信な彼の事だ。これは私達を惑わす為の罠かもしれないが、彼の居場所が分からない以上、しらみつぶしに探さないといけない。だがらこそ、彼が聞いていた幻想郷の地理で一番危険な無縁塚から探す事にした。もし彼がここに来たなら、とっくの昔にここに着いているだろう。
こんなすぐにまた逃げないだろうと思って私が甘かった....クソッ!
無縁塚の周りの小さな森を回っているが、未だに後藤君の姿は見えないが、焚き火をしていると思われる煙をついさっき見た。彼なら良いんだが....
土を踏みつける音が静かな森に響き、ここの不気味な印象をより一層深めている。そのうち生い茂る木が妖怪や何かにすら見えてくる。
この森を歩いていると、所々に外の世界の物だと思われる物が落ちている。箱状で光沢を持った白い物や、小さな刃物(包丁では無いだろう。)に、その他利用用途が分からない物が沢山落ちている。外からの人から見れば宝の山に見えるのかもしれないが、いかんせん使い方の分からない私にはガラクタの山にしか見えない。
暫く歩いて辺りを見渡すが、森が開けている以外は...ん?森が開けてる?
慌てて走りだし、森の開けている所へ向かう。だんだん近ずいていくと、何かが串刺しになって燃やされている焚火に、近くに座る青年.......後藤君が見えてきた。ふう....無事で良かった。
だが、安心したのもつかの間、こちらに気がついたのか彼は立ち上がり近くに置いていた木と金属で形作られた棒状の物......即ち猟銃をこちらに向ける。ってまてまてまて‼︎
「いきなり何をするんだ‼︎」
「ああ、上白沢か.....まあいい。」
言葉のわりには猟銃を下ろそうともしない。一体なんだって言うんだ‼︎
「良くないぞ!まずはその猟銃を下ろすんだ!早く!」
「........言っただろ。お前の事が信用ならない。」
「し...信用ならないって....」
一体何をどうしたらお前は私の事を信用するんだ....
「というか失せろ。邪魔だ。」
「いいや、駄目だ。私と一緒に帰るぞ。医者殿にも里の人達にも迷惑かけて....帰ったら謝るんだぞ。」
そうだ、私は彼を連れ戻す為に来たんだ。今は彼の信用を得るよりも、彼と一緒に人里に戻る方が重要だ。
わざわざ協力してくれた医者殿や皆も今頃里で彼を探しているんだろう.......私のワガママに付き合わせてしまったな。帰ったら私も謝らないと....
「.....いずれは戻る。」
「駄目だ!ただでさえ危険な人里の外で、ここは特に危険なんだ。こんな所でお前を一人に出来ない。」
「........まあいい、あんな危険な所に戻るのはごめんだが、お前と戦っても勝てないだろうしな........まぁ、目的の物は手に入った。」
彼はようやく猟銃を下ろし、地面に座り込む。彼のそばにはパンパンに膨らんだ背負い袋が置いている。一体何が入っているのだろうか....
というか、猟銃は使わないのか........それで脅すなりなんなりこの男ならやりそうなんだが.........案外まともな人間なのかもしれない。
「....何馬鹿みたいな顔をしているんだ。」
「へ?い...いや、やけに素直だなぁと思ってな....」
「なんだ、別にバレた訳では無かったのか....意味が無い事をしてしまった。」
「ん?一体何がバレたって言うんだ?」
「猟銃に弾が無いから、騙して追っ払おうと....」
「やけに素直だったのはそういうことか........」
彼は相変わらずの無表情で焚き火のそばに寄る。私もつられてそちらの方に目を向ける........って、え?なんでトカゲが焼かれているんだ?....彼は魔法使いなのか?
「しかし....せっかく捕まえたのに勿体無いな........食うか?....ま、食わんだろうな。」
その言葉に続き、ごく自然な動作で串刺しにされたトカゲを口に運ぼうとする後藤君....って、へぇ⁉︎
「や...やめないか‼︎」
非常に自然な形での動きで動いた為か、一瞬流されかけたが、思わず後藤君の手を叩いてしまった。串刺しになったトカゲが地面に落ち、彼がこちらの方に顔を向ける。
「何をする。」
「な、何をするって‼︎そんな物食べたら駄目だろ⁉︎」
「何を食べようが俺の自由だ。」
「そんな物食べたらお腹を壊すだろ!!」
「ちゃんと食べれる奴だ。それにこんな物食べた程度で腹は壊さない。問題無い。」
「だ、だからと言ってこんな物食べなくても........家に戻れば何か作るぞ。」
「駄目だ、腹が減って仕方が無い。」
「じゃ....じゃあ、人里で何か食べるとか?」
「あそこの連中はお前よりも信用ならない。」
「信用ならないって....少し被害妄想が過ぎるんじゃ無いのか?だいたい彼らが何するって言うんだ。」
「目の前で人間が切りつけられて、叫び声どころか、平然としている連中なんだ。その上、ヤバい薬が出回ってるらしいじゃ無いか。何を混ぜ込まれているか分からない。」
「あれは皆、お前達2人を恐れていたからで....それに別にみんながみんなそういう訳じゃない。良い人だっている。」
「お前みたいにか?」
「別にそうは言わないが.....」
「だが、心の中では思っているんだろう?自分は善人だとな。だがな、それならお前は何故俺ばかりに構うんだ?人里には俺以上に不味い奴だっているはずだ....お前がそんな連中に構わないのは、そんな連中と関わっても注目を浴びないからさ。お前は俺をどうにかしたいんじゃなくて、今目立っている俺を何とかして目立ちたいだけなんだろ?」
「別にそんな事思っているわけじゃ....というかお前以上に問題のある奴なんてそうそう居てたまるか!」
「どうだかな。」
多少強引なやり方で話を打ち切り、そばに置いてあった背負い袋を背負い、焚き火に砂をかけて消す後藤君........彼とまともに話すには一体私はどうすればいい?
もう一つあったトカゲを口に運ぼうとした後藤君の動きを止め、彼に空を飛んで帰る旨を伝え、腕を引っ張って空を飛ぼうとしたが、手を振り払われてしまった。
「今度はどうした....」
「俺は歩いて帰る。」
「駄目だ!今から人里に歩いて帰ったりなんかしたら、暗くなってしまう。」
「別に俺は子供じゃ無いんだぞ........」
「そういう意味では無い。暗くなったら妖怪が出やすくなるんだ。ほら、私に掴って。」
「嫌だ。お前に空へ浮かされたら地面に落とされるかもしれない。」
「........分かった。私も一緒に歩いて帰ろう。」
余程強い妖怪が来ない限りは取り敢えずこれで問題無いだろう。例えば風見幽香のような妖怪でも来ない限りは....まあ大丈夫だろう。
........しかし、ここまで来ると本当に彼は精神的に何か病気にかかっているのかもしれない。私にその手の知識は無いが、あまりに酷いなら医者殿に相談するのも仕方がない。
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後藤明が問題を起こしてから二ヶ月程たった。この二ヶ月間、上白沢慧音は後藤明の事をなんとかしようと試みてはいるが、後藤明は相変わらず心を開こうとはしない。
この二ヶ月間、慧音は後藤明という問題が多量にある人物に対して、何か問題を起こさないかと心配して目を離さずに警戒していたのも、後藤明が上白沢慧音に対して警戒し続ける要因となっているのだろう。
だが、今の人里では後藤明以上の問題が起こっていたのだ。
最近人里では人間が襲われ、犯罪者の為の留置所の前に謎のメモと共に放置されている事件が多発していた。
襲われた人間は総じて瀕死とは言わずともかなりの重傷を負わされていたのだ。
文字どうりボロ雑巾さながらに痛みつけられた人間や、爪を剥がされた上に指と手足の骨を折られた人間、体の生皮の一部を剥がれた人間もいた....これ以外に単純に痛めつけられたような怪我が大多数であった。まだ死人が出ていないのが奇跡のような物だ。
無論、人里の診療所の財政が一時的に潤ったのは言うまでもない。
襲われた人間にも統一性が無く、悪い噂の絶えない人間であったり、周りからは全くの普通と思われている人間であったり、里で働く普通の女性であったり、鍛えられた大工であったり。全くバラバラであった。
襲われた人間の目撃情報から分かったその人物は薄汚れた茶色いソフト帽とトレンチコートに白い覆面を被り、首から胸元までを白いマフラーで隠した”顔の無い男”だった。
問題が起こった時期が時期だった為か、初めは後藤明がまたもや槍玉に上がったが、この二ヶ月間、後藤明は前回の失敗を踏まえた慧音が目を離していなかった事もあってすぐに”顔の無い男”の候補から外れた。(そもそも後藤明にはそれをやる理由が無いと判断された。)
唯一の手がかりのメモにも『.┓┏.』とあるだけで見た人間には全く意味が分からなかった。更に襲われた人間にも何かやましい事があるのか、誰にやられたのか以外は何も言おうとしない。
結局”顔の無い男”の正体は妖怪なのか、人間なのかすらも分からず、自警団も周りの人間に気をつける様に声をかける事や夜に巡回する事しか出来ず、人里は不安に包まれる事になった....
..........だが、この”顔の無い男”の登場によって悪くなっていた人里の治安が、少しずつ良い方向に向かっていっていたのもまた事実であった。
少なくとも彼は犯罪者に対してもその暴力を振るっている。犯罪者の敵であるのだ。
仲間をやられたヤクザ紛いが報復しようとし、歯を全て力技で引き抜かれて瀕死の状態で発見されれば、誰だって警戒するだろう。
だが、治安が良くなったからといって犯罪が無くなった訳では無い。ただ、目立たない様に変わっただけである。
そんな問題が起こりつつ人里で、慧音と後藤明は歩いていた。
この二ヶ月で後藤明は怪我を完治させ、幻想郷の生活にだいぶ慣れ、余裕が出てきた。少なくともよく昼寝をしたり、慧音から借りた本を読むくらいには......まぁ、慣れたからといって居候の筈の後藤明が積極的に家事を手伝ったりする訳では無かったのだが。
そんな彼女達にはそれぞれ目的があった。
慧音が自らの終わった仕事を稗田家へと持って行く為である。それだけなら慧音だけでも十分なのだが、後藤明から目を離す訳にもいかず、一緒に連れて来た訳である。
後藤明としても、稗田家にある『幻想郷縁起』を閲覧する。という目的があった為、渋らずに素直について来たという訳である。彼は未だに妖怪の事に関して全く知らない。よって、『幻想郷縁起』を使い妖怪の事を知ろうとしたのである。
そうして、慧音は仕事を稗田家に届け、後藤明も多少は妖怪の事を知る事ができ。後は慧音宅へと戻るだけである。
後藤明は自分が当初と違って、人里はかなり明るくなった。と思った。当たり前だ。
少しづつとはいえ、今の人里は”顔の無い男”のおかげで治安がいい方向へと向かっている。人々の様子は普通よりは明るくなり、笑顔も増えていた。
もとより騒がしい事が大嫌いな後藤明はその様子にかなりの不快感を覚えたが、横を歩く慧音はこの人里の様子を喜んでいた。別に特別陰鬱な雰囲気だった訳では無いが、平和を愛する彼女にとってはとても喜ばしい事であった。対極な二人である。
だが、慧音も手放しで喜んでいた訳では無い。問題の”顔の無い男”のおかげで治安自体は良くなっているものの、彼のやっている事は非常に危険だ。いつ死人が出てくるかは分からない。その上、どんな基準で襲われているかすらも分からない以上、彼は人里の人間に恐れられているし、軽蔑もされている。
かくいう慧音も”顔の無い男”を非常に危険視していた。非常にバイオレンスなやり口、無差別に襲われている様に見える被害者、そして時折残される謎のメッセージ。
慧音自身も自警団の一員として後藤明を連れて見回りをしてはいるものの、未だに尻尾すら掴めていない。
「お前も気をつけるんだぞ?私もずっとお前につきっきりという訳にはいかないしな。」
「気をつけてどうにかなるなら、皆気をつけている。」
「お前なぁ....」
慧音の警告に対して相変わらずの調子で返す後藤明。そんな態度にも最早慣れ始めた慧音は呆れた調子で返す。
「なんのつもりだかは知らないが、面倒臭い事をする奴もいるもんだ。俺に罪をなすりつけようとしやがって.....」
「まあまあ、そうかっかするな。疑いが晴れたから良かったじゃ無いか!」
「独り言だよ。」
「....ああそうか。」
それにお前にかっかするなとは言われたくない。と心の中でつぶやく後藤明。だがそんな事を言えば面倒くさくなるのは目に見えているので黙っておいた。
道行く多くの人間は慧音の事を見つけると挨拶をするものの、後藤明には目もくれない。慧音が居なければ近づきもせず、遠くからヒソヒソ悪口を話して終わりだっただろう。
そして、後藤明はそもそも隣にいる慧音にすらも目を向けようとしない。
慧音はその状況をなんとかしようとしてはいるものの、そもそも仲良くする気の無い後藤明と後藤明に対して悪い印象しか持って無い周りの人間では難しい話であった。今の慧音と後藤明との関係は、慧音の方から仲良くしようとしているからこそ成立しているのであって、どちらにも仲良くする気が無ければ何も起こらない。彼女にはどうにもならないのであった。
だが、上白沢慧音はまだ諦めていなかった。もちろん、特に彼を変えれる根拠があった訳では無い。しかし、彼女は諦めなかった。自ら彼をなんとかすると言った事に対する責任感もあるが、彼女がお人好しであるからでもあった....いや、単純に彼女の意地かもしれないが。
そんな時であった‼︎
「あ!慧音ちゃんだ!」
「あそぼー!」
「あっ!?お前達!」
慧音の耳に聞き覚えのある舌足らずな幼い男女の子供達の声が聞こえた。
彼女が前を向くと道の向こうから五人の子供もグループが固まってこっちの方へと走って来た。勿論全員彼女とは顔見知りで友達である。
子供らしい愛らしい走り方でこちらまで来た子供達は慧音と後藤明の周りを囲んだ。
「慧音ちゃん、そこのおじさんだれ?」
「慧音ちゃんの友達?」
「い...いや、こいつは.....」
子供達の純真な質問にしどろもろする慧音。
当たり前だ、彼女の隣には目の前の子供達に対してどう考えても友好的では無い男がいるのだ。後藤明の事をどう説明すればいいか彼女は迷っていたのだ。
取り敢えず彼女は姿勢を下げ、子供達に目線を合わせる。
「えーと、こいつはだなぁ.....」
彼女が後藤明の説明をしようとしたが、その前に後藤明は自らしゃがみ、子供達に目線を合わせた。顔は相変わらず無表情であったが。
「あっ!おい‼︎」と、子供の言葉にまた怒ったのかと慌てて後藤明を止めようとする慧音。だが、そんな彼女の予想に反して後藤明は子供達と話を始める。
「俺はまだ21だ。おじさんではない。」
子供達の目をしっかりと見据えているが、相変わらずのぶっきらぼうな返しである。たが、彼には怒りの様子ま無ければ子供に対して暴力を振おうとしてはいない。
慧音の『まだ21歳って.....顔が老け過ぎじゃ無いか?』という思考を知らない後藤明はそのまま子供との会話を続ける。
「じゃあなんて呼べばいいの?」
「名前なんてどうだっていいだろ。」
「じゃあ、おじちゃんって言えば良いの?」
「....後藤明だ。」
「それじゃあ明ちゃん‼︎」
「......女みたいな呼ばれ方だな。」
騒がしく落ち着きが無い子供達とかなり静かでテンションの低い後藤明とではかなり対極的であった。
子供特有の全く距離感の無い態度で明ちゃん‼︎明ちゃん‼︎と、子供達は繰り返す。
その様子に慧音はいつ後藤明が怒り始めないかとヒヤヒヤしながらも、後藤明の方を見守る。
だが、未だに後藤明は眉一つ動かさない。慧音には彼が怒っているようにも見えたが、平然としているようにも見えた。つまり、どちらなのかよく分からなかった。
だが、子供達が遊ぼうと言っているのも放って置くわけにはいかなかった。
慧音は子供達とこのまま遊ぼうと考えた。しかし、後藤明と子供達をこのまま一緒にし続けて何か問題でも起こるかもしれないのだ。
自分が見ているとは言え、子供達に付きっ切りになるのは難しい。この子達には悪いが、今日は遊ぶのは断ろう。そう結論づけた慧音は子供達に謝罪の言葉を口にすべく口を開く。
「ごめんな。今日はちょっと遊べないんだ....また今度遊ぼうな...」
「なんで駄目なのー?」
「今度っていつだよー」
子供特有の舌足らずで妙に間延びした声の調子で慧音の服を引っ張る子供達。その様子を見ると慧音には罪悪感が湧いてきたが、子供達の為にもここは心を鬼にしなければならない。
「...今日はちょっと用事があって駄目なんだ。」
「いいじゃんかー」
「遊ぼうよー!」
子供達は我儘な態度で慧音に言葉を掛ける。普段の彼女ならそこで厳しく物を言うのだろうが、今回は子供達に対して嘘をついた形になる為、慧音はあまり強く出れなかった。
まあ、自分に悪意を持って接している人間が直ぐ近くに居る事をとしばのいかない子供達に教えるというのもあまり良くない影響を与えるかもしれない。
「....別に良いだろ上白沢。遊んでやれよ。」
そんな中、後藤明の口から洩れたのは意外過ぎる言葉であった。
「俺の事はいい。別に後でも出来る。」
慧音はこの言葉を聞いて、衝撃を受けた。
当然、慧音が嘘をついている事を後藤明は知らない。だが、慧音は後藤明が子供が嫌いだと思い、この嘘をついたのだ。後藤明が自分の嘘に合わせると思い。
だが、実際は後藤明は慧音の嘘には合わせなかった。しかし、彼女の嘘をばらさずに....捉えようによっては慧音と子供達の事を思いやったように思える発言であった.....まあ、実際は違うのだろうが。
「えー!?いいのー!?」
「ほらー明ちゃんだって言ってるよー!友達なんでしょー?」
だが、どんな事情があれ、後藤明の言葉を聞いた子供達はもう止まらない。余計に慧音の服を引っ張る結果になった。
何故後藤明がこんな事を言ったのか慧音には分からなかったが、とりあえず慧音は後藤明が子供達を気にしていないと判断し、彼に合わせる事にした。
「.....そうか、お前がいいならいいな....よし‼︎じゃあ、お前達!一緒に遊ぼうな!」
明るい笑顔を見せて、子供達に向かう慧音。それを腕を組みつつ冷めた目で見つめる後藤明。またしても対極な二人であった。
「あれ?明ちゃんは遊ばないの?」
慧音が子供達と遊ぼうと子供達の方に向かう最中、冷めた目で慧音を見つめる後藤明に対して集団の中の少女が後藤明を心配してか、近ずいて話しかける。
それに対して後藤明は今までの無表情を僅かに崩し、その太い眉をひそめる。
「俺も一緒に遊んだ方がいいか?」
「みんなで遊んだ方が絶対楽しいよ!」
「.....そうか。」
そこまで言うと後藤明は楽しそうに騒ぐ慧音達の方にその少女と共に近ずいた。
「ん?どうしたんだ、後藤君?」
「俺も混ぜろ。」
「.....え?一体どうしたんだ....」
後藤明の意外過ぎる言葉に慧音は二度も驚かされた。
家に居候させてもらっているのに、家事の一つも手伝わないどころか、感謝の言葉すら無い程、無愛想で図々しく。口を開けば暴言ばかり、やたらめったら暴力的で性格の悪く、性根が腐った後藤明がである。慧音で無くとも驚くだろう。
「なんだよ、俺が子供と遊んだりしたら悪いのかよ。」
「い、いや....別に...そういう訳じゃ無いんだが....」
「....じゃあいいだろ。別に子供をブン殴ろうとか考えてる訳じゃ無いんだから。」
何度か後藤明に騙されている慧音からすれば素直に信用出来ない所があったが、子供が大好きな慧音からしてみれば、子供に対して優しくしている人間は無条件で警戒が薄れてしまうのだ。
まあ、子供以上にこいつの事を見張っていよう。と、思った慧音はとりあえず、後藤明と一緒に遊ぶ事にした。
だが、遊ぶ前に慧音は後藤明に対して一つ疑問が出来た。
「もしかして、お前も子供の事が好きなの.....か?」
慧音の声は少し小さかったが、騒がしい子供達の声には埋もれずに後藤明の耳に届いた。
「....子供なんて大嫌いだよ。」
後藤明の声も小さかったが子供達の声に遮られずに慧音の耳に届いた。
だが、後藤明が何故声を小さくしたのか、慧音にはその理由がよく分からなかった。
自分に対しての照れ隠しで言ったが、子供にその声を聞かせまいと小さな声にしたのか、それとも単純に本心なのか....慧音には分からなかった。
テラ浅倉威なオリキャラです。イライラするんだよ‼︎しかも、マグナギガっぽい慧音と敵対している.....これはFINAL VENTですわ。
後は完全にどっかのアメコミ鬼畜ヒーローみたいな奴が登場しましたね。まだ、正体分からないけど.....絶対に妥協しないあの童貞チビ不潔不細工ヒーローかもしれない。リアリティありすぎるヒーローだぜ‼︎
ちなみにこの小説のオリキャラも童貞です。女性嫌いだから。
まあ、なんか今年も一年あっという間に過ぎました。射命丸です。射命丸だ。またはボルト。早いぜ‼︎
今年も一年楽しく過ごせたのま、この小説を読んで、感想を書いて、お気に入り登録してくれ、評価して下さった方々のおかげです。本当にありがとうございます‼︎
来年も皆様に素敵な一年がある事を僕は願っています。(願っているだけだというのを忘れないで!)
来年もこの二次創作をよろしくお願いします。(ついでに私の事も)
ps,今ガキ使見てます。初詣楽しみです。