TS転生聖園ミカが先生と付き合いつつ先生にハーレムを作らせようとする話 作:tarako
こんにちは、聖園ミカです。
アビドスに来たら柴関ラーメンは食べておいたほうがいいですよ。
今は屋台営業をしていますが、その美味しさは一級品です。
そうして味に魅了されて時々アビドスに通うようになった、ある日のことです。
ラーメンを食べ終えるタイミングで隣にシロコちゃんが座ってきたので、悪戯心が湧いてスマホに撮りためてある先生の写真を見せることにしました。
スマホを見せると、シロコちゃんは首を傾げます
「ん?(疑問)」
そして先生の写真だとわかると食いつきます。
「ん(興奮)」
スッスッと先生の格好良い写真ゾーンをスワイプしてシロコちゃんに見せていきます。
「凄い……これはとてつもないお宝」
ちょっとセクシーな先生写真ゾーンに差し掛かり、私はスワイプする手をとても焦らします。
「おおおお……」
必要な分は見せたので、そろそろ帰らなきゃな。と私が言うと、シロコちゃんは超速で大将にチャーシュー丼を注文しました。奢ってくれるらしいです。
チャーシュー丼が届くまでの間、私はシロコちゃんに先生のセクシー写真集を見せるのでした。
「ん。(ご満悦)」
私はベッドの上で目覚める、何か夢を見たような、そうでもなかったような。
疲れてお昼寝でもしてたかな、と思いぽやぽやしてると、ナギちゃんがこっちを見つめていた。
あ、あ、あああぁぁぁ!!あれって本当にあった事なの??夢じゃなかったの!?
動揺する私を見て、くすりと笑みを溢すと、ナギちゃんはお茶会の準備をし始める。
すっかり冷めてしまった紅茶も、温め直されているようだ。
「おはようございます、ミカさん。ティータイムの続きをしませんか?」
その温和なナギちゃんの言葉は、果たしてどんな思いが籠もっているのか。
私はナギちゃんと向かい合う形でテーブルに座る。
「そ、そのナギちゃん……えっとね……私、すごく動揺してて」
「突然過ぎましたね。ごめんなさい……」
「違うの。気持ちはすっごく嬉しいんだけど……」
すーはーと大きく呼吸をして気持ちを落ち着かせて。
話さなければいけないことを確認する。
「その、私と先生が付き合ってるのは知ってる?」
「ええ、存じてます。その上で先生に、その、ハーレムを……って何を言わせようとしてるんですか!!」
「急に怒らないでぇ……」
この事はナギちゃん知ってたんだ……なんか意外だ。
特にハーレムを作らせようとしている所まで知っているのは、そんなに知っている人は居ないはずなんだけど……あ!
「もしかして、セイアちゃんに聞いた?」
「…………」
無言で、されどニコリと笑うと紅茶を優雅に飲むナギちゃん。
確かにセイアちゃん経由なら分かっちゃうか。
「告白にしても勝算がなければしませんよ。ミカさんとはずっと一緒に居たいのですから」
「ナギちゃん……」
いわば未来知識を使って、私が攻略されてる形になるのかなこれ!
うごごごご……未来の私とナギちゃんはきっとらぶ☆らぶだったのかな。
いや、待って、私と付き合うなら簡単で確実な手があるのに。
「そうだ!先生と付き合えば、私ともらぶ☆らぶ出来るのにそれをしなかったのはなんで!?」
「はぁ……。ミカさん、あなたって人は」
呆れてため息をつかれたぞ?今、告白されてる最中なのに。
「そんなの決まっています。あなたのことが好きだからですよ」
「え……あ……ありがとう」
ストレートな物言いに、私は顔が赤くなる。うぅ……ズルだよそれ。
けれど、未来の知識を断片的に知っているナギちゃんかぁ。……うん、可愛いね!
だって、頭良い人がそんな知識持ってたら対抗手段無いよ、もう。
「うぅ……でも先生のハーレム計画が躓いちゃったな。てっきりナギちゃんは先生が好きなのかと……。世界中の女の子を先生に抱いてほしいのに」
私はナギちゃんの告白から、思っていたことをポロリと呟いてしまった。
それを聞いたナギちゃんの目が剣呑なものになる。怖いよぉ。
「告白の返事を聞く前に、一度、引導を渡すべきですね。ミカさん、あなたの先生ハーレム計画は全く上手くいっていません!!」
「な……なんでぇ!?」
「常識で考えれば分かるでしょう!先生が無節操に生徒に手を出すわけがありません!」
「それはそうだけど、こう、何かいい感じに他の子と仲良くなって……ね?」
「何ですかそのふわふわプランは!ハーレム作らせる気あるんですか!!」
ナギちゃんはロールケーキを取り出すと、私の口に押し付けてきた。
あーん。
「まず一発目ぶち込みますよ!」
もぐもぐもぐ。
「大体ですね、常に考えが甘いのですミカさんは。この前もこんな事があって──」
くどくどと説教が続いてる。ハーレム計画の甘さを告白されてる最中に突っ込まれるなんて、
キヴォトスで私が初めてなんじゃないかな。
うぅ……だけど一つ反論があるぞ!
「で、でもヒナちゃんはいい感じに先生と付き合ってるし……!」
「……あら、ヒナさんはこの時期にはもう加わっていたんですね。あらあら、ところで先生のハーレムというには他の方がおられないようですが……(トリニティ仕草)」
ユウカちゃんは……ちょっと違うか……。
「ぐぬぬ……これから増えるもん!!」
少しトーンダウンしたナギちゃんは未来のことを既知であるかのように語る。
……もちろん私も【知る力】を使えば未来の事を知れるのだけれど、あんまりそっちの方向では使ってないんだ。ずっと原作通りに進めようとしていた時期は、本当に辛かったから。
未来のことを詳しく【知ってしまう】とまた、チャート通りに進めるような辛い日々になるから。
だから私の素の頭でハーレム計画を考えて、【知る力】をちょこちょこ使って進めているんだけど……だけど。
今の所いい感じなのはヒナちゃん一人。そして純愛だ。
それも、ただの純愛じゃないぞド級の純愛。ド純愛だ!
うぅ……ユウカちゃんはちょっとエロエロだしなぁ。全員ユウカちゃんみたいな倫理観してると思ってたんだけど、そうでもないみたいで、未だにキヴォトスの事全くわからないよ。
「とにかく、ハーレム計画は大して進んでいないのですから、その……ミカさんと私が付き合っても問題は無いと思うのです。女の子同士の恋人となるとミカさんも初めてでしょうし……」
「あ、もうユウカちゃんと付き合ってるよ」
「…………………………ロールケーキ二発目ぇ!!」
涙目で苺ロールケーキを押し付けてくるナギちゃん、ちらりと見えたけどまだまだロールケーキの在庫はあるみたいだ。
もぐもぐもぐ。
「……はぁ。本当にあなたという人は。本当に、本当に、もう。セイアさんから色々と聞いてなかったら耐えられませんでしたよ」
瞳が潤んで、少し声が上ずっているけれど、優雅さをまだ失っていない。
強くなったね……ナギちゃん。
それでも立て直すのにしばしの時間が必要で、私達は紅茶とお菓子をもぐもぐと飲食したのだ。
……ん?ロールケーキ二本ってカロリーいくつだろ……これ以上は止めてねナギちゃん。
………
……
…
さぁ、仕切り直してお喋りしよう。
「私ってこんなんだから、付き合うとなると苦労しちゃうよ?」
「覚悟の上です。それに……ええ」
ナギちゃんは優しく笑う。
「もう何かに追い詰められているようなミカさんを見たくはないのです。そばで支えたいのです」
ドキリとした。間違いなく、色々と限界が近かったエデン条約の時期のことだろう。
でもそれは、私以上にナギちゃんの方が大変だったはずなのだ。
「え、えっとエデン条約の時のことかな……確かに色々大変だったけど──」
「もっと前、それこそ出会った時からですよ」
今度こそ私は言葉を無くす。それは確かにずっと抱えていた秘密だけれど、表に出すようなことは無かったはずなのに。
「何に悩んでいたのかは分かりません。しかし、悩んでいることを知っていながら見過ごした結果は私達が知っての通りです」
「ずっとそばにいた私が、真っ先にどうにかするべきでした。支えるべきでした」
「そうすれば違う今があったかもしれません。あなたが大勢の人から糾弾されることも無かったかもしれません」
「あなたが好きな気持ちは本物です。けれどどうしても後ろめたさがついて回るのです」
「だから、二度とあんな事が無いように、二度とミカさんが悲しまないように。あなたと一緒に笑っていたい」
あぁ、分かってしまった。ナギちゃんが感じ取った私の苦悩、それは未来でナギちゃんが疑心暗鬼に陥るとわかっていながら、その未来通りに事を進めようとした私の罪のことだ。
ずっとずっと心に抱えていたけど、今は全員無事で生きているけど、どうしてもトゲとなって心に刺さっている部分。
「違う……違うの、ナギちゃんは全く悪くない……悪いのは私だけ」
ナギちゃんが後ろめたさを感じる必要なんて無いのに。
悪いのは私だけなのに、泣きたくなってくる。
「いいえ、私にも悪い部分は確かにあります。……けれど、ミカさんが気にしている場所はきっとそこではありませんね」
そういうと、優しく、誤解を与えないように、彼女は私に告げた。
「私があらゆる人を疑い、補習授業部を作ることを知りながら、対策せずに放置していた事を悔やんでいる────そうでしょう?」
口から悲鳴が漏れそうになるのを慌てて抑える。知られている、私の罪が。大切な幼馴染に。
何を言われるのだろう、怖い。怖い。私はナギちゃんの顔を見ることができずに俯いていた。
「ねえ、ミカさん。
「そんな事じゃない!!だ、だってナギちゃんは苦しんで、凄い苦しんで、人を疑って裏切り者を……わ、私のために探してくれたのに!その裏切り者は本当は私で、何よりも最低なのは……それを全部知りながら何も変えなかった私で……ぐす」
ぽろり、ぽろりと涙をこぼしながら。
私は今まで抑えてきた、誰にも話せなかった私の所業を、誰よりも知られたくなかった幼馴染に話していた。
ずっと心の奥底に澱んでいた思いは一度話し始めたら、堰を切ったように止まることは無かった。
「あ、合わせる顔が無いと思った。けど、ナギちゃんはどこまでも優しくて。私のせいで色々失ったのに、まだ大切な幼馴染で友達でいてくれて……それが本当に嬉しくて。……ぐす。本当に……心の底から嬉しかったの」
慈しむように私の言葉を聞いていたナギちゃんは立ち上がると、私の後ろに回り、ぎゅっと抱きしめる。私の翼と、ナギちゃんの翼があわさり、羽毛が擦れる優しい音がした。
「よく頑張りましたね」
「な……んで、そんなに優しいの……?」
ふふ、とナギちゃんは笑うと聞き分けの悪い子供を諭すように、優しい口調で喋った。
「好きな人に幸せでいてほしい。こんな単純で簡単な事がありますか、ミカさん」
すっ、と心に染み込む言葉だった。
嬉しくて、罪が許されたかのようで、止まらない涙はさらに勢いを増した。
「うわあああああんん!!」
ただただ、大声で泣く私をナギちゃんはどこまでも優しく抱きしめてくれていた。
泣いて、泣いて、泣き疲れるまで私達はずっと一つに重なっていた。
ありがとう、ナギちゃん。本当に、ありがとう。
すっかり泣き止んだ私は、いつの間にか対面に座り優雅に紅茶を飲んでいるナギちゃんに、
いつものように、何度でも繰り返した挨拶のように、気軽に話すことにした。
「私たち付き合おっか、ナギちゃん」
「ええ、そうしましょう」
恋愛関係になったとしてもそれ以上の言葉は必要なくて、私達は顔を見合わせて笑うと、他愛のない話を続けるのだった。
「それにしてもズルいよナギちゃん。一体どこまで未来のことだったり、私のことだったり知ってるのさ!」
「ふふ……
……う。知っているにやけにアクセントを付けていたような、気のせいだよね?
チラリと顔色を見るが、紅茶を楽しむ彼女の顔からは何も読み取れない。
「セイアさんによると、特にあなたが抱えている問題に対しての未来予知は多かったそうですよ」
「そっか……エッチな予知夢を見まくってる訳じゃなかったんだね」
「それはそれで多かったそうですが……」
セイアちゃんはやっぱりドスケベセイアちゃんだった。全く困ったものだね。
んん?そういえば、ハーレム関連の事もやけに詳しかったってことは、エッチな予知夢の事もセイアちゃんに沢山聞いてるのかな。
ナギちゃんがセイアちゃんにひたすらエッチな事を聞いてる所を想像して、私は笑ってしまった。
「ははは……もうセイアちゃんってばエッチだね☆」
「ミカさんにだけは言われたくないと思います……」
じゃあ私の次にエッチだ。かつてのエッチな予知夢と、今の直感の能力によって個性が光っているセクシーフォックスとして頑張っていこう、セイアちゃん。
私達三人で夜のティーパーティーをする日も楽しみにしてるからね。
「そう、未来予知についてもう一つ、『まるで神様がミカを救えと言っているようだ』とも仰っていましたね」
「神様かぁ、居るのかな?」
トリニティとゲヘナが天使と悪魔をモチーフにしているのは知っているから、もしかしたら本当にキヴォトスには神様も存在するのかもしれない。
「そして何の因果かは分かりませんが、今のミカさんはシスター服ですね」
そうだった。すっかり忘れていたが今の私はシスターミカなのだ。
私はこのシスター服を着てからの日々を思い出す……おもい……ああ!!
散々シスター服でコスプレエッチしちゃったけど大丈夫かなぁ!?
私は手を組むと、切に切に神に赦しを請うのだった。
「まあ……なんて真摯な祈り」
許して、許して!お願いします!
──その時だった、二回目となる【知る力】のオート発動が始まったのだ。
…………え?シスターコスプレエッチは問題ないの?……へっ、驚かせないでよね。
でも【知る力】の発動タイミング的に、何か超常的な存在は居るのかも知れないね。
……幸せな時間をありがとうございます。
そしてこの力でなるべく多くの人が幸せになれるように頑張ります。
エッチな事も沢山したいです。
本当に、ありがとうございます。
ふー……。ちょっと肝が冷えたのでシスター服からは着替えておこっかな……。
………
……
…
私とナギちゃんは早速付き合うことを先生に報告することにした。
改めて思うがこんなはずでは無かったのに。先生にハーレムを作らせるはずだったのに……けどナギちゃんにあんなに攻められたら抗えないよ……いやん、いやん。
にゃんついた思考で、現状について言い訳をする。
世界はいつだってこんなはずじゃないことばっかりだ。
さあ、オフィスに着いたよ。せめて、先生が少しでも納得するように頑張ろう、私。
「いらっしゃい、ミカにナギサ。話って何かな?大体分かる気はするけど」
「ごきげんよう、先生。この度ミカさんと付き合うことになりましたので、その挨拶をしに参りました」
「ああ、やっぱり……」
「ごめんね先生。世界中の女の子は全て先生のものなのに、こんな事になっちゃって」
「ミカはミカで思想が強すぎる……!」
ふぅ。と一つ息を付くと先生は、ナギちゃんに向かって笑みを作る。
「まあ、ミカの魅力にやられちゃったらもうしょうがないよ」
「ふふ……そうですね、先生」
あ、あれ何か思ったよりあっさりと穏やかに話が進んでるな。
もっとこう、何かバチバチとやりあってそこで私が『やめて、私のために争わないで!』って言うつもりだったのに。
先生とナギちゃんが私を見る目はとても優しく、なんかもうしょうがないなあという感情が見え隠れしていた。
「一緒にミカを支えてほしい、ナギサ。……最近、少しだけミカの事が分かったんだ。色々行動がエキセントリックで変態だけど、ただ誰かに愛されたいという気持ちが強くて。そのくせ愛されているのに、自分自身で愛を信じきれていない」
先生が真剣な目で私を見て……何か心に刺さることを言われちゃったな。
自分がぐちゃぐちゃで何かおかしい自覚はあるけれど、自分の事は自分が一番良くわからないんだ。捻れて狂って。でも先生を、みんなを愛しているのは本当だよ。
「ミカ、多分だけど君が思っている以上に私は君のことが大切だよ。だからいつか本当に君を好きだって想いが届くと信じている」
「ミカさんを支えましょう、先生。そして、先生が言っていることは、もう本当にその通りです。あなたは自分がどれだけ愛されているか分かっていない」
ああ、もう二人は急に何なの。
人を愛の知らない要介護モンスターみたいな扱いしちゃって。
けど、苛立ちじみた思考とは別に、心はとても暖かくなり、二人からの好きは本当に嬉しかった。
「そ、そんなに私の事好きなの?なんだか照れちゃうじゃんね☆」
穏やかに私を見る二人にはなんだか虚勢を張ったり、嘘をついたりする気にはなれなかった。
されど口からは照れ隠しがとっさに出てしまう。きっと、心に踏み込まれる時はこうやって誤魔化してきたんだな、と今更ながらに自分のことを一つ知る。
「ええ、好きなんです」
「好きだよ」
……ずるいな二人とも。私以上に私の事を分かってそうでさ。
そんな事を大好きな二人に言われたら、自分自身のことは信じられないけど。
二人がそう言うのなら。
「それなら私も少し、自分が好きになれそうだよ」
そう言うと、『あはは、良かった』と喜ぶ声でナギちゃんが笑う。その笑い方は小さい頃の笑い方で、礼儀作法を重んじるようになってからはしなくなった笑い方だった。
そして小さい頃の私は『ふふ』と控えめに笑うのだ。
そうか、そうだ。私達の笑い方、今はおんなじだね凄く似てる。
ずっとそんな事にも気付けなかったぐらい、必死だったんだね私は。
「ふふ……なんだか小さい頃の私とナギちゃんに戻ったみたい」
「あの時はミカさんが沢山助けてくれました。今度は私がミカさんの助けになる番です。その為に……ふふ、結構頑張ったんですよ?」
ああ、もうかなわないなぁ。
ナギちゃんと居ると弱い私ばっかりが見えちゃうよ。
それでも、一人では向き合えなかった弱い私をナギちゃんと一緒なら受け入れることができそうだった。
私とナギちゃんは笑い合う、ずっと一緒に過ごしてきた何度見ても可愛らしい笑顔。
これからは今まで以上に大好きになっていく笑顔。
私の笑顔も好きになってくれてたら、嬉しいな。
「幼馴染百合……いい」
台無しだよ、先生!
私の部屋にて、お茶会の撤収作業をいそいそと始める。
ナギちゃんも持ってきたロールケーキの包装が崩れていないか確認している。
「全弾使う可能性もあったのですが、結局使ったのは二発だけでしたか」
「ロールケーキを弾丸のように数えないでね☆」
私の言動で二発で済んだのは運が良かったのかな?
日頃の行いが良かったからかもしれないね。
「さて、ミカさん。私が加わったことであなたの"先生にハーレムを作らせる"という度し難い望みは叶う事でしょう。なぜならば、私も積極的にサポートする予定だからです」
「……!!ほ、本当?ナギちゃん!?」
「ええ。ブレインとなり、先生と生徒のマッチングや、生徒から先生への恋愛を肯定するような情報操作、先生の恋愛模様のちょっとした噂の適度な流行まで。いわば、先生との恋愛をしやすくなるような空気づくりをしましょう。私にかかれば容易いことです」
す、すごい!ナギちゃんが輝いて見えるよ!
すらすらと出てくる言葉はなんか、いい感じだ。これはすごいぞ!
「先生と関わる人が増えれば必然的に、ミカさんの時間は空くわけです」
「うん、まあ、そうなるね?」
にっこりとナギちゃんが笑う。ちょっと空気変わってきたね。
「空いた時間は何をしましょうか、私とお茶会でもしませんか?」
「そうだね。楽しみだね!」
にこにこと、距離を詰めてくるナギちゃん。ふぉぉ……。
「とても素敵なバラが咲き誇る庭園が有るのです。のんびりと散策してみませんか?」
おお、それは結構興味あるかも。
「うん☆いいね!」
「色々と、したい事を……ミカさんと一緒に出来る。こんなに幸せなことはありません」
「ナギちゃん……」
すっかり私の正面に立つと、自然に抱きしめてくるナギちゃん。
あ、いい匂い……。くんかくんか。
抱きしめたはいいけど、ナギちゃんは顔を赤くして動かなくなってしまった。
しばらくすると、ぽつりと言葉を漏らす。
「…………なんか、こう……いい感じの言葉で誘惑してみようと思ったのですが、抱きしめたら言葉がトんでしまいました……」
「……ぷっ。な、なにそれ!あはははは!!」
「もう、笑わないで下さい!……ふふ、ふふふ……あはは!」
幼馴染で、お互いに隠し事をしていて、でもお互いのことがとっても大切で。
今こうして笑いあえて、本当に良かった。
ずっと笑い合っていようね。ずっと幸せでいようね。きっと出来るよ。
だって、こんなにも幸せなんだから。
気絶したり、泣いたり、笑ったり忙しい一日だったけど、うん。
一通り笑った後は、ナギちゃんは顔がまだ赤いまま何かを期待している。
……ふふ。
────ちゅっ。と唇にキス。
「可愛いよ、ナギちゃん」
「……やっと言ってくれました」
そう言うと、今度はナギちゃんの方からキスをしてくる。
「……ん。もう一回可愛いって言って下さい」
「ナギちゃんすっごく可愛い……」
「もっとです……」
何度も可愛いをおねだりするナギちゃんは、それはそれは可愛かったのだった。
時々、私にも可愛いと言ってくる新しい技を覚えたナギちゃんは、きっとこれから先も更に可愛くなっていくのだろうと確信するのでした。